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バレーボールのセッター視点でのカスタマーサクセス

みなさん、こんにちは。扇と申します。

カスタマーサクセス(以下、CS)に携わる中で、CSの本質は、チームスポーツであるバレーボールの精神に深く通じる部分があると感じています。


なかでもチームの司令塔である「セッター」というポジションは、CSとして最も大事にしたい考え方と通じる部分が多いと気づきました。チームの勝利のために一球一球に意図を込め、チームメイトの力を最大限に引き出すセッターの姿勢は、CSとして目指すべき姿だと感じました。

 

バレーボール経験15年の私が、セッターの役割を通じて学んだ「CSとして大切にしたい3つの考え方」をご紹介します。

※セッター:スパイカーにトスを上げるポジション。チームの司令塔。

 

セッターの考え方①:クライアントの成功をセットする

セッターは、レシーブされたボールをスパイカーが打ちやすい位置と高さに完璧にトスを上げる役割を担います。これは、クライアント(スパイカー)が「成功」というスパイクを気持ちよく決められるように、CSが最適な道筋を「セット」することと同じです。

 

積極的なコミュニケーション:心で通じ合うトス

セッターがスパイカーと息を合わせるように、CSもお客様との積極的なコミュニケーションを通じて呼吸を合わせることが重要です。

 

セッターが最高のトスを上げても、スパイカーとのタイミングが合わなければ、得点につながりません。CSの仕事も同じで、どれほど優れたソリューションや提案を用意しても、お客様との認識のズレがあれば成功は遠のきます。


お客様が「今、何を求めているのか」「どのような成果を出したいのか」を深く理解し、最適なトス(サポート)を提供することで、初めて素晴らしい「成功」という攻撃が生まれるのです。

 

要望を踏まえた密な組み立て

また、一方的に提案するのではなく、「こうしてほしい」というお客様の要望や期待も踏まえた対話を通じて、より精度の高い攻撃の組み立て──つまりパーソナライズされたプランを共に構築していきます。


積極的な対話を通じて、お互いのゴールを明確にし、達成に向けた連携を強化することが重要です。

 

セッターの考え方②:違和感を見逃さない観察力

セッターは、コート全体を見渡す視野の広さが必要であり、あらゆる情報に気を配っています。
CSの担当者もこれと同じで、お客様の成功を導くために、チーム内外の状況を正確に把握し、最適な行動を選択する必要があります。

 

ヒアリングしながらちょっとした違和感をも見逃さない

セッターがチームメイトの表情や動きからサインを読み取るように、CSもお客様の潜在的な声に耳を澄ませる必要があります。

    • クライアント担当者の違和感(例:担当者の業務量が増加している)
    • コミュニケーションの違和感(例:会話のトーンに元気がない)

こうした違和感は、お客様が何らかの課題や不満を抱えているサインかもしれません。


単なるマニュアル通りのヒアリングで終わらせず、この「ちょっとした違和感」を深掘りすることで、お客様が自分で気づいていない課題を先回りして解決し、真の成功へと導くことができます。

 

チーム全体を見渡し、改善を考える姿勢

セッターが自分のコンディションとチームメイトの状態を把握するように、CSもチーム内外の状態を把握します。

    • 自分の状態: 自身のナレッジやスキルで対応しきれるか、今のタスクの優先順位は適切か。
    • チームメイトの状態: 他メンバーの成功事例や、今手が足りていない業務はないか。

 

また、日々の業務の中で感じた「もう少しこうした方がいいのでは?」という社内の「課題や改善策」を積極的に提言し実行することは、チーム全体の生産性向上、ひいてはすべてのお客様へのサービス品質向上に直結します。CS担当者は、お客様への提供価値を最大化する視点を持って、常に社内体制やプロダクトへのフィードバックを行うことが重要なのです。

 

セッターの考え方③:データに基づいた戦略で勝利を掴む

バレーボールで勝つために欠かせないのが、相手チームの分析です。
同様に、CSにおける「相手」とは、市場や競合、そしてお客様の抱える課題そのものです。

 

定量的な分析が”戦略の精度”を高める

バレーボールでは相手の攻撃や守りにおいて、定量的にデータを取ることがあります。例えば、「相手の4番のスパイク成功率は80%である」や「コーナーにボールが5本落ちている」等があります。定量的に分析することで、課題や提案を出すことができます。

 

CSでも同様に、お客様の利用データ、解約率(チャーンレート)、プロダクトへのフィードバックやヘルススコア使って定量的に分析することで、「現在、お客様がどこでつまずいているか」「サービス導入の本来の目的と現状の間にギャップがないか」を明確にします。

 

こうしたデータに基づく客観的な分析こそが、お客様に自信を持って改善提案や、さらなる成功に向けた攻撃(アップセル・クロスセル)を行うための、最も強力な武器となります。

 

まとめ

カスタマーサクセスは、まさに「クライアントの専属セッター」であると感じます。

    • 積極的なコミュニケーションでお客様の意図を汲み取り、
    • 観察力で潜在的な課題や小さな違和感を見逃さず、
    • データ分析に基づいて最適な成功へのトスを上げる。

カスタマーサクセスで大切にしたい考え方を「バレーボール精神」と重ね、その想いを胸に、クライアントの成功という”最高のスパイク”を引き出しながら、私自身も成長していけるように努めていきます。


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