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ユーザーインタビューとは?目的・種類・やり方・成功するコツまで解説

「ユーザーの声を集めたいけれど、インタビューの進め方がわからない…」とお悩みを抱えていませんか?インタビューの基本から実践まで学び、ユーザーから話を聞くことでニーズを深く理解できるようになります。

今回は初めての方でも実践できるユーザーインタビューの手順について解説します。

ユーザーインタビューとは

ユーザーインタビューとは

まずは、ユーザーインタビューの概要を解説します。

ユーザーインタビューの定義

ユーザーインタビューとは、商品やサービスを利用しているユーザーに対して質問し、意見を聞き取るリサーチ手法です。ユーザーの声から定性データを収集し、商品やサービスの問題点を発見するためにインタビューをします。ユーザーの声を通じて、行動の背景や心理などを把握し、課題の発見や改善策の立案につなげる手法です。

ユーザーインタビューの利用場面

ユーザーインタビューは、商品開発から販売後のレビュー評価まで幅広い場面で役立つリサーチ手法です。調査を通じて、課題の発見から施策の立案、方向性の検証まで行えるようになります。
利用する場面により「探索型インタビュー」と「検証型インタビュー」を使い分けることが大切です。

(1)    探索型インタビュー
初期段階で実施するのが探索型インタビューです。ユーザーの声を聞きニーズを把握します。新しいサービスの開発やビジネスアイデアの着想などに有効です。

(2)    検証型インタビュー
仮説を検証するために実施するのが検証型インタビューです。ユーザーの声を聞いた上で仮説が正しいか判断します。プロダクト改善やWebサイトの改善、マーケティング施策の見直しなどに有効です。

ユーザーインタビューを実施するメリット

ユーザーインタビューを実施するメリット
ユーザーインタビューを実施すると3つのメリットが得られます。

ユーザーの本音を聞ける

アンケート調査はユーザー属性や消費行動、傾向を把握できますが「なぜ商品を購入したのか」「どのように使用しているのか」などの背景までは掴めません。

インタビューであれば率直な感想など数値化しにくいデータを得られます。

例えば、ECサイトのカゴ落ちの原因を把握するためにインタビューを実施したところ「他の商品もカゴに入れたいと思ったが、ページの戻り方がわからなかった」などの不便さが原因であることが判明しました。このようなインサイトを得ることで、効果的な改善策を講じることができます。

ペルソナの精度が高まる

ペルソナやカスタマージャーニーの精度を高める際にも役立ちます。なぜなら、ユーザーと直接会話することで、どのような価値観を持ち、何を期待し、どのような場面で不満を感じるかといった深層心理まで明らかにできるためです。

例えば、「商品を比較した上で自社を選んだ理由は?」「どのくらいの頻度で使っていますか?」という質問をすれば、選ばれる決め手を特定することができます。

商品・サービスの改善点を発見できる

商品・サービスの改善点を発見したい場合にも有効です。

ユーザーの声を直接聞くことで、開発者が気づきにくい課題を洗い出すことができます。つまり、ユーザー視点に立った商品・サービスの見直しをしたい際におすすめです。

例えば、「サービスの使い方がわかりにくい」という声が上がっており、詳しく調査してみると「専門用語が多くて難しく感じる」など明らかになります。このような定性情報を収集していくことで、ユーザーに寄り添った商品・サービスが開発できるようになります。

ユーザーインタビューのデメリット

ユーザーインタビューのデメリット
ユーザーインタビューにはデメリットも3つあります。

時間とコストがかかる

ユーザーインタビューは、顧客アンケート調査と比較して時間とコストがかかります。なぜなら、ユーザーの声を聞くためには、準備・インタビュー・収集などの工数が必要になるためです。インタビュー対象者には謝礼も必要になります。

例えば、5人にインタビューを行う場合は1週間以上かかるでしょう。貴重なインサイトを得られる反面で、手間がかかることがデメリットです。

インタビュアーのスキルに依存する

ユーザーインタビューは、インタビュアーのスキルによって成果が変わります。インタビュースキルが不足しているとユーザーの本音や深層心理を引き出すのが難しくなります。

例えば、ユーザーが「新機能が使いにくかった」と言った場合に「どの辺が使いにくかったですか?」と具体的に掘り下げなければ表面的な情報しか得られません。

深いインサイトを得るためには、スキルやノウハウ、経験を豊富に積んだインタビューが必要になります。

データの客観性が弱い

インタビューで得た情報は客観性に欠ける可能性があります。なぜなら、得られる情報は個々の主観に基づくもののためです。そのため、回答にバラつきが出やすく、統計分析には不向きです。そのため、アンケート調査で定量データを取得して、組み合わせて意思決定するようにしましょう。

 

ユーザーインタビューの種類

ユーザーインタビューの種類
インタビューを実施する前に「構造化インタビュー」「半構造化インタビュー」「非構造化インタビュー」について理解しておきましょう。これらのインタビュー形式は、目的や得たい情報に応じて使い分けることが重要です。それぞれの違いを理解した上で最適なものを選ぶようにしましょう。

構造化インタビュー

構造化インタビューは、質問項目を決めておき一問一答形式で進めるインタビューです。

全ての人に同じ質問をするため、ばらつきを抑えながら情報を収集できます。とくに、大勢の人に対して短時間でインタビューを行いたい場合や消費傾向を把握したい場合に有効です。

例えば、アプリの新機能についての評価を得るために、構造化インタビューを行えば、傾向分析がしやすくなります。一方で、「なぜそう思ったのか」「具体的なシーンは?」といった深掘りを行わないため、背景や動機までは拾いきれないことが欠点となります。

半構造化インタビュー

半構造化インタビューは、質問項目をベースにしながら、ユーザーの回答に応じて自由に深掘りしていくインタビューです。

ユーザーの回答に対して追加質問するため、価値観、行動の背景まで掘り下げて聞くことができます。

例えば、「アプリの新機能は使いやすかったですか?」と質問して「最初は操作方法に迷いましたが、ようやく慣れました」と回答された場合に「どこで迷いましたか」と追加質問することで、改善のヒントを得ることができます。

ただし、インタビュースキルや経験により質が大きく変わるため、高いレベルのインタビュアーが必要です。

非構造化インタビュー

非構造化インタビューは、テーマだけを設定し、対話を通じてユーザーの考えや経験を引き出すインタビューです。

質問項目を決めていないため、テーマに沿って話してもらいます。ユーザー主導型で進むため、想定外の視点が得られる一方で、話が脱線しやすくなります。そのため、ファシリテーションスキルが必須です。

例えば「サービスを使用した時に印象に残ったことがありますか?」と質問に対して、ユーザーが仕事や日常生活の話を始めることがあります。

インタビュアーにとっては一見無関係に思える内容でも、課題の本質が隠れている可能性があります。そのため、遮らずに聴き続ける姿勢が大切です。
もし、話が脱線しすぎたら、中立的な立場から進行を立て直します。

ユーザーインタビューのやり方・手順

ユーザーインタビューのやり方・手順

ユーザーインタビューは5ステップで進めます。

  1. 目的を定める
  2. インタビュー対象者をリクルーティングする
  3. 事前準備を行う
  4. インタビューを実施する
  5. インタビュー結果を分析してまとめる


ここでは、進め方をご紹介します。

1.目的を定める

まずは、インタビューを実施する目的を定めましょう。
なぜなら、目的が曖昧だと質問内容も曖昧になってしまうためです。このような事態を避けるために、目的を定めておきましょう。

<目的の参考例>

  • 商品・サービスの課題を浮彫りにするため
  • プロダクトのUI/UXを最適化するため
  • 競合他社のプロダクトに勝つため
  • 新サービスのコンセプトを設計するため

2.インタビュー対象者をリクルーティングする

次にインタビュー対象者をリクルーティングするため、ふさわしいターゲットを定義しましょう。

「性別」「年齢」「家族構成」「趣味嗜好」「職業」など、具体的に条件を設定しておき、誰にインタビューするかを決めることがポイントです。必要に応じて、年齢・職業などでユーザーグループを分けて実施することで、より的確なインサイトを得ることができます。

初期の仮説検証であれば5~6人程度が目安です。顧客データベースから協力者を見つけたり、パネル会社に依頼したりしてインタビュー対象者をリクルーティングしましょう。

<リクルーティング方法>

  • 既存顧客に依頼する
  • SNSで募集する
  • 自社サイト内で募集する
  • ユーザーコミュニティを立ち上げる
  • パネルリサーチ会社に依頼する

3.事前準備を行う 

インタビューの成果は、事前準備ができているかによって大きく変わります。

事前準備で最初にやるべきことは、ユーザーに「何を聞きたいのか」を洗い出すことです。質問内容をリストアップしていきます。

質問内容をリストアップできたら抜け漏れがないか確認しつつ順番を決めましょう。最初から核心的な問いを投げかけるのではなく、徐々に本題に入っていく流れをつくることで深い話を引き出しやすくなります。

またインタビューガイドを作成したり、録音機器などの使用機材を用意しておいたりすると、当日の進行もスムーズになります。また、会場を押さえておきましょう。

4.インタビューを実施する

インタビューの実施方法には、オンラインとオフライン(対面)の2つのスタイルがあります。目的や予算、時間などに応じて最適な方法を選ぶことが大切です。

オンラインインタビューは、ZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールを利用して実施します。オンラインのメリットは、地理的な制約を受けずにインタビューできることです。また、交通費や移動時間を削減できます。

一方で、オフライン(対面)では、ユーザーの表情やしぐさ、声のトーンといった非言語情報を把握できるというメリットがあります。感情の動きといった微妙な反応を読み取ることができるため、ユーザー体験をより深く理解したいときに有効です。

オンライン・オフラインに限らずですが、インタビュー時は筆記用具を持ち、メモしていきましょう。

5.インタビュー結果を分析してまとめる

ユーザーインタビューは実施して完結するものではありません。各部門がデータを実際に活用できるように、インタビュー後の分析と整理が大切です。インタビューで得られた情報を放置してしまうとムダになります。

インタビューで得られた情報は、レポート資料としてまとめて関係者と共有することで初めて価値を発揮するため、ユーザーの声を収集、分析して共有し役立てていきましょう。

最初に行うべきことは対象者の発言を書き出し、内容を要約、整理することです。

トピック・パターンごとに分類していきましょう。そして、ユーザーがどのようなニーズ抱えているのかを紐解いていきます。複数のニーズが特定できた場合は、どれが影響度が大きいかを判断し優先順位をつけていきましょう。

 

ユーザーインタビューを成功させるためのコツ

ユーザーインタビューを成功させるためのコツ
ユーザーインタビューを成功させるためのコツは6つあります。

インタビュースキルを磨く

価値ある情報を得るためにインタビュースキルを磨いておくことが大切です。まず大前提として対象となる商材に対して理解をしておくことです。商材の理解があるかどうかで、的確なやり取りができるかどうかが決まります。

また、第一印象の良し悪しもインタビューの成否に直結します。最初に不信感を与えてしまうと、相手は心を開いてくれません。そのため、良い印象を与えて相手がリラックスして話せるような雰囲気を作りましょう。また、聞く力や質問する力、クロージングスキルなども必要になります。

さらに、相手を深く知りたい気持ちや「なぜそう思ったのか」をしっかり聞かせてもらう姿勢も大切です。

基本情報を事前に集める

基本情報を事前に集めておくことが大切です。事前に情報を集めておけば、冒頭で自然なアイスブレイクができたり、信頼関係を築けたりします。

相手の基本情報を把握しておけば、本題に入りやすくなり、より深い話に時間配分を割くことができます。そのため、過去の資料などに目を通して相手の価値観や関心事、趣味などの基本情報を集めておきましょう。

<基本情報>
所属企業、部門、業務内容、業績、業界動向、市場、価値観、趣味、興味、関心、日時、場所(会場)、目的、内容、同席人数

リラックスした雰囲気を作る

インタビューで有益な情報を引き出すには、参加者が自然体で話せるようにリラックスした雰囲気を作ることが欠かせません。インタビューを受ける側は少なからず緊張した状態で、緊張を解かなければ発言が控えめになったり、本音を言いづらくなったりしてしまいます。

リラックスした雰囲気づくりは、インタビューの質を大きく左右するため、軽い雑談を交えて緊張を和らげるようにしましょう。

オープンエンド型の質問をする

インタビューでは、深いインサイトを得る必要があります。「操作方法に迷うことはありませんでしたか?」「なぜ自社サービスを選んでくれたのですか?といったYes/Noで応えられないオープンエンド型の質問をしましょう。

「なぜそう思ったのか」「具体的にどんなことを感じたのか」といった行動や感情、背景を把握して改善する際に有効です。回答を引き出す際にも問いかけ方や間の取り方に工夫が必要ですがインサイトが得られるため、オープンエンド型の質問をしましょう。

相手のストーリーを引き出す

潜在ニーズを把握するためには「何が欲しいか」「どこが不便か」といった質問だけでは足りません。その状況の背景にあるストーリーを聞き出してインサイトを発見していきます。

ストーリーには、その人の価値観や判断基準、困っている状況など、商品・サービスを改善するためのヒントが詰まっています。そのため、ストーリーに耳を傾けましょう。

バイアスを排除して聞くことに徹する

ユーザーインタビューを通じて相手のニーズを把握するためには、インタビュアー自身の先入観を排除し聞くことに徹する姿勢が大切です。

自分の意見や仮説を押しつけて誘導してしまうと、相手の発言を妨げてしまい、得られる情報の質が悪くなってしまいます。

「便利でしたか?」ではなく「使ってみてどう感じましたか?」というように、あくまでも中立的で自由回答ができる聞き方を意識しましょう。

ユーザーが話す内容をそのまま受け止める姿勢を大切にすることで、本音を語ってもらえるようになります。そのため、バイアスを排除して聞くことに徹するようにしましょう。

 

ユーザーインタビューの成功事例

株式会社NECは顔認証システムの導入を検討する過程で、フィットネスジムを運営する企業向けに対してインタビューを実施しました。

省人化によるコスト削減と、深夜早朝でも安心して使えるセキュリティの両立が問題点となっていたフィットネスジムが「NECの顔認証技術は世界No.1の精度とスピードだと評価されていた」とNECの顔認証導入の決め手として挙げてくれました。

NEC自身がアピールするのではなく、ユーザーの言葉で「NECの顔認証技術は一番だ」と語ってもらえ、説得力のあるブランディングにつながっています。

また、初めて顔認証を使うユーザーの反応についても、「すぐに慣れた」「最先端の仕組みを取り入れていると前向きに評価する声もある」とのコメントが寄せられ、ユーザビリティや顧客満足度の高さも明らかになりました。

NECは、このようなポジティブな声を製品ブランディングにつなげる工夫をしています。このように顧客の声をプロモーションに活かすこともできます。

ユーザーインタビューに関するよくある質問

ユーザーインタビューに関するよくある質問

最後にユーザーインタビューに関してよくある質問と回答をご紹介します。

ユーザーインタビュー参加者の謝礼を支払うべきか?

参加者への謝礼は支払いましょう。なぜなら、インタビュー参加者は時間を割いて貴重な意見を提供してくれているためです。

相場としては、60分程度のデプスインタビュー(1対1の深掘りインタビュー)の場合、対面では5,000円、オンラインでは3,000円が目安とされています。専門性の高さによっては、1〜3万円程度の謝礼が必要になることもあります。

ユーザーインタビュー参加者を何人集めるべきか?

一般的に5〜6人程度に対してインタビューすれば傾向や課題が見えてくるようになります。これは、ユーザビリティ研究の第一人者として知られるヤコブ・ニールセンの調査結果によって明らかにされています。そのため、5〜6人を目安にインタビューを実施してみましょう。

インタビュー結果を共有する方法は?

要点を整理し、関係者が理解できるようにまとめましょう。回答内容をトピック別に分類したり、録音・録画データの一部を切り取って貼り付けておいたりすると、便利です。

また、Notion・Google Docsなどでまとめておくことで、いつでも閲覧できるようになります。

まとめ

ユーザーインタビューは、単なる会話ではなく、ユーザー理解のための情報収集活動として、事業やサービスの質を高める土台となるものです。

この記事では、ユーザーインタビューのやり方をご紹介しました。ぜひ、この記事を参考にしながら、インタビューを実施してみてください。自力で実施するのが難しい場合は、外部に支援を求めるのも選択肢の一つです。ぜひご検討してみてください。


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