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汎用的に捉えきれないのが製造業の面白さ。CS起点でサービスの提供価値を見極め、お客様ごとに最適な支援の実現を追求する【株式会社スカイディスク様】

今回ご紹介するのは、AIを使って生産計画を立案する、製造業向けのSaaSプロダクト「最適ワークス(https://saiteki.works/)」を提供する株式会社スカイディスク様(https://skydisc.jp/)です。同社におけるカスタマーサクセスの活動として重視していることや具体的な実践内容について、内野様にお話を伺います。(聴き手:アディッシュ株式会社 武田)

最適ワークス

 

適切な生産計画を提供し、製造現場に変革をもたらす画期的なサービス

ー最適ワークスとはどのようなサービスですか。

内野様:最適ワークスとは、製造業のお客様向けに生産計画の可視化・改善を支援するサービスです。生産計画とは、製品をいつまでに、どれだけの数量を、どのような手順で生産するかという情報を管理するための計画のことです。

弊社が主にサービスを提供する中小・中堅工場では、そもそも生産計画がなかったり、紙やホワイトボードで作成したりしている場合が多いのが現状です。生産計画が機能していないと自社のリソース(設備・スタッフ)が対応できる生産量を適切に判断できません。結果として、納期に間に合わせるため、現場が残業でカバーするような事態は往々にして起こり得るのです。

しかし、最適ワークス上にどの製品を、何個、いつまでにという受注情報を登録すると、予め登録しているマスターデータを元に、設備・人員の最適な計画を作成することができます。ITツールに馴染みのない方でもわかりやすいプロダクトや、カスタマーサクセスによる支援によって、徐々に計画の精度を上げていきながら、生産計画が機能している状態を実現します。生産計画をもとにした生産活動を行うことで、納期を見通しながらリスクがある場合は事前に打ち手を講じたり、余力があれば追加受注を受け入れたりすることが可能になるのです。その結果、安定した経営を実現し、現場の働き方の改善にも貢献できるというサービスです。

 

ーCSチームのミッションについて教えていただけますか

内野様:ビジネスサイドはマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、アライアンス、CSに組織が分かれています。以前はプロダクトマネージャーがCSの責任者も兼務していたのですが、昨年8月に私が入社した後、10月にマネージャーを引き継ぎ、現在は私と7名のメンバーからなる体制になっています。全員がカスタマーサクセスマネージャーとしてお客様を担当しており、サポートやオペレーションなど細かい役割ごとに担当を分けてはいません。

CSチームのミッションは、生産計画の可視化を通じてお客様が業績改善活動に取り組めるように支援することです。お客様が実態に沿った計画を作成するために、最適ワークスをどのように使うと効果的か、業務における具体的な活用方法などをご提案します。

 

意識しているのはCSが事業推進の起点となること。若い事業フェーズでのチャレンジに感じた可能性

ー どんな経緯で最適ワークスにジョインされたのですか?

内野様:前職でもCSに従事していましたが、途中で担当からマネージャーへ立場も変わり組織が成長する段階を存分に経験することができました。より事業フェーズの若い企業でのチャレンジに興味が湧いていたところにお誘いをいただきました。最適ワークスはサービスリリースから1年半、ニーズは非常に強い領域でありながらもPMFが完全にできているわけではないという状況で、求めている環境そのものでしたね。

これまで製造業には縁がなかったので、最初は社長からのスカウトもお断りしてしまっていたのですが、よくよく見てみると解決しようとしている課題の本質は製造業に限った話ではないことが分かったことも、ジョインを後押ししました。AIのアルゴリズムは組み合わせを最適化するものなので、現在のメインは製造業向けのサービスですが、実際には別の業界のお客様もいらっしゃいます。将来的にはより広範囲の課題解決を叶えるサービスを目指しているので、視野を広く持って提供価値を追求していきたいです。

 

ーCSチームの皆様の日々の業務についてご紹介ください。

内野様:具体的な日々の活動としては、以下のような活動が中心となります。

・最適ワークスの操作方法のレクチャー
・現在お客様が抱えている課題とそれに応じた最適ワークスの活用方針の整理
・現状の業務フローと最適ワークス導入後の業務フローの可視化
・最適ワークス導入によってお客様が獲得できた成果の振り返り

お客様の中にはシステム導入は初めてという方も少なくありません。できるだけ心理的なハードルを下げて意欲的に取り組んでいただけるような工夫もしています。例えば、お客様にとって聞き馴染みがないと考えられるカタカナ語は極力使わないとか、一度に提示する情報量を絞ってその段階で検討すべきことをお伝えするといったことですね。オンボーディングの際も、操作レクチャーを重点的に行うのではなく、最小限のデータを入れて計画立案を行っていただくことでプロダクトの価値を感じてもらいやすいステップを最初にやるようにしています。

製造業という領域は1つの業界と捉えるには非常に広く、製造品や規模によって状況や必要な支援・機能が異なります。どういった特徴を持つお客様にはどのような支援や機能が必要か、事業推進の基盤となるような情報の整理をCSが起点となって行っていくことも、重要な役割であると考えています。そのためプロダクト改善のフィードバックや活用事例の社内発信、商談における提案の壁打ちや資料作成、新規顧客向けウェビナーの企画・実施などマーケ・セールスとの協働も積極的に行っています。

 

まず注力したのは導入目的や課題の言語化。お客様の「成功」へインパクトをもたらすものを重視し、結果を出していく

ーマネージャーに就任後、重点的に取り組んだことはなんでしょうか

内野様:入社した時点で既にCSの型はありました。オンボーディングの仕組みもありましたし、色々な情報がドキュメント化され、まめに整理されていたことは、ポジティブな驚きでした。一方で、それぞれのお客様の導入目的や課題を捉えたうえでの支援という観点では、まだ整理しきれていない部分を感じました。最適ワークスは、お客様の解決したい課題、目的に応じて使い方が変わったり、何を最適ワークスの中で行って何を最適ワークス外で行うかの切り分けが必要であったりするプロダクトです。そういった判断を行うために導入目的や課題の把握は重要になりますが、実際のプロジェクトではその把握と支援方針が十分に整理できていなかったのです。

そこで、まずCSとお客様との接点の中で、最適ワークスを導入した目的、解決したいことをヒアリング・深堀りする取り組みを進めました。なぜそれを解決しなくてはいけないのか、会社の方針とどう紐づいているのか、改めてお客様とともにディスカッションを行い、そこに最適ワークスがどう応えられると良いのか整理したのです。

一言で「生産計画が機能していない・難しい」と言っても、掘り下げてみていくと

・どの設備でどの工程を、どの順番で行うかというパズルを組み合わせるのが難しい
・製造工程上、修正が頻繁に入るために現場とリンクするのが難しい
・原材料の在庫状況に依存するため、それを加味した計画を立てるのが難しい

など、根本的な課題や原因は多種多様です。お客様自身が自社の課題を言語化できていないことも少なくないので、一緒に課題を整理させていただくことはとても意味があったと感じています。

また、そこで得られたフィードバックを社内で発信する機会を定期的に作り、受注前の段階でお客様の課題をどのように整理すると良いか、営業をはじめとする他チームメンバーとの目線合わせにも注力してきました。どんなお客様だとどういう成果が出やすいか、属性や規模などさまざまな切り口でのパターン化が進めば営業やマーケティングの活動の精度も上がると考えています。このようにCS活動が事業成長の起点にできると嬉しいですし、CSとしてあるべき姿であると思います。

 

ー活動の効果を感じられた事例やお客様の変化など具体的なお話があればぜひお聞かせください。

内野様:先ほどお話したヒアリングで、お客様にとって何を達成することが理想かが明確になりました。その後、運用開始に向けて業務フローにどう落とし込むかをお客様と一緒にすり合わせることが多いのですが、そこではその成果を強く実感しましたね。

SaaSにありがちな話だと思うのですが、いざシステムを導入するとなると、せっかくだからとできるだけ多くの業務システムに載せたいという方向に行きがちです。ただ、実際は元々複雑に人がこなしていた業務を載せ替えるので、一足飛びにシステム化するのは難しいんです。

そのため「まずはここまで変えられれば、当初の目的を達成できますよ」「この点の検証ができたら、次にこの範囲にチャレンジを広げてみましょう」としっかりお伝えするようにしました。同時に、従来の業務プロセスの中でも客観的にみて見直しができると感じたものについては改善提案も行いました。その結果、当初の想定以上に成果が出て、また現場の業務もスムーズになったと感謝いただいた事例も出てきています。

CSはついつい新しいことの提案に意識が集中しがちです。でも、最も重要なのは、本当に成功のインパクトが強いところに注力できることです。やらなくて良いことを決めてあげることがその時の最適解ということもあるんですよね。

 

複雑で多岐にわたるCSの業務領域。周囲を巻き込みながら事業成長の起点となるようステップアップし続けたい

ー CSを経験することで身につくものや、キャリアとしての魅力をどのようにお考えですか。

内野様:ビジネス的な総合力が高い人にとって多くの機会が得られる役割であり、そこがCSの面白いところだと思います。

CSは「お客様の成功に寄り添う」という表面的な役割に焦点が当てられがちです。ただし実際はお客様とのコミュニケーションの粘り強さも必要ですし、抽象化して原則を見つけるような頭の使い方も重要です。エクスパンションのためには、他のステークホルダーを上手に巻き込みながら協働する力も求められるでしょう。また、投下するコストと期待する収益とのバランスを見ながらオペレーションを設計する思考も必要です。このようにやるべきことが複雑で多岐にわたる職種だと考えています。

組織単位で見ても、CSチームが成長していくと、オペレーション担当、コンテンツ担当、イベント担当……とCSに紐づく業務の中で役割が多角化していきます。全方位でやれることをひたすらにやっていくことが必要ですから、そこを楽しめる人はCSが向いているのではないでしょうか。

 

ー個人として、チームとして今後の目標をお聞かせください

内野様:直近の半期、まずは今の仕組みを整えるところを進めてきました。これからは事業の成長に一層寄与できるよう、よりパワフルに組織を牽引できる状態を作っていきます。今後、最適ワークスは製造業のみならず、幅広い業種の企業に活用していただけるよう成長していくことを目指しています。プロダクトの成長とともに、自分も含めて、CSメンバーは常に学びステップアップしていく必要があります。

今後CSチームとして取り組んでいきたいテーマとしては、

・迅速な不明点解決を支援するためのカスタマーサポートの立ち上げ
・より多くのお客様が早期に成果実感をしていただけるようなオンボーディングの1:N化
・早期フォローを実現するためのお客様活用状況モニタリング体制の構築
・新たなセグメントに進出した際のオンボーディング支援確立

などがあります。それから、中長期的に組織を成長させていくため、チームの中から、あるいは採用も含めてリーダーを育てて、どんどん権限委譲していきたいです。

現在もメンバー育成には注力していますが、私個人としては、人材育成も含めCSのことだけを考えているCSマネージャーにはならないよう心がけたいですね。事業全体の動きをみながら、ときにはその動きの起点となり、事業の飛躍的な成長を担う存在となれるよう、努力していきます。

 

ー内野様、本日はありがとうございました。


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