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PMO的な視点を活かしたカスタマーサクセス業務──再現性と効率を高める実践ポイント

カスタマーサクセスとPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は一見すると異なる職種に見えます。

 

しかし実際に現在私がPMO寄りの業務に携わっている経験から、両者には共通点や相互に活かせる視点があることを実感しました。

 

今回カスタマーサクセスの現場でどのようにPMO的思考を取り入れてきたかをご紹介したいと思います。

 

PMOの役割と目的

PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)とは、複数のプロジェクトを横断的に支援・管理する組織や役割 のことです。

 

進行管理、リスク管理、品質担保、関係者間の調整など、プロジェクト全体が計画どおりに進むように仕組み化し、可視化することが主な目的になります。



具体的な業務の例としては、次のようなものが挙げられます。

    • 組織内の複数のプロジェクトで管理方式を標準化する
    • プロジェクトマネージャー(PM)の補佐としてプロジェクトの計画の作成

進捗管理
    • プロジェクトのリスクや課題を管理する
    • プロジェクトの成果物の品質を管理する
    • プロジェクト間のリソースやコストを調整し、適切に配分する
    • 組織やプロジェクトのステークホルダー(利害関係者)と

コミュニケーションを取り、関係部署間の調整を行う

大規模なプロジェクトや複数のプロジェクトを並行して進めている組織では特に重要視されています。そのため、PMOはプロジェクトを成功に導くための重要な役割を担う存在となります。

 

※1 参考文献https://doda.jp/engineer/guide/it/080.html

PMOとは?PMとの違い・役割・向いている人など分かりやすく解説

 

PMOが担う価値とミッション

PMOは、プロジェクト全体を円滑に推進するための「司令塔」として機能している存在です。

 

進捗管理、課題抽出、リスク把握、関係者間の調整など、プロジェクトを俯瞰しながら全体最適を図ることが求められます。

 

単なる事務的サポートではなく、組織全体の成果を最大化するために「仕組みづくり」と「見える化」を担う、いわばプロジェクト運営の基盤を支える役割です。

 

私自身、カスタマーサクセスとして常駐する中で、これらのPMO業務の一部を担当しており、その経験を通じて、PMOが果たす機能とカスタマーサクセスの役割には多くの共通点があり、両者は相互に補完し合える関係にあるのではないかと感じるようになりました。

 

プロジェクト全体を最適化する視点

前述の通り、PMOについて知見を深めていく中で感じたのは、目の前の課題を解決するだけでなく、チーム全体の動きを見渡し、プロジェクト全体がよりスムーズに進む形を設計することの重要性です。

 

言い換えると、「いま対応している業務が、全体の流れの中でどのような影響を与えるのか」を意識することで、部分的な最適化ではなく全体のバランスを取る考え方が身につきます。

 

この視点は、カスタマーサクセスの現場でも十分に応用できると感じています。

 

特に俯瞰的な視野を持つことで、「個別の対応を積み重ねた結果、全体のプロセスはよりスムーズに動いているか」という判断軸を持つことができます。その結果、単発的な改善にとどまらず、業務全体の生産性向上を見据えたアプローチへと発展させることができます。

 

こうした考え方は、カスタマーサクセスにおける業務改善にもそのまま活用でき、顧客体験の向上と内部オペレーションの効率化を両立させるうえで、非常に有効だと感じています。

 

関係者をつなぐハブとしての調整力

PMOは、社内外の関係者をつなぐ「ハブ」としての役割も担います。

情報の伝達や共有を円滑にし、課題を早期に発見・解決するための橋渡し役

を果たすことで、チーム全体の連携力を高めます。

 

そのためには、社内外の関係者から適切に情報を引き出し、要点を整理したうえで的確に伝えるコミュニケーション設計が求められます。

 

このような「情報をつなぐ力」は、顧客との関係構築が重要なカスタマーサクセスにおいても、大いに活かせるスキルです。

 

PMOの考え方をカスタマーサクセスに活かす

ここからは、PMOで重視される考え方の中から、特にカスタマーサクセスの現場で直接的に役立つのではないかと感じている要素を紹介します。

 

前述の通り、カスタマーサクセスとPMOには多くの共通点がありますが、より具体的に「どのように活かせるか」をお伝えします。

 

再現性を高める仕組み化

カスタマーサクセスの現場では、担当者の裁量や経験値に依存しやすく、業務の属人化が起きやすい傾向があります。

 

そのため「誰が対応しても同じ成果を出せる仕組みづくり」、すなわち業務フローやナレッジを整理し、テンプレート化・標準化することが重要になります。

 

これにより、再現性の高い運用が実現し、品質の安定や引き継ぎの容易化にもつながります。

 

ただ、ここで大切なのは、単に「整理すること」自体を目的にしないという点です。

形式的なマニュアル化や一時的な整備にとどまると、どうしてもカスタマーサクセスの域を出ないように感じます。

 

PMOの考え方を取り入れるのであれば、個別の対応やタスクを“点”で見るのではなく、業務全体の流れを“線”として捉え、チーム全体の効率や成果を最大化できるように設計することが重要です。

 

仕組み化の例

実際の問い合わせ対応における「点」と「線」の違いとして以下が挙げられます。

 

点の考え方

顧客から問い合わせがあった際、その都度対応を行い、回答内容は担当者の経験や判断に任せる。

線の考え方
(PMO的発想)

「なぜ同じ問い合わせが繰り返されているのか?」という根本原因を分析し、問い合わせ発生から解決までのプロセス全体を見直す。

FAQ化やテンプレート整備、ナレッジ共有の仕組みを構築することで、

同様の問い合わせを未然に防ぎ、対応スピードと品質の両立を実現する。

 

前者の「点」の対応では一時的な解決にとどまりますが、後者の「線」の発想を持つことで、将来を見据えた根本的な改善が可能となり、結果として問い合わせ件数の削減にもつながります。

 

こうした意識を持つことで、引き継ぎ時の混乱を防ぐだけでなく、チーム全体の業務効率を高め、最終的には顧客満足度の向上にも結びつくと言えます。

 

信頼関係を生む対応力とコミュニケーション

以下が実施した取り組み内容と、その結果得られた効果となります。

◆取り組んだこと

    • PMOの考え方を取り入れ、対応フロー・メール文面などを標準化
    • 担当者が変わっても品質がブレないよう、社内外の対応基準を整備
    • 顧客向け資料やFAQを整備し、問い合わせ対応の時間を短縮
    • メール・チャットにおいて「一次回答(速報連絡)」を徹底して実施
    • 情報の正確性と伝達の一貫性を担保するためのコミュニケーション改善

 

◆得た結果

    • 担当者間で対応品質が均一化し、チーム全体の信頼性が向上
    • 顧客対応のスピードが向上し、「対応が早くなった」と社内外から評価
    • 情報共有がスムーズになり、対応漏れ・認識齟齬が減少
    • 顧客との信頼関係が強化され、満足度向上に寄与
    • 単なる効率化にとどまらず、安定した顧客体験を提供できる組織体制を構築

 

まとめ

カスタマーサクセスは顧客の成功に直結する活動であり、PMOはプロジェクト全体を俯瞰して推進する役割を担います。

 

一見すると異なる領域のように見えますが、実際には「課題を可視化し、仕組みで解決する」という根幹の考え方に共通点があります。

 

私はPMOの視点を取り入れることで、カスタマーサクセスの業務を属人化から脱却させ、将来を見据えた再現性と効率の両立に取り組んでいます。

 

今後も両者の知見を掛け合わせ、顧客と組織の双方にとって持続的な価値を生み出す仕組みづくりを目指していきたいと考えています。


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