空港グランドスタッフからカスタマーサクセスへ —— 接客経験を価値提供に変える転職

田伏 梓織
2025.08.05

「カスタマーサクセス」という言葉に、まだ馴染みのない方も多いのではないでしょうか。実を言うと、私も最初にこの言葉を聞いたときは、「???」と頭の中が混乱し、具体的にどのような業務を行うのか全くイメージが湧きませんでした。
私が「カスタマーサクセス」という職種の存在を知ったのは、転職活動中にアディッシュに出会ったことがきっかけです。求人情報を通じて、はじめてその役割や意義を知りました。
簡単に言えば、カスタマーサクセスとは「顧客の成功を通じて、自社の成功を実現する戦略的な取り組み」のこと。もっと噛み砕いて説明すると、「お客様に寄り添い、伴走しながら一緒に成功を目指していく仕事」です。
本記事では、グランドスタッフからカスタマーサクセス職へと転職した自身の経験をもとに、未経験からでも十分にチャレンジできる職種であることをお伝えしていきます。
グランドスタッフという異業種からカスタマーサクセス職への転職
グランドスタッフから転職を考えたきっかけ
私が転職を決意したきっかけは、グランドスタッフとしての業務を一通り経験し、現場のオペレーションだけでなく、マネジメントにも携わらせていただいたことが大きな区切りとなったからです。
これまでの経験を通じて一定の達成感を感じる一方で、「さらに新しい環境で自分の可能性を広げたい」「別の角度からスキルを磨き、自身の成長につなげたい」という想いが強くなっていきました。
そうした背景から、次のステップとしては単なる“接客業”の延長ではなく、異なる分野に挑戦しながらも、これまで培ってきた対人スキルや課題解決力が活かせる仕事を探すことにしました。特に「人と関わること」「相手に寄り添い、価値を提供すること」に軸を置いた職種を中心に、転職活動を進めていきました。
カスタマーサクセス職を選んだ理由
転職活動を進める中で、私がカスタマーサクセス職を選んだのは、SaaS業界を中心に近年ますます注目を集めている職種であり、将来性の高さを感じたからです。
また、前職であるグランドスタッフとしての経験を振り返ったとき、「お客様一人ひとりの課題や状況に寄り添い、最適な解決策を提供する」という姿勢は、カスタマーサクセスの業務と大きく重なる部分があると感じました。
特に、顧客対応力や傾聴力、問題解決力といったスキルは、職種が変わっても強みとして活かせると確信しました。
さらに、カスタマーサクセス職ではパソコンや業務ツールを活用したデジタル業務にも日常的に触れることができ、接客業で身につけた“人と向き合う力”と、ITスキルの両方を掛け合わせてキャリアを築いていける点にも大きな魅力を感じました。
こうした理由から、長期的に成長しながら働くことができる職種として、カスタマーサクセス職を次のステージに選びました。
カスタマーサクセス職に実際に求められるスキルとは
私は現在、カスタマーサクセスとして、オンボーディング支援業務を担当しています。新しくサービスを導入されたお客様がスムーズに利用を開始できるよう、初期設定から活用支援までを伴走する役割です。
その中で日々感じているのは、カスタマーサクセスには以下のようなスキルが実際に求められているということです。
① 顧客との関係構築力
お客様と信頼関係を築くためには、こまめな報・連・相(報告・連絡・相談)が欠かせません。
小さなことでも早めに共有・確認することで安心感を生み、信頼につながっていきます。
② コミュニケーション能力
カスタマーサクセスには高い対話力と情報伝達力が求められます。
具体的には、専門的な内容やシステム操作などを、初めての方にもわかりやすく説明する力が必要です。
また、単に話すだけでなく、お客様の本音や潜在的な不安を引き出すヒアリング力も大切です。会話の中で相手の意図を正確に読み取り、状況に応じた対応が求められます。
③ 課題解決力・提案力
お客様が抱える課題は、明確なものばかりではありません。時には、言語化されていない課題や根本原因をこちらが見つけ出すことも必要です。
そのために、業務の背景を深く理解し、状況を多角的に分析する力が求められます。そして、見つけた課題に対して、サービスの機能や運用方法をどう活かせば解決につながるかを提案する力も不可欠です。
このような提案を行うには、単なる受け身ではなく、自ら学び続ける姿勢(能動的なキャッチアップ)が常に求められます。
カスタマーサクセス職とグランドスタッフの違いと共通点を徹底比較!
カスタマーサクセスとグランドスタッフの共通点について考えてみると、いくつかの重要なスキルが共通して求められていることに気づきます。
具体的には、以下のようなスキルです:
-
- 顧客対応力
- スケジュール管理能力
- 傾聴力
- 臨機応変な対応力
これらはすべて、グランドスタッフとして培ってきたスキルであり、カスタマーサクセスの業務においても十分に活かせると感じています。
特に、空港という多様な人々が行き交う現場で、迅速かつ的確な対応を求められてきた経験は、カスタマーサクセスとしての土台になると確信しています。
一方で、カスタマーサクセスとグランドスタッフとの間には明確な違いもあります。
カスタマーサクセスの業務にはグランドスタッフとは違い、決まったマニュアルや正解が存在しないことが多く、常に顧客ごとに異なる課題に対して、柔軟かつ論理的に解決策を導き出す力が求められます。
加えて、カスタマーサクセスでは顧客と長期的な信頼関係を築いていく必要があり、「どれだけ相手の期待に応えられるか」「どれだけ信頼を得られるか」が非常に重要です。
こうした関係構築の積み重ねが、最終的にはサービスの拡大(expand)、つまり顧客の成功と企業の成長につながるのだと実感しています。
私自身はこれまで、マニュアルや指示に沿って動く環境で働いてきたため、カスタマーサクセスのように自ら考え、課題を見つけ、能動的に動くという働き方にはまだ難しさを感じています。
だからこそ現在は、自分の弱みと向き合いながら、「どうすればその力を伸ばせるか」「どんなアプローチなら自然に習得できるか」といった点を日々模索しています。苦手意識を乗り越え、より主体的に価値を提供できるカスタマーサクセスを目指していきたいと思っています。
まとめ
入社当初は、未経験の分野で働くことに対して不安もありました。
しかし、アディッシュでは研修期間がしっかり確保されており、研修体制が整っているため、未経験からでも安心して業務を学ぶことができました。
実際に業務を進めていく中で、グランドスタッフとしての経験が活かされていると感じる場面も多く、日々やりがいを感じながら、楽しく業務に取り組んでいます。
また、社内には気軽に相談できる環境が整っており、困ったことや悩んだことがあればすぐに周囲に頼れるという安心感も、働くうえで大きな支えとなっています。
今後はさらに、カスタマーサクセスとしてのスキルを磨きながら、自身の成長につなげていけるよう、前向きに努力を続けていきたいと思っています。

この記事を書いたライター
田伏 梓織
2024年にアディッシュに入社しました。前職の経験を活かして、丁寧かつスピーディーな対応を心がけながら、オンボーディング支援を担当しています。