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アディッシュのCS並走支援で進めた、データ起点のアダプション改革【アセンド株式会社】

はじめに

アセンド株式会社は、運送事業者の配車、請求、労務、車両管理といった基幹業務を一元管理できるクラウド型管理ERP「ロジックス」を提供し、物流業界の基盤を支える存在として成長を続けています。

今回アディッシュでは、常駐支援に加え、オンボーディング以降の顧客タッチに課題感が見え始めたタイミングで、その要因整理と改善施策の検討を目的とした並走支援を実施。議論を進める中で、アダプションの体制や仕組みに課題がある点で合意し、具体的な打ち手として、活用フェーズを強化する「利用状況レポート」の整備に取り組むことになりました。

なお、アセンド株式会社様には、CS立ち上げ期における常駐支援の取り組みについて、以前にもインタビューを行っています。本記事では、その後CS組織がどのように次のフェーズへ進み、アダプション強化に取り組んだのかをお届けします。

▶︎ CS立ち上げ期の取り組みはこちら
 https://cs-studio.adish.co.jp/casestudy/ascend

本記事では、CS責任者の保坂 広樹様に、当時抱えていた課題や取り組みの背景、そして施策実施後の変化について伺いました。

アセンド株式会社_保坂様

アセンド株式会社 保坂 広樹様

物流産業の進化を支えるロジックスの使命


──CS責任者として、特に大切にされている価値提供の考え方を教えてください。

保坂様:当社は「物流の真価を開き、あらゆる産業を支える」をミッションに掲げています。単なるシステム提供ではなく、物流産業そのものの発展に寄与することを目指しています。ロジックスはその最初のプロダクトで、運送会社だけでは解決できない業務課題の基盤づくりから伴走する存在です。

CSとして重視しているのは、機能説明にとどまらず、業務理解を深めながら「使われ続ける状態」をつくることです。オンボーディング完了で業務の効率性が高まり、活用が広がることで経営改善まで価値を高めることができると考えています。特に物流はシステムだけでは解決できない領域が多く、お客様が抱える構造的な課題に深く入り込み、解決に導く力がCSには欠かせません。

 

属人オンボーディングと、動き出せないアダプション。強力な一手を探していた

──CSチームとしてどのような課題をお持ちでしたか。

保坂様:CSチームは5名体制で、お客様ごとに導入支援から一人の担当者が窓口となって伴走していきます。

オンボーディング部分で課題となっていたのは、属人化です。お客様ごとに物流に関わる業務は全く異なるので、単純な型化は難しいという前提があります。とはいえ、担当者の力技に頼っている部分が多いために、運用開始までの基本的なチェックポイントや所要時間が整理されていませんでした。その結果、後から論点が露呈することもあったのです。

そして今回、最も頭を悩ませていたのはアダプションの立ち上げでした。お客様へ活用のご提案をするために、何が必要でどう進めるべきか、そのためにはまず何から着手すると良いかといった判断が難しい状態だったのです。


そうした中で、シリーズBの資金調達時期にCSの並走支援のご提案をいただいたのは、本当に良いタイミングだったと思います。今回のプロジェクトを通じて、本質的に効果のある施策を見定め、実行していきたいという強い思いがありました。

現場理解に真摯に向き合う姿勢が、最初の一歩を後押しした

──アディッシュの支援内容についてどのように感じましたか。

保坂様:まずは状況を整理しながら壁打ちを続け、優先順位を探るところから始めていきました。もともと常駐でCSを支援してくださっていたこともあり、ロジックスのお客様の特徴や実務に対して一定の理解があったことは、スムーズな議論を後押ししてくれたと思います。

印象的だったのは、プロジェクト担当の方々の「実務をとことん理解しよう」というスタンスです。業務の流れを理解するための質問の一つひとつから、寄り添う姿勢と本気度が伝わってきました。
今回の場合、物流という深い産業構造を理解しないと議論が成り立ちません。その点、アディッシュさんからいただくアイディアは、実際の運用で無理なく落とし込めるものが多く、机上の空論で終わらない安心感がありました。

何からどう着手するかの議論は1ヶ月半に及びましたが、最終的には自然と「まずは活用フェーズの支援を変えよう」という方向で合意形成ができました。

最初の打ち手は「利用状況レポート」。対話の質を変え、価値提案の土台を作る

──具体的な取り組みの内容を教えていただけますか。

保坂様:最初の取り組みとして決まったのは、お客様との対話を支える「利用状況レポート」の作成でした。

もともと解約予兆の検知を目的としてデータを収集し、ヘルススコアへと転換したものは存在していました。しかし、利用ログをどう解釈すべきか、顧客支援の場面でどう活かせるかという整理は十分にできていなかったのです。

データはあるものの、活用できない。そんなもどかしい状態から脱却するためのご提案が、お客様へ提出する「利用状況レポート」でした。

──利用状況レポート作成が最優先と判断されたのはなぜでしょうか。

保坂様:お客様ごとに活用状況を客観的に示すレポートを確認していただくことで、定例の論点を自然と整理できますし、アダプションの起点にもなります。まずここを整えることで、更新や追加提案の場面でも説明しやすくなり、CSとしての働きかけ全体が前に進むイメージが持てました。資産性が高く、もっともレバレッジが効く施策だと確信したのです。

また、当初は小規模事業者様向けに、メールで送信するテックタッチ施策として検討していたアイディアでした。しかし、プロトタイプが完成した段階で「これはエンタープライズのお客様にも十分に活用できる」と感じ、適用範囲と運用方法を見直しました。アディッシュさんには、指標の整理から構成、運用方法まで細かく設計いただき、現場での活用イメージを明確に持てる、非常に完成度の高いレポートに仕上がったと感じています。

レポートが変えたのは「対話」ではなく「意思決定」の質。クロスセルの実現にもつながった

──今後の展望やアディッシュへ期待することについてお聞かせください。取り組み始めてから1ヶ月で、どんな効果が出ましたか。

保坂様:レポートをもとに4社のお客様とお話したのですが、そのうち1社でクロスセルのご発注をいただきました。レポートを見ることで、お客様の社内でロジックスがどの程度活用されているかは一目瞭然です。活用拡張を検討する際の判断材料として、根拠を伝えられる良い資料になっていると感じています。

──素晴らしいですね。定性的な変化についてもお聞かせください。

保坂様:最も大きかったのは「意思決定の質が上がった」ことです。

社内の利用状況が数字で可視化されることで、雑談的なやり取りに時間が取られず、建設的な議論ができるようになりました。例えば、他と比べて利用頻度が低い拠点へ改めて立ち上げ支援に伺うといった、アイディアをお客様と検討できるようになったのは、大きな進歩です。

さらに、導入に反対していたと思われていた方が、実は最も活用していることが判明したケースもありました。これにより顧客社内の誤解が解け、関係性が改善したと聞いています。データで「事実」を示せることが、ここまで大きな効果を生むとは、正直驚きました。

運用面では、レポート作成の社内ワークフローを整え、2営業日で作成できる体制を整備しました。今後はチームの中でアダプション活動に比重を置くメンバーを決め、メール送付やフォローを担う予定で、チーム全体としても非常に動きやすくなっています。

もはや何の仕組みもない状態で、アダプションのあり方を考えていた頃とは全く違う状態ですね。レポートを起点にお客様とコミュニケーションを取り、改善の方針を立てられる資産性の高さにとても満足しています。

データを軸にしたアダプション強化へ。CSチームの次の一歩

──CSとして今後の展望をお聞かせください。

保坂様:今回の取り組みは、アダプションを本格化させるための大きな一歩でした。今後は四半期ごとの変化を追えるよう、レポートをさらに改善していきます。特に拠点数の多いエンタープライズのお客様に対して、一貫した価値提供ができる体制を強化していきます。

利用データは、理想のCS活動を実現するために欠かせない要素です。可視化された情報をもとに必要な手を打ち続けることで、経営改善につながる支援を行っていきたいと考えています。


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