顧客満足度とは?調査方法や向上させる方法を紹介
顧客満足度(CS)とは、顧客の商品・サービスに対する満足度です。
しかし「顧客満足度が大事だとわかっていても、どのように向上させたらよいのかわからない」「顧客満足度はどのように調査するの?」という企業も少なくないでしょう。
そこで本記事では、顧客満足度とはどのようなものか、顧客ロイヤルティや顧客エンゲージメントとの違い、さらには調査方法や向上させる方法まで、総合的に解説します。
顧客満足度(CS)とは?
顧客満足度とは、顧客が商品・サービスに対してどのくらい満足しているか数値化した指標です。英語では「Customer Satisfaction」と訳されるため、略称で「CS」と言うこともあります。
一般的に、商品・サービスを利用したときに感じた価値が、購入前の期待値を上回った場合、顧客満足度が高くなると言われています。一方、商品・サービスを利用してイマイチだと感じた場合は、顧客満足度が低くなります。
顧客満足度と顧客ロイヤルティ、顧客エンゲージメントの違い
顧客満足度と混同されやすい指標に「顧客ロイヤルティ」と「顧客エンゲージメント」があります。
顧客ロイヤルティとは、企業やブランド、商品・サービスに対するloyalty(愛着心/忠誠心)を示す指標です。また、顧客エンゲージメントとは、顧客と企業の間にあるengagement(信頼/関係性)を示します。
顧客ロイヤルティは、アンケートやインタビューなどを通じてどのくらいの愛着心をもっているか測ります。一方、顧客エンゲージメントは、リピート購入や口コミ投稿などの顧客のアクションを基準にして測定します。
顧客ロイヤルティも顧客エンゲージメントも重要な指標です。しかし、商品・サービスに対する満足度が高いからと言って、愛着心が芽生えたり信頼関係が構築できたりするわけではありません。
たとえば「このサービスには満足しているが、他社のサービスのほうがよければ乗り換える可能性が高い」という場合、顧客満足度が高くても愛着心が少ないということになるため、顧客ロイヤルティは低いと言えます。
また、「この商品は好きだが、お客様窓口の対応は不満だ」という場合は、商品に対する顧客満足度が高くても企業とは信頼関係を築けていないため、顧客エンゲージメントは低い状態となるでしょう。
一方、商品・サービスに対する顧客満足度が高ければ、愛着がわいたり企業に対する信頼が増したりする場合もあります。
このように、顧客満足度と顧客ロイヤルティ、および顧客エンゲージメントは、直接的に関係し合うこともありますが、イコールで結ばれているわけではないことを理解しておきましょう。
CSとESの違い
CS(顧客満足度)ともうひとつ混同されやすい言葉に「ES」があります。
ESとは「Employee Satisfaction」の略称で、日本語では「従業員満足度」を意味します。
ESは、従業員が仕事内容や職場環境、待遇などに対する満足度を示す指標で、ESが高い企業ほど離職率が低いと言われています。与えられた仕事にやりがいを感じ、十分な報酬や福利厚生を受けられ、円満な職場であると、ESが高くなる傾向にあります。
ESとCSは異なるものですが、実は2つは関わり合っていると言われます。なぜなら、ECが高い従業員は自社をより良くしようと積極的に行動し、その結果として商品や接客の質が高まるため、CS向上につながります。また、CSが高い顧客は企業に対して感謝の言葉を伝えたり良い口コミを発信したりするため、従業員はやりがいを感じてESが向上するでしょう。
このように、CSとESは関係し合っているため、どちらも企業にとっては軽視できない指標です。
顧客満足度の向上によるメリット
顧客満足度を高めることで、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットや効果を紹介します。
解約率の低下、リピート購入の増加につながる
商品・サービスに対する顧客満足度が向上すると、顧客は「継続して利用したい」「また購入したい」という気持ちになり、解約率の低下やリピート購入の増加につながります。そのため、顧客数を維持でき、売上を安定させられます。
アップセル・クロスセルにつながる
顧客は高い満足度を感じている商品・サービスに対して、ワンランク上のサービスプランにアップグレードしたり、関連商品やオプションも購入したりします。このようにアップセルやクロスセルにつながるため、売上を向上させる効果があるでしょう。
良い口コミが発生する
顧客満足度が高いと、顧客は「誰かに紹介したい」「使ってほしい」という心理になり、良い口コミを発信してくれるようになります。SNSやレビューサイトで良い口コミが増えると、それを見た他のユーザーの購買意欲を促したり、企業に対して良いイメージを持ってブランディングにつながったりするなどの効果が見込めます。
新規顧客を紹介してもらえる
満足度が高い商品・サービスを誰かにも使ってほしいという心理から、家族や友人、知人などを新規顧客として紹介してくれる顧客も増えます。そのため、企業は宣伝費や広告費をかけることなく新規開拓ができ、顧客を増やしていけるでしょう。
顧客満足度(CS)の測定方法
顧客満足度を測定する方法として、以下の3つの指標があります。
- CSI
- JCSI
- NPS
それぞれの調査方法や算出方法を紹介します。
CSI
CSIとは「Customer Satisfaction Index」の略称で、世界的に活用されている顧客満足度調査です。自社の商品・サービスに関連する質問を行い、顧客に0~100点で回答してもらいます。質問内容は、以下の5つです。
- 顧客期待値
- 顧客不満度
- 顧客忠実度
- 知覚品質(商品に対する顧客の主観的な評価)
- 知覚値(価格に対する満足度)
5つの点数の平均値がCSIとなります。
JCSI
JCSIとは「Japanese Customer Satisfaction Index」の略称で、CSIを日本向けのカスタマイズした顧客満足度調査です。調査する項目は、以下の6つです。
- 顧客期待
- 知覚品質
- 知覚価値
- 顧客満足
- 推奨意向
- ロイヤルティ
1つの項目につき3~4つの質問を行うため、多角的に分析できます。
NPS
NPSは「Net Promoter Score」の略称で、商品・サービスの推奨度を測定する指標です。商品・サービスに対する満足度とは異なる指標ではありますが、顧客満足度が高ければ他者にも勧めたくなるという心理を応用し、顧客満足度調査として使われることもあります。NPSの調査では、顧客に対して「あなたは、この商品・サービスを家族や友人にどのくらい勧めたいですか?」という質問を投げかけ、0~10の11段階で評価してもらいます。回答内容から、以下のように3つのグループに分類します。
- 0~6点:批判者
- 7、8点:中立者
- 9、10点:推奨者
そして、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSとなります。
【例】
(N=1000)
- 批判者:200人
- 中立者:400人
- 推奨者:400人
NPS=40%-20%=20
NPSに関しては下記記事にて詳しく解説しておりますので、興味がある方はこちらもチェックしてみてください!
参考記事:NPSとは?顧客満足度との違いや算出方法について解説
顧客満足度の調査方法
CSIやJCSI、NPSなどの顧客満足度を測れる調査を行う際、どのような方法を用いれば良いのかわからないという方も多いでしょう。主な調査方法を紹介します。
アンケート
多くの回答を集めたいときには、アンケート調査がおすすめです。アンケート用紙を店頭に置いたり郵送したりして、アンケートに回答してもらう方法です。
近年はインターネットでのアンケート調査が一般的になっています。顧客はWebフォームから手軽に回答できるため、より多くの回答を集められるでしょう。
インタビュー
会場や電話などで特定の顧客にインタビューを行う方法もあります。決められた質問項目以外にも深掘りして聞くことができるため、より細かく顧客の気持ちやニーズを把握できます。
ただし、一人ひとりの顧客にある程度の時間をかけて調査するため、アンケート調査よりは回答数を集めることは難しいでしょう。
モニタリング
モニタリング調査は、実店舗に行き顧客の様子を見たり、顧客に対する接客態度を確認したりする方法です。実際に顧客が購入している様子や表情などを調査できるため、リアルな現場を確認できます。
統計調査の分析
調査会社や公的機関などが公表している調査結果を参考に、顧客満足度を分析する方法もあります。ただし、この場合は自社の商品・サービスに限った調査は難しく、あくまでも「市場の動向」「消費トレンドの傾向」「業界に求めていること」などの分析に限定されるでしょう。そうした分析結果から顧客の期待値を予測し、どのような商品・サービスが市場のニーズにマッチしているか検討します。
アンケートを行う手順や質問項目作りのポイント、おすすめのツールに関しては下記の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもチェックしてみてください!
参考記事:顧客満足度調査(CS調査)とは?目的、手順、アンケート項目例を解説
顧客満足度を向上させる方法
顧客満足度は企業の成長に欠かせない指標のため、常に向上させていくことが重要です。ここからは、顧客満足度を向上させるためにはどのような取組みを行うべきか解説します。
カスタマーサクセスを取り入れる
企業側は、商品・サービスを売りっぱなしにするのではなく、販売後・契約後にフォローを重視しましょう。
購入してすぐは効果を感じられなくても、継続して使い続けることで大きな効果が得られる商品・サービスもあります。しかし顧客は短期的な視点で「使ってみたけど効果を感じられない」と諦める人もいるため、継続利用につながらない人も少なくありません。
そのため、既存顧客の伴走をする「カスタマーサクセス」部門を社内に取り入れることで、購入後・契約後に顧客に伴走して成功体験へと導き、「この商品を購入してよかった」「このサービスは自分にとってなくてはならない」という満足度向上につなげます。
接客クオリティを均一化する
実店舗やお客様窓口など顧客対応を行う場合、従業員によって接客のクオリティにバラつきがあると、「Aさんが担当したお客様の顧客満足度は高いのに、Bさんが担当したお客様は低い」といった事態に陥りかねません。接客のクオリティを均一化して、常に高いレベルの接客サービスを提供できるよう目指しましょう。
たとえば、ベテラン従業員や成果の高い従業員の接客方法をもとにした接客マニュアルを作成したり、顧客からの反応の良かったセールストークや話し方などの成功事例を共有したりするなど、社内のノウハウやナレッジを共有する仕組みが必要です。
従業員のスキルアップを行う
従業員一人ひとりのスキルアップも、顧客満足度向上につながります。
顧客と直接関わり合う部門に関しては、接客や問い合わせ対応に関するスキルアップはもちろんのこと、自社の商品・サービスについての知識を深めたり、電話やメールのほかにチャットやSNSなどマルチチャネルに対応できるスキルを身につけたりすることも有効です。
また、顧客と直接的に関わらない部門でも、スキルアップが顧客満足度向上の要因になることもあります。
- 商品企画のスキルアップ→顧客ニーズにマッチした商品を開発できる
- 開発部門のスキルアップ→顧客の不満や改善要望をすぐに商品・サービスに反映できる
このように、顧客満足度向上は全社的に行うべき取り組みと言えるでしょう。
SFAやCRMを導入する
顧客の取引履歴や対応履歴などを一元管理できるSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などを導入することで、一人ひとりの顧客に関連する情報を一目で把握できます。
たとえば、購入前に営業担当者が顧客から「どのような点に期待しているか」「導入することでどのような課題を解決したいか」といった情報を得ていても、それらの情報が社内で共有されていないと、事前の期待値がわからないままアフターフォローをしてしまいます。その結果、顧客が求めているフォローとはかけ離れたアプローチとなってしまい、事前の期待値を下回る結果になりかねません。
そのため、購入前から購入後までの情報を一気通貫で管理し、誰が・いつ・どのようなアプローチを行ったか可視化できるSFAやCRMが有効なのです。
顧客満足度を向上させる具体的な方法・事例は下記の記事にて詳しく紹介しておりますので、気になる方はぜひこちらの記事もご覧ください!
参考記事:顧客満足度を上げる具体例10選!成功企業の事例とともに解説
最後に
顧客満足度(CS)は、商品・サービスに対する顧客の期待値が、購入後・契約後にどのくらい満たされたか数値化する指標です。
顧客満足度が高ければ、売上の維持・拡大やブランディングなどの効果も見込めるため、企業の成長につながるでしょう。
顧客満足度を向上させるには、一人ひとりのスキルアップだけでなく、カスタマーサクセスの強化やツールの導入など組織一丸となり取り組む必要があります。
アディッシュ株式会社は、カスタマーサクセスの構築支援やコンサルティング、研修など、カスタマーサクセスをはじめとする顧客対応部門の強化を総合的に支援しています。
これから始めたい方、すでに始めていて効果が出ていない方、さらに強化したい方など、事業の規模や目的に応じて柔軟にサポートさせていただくので、ぜひ一度ご相談ください。
顧客満足度を向上させる組織づくり