LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!
LTVという言葉を耳にしたことはありませんか?LTVは、顧客が取引開始から終了までにもたらす「生涯価値」を数値化したものです。マーケティングでは、予算配分を最適化する際に用います。
今回は、LTVの意味や計算方法について詳しく解説します。この記事を読めば、LTVを理解できるようになり、マーケティング戦略に役立てられるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
LTVとは
LTVとはLife Time Valueの略称で「顧客生涯価値」を意味します。簡単に説明すると、顧客と取引を開始し始めて終了するまでに、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表すものです。
LTVを計算すると、顧客1人が生涯どれぐらい利益をもたらしてくれるかを把握できて、次のような戦略が立てられるようになります。
- 「優良顧客にはどのような傾向があるのか?」
- 「顧客獲得コストはいくらにすべきか?」
- 「各サービスで最も利益をもたらしているサービスはどれか?」
営業戦略やマーケティング戦略に役立つ指標のため、LTVの計算ができるようになりましょう。
LTVが注目される理由
LTVが注目される理由は4つあります。
新規顧客の獲得が難しくなってきた
多くの企業が参入して類似商品が並ぶ市場の飽和により、新規顧客の獲得が難しくなりました。飽和した市場での需要喚起は想像以上に難しく、多くの方が苦戦します。
「1:5の法則(※1)」や「5:25の法則(※2)」」という法則もあることから、既存顧客の維持が重要だと関係維持に注力する企業が増えました。
既存顧客にサービスを継続して利用してもらうためにロイヤルティプログラムを作るなどの取り組みがされています。このような取り組みが成果が見込めているかを測定する際にLTVを活用します。
(※1)1:5の法則:新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍かかるという法則
(※2)5:25の法則:顧客の維持率を改善すれば、利益は5倍改善されるという法則
サブスクリプションサービスの台頭
近年、サブスクリプションサービスを提供するSaaS企業が増えました。
サブスクリプションサービスは、サービスを継続利用してもらえるかで売上が変動します。そのため、サービスを購入した顧客をフォローするカスタマーサクセスに力を注いでます。
カスタマーサクセスとは、顧客がサービスを利用して理想の姿になれるようにフォローして、継続利用してもらえるように働きかける仕事です。
また、良好な関係である顧客にはアップセルやクロスセルを提案して売り上げに繋げます。カスタマーサクセスのパフォーマンスを測定するためにLTVを活用します。
デジタルマーケティングの進化
デジタルマーケティングの進化により、顧客IDから「属性」「購入価格」「購入頻度」が把握できるようになりました。
小売業では店舗とECサイトの顧客IDを紐づけて、正確にLTVを把握しようとする企業が増えています。
「購入価格」「購入頻度」を正確に把握できるようになれば、ロイヤルカスタマーに対してバースデープレゼントを渡したり、イベントに特別招待できたりなどマーケティング施策を強化できます。
このように、データと紐づけたマーケティング施策はトレンドとなっていることもLTVが注目されている要因です。
Cookie規制の影響
Cookieとは、自社サイトにユーザーが訪問した際に、ブラウザに一時的に保存される情報です。
CookieによりECサイトのカートの中身が保存されたままであったり、ECサイトの閲覧情報をもとにレコメンドを送信できたりします。企業はCookieを使用して、新規顧客を獲得していました。
しかし、Cookie規制により、訪問ユーザーの許可がない限りCookieが使用できなくなってしまったのです。
精度の高い広告が打てなくなり、新規顧客の獲得が難しくなってきて既存顧客との関係維持に注力する企業が増えたこともLTVが注目される始めた理由と言えるでしょう。
LTVの計算方法
LTVは「LTV = 平均購入単価 × 平均購入回数」を用いて計算するのが一般的です。
しかし、解約率を含めた計算方法や顧客維持コストを考慮した計算方法もあるため、会社の規模や業態にマッチするものを選ぶましょう。
ここでは、小売業界とIT業界のLTV計算方法をご紹介します。
小売業界のLTVの計算式
小売業界では「LTV=平均購入単価×平均購入頻度×平均契約期間」の計算式が使われます。
例えば、20代女性がアパレル商品を月1回8,000円ほど、3年ほど継続購入してくれる場合の計算式は「LTV=8,000×1×36=288,000」です。つまり、3年間で28万8,000円の売り上げをもたらしてくれます。
LTVから新規顧客を獲得するための広告費の上限を考えられるようになります。
例えば、新規顧客を獲得するために1万円の広告費をかけても、十分な利益が得られることがわかるでしょう。
IT業界のLTVの計算式
IT業界では「LTV = ARPU ÷ チャーンレート」の計算式が使われます。詳しくは後述しますがARPUは月額料金でチャーンレートは解約率です。
例えば、タスク管理ツールを提供しており、定額料金1,500円でチャーンレートが2%の場合の計算式は「LTV= 1,500÷0.02=75,000」です。
つまり、1人当たり7万5,000円の売り上げをもたらしてくれます。新規顧客1人の獲得に2万円の広告費をかけても、十分な利益が得られます。
LTVと合わせて押さえておきたい重要指標
会社の規模や業態にマッチするLTV計算方法を使用できるようになるために、LTVと合わせて押さえておきたい重要指標を押さえておきましょう。
ARPU
ARPUとは、サービスにおける1ユーザーあたりの平均売上です。サービスに無課金のユーザーも含めて平均売上を計算します。
ARPUは「LTV = ARPU ÷ チャーンレート」など、IT業界のLTVを計算する際に用います。
それ以外にも、ARPUと想定ユーザー数と組み合わせて将来の売上を予測したり、ARPUの増減からキャンペーンや施策の効果を測定したりする際に用いる重要指標です。
チャーンレート
チャーンレートとはサービスの解約率を指します。
チャーンレートは「チャーンレート=サービス解約者数÷サービス利用者数×100」で計算しまう。
例えば、サービス利用者200名のうち、40名が解約した場合のチャーンレート率は、40÷200×100で20%です。チャーンレートは、LTVを計算する際に用います。
また、どのような属性の顧客が解約するのか、必要なサポートやフォローアップができていたかどうかを考える際にもチャーンレートを見ます。
CAC
CACとは顧客獲得単価を意味します。つまり、新規顧客1人を獲得するために必要なコストです。
LTVの計算をすれば、新規顧客1人を獲得するために、どれだけCACを使用できるか判断できるようになります。
新規顧客1人を獲得するための施策は、オンライン広告、オフライン広告などさまざまです。
各広告施策に対して「CAC=顧客獲得のために費やしたコスト÷新規顧客の獲得数」を計算しておけば、どの施策を打てば新規顧客を低コストで獲得できるか判断できるようになります。
LTVとCACはセットで覚えておくようにしましょう。
ユニット・エコノミクス
ユニット・エコノミクスとは、1顧客あたりの採算性を表す指標です。「ユニットエコノミクス=LTV÷ CAC」で計算できます。
ユニットエコノミクスが適正である場合、新規顧客獲得コストと顧客による収益なバランスが取れており、健全な事業が展開できると判断できます。
また、投資に対するリーターンの金額が把握でいるため、企業の成長性の予測にも役立つ重要指標です。
LTVを向上させるためのマーケティング施策
LTVは顧客と取引開始して取引終了するまでに、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標のため高いほど良いとされています。そのため、LTVを向上させるためのマーケティング施策を見ておきましょう。
購入単価を上げる
「LTV = 平均購入単価 × 平均購入回数」で計算できるため、顧客の1回当たりの購入単価を上げればLTVを向上できます。購入単価を上げるためのマーケティング施策には、次のようなものがあります。
マーケティング施策の具体例
- 商品ライナップを充実させて、一回の買い物金額を上げる
- セット販売商品で単品購入よりもお得感を演出し一回の買い物金額を上げる
- 希少性が高い季節限定商品で購買意欲を促進して、単価を上げる
- サービスに新機能を追加したタイミングでプランの価格を改定する
- まとめ買い割引など、購入単価を上げるプロモーション施策を打つ
- 延長保証サービスなどのオプションを付けて単価を上げる
- 満足度の高い顧客に対して、アップセルやクロスセルを提案する
>>お役立ち資料「【カスタマーサクセス入門】アップセル・クロスセルとは?」はこちら
購入頻度を上げる
「LTV = 平均購入単価 × 平均購入回数(購入頻度)」で計算できるため、顧客の1人の購入頻度を上げればLTVを向上できます。購入単価を上げるためのマーケティング施策には、次のようなものがあります。
マーケティング施策の具体例
- 「次回500円OFFクーポン」を配布して購入サイクルを短縮する
- 商品購入1ヵ月後に商品の再購入を促すリマインドメールを送る
- ロイヤリティプログラムを導入して購買を促す
- ロイヤルカスタマー向けの特別オファーを提供する
- 定期的に商品を購入してもらうために、定期購入プランを提供する
- 購入を後押しするリマインドメールを送る
- 買い物がしやすいようにUX体験を見直す
- ユーザーの疑問に即時対応し、購入につなげる
チャーンレートを下げる
LTV = ARPU ÷ チャーンレート」で計算できるため、チャーンレートを下げればLTVを向上できます。チャーンレートを下げるためのマーケティング施策には、次のようなものがあります。
マーケティング施策の具体例
解約時のアンケート調査を参考にプロダクト・サービスを改善する
- 解約画面に「3ヶ月プランなら20%OFF」の割引オファーを表示する
- 一定期間利用していない顧客にリマインドメールを送信して利用を促す
- サービスを上手く利用できるようにオンボーディングを実施する
- アクティブユーザーのモニタリングをして適切にフォローする
- 1年間継続して利用した顧客に特別なプレゼントを提供する
- サービスの効果を実感させる
>>お役立ち資料「カスタマーサクセス入門オンボーディング」はこちら
まとめ
LTVとは顧客と取引開始して取引終了するまでに、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。
営業戦略やマーケティング戦略を立てる際に役立つ指標のため、LTVの計算ができるようになりましょう。
また、LTVを向上させる施策を打てるようになれば売り上げをアップできます。この記事を読みながら、LTVを向上させる施策を打ち出してみてください。