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本当に現場で使えるものを追求する。不動産業界を熟知したメンバーならではの顧客に寄り添うCS活動とは【株式会社PICK様】

今回ご紹介するのは、不動産業界におけるデジタル化を推進する株式会社PICK様(https://pick-hp.com/)です。同社におけるカスタマーサクセスの活動として重視していることや具体的な実践内容について、執行役員 CRO である阿部 幸平様にお話を伺います。(聴き手:アディッシュ株式会社 武田)

PICKFORM電子契約

  PICKFORM 電子契約:https://www.pick-form.com/

 

不動産業界で長年経験を積んだメンバーが想いを込めて作り上げた、不動産業界で働く人のためのサービス

ー『PICKFORM』とはどのようなサービスですか。

阿部様:『PICKFORM』とは、オンラインで不動産取引や工事請負、駐車場契約などを行うためのクラウドサービスです。2022年5月、不動産取引でも電子契約が利用できるよう宅建業法の改訂があったタイミングでリリースしました。不動産業界に精通するメンバーが、不動産取引の業務効率化を実現するために開発したもので、お客様は大手パワービルダー様から中堅・中小の不動産業者様までさまざまです。大手企業の場合は営業のサポートをする契約管理チームの方、そして中堅企業の場合は営業現場の方などが主なユーザー様となっています。

不動産取引の電子契約のみならず周辺の業務領域へ適用範囲を広げるべく、『PICKFORM』というブランド名でサービスを拡大中です。2023年12月には物件管理から契約までを集約できる『PICKFORM 案件管理』をリリースし、デジタル化の提案を進めていきたいと考えています。この1月からは電子保護保存法も始まっているので、対応を先送りしていた企業にもぜひ使っていただきたいですね。

PICKFORM 案件管理

  PICKFORM 案件管理:https://lp.pick-form.com/

 

ー阿部様のミッションについて教えていただけますか。

阿部様:私は大学卒業後、大手ハウスメーカーで建設現場監督を務めていたのですが、その後マーケティングリサーチ会社やSaaSの事業会社などを経てPICKにジョインしました。現在、CRO(Chief Revenew Officer)として、数字に関わるマーケティング・セールスからCSまで、ビジネス領域全体を統括しています。

SaaSの知見だけでなく、現場監督として体得した住宅の建築事情や不動産取引に関する事業者視点を持ち合わせているのは私のキャリアのユニークな点です。一個人としての住宅売買の体験も踏まえて事業の展開に生かせることは少なくないと考えています。

当社の社員数は13名です。その中で顧客接点全般に関わるビジネス領域を担当するチームが責任者の私を含め3名おります。得意分野によってある程度リソース配分はしているものの、全般をみんなでやるという状況です。なかでもマーケティングの主担当は私なので、ニュースリリースの原稿を書いたり、展示会出展やSEO、外部媒体からのリード獲得施策など、現場実務にも奔走する日々です。

 

最初の取引が肝心。安心してお使いいただけるよう細心の注意を払ってオンボーディングに注力する

ーCSとしての日々の取り組みについてご紹介ください。

阿部様:まだ私たちの組織は小さく、「ビジネスチーム」としてセールスとCS、両方の役割を持っています。週次の定例ミーティングでは、CRMに登録した取引や商談状況をもとに、進め方の相談やネクストアクションの確認などを行っています。担当はお客様ごとに専任のような形で紐づいており、お問い合わせをいただく際は、メールか電話、ショートメッセージなどが多いでしょうか。

「シンプルで簡単」が強みのプロダクトですが、業界全体的にITアレルギーが強い傾向があるので、オンボーディングは入念に進めます。営業担当の方に集まっていただく勉強会形式が多いのですが、対面でのコミュニケーションが好まれるので、なるべくオフラインで実施しています。

ここで現状と導入後の理想の状態を明確にしてコミットします。とはいえあまり先の話をしても実感が湧きづらいですよね。まずは簡単だと感じていただけるように、例えばよくある取引形態を伺って、その実務に沿ったデモンストレーションをお見せするような工夫をしています。また、大手企業など人数の多い組織だと、社内に反対勢力が存在するケースも少なくありません。そのときは窓口の方と「どの部署でどの方から成功体験を作ったら展開しやすいか」と相談しながら、テストマーケティングを行ったりもしていますね。

私たちが介入することなく契約締結できれば「オンボーディング完了」と考えています。数千万〜数億円の取引を電子契約で完遂するのは怖いというお客様も多いので、初回の実取引の際は立ち会ったりして心理的安全性を作ることも意識しています。

 

ー会社としてCS活動のどのような点に期待されているのでしょうか。

阿部様:SaaSモデルは「クライアントにとって、このサービスが定期的にないと仕事にならない状態にアップデートしていけるか」がポイントだと考えています。それを実現するにはお客様と真摯に向き合い、現場の声を吸い上げて社内の経営や開発チームにフィードバックするサイクルが必要です。そのためにCSの活動は欠かせません。

当社もちょうどシリーズAを迎えるタイミングなので、経営視点でも現在のようなアーリフェーズでは特にCSにフォーカスをしていくべき時期と言えるでしょう。今後へ向けて事業拡大の基礎を固め、サービスの質を高めていくために、引き続き緩めずに注力していきます。

 

お客様のサクセス実現のために「give」を徹底。想定外の発見は自社にとってもビジネスチャンス

ーお客様のサクセスとは、どういった状態を指すのでしょうか。

阿部様:『PICKFORM』導入の成果の一つに、業務効率の向上が挙げられます。例えば、通常手作業で行われる契約書の製本準備も、1契約あたり177枚の紙を扱っており、60分から90分かかるそうです。年間の契約件数を考えると、かなりの時間になりますよね。これが電子保管で良いというお客様の場合、PDFデータをアップロードするだけなので数分の作業ですみます。

それからコスト削減効果です。土地を仕入れ、建物を建てて販売する、買取再販業者さんの場合、年間数千万円の印紙代を負担しているケーづも珍しくありません。電子署名での取引においては、印紙代がかかりませんから、それらが全てなくなりますし、契約書類の郵送代や製本の印刷代、書類保管のための書類保管スペースの地代家賃など数百万円単位で発生している販管費削減にも大きな効果があるでしょう。

ただでさえ土日や月末に集中しがちな取引業務を省力化して進められるため、残業時間軽減に繋がっている、というお客様の声もいただいています。こうした効果、変化を実感していただき、ポジティブな状態になってもらうことが「サクセス」と考えています。

 

ーサクセス実現に向けて、具体的にはどのようなお取り組みをされていますか。

阿部様:CSの取り組みにおいて重視しているのは、「giveの数」です。「give」とは相手にとって喜ばれる行為、言動を相手にしっかり価値として届ける活動を指します。四半期に一度、お伺いして困っていることを聞いたり、他社の事例からアドバイスできることをお伝えしたりしています。

CSが介在せずにお客様がサービスを使いこなせている状態が理想だという考えもありますが、「give」で気づきを得られるのはお客様に限らず、私たちも同様です。giveの機会は、想定外の利用方法をされていることや「想定ターゲットではない方がヘビーユーザーになっている」など予期せぬ事態を把握することにも繋がります。

私はこの「想定外」の部分に新たなビジネスチャンスがあると考えています。CSが介在することで新たなケーススタディーの瞬間に立ち会うことができ、さらにそれをコンセプト化して新たなターゲットに展開するという流れを創出できるからです。

また、マネジメント上の指標として見ているのは、チャーンレートです。まだアップセル、クロスセルに注力できるフェーズではありませんし、まずは既存のサービスにしっかり満足していただくことが最重要と考えているからです。実際、担当者の人柄でお取引いただいている部分もあります。細かい指標をあれこれ追うよりも、お客様との関係性を大事に、余白を残したコミュニケーションを行うことの方が重要です。

 

CS担当者は顧客接点の特等席にいる。顧客体験を考えるプロとしてキャリアの可能性も広がっている

ー CSを経験することで身につくものや、キャリアとしての魅力をどのようにお考えですか。

阿部様:お客様の声を一番間近で聞ける、いわば「特等席」にいるのがCS担当者です。その場所からしか見聞きできない景色や情報を、社内外のステークホルダーに伝えることがミッションではないでしょうか。

お客様と自社との間を取り持つ潤滑油として動くことから、プロジェクトマネージメント力が磨かれるでしょう。誰よりもプロダクトを理解していないとお客様や開発者と対峙できないシーンもありますから、プロダクト周辺の知識は自ずとついてくると思います。

こうして広い視野とビジネスの推進力、知識を身につけられるCSは、キャリアとしても大きな可能性を秘めています。PMMやPdMのような職種、あるいは顧客体験を作ることを考える上では最高体験責任者(CXO)なども候補になるでしょう。

 

ーCSに向いている資質、あるいは貴社にマッチしそうな人材としてどんな方だと良さそうですか。

阿部様:CSとしては、お客様への好奇心が大きい人、あるいは人のために動くことが原動力というタイプの方が向いていると思います。

当社のビジネスチームは、SaaSやカスタマーサクセスの経験者と、大手ハウスメーカー出身でIT未経験者の混合チームです。製品の機能だけでなく、法律や不動産取引全般に関わる周辺の知識を身につけていく必要もあるので、互いに得意領域を補完し合う関係で現場が回っていますね。まだ仕組みが整っていないので、主体性を持って能動的に動ける方だとありがたいです。

 

ー今後チャレンジしてみたいことなどがあればぜひお聞かせください。

阿部様:個人的には、組織を大きくしていくフェーズを経験できることにワクワクしています。組織運営や組織マネジメントに関しては未経験の領域も多いので、引き続き知見のある方から教えをいただきながら、楽しんでチャレンジしていきます。

 

ー阿部様、本日はありがとうございました。


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