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レッドオーシャンSaaS時代、選ばれる理由は“機能”ではなく“体験価値”だった

本記事は、こちらの記事でご紹介した
競合が増える中でも選ばれ続けるSaaSになるには?」というテーマの続編です。

 

前回は「競争に負けないための顧客理解とプロダクト改善」をテーマに、プロダクトの視点からの差別化を考察しました。今回は「競合が増える中でも“人の力”で差別化できる」という視点から、「顧客満足度(体験価値)」による競争優位のつくり方をご紹介します。

 

SaaS市場がレッドオーシャン化していることは、確かに脅威です。
しかし、見方を変えれば機能では差別化が難しい今だからこそ、「人による価値提供」の重要性が高まっているとも言えます。

 

CSやサポートが生み出す「体験価値」こそが、“選ばれる理由”となる時代。
本記事では、「人の力が体験価値を生み、その積み重ねが満足度を高めていく」ための実践的ヒントをお届けします。

 


レッドオーシャン化するSaaS業界の現状

近年、SaaS業界では、類似機能やUIを持つツールが市場にあふれています。
導入前の比較では差別化ポイントが見えにくくなり、価格や機能ではなく、
「導入して実際に活用できるか」「成果が出るまで支援してくれるか」が選定の大きな基準となってきました。

 

■なぜ機能だけでは選ばれなくなったのか

ツール同士の差分は非常に小さく、比較検討の際に決定打となる要素が見つかりにくくなっています。さらに、導入を決める立場の人と、実際に現場で使う人のニーズが一致しないケースも少なくありません。


こうした背景から、「導入してから実際にうまく使いこなせるか」という点が、企業にとって重要な判断基準になっています。

 

■コモディティ化する市場では「人」が価値になる

競合がひしめく環境では、「プロダクト」ではなく「誰がどのように届けるか」が問われます。

つまり、レッドオーシャン化した市場は、同時に「人の魅力や対応力が差を生む舞台」でもあるのです。

 

たとえば、AI議事録ツールのようなプロダクトにおいても、その違いは機能より「人による支援」で表れます。

    • 文字起こし精度の差より、「どう業務に組み込むか」の伴走支援
    • 機能説明だけでなく、運用ノウハウや業務フローへの落とし込みまでサポート
    • 「使える」から「成果につながる」へと導く支援こそが価値になる

 


体験価値が競争優位をつくる理由

体験価値は単なる「好印象」ではありません。
CSやサポートによって提供される体験価値が満足度を押し上げ、結果としてLTV(顧客生涯価値)の最大化に直結します。


つまり「選ばれる → 使われ続ける」ための最重要要素は、体験価値なのです。

 

SaaSの競争が激化する中で、機能の差別化だけでは選ばれ続けるのが難しくなっています。
では、なぜ「体験価値」がこれほど重要なのでしょうか。


その理由を、導入から定着、そして評価に至るまでの流れで整理してみます。

 

【導入】ギャップを減らすサポートの力

多くの企業が導入段階で直面するのは、
「導入すれば自動的に成果が出るだろう」という期待と、現実とのギャップです。

 

実際には「思っていたのと違う」という感覚が生まれやすく、
これが早期解約や定着失敗の原因になります。

 

このギャップを埋めるには、導入初期のオンボーディングが不可欠です。
さらに、ユーザーがつまずいた瞬間に手を差し伸べられるサポート体制があれば、
「安心して使い続けられる」という体験が生まれます。

 

【定着】満足度がプロダクト理解を加速させる

導入支援や継続的なサポートによって、ユーザーは単に「機能を知る」だけではなく、
「どう使えば成果につながるのか」を理解できるようになります。

 

この理解が深まることで、利用は「ただ使える」状態から「業務に自然に組み込める」状態へと進化します。結果として利用率が高まり、体験価値を感じたユーザーの満足度と定着率も同時に上がっていくのです。

 

【評価】体験の良し悪しが最終的な評価を決める

いくら機能が優れていても、サポート対応が悪ければ解約につながります。
逆に、多少の機能不足があっても、親身で迅速なサポートがあれば信頼が生まれ、長期利用へとつながります。

このように、数値だけでは測れない「人との接点で得られる体験価値」こそが、
満足度を高め、最終的にサービスの評価に大きく影響します。

 


AI議事録ツールにおけるCS活用の実例

CSの関与がプロダクトの定着率や顧客満足度にどれほど影響を与えるのか──その具体例として、AI議事録ツールでの取り組みをご紹介します。

 

このツールでは、CSチームがオンボーディングを徹底し、定着率を大きく向上させています。導入後も活用状況をモニタリングし、必要に応じてフォローアップを実施。


ユーザーからは「いつでも聞ける存在」として信頼を得ています。

 

■ある企業での定着支援事例

ある企業では、AI議事録ツールの導入にあたり、他社製品も含めて複数のサービスを比較検討していました。


決め手になったのは、「導入後も手厚くサポートしてくれる安心感」と「自社の業務に合わせて最後まで伴走してくれる体制」でした。

 

トライアル初期には、営業・開発・現場担当を巻き込んだオンボーディングを実施。
営業商談時に初期セットアップのフォローを行い、連携エラーやテクニカルな問題が発生した際には開発担当も同席して即時解決。


さらに、CSは複数回のMTGを通じて業務フローに組み込むための具体的な提案を行い、現場が迷わず運用を開始できる状態を整えました。このように 「単なる利用サポート」にとどまらず、運用開始後の定着まで一貫して伴走する体制を敷きました。

 

ユーザーからは、

「他社は契約後のサポートが簡易的で、結局自分たちで運用方法を模索する必要があった」
「このサービスは、導入後もすぐに相談できる人がいて安心だった」

という声が寄せられ、結果として利用定着率の向上と社内での評価拡大につながりました。

 

このように、「導入して終わり」ではなく「成果が出るまで伴走する」姿勢は、機能や価格以上に導入の決め手になるのです。

 

■サポート満足度がプロダクト評価に直結

この事例から分かるのは、機能や価格ではなく「サポート体制が生み出す体験価値」こそが導入の決め手になり、さらに利用の定着を支えているということです。

 

つまり、顧客が本当に評価しているのは「伴走支援によって得られる体験価値」であり、それが満足度を押し上げているのです。

 

CS担当の印象や対応の質が、継続利用の決定打になります。
「導入して終わり」ではなく、「一緒に成果を出す」姿勢が評価につながります。

 

■機能より「困った時に聞ける安心感」が選定基準に

機能の差が小さくなっている今こそ、ユーザーは「問題が起きたときに安心して相談できるか」を重視します。

 

手厚い対応や丁寧なフォローは「相談しやすい」という印象を与え、継続率を高める要因となります。これは、他社への乗り換えを防ぐ大きな力にもなります。

 

■人の価値が光る場面とは

ユーザーが利用に行き詰まった時や機能に不満を感じた瞬間こそ、CSの真価が試されます。
「一緒に考えてくれる」「すぐに動いてくれる」という姿勢は、製品への信頼感を補強し、長期利用や他部署への展開、さらには推奨へとつながっていきます。

 


まとめ

競合がひしめくレッドオーシャンの中で、自社サービスの「違いをどう伝えるか」は極めて重要です。機能や価格では差がつきにくい今こそ、「人の力=体験価値」が最も伝わる差別化ポイントになります。


その体験価値が顧客満足度を高め、結果として競争優位を生み出すのです。

 

カスタマーサクセスやサポートは、単なる問い合わせ窓口ではありません。
顧客の成果体験を導く存在であり、それこそが今のSaaS市場における真の競争優位を生み出します。

 

競合が増えるほど、人の力が差を生みます。
今はまさに、カスタマーサクセスにとって追い風のタイミングです。

 

次に選ばれるSaaSは、機能の多さではなく、「どんな人が、どのように支えてくれるか」で選ばれる時代なのです。


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