お問い合わせ

お気軽にご相談ください!

CAC(顧客獲得単価)とは?意味・計算方法・改善施策をわかりやすく解説

ビジネスを成長させる上で、新規顧客の獲得は欠かせません。しかし、闇雲に新規顧客を増やすだけではなく、どれだけのコストで顧客を獲得できているのかを意識することが大切です。そのため、CAC(顧客獲得単価)を把握しましょう。

今回はCAC(顧客獲得単価)について詳しく解説します。この記事ではCACの計算方法や下げる方法までご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

CAC(顧客獲得単価)とは

pixta_32735227_M
CAC(Customer Acquisition Cost)とは、顧客を獲得するためのコスト(顧客獲得単価)を意味します。顧客を獲得するために支払った広告費や人件費、外注費などを含めます。

CAC の計算式は「CAC= 顧客を獲得するために支払ったコスト ÷ 顧客獲得数」です。

SaaS企業が1か月間で広告費に200万円、営業人件費に100万円 を投じたとします。獲得できた新規顧客数が 150社 だった場合、1社あたり2万円のコストで新規顧客を獲得していることになります。

施策別にCACを計算することで、どの施策が投資対効果が良いかを判断することも可能です。

CAC とCPAの違い

CPA(CPA Cost Per Action)とは、1件のコンバージョン(お問い合わせや資料請求)を獲得するためのコストを指します。どのマーケティング施策の投資対効果がよいか判断する際に用います。

CPAの計算式は「CPA= 広告費 ÷ コンバージョン数」です。

CACとCPAの違いは対象です。どちらも投資対効果を把握するために用いる指標ですが、CACは事業全体を対象としており、CPAはマーケティング施策を対象としています。

CACの種類

CACは「Organic CAC」「Paid CAC」「Blended CAC」に分類できます。

Organic CAC

Organic CACとは、広告以外で獲得した顧客にかかったコストを指します。広告に依存しない事業成長性を把握するための指標です。

 

<コストに含まれるもの>

  • コンテンツ制作費用
  • SEO対策費用
    SNS運用費用
  • PR活動費用
  • コミュニティ運営費用
  • 紹介プログラムの手数料
  • 営業活動費用など
     

Paid CAC

Paid CACとは、広告やキャンペーンで獲得した顧客にかかったコストを指します。広告の費用対効果を把握するために計算します。
 
<コストに含まれるもの>

  • 広告(Google、Meta、X、TikTokなど)
  • 広告代理店の手数料
  • 外部サービスの初期費用や月額料金
  • イベントや展示会の出展費用

Blended CAC

Blended CACは、Organic CACとPaid CACを区別せず、あらゆる手法で獲得した顧客獲得コストです。Blended CACは、Organic CAC+Paid CACで計算します。事業全体の健全性を把握することができます。また、投資家への説明資料でよく使用されます。

 

<コストに含まれるもの>

  • コンテンツ制作費用
  • SEO対策費用
  • SNS運用費用
  • PR活動費用
  • コミュニティ運営費用
  • 紹介プログラムの手数料
  • 営業活動費用など
  • 広告(Google、Meta、X、TikTokなど)
  • 広告告代理店の手数料
  • 外部サービスの初期費用や月額料金
  • イベントや展示会の出展費用など
     

CAC(顧客獲得単価)を計算するメリット

pixta_89110685_M

CAC(顧客獲得単価)を計算すると、次のメリットが得られます。

施策の費用対効果を把握できる

CAC(顧客獲得単価)を計算すると、費用対効果が良い施策と費用対効果が悪い施策を判別できるようになります。

例えば、SEO対策では顧客1人当たりの獲得コストが5,000円、リスティング広告では顧客1人当たりの獲得コストが15,000円だったとしましょう。このような場合、経営資源をSEO対策に集中させた方がより成果を出せるようになります。

このように限られた予算の中で最大の成果を上げるためにCACを計算します。

LTVの目標値を明らかにできる

CACを計算すれば、自社が達成すべきLTV(顧客生涯価値)の目標値を設定できるようになります。なぜなら、顧客獲得コストを上回るLTVを確保しない限り、事業は利益を生み出せないためです。

一般的にLTVはCACの3倍以上であると健全と言われているため、CACを基準にLTVの目標ラインを引くことができます。

例えば、1顧客の獲得にかかるコストが1万円であれば、最低でも3万円以上のLTVが必要です。

次の章で説明するユニットエコノミクスを計算すれば「既存顧客からのリピート施策を強化するのか」「アップセルやクロスセルを伸ばすのか」など、具体的な施策設計に落とし込むこともできます。

ユニットエコノミクス(LTV/CAC)とは

pixta_29740727_M
CACと併せて覚えておきたい指標としてユニットエコノミクスがあります。

ユニットエコノミクス(Unit Economics)とは、顧客1人当たりの採算性を意味します。
ユニットエコノミクスの計算方法は「ユニットエコノミクス=LTV÷CAC」です。

一般的にLTV÷CAC>3であれば健全な状態であると言われていますが、それ以上の場合は投資に回すべきとも言われています。

つまりユニットエコノミクスを計算することで、①更にコストを投下した新規顧客を獲得すべきか②新規顧客の獲得よりも、既存顧客の収益性を改善すべきかを判断できるようになります。

事業の持続性を踏まえて、どのような経営戦略を練るべきか考える際の重要指標です。

LTVとは

ユニットエコノミクスを計算する際には、LTVを用います。

LTV(Life Time Value)とは、顧客と取引を開始してから終了するまでの期間に、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。

顧客生涯価値とも言います。

マーケティングの通説には「1:5の法則」や「5:25の法則」があります。

「1:5の法則」とは、顧客維持と比べて新規顧客獲得は5倍のコストを要するという法則で、「5:25の法則」とは、顧客の離脱を5%抑えることができれば利益率が25%向上するという法則です。

顧客維持の重要性が広く認知されるようになり、LTVを計算する企業が増えてきました。

関連記事:『LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!
 

CAC(顧客獲得単価)を活用する手順

事業を成功させるための、CAC(顧客獲得単価)を活用する手順は以下の通りです。

  • CACの計測期間を設定する
  • 営業・マーケティングのコストを洗い出す
  • 新規顧客獲得数を洗い出す
  • CACを計算する
  • LTVを計算する
  • ユニットエコノミクスを計算する
  • 最適な施策を打つ

※ユニットエコノミクスを計算することで、①更にコストを投下した新規顧客を獲得すべきか②新規顧客の獲得よりも、既存顧客の収益性を改善すべきかを判断できるようになります。

CAC(顧客獲得単価)を下げる方法

pixta_57735096_M (1)
CAC(顧客獲得単価)を下げる方法は4つあります。

ターゲットを定める

ターゲットを定めることで無駄な費用を抑えられてCACを下げることができます。なぜなら、ターゲットが曖昧だと購買意欲の低い層にもリーチしてしまい、広告費用が増える一方で成果が出にくくなるためです。

ターゲットを絞れば、見込みの高い顧客に集中してアプローチでき、効率的に顧客獲得が可能になります。

例えば、全体に向けて広告を打つよりも、「30代・都内在住・健康志向のビジネスパーソン」といった具体的な属性に絞った広告を配信すれば、クリック率やコンバージョン率が高まり、同じ広告費でも獲得できる顧客数が増えます。

したがって、ターゲットを適切に定めることは、限られた予算で最大の効果を発揮し、CACを下げるための手段です。

広告チャネルの見直し

広告チャネルを見直すことで効果の低い施策を減らし、CACを下げることができます。なぜなら、すべての広告チャネルが同じ成果を生むわけではなく、顧客層や商材によって相性の良し悪しがあるからです。

成果の出にくいチャネルに投資を続ければコストばかりが増え、CACが上がってしまいます。逆に効果的なチャネルへ投資を集中すれば、少ない費用で多くの顧客を獲得できます。

例えば、リスティング広告ではコンバージョン率が低くCACが2万円かかっていたのに対し、SNS広告では1万円で獲得できていたとしましょう。この場合、SNS広告に予算をシフトすれば、全体のCACを下げられます。

Webサイトの改善

Webサイトを改善することで、訪問者の離脱を減らし、コンバージョン率を高めることができてCACを下げられます。なぜなら、Webサイトは顧客接点の中心であり、ユーザー体験が悪いとせっかく広告で集客しても購入や問い合わせにつながらないためです。

使いやすさや信頼感を高めれば、同じ集客コストでも獲得できる顧客数が増え、CACが改善されます。

例えば、サイトの読み込み速度を改善すれば、ユーザーの滞在時間が伸び、CV(コンバージョン)につながりやすくなります。結果として、広告費は変わらなくても1顧客あたりの獲得コストを下げられるでしょう。
 

業務効率化

業務効率化を図れば、少ないリソースで施策を実行でき、CACを下げることができます。なぜなら、営業やマーケティングの作業を自動化・省力化すれば、人的コストを削減しながらも見込み顧客への接触機会を増やせるからです。

また、効率化によって施策の実行頻度や精度が高まり、CVR(コンバージョン率)の向上も期待できます。

例えば、ステップメールの自動配信を導入すれば、営業担当者が個別にフォローしなくても継続的に顧客へアプローチできます。その結果、人的リソースを抑えつつ顧客の興味を育成でき、効率よく成約につなげられます。

さらに、CRMやMAツールを活用することで、見込み顧客の管理や分析もスムーズになり、効果的な施策を繰り返し実行するこも可能です。
 

CAC(顧客獲得単価)を下げた成功事例

pixta_10941928_M (2)-1

ドイツで中小企業向けに CRM や予約管理システムを提供する Shore 社 は、従来アウトバウンド型の営業・マーケティングに依存しており、コストが高く十分なリードを獲得できない課題を抱えていました。マーケティングではマスメディア広告を利用していました。

そこで HubSpot のインバウンドマーケティング を導入し、コンテンツ制作や SEO、オーガニックチャネルを強化して効率的に見込み客を獲得する仕組みを構築しました。その結果、CAC を約35%削減、リード数は 12倍 に増加し、Webサイトへのオーガニックトラフィックも 216%増加 しました。

広告依存から脱却し、持続的に顧客を呼び込む仕組みを作ることでCACを大幅に改善することができました。

まとめ

CAC(顧客獲得単価)は、事業の健全性や投資判断に欠かせない重要指標です。CPAとの違いや、Organic・Paid・Blendedといった種類を理解することで、施策ごとの費用対効果をより正確に把握できます。

さらに、LTVとの関係性やユニットエコノミクスを計算することで、短期的な費用削減だけでなく、長期的な成長戦略を描くことが可能になります。ぜひ、これを機会にCACを計算して、施策の見直しを図ってみてください。


ホーム /  記事一覧 / CAC(顧客獲得単価)とは?意味・計算方法・改善施策をわかりやすく解説

関連記事

企業が継続的に成長していくためには、新規ユーザーの獲得だけでは不十分です。新規顧客数には限りがあるため、既存ユーザーに継続して利用してもらい、収益を安定的に伸ばしていく戦略が求められます。その戦略の成果指標となるのが「ARPU(Average Revenue Per...
ビジネスを成長させる上で、新規顧客の獲得は欠かせません。しかし、闇雲に新規顧客を増やすだけではなく、どれだけのコストで顧客を獲得できているのかを意識することが大切です。そのため、CAC(顧客獲得単価)を把握しましょう。
カスタマーサクセスマネージャーを務める中で「顧客がサービスを継続して利用してくれない」「新メンバーが即戦力にならない」というジレンマに悩んでいませんか?これらの悩みを解決できる取り組みが、オンボーディングです。
顧客は商品やサービスに満足できるだけでは、熱狂的なファンにはなりません。コモディティ化が進む中で、企業は顧客の期待を超える「感動」を提供してロイヤルカスタマーを獲得していく必要があることから、サービスエクセレンスが注目を浴びています。
「最新システムを導入したのに、なぜか現場で使われない…」「DX推進が理想通りに進まない…」とお悩みを抱えていませんか?
新しい業界に身を置く際、ドメイン知識の習得は欠かせないステップです。 特に、私たちアディッシュのメンバーは、クライアント先に常駐する形でカスタマーサクセスを支援しており、その環境に応じた専門知識の習得が日々求められています。...