「サポートが一番良かった」から選ばれた!コンペで負けないCSの極意

赤松志保
2025.04.30

近年、無料でトライアルを実施し、そこから受注につなげるSaaSの提供形態が一般的になっています。本記事では、そのトライアル期間におけるカスタマーサクセス(CS)の対応について解説します。
トライアル期間は、顧客に製品の価値を実感してもらう最も重要なフェーズです。この期間中のCSの関わり方次第で、トライアルの成功率や本契約の可能性が大きく変わります。
実際に「これまでトライアルした企業の中で、一番CSのサポートが良かった!」と言ってもらえた経験を基に、成功のポイントを紹介します。
トライアル期間におけるCSの役割とは?
トライアルの成功とは、顧客が価値を感じることに他なりません。
製品の基本的な使い方を伝えるだけでなく、「自社にとって使う意味がある」と実感してもらうことが大切です。
また、放置されると顧客は簡単に離脱してしまいます。
「試してみたい」と思っている段階の顧客は、少しのつまずきや不安でトライアルをやめてしまう可能性が高いため、CSが積極的にサポートし、不安を取り除くことが重要です。
さらに、単なる「使い方サポート」ではなく、顧客に合った成功体験を設計することこそがCSの役割です。
成功体験を作るために伴走し、顧客にとって本当に価値のある体験を提供しましょう。
トライアルを成功に導くために、CSが意識すべきこと
1. トライアル開始前にゴールをすり合わせる
トライアルを成功させるためには、顧客と「このトライアルで何を達成したいのか?」を明確にすり合わせることが欠かせません。
ゴール設定がないと、単なる「お試し」で終わってしまうリスクがあります。
例えば、導入の背景や期待をヒアリングし、「〇〇の業務を△%効率化できたら本契約を検討する」といった具体的なゴールを共有すると、CS側も顧客の活用状況を把握しやすくなり、ゴール達成に向けた適切なアクションを立てやすくなります。
2. 「技術サポート」ではなく「ビジネスの成功」にフォーカスする
製品の使い方を教えることがゴールではなく、顧客がその製品を通じて価値を感じることが最も重要です。
そのためには、顧客の業務プロセスを理解し、「このツールを使うことでどのように業務が改善されるか」を具体的に示す必要があります。
オンボーディングの段階で、自分の業務が楽になる、営業活動が改善できるといったイメージを持ってもらえれば、活用が進みやすくなります。
さらに、実際に効果を体感することで、顧客自身が「このツールを導入すべきだ」と社内を説得し、導入に向けたアクションを起こしてくれる可能性が高まります。
「一番良かった」と言われたサポートのポイント
1. 顧客ごとにカスタマイズしたコミュニケーションを
すべての顧客に同じ対応をするのではなく、それぞれの状況や理解度に合わせたサポートが求められます。
例えば、ITリテラシーが高い顧客には具体的な活用方法や事例を提示し、より深い価値を提供することが重要です。
一方で、ITに不慣れな顧客には、初期設定や基本操作のサポートをしっかり行い、安心して活用できる環境を整えます。
2. トライアル期間中のプロアクティブなフォロー
「困ったら連絡してください」という待ちの姿勢ではなく、こちらから積極的にアクションを起こすことが大切です。
たとえば、初回利用後に「使い勝手はいかがですか?」とフォローを入れるだけでなく、毎週または隔週で利用状況を確認するミーティングを設定し、顧客との接点を増やします。
さらに、活用が進んでいない場合には、「〇〇の機能を試してみましたか?」と具体的な提案を行い、導入の後押しをします。
また、顧客が「質問していいのかわからない」「相談するほどではない」と思っている小さな不安にも目を向け、気軽に相談できるCSであると伝えることが大切です。
3. 「できません」ではなく、要望を吸い上げる
顧客の要望を叶えることができる機能を実装しておらず、代替提案ができないこともあります。
その場合はただ「その機能はありません」と返すのではなく、「今後のプロダクト改善に活かすため、詳しく聞かせてください」と前向きに対応する姿勢が重要です。
たとえその場で要望を叶えることができなくても、顧客の意見を真摯に受け止め、プロダクトの改善に活かそうとする姿勢が顧客からの評価に繋がります。
4. 時には他部署を巻き込み提案を
技術的な課題や専門知識が必要なケースでは、エンジニアを巻き込んで解決策を模索することも有効です。
場合によっては、エンジニアや営業担当をミーティングに同席させ、より専門的な視点からの提案を行うことで、顧客の信頼を獲得できます。
「トライアルの段階でもここまでサポートしてくれる」と感じてもらえれば、本契約へとつながる確率が大幅に高まります。
まとめ:「CSのサポートが一番良かった!」と言われるために
トライアル期間のCS対応は、顧客の契約に直結する重要なポイントです。プロアクティブなフォローと成功体験の提供が、顧客満足度を高める鍵となります。
「使い方サポート」ではなく、「顧客の成功」を意識することが、競合との差別化につながります。
トライアル期間のサポートを強化し、より多くの顧客に「CSサポートが一番良かった!」と言ってもらえるようにしてみませんか?

この記事を書いたライター
赤松志保
新卒で小売業界の販売員を経験し、お客様と向き合いながら信頼関係を築く接客力を培う。 その後、人材業界でマーケティング職としてスカウト集客や面談調整を担当し、求職者と企業をつなぐ起点づくりに従事。現在はアディッシュにてカスタマーサクセスを担当し、顧客オンボーディングを通じた課題解決と価値提供に挑戦している。