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カスタマーマーケティングとは?カスタマーサクセスとの関係性や効果を解説

近年、既存顧客に対するマーケティング戦略の「カスタマーマーケティング」に取り組む企業が増えています。カスタマーマーケティングによって顧客のロイヤルティを高め、解約率を改善したりアップセル・クロスセルを創出したりすることが可能です。

そこで本記事では、カスタマーマーケティングとはどのようなものかを解説し、関係の深いカスタマーサクセスとの違いや関係性について触れます。カスタマーマーケティングの興味のある方はぜひお役立てください。

カスタマーマーケティングとは?

カスタマーマーケティングとは、すでに取引のある既存顧客を対象としたマーケティング戦略です。

一般的に「マーケティング」と言うと、まだ取引のない見込み顧客(リード)を対象にしてアプローチをして新規顧客を獲得することを指しますが、カスタマーマーケティングは既存顧客を対象とするため、従来のマーケティングとは目的や施策が異なります。

具体的には、既存顧客を対象とするカスタマーマーケティングでは、顧客のロイヤルティを向上させ、顧客のオンボーディングを促進したり、クロスセル・アップセルを創出したりすることが目的です。

とは言え、カスタマーマーケティングは最近になって言語化されているものの、以前から既存顧客に対する取り組みは一般的に行われてきました。そのため「カスタマーマーケティングを新たに始める」というよりは、「従来の取り組みを、カスタマーマーケティングとして強化する」と捉えると良いでしょう。

カスタマーマーケティングが注目される背景

今までも、既存顧客のロイヤルティ向上のための取り組みは行われてきましたが、なぜ最近になって「カスタマーマーケティング」として注目されるようになってきたのでしょうか。その理由として、主に以下の2点が挙げられます。

サブスクリプションビジネスの市場が拡大している

近年、サブスクリプションモデルのビジネスが盛んになっています。矢野経済研究所の調査によると、2021年のサブスクリプションサービス市場の実績値は9,615億5,000万円で前年比10.6%増となり、その後も上昇傾向で推移していくと予想しています。

(出典:サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)|株式会社矢野経済研究所

サブスクリプションモデルのビジネスでは、いかに顧客の解約を食い止めて継続して利用してもらうかが事業成長のカギを握ります。継続利用を促進するために、カスタマーマーケティングによる既存顧客のフォローを強化することが重要なのです。

既存顧客維持のコストは新規顧客獲得より低い

事業成長には新規顧客の獲得が必要ですが、それと同じくらい既存顧客の維持も欠かせません。

「1:5の法則」として広く知られている通り、新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストの5倍もかかると言われており、新規顧客の獲得には膨大なコストがかかります。そのため、新規顧客獲得のみに注力すると、利益率が低くなり収益が安定しない可能性があるでしょう。

よって、既存顧客の維持に力を入れることで、収益が安定して事業の成長を図れるのです。

カスタマーマーケティングとカスタマーサクセスの違い・関係

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カスタマーマーケティングと混同されやすいのが「カスタマーサクセス」です。ここでは、カスタマーマーケティングとカスタマーサクセスの違いや関係性について述べていきます。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは「顧客の成功」と直訳される通り、自社サービスを導入した顧客を成功へと導くために伴走する取り組みや部門を指します。自社サービスを活用することで、顧客の課題を解決したり、成果が高まったりすると、顧客は自社サービスに対してのロイヤルティが向上します。その結果、解約の防止やアップセル・クロスセルにつなげることができるでしょう。

カスタマーサポートやカスタマーサービスのような顧客からの問い合わせに受動的に対応する部門とは異なり、顧客の利用データを分析したり課題をヒアリングしたりして、能動的に次のアクションを起こす部門です。

カスタマーサクセスの3つのタッチモデル

カスタマーサクセスを理解するうえで、3つのタッチモデルは知っておきたいポイントです。

カスタマーサクセスは、顧客のLTVによって3つのグループに分け、異なる方法でアプローチを取ります。具体的には、以下のように分類されます。

ハイタッチ 大口契約や大企業などLTVが高い顧客層 1on1で密なコミュニケーションを取り、時には対面ミーティングを行いながらコンサルタント的に取り組む
ロータッチ ハイタッチよりLTVが低い顧客層 勉強会やウェビナーなどの集団的なアプローチや、電話やメールによる個別対応
テックタッチ LTVが低い顧客層 チュートリアルやFAQページの提供、チャットボットによる対応など、テクノロジーを活用して対応

このように3つのタッチモデルに分けることで、カスタマーサクセスは優先すべき顧客に対応でき、効率的にすべての顧客に対応できます。

カスタマーマーケティングとカスタマーサクセスの関係性

カスタマーマーケティングはカスタマーサクセスと別物ではなく、カスタマーサクセスの一部というイメージです。具体的には、カスタマーサクセスのテックタッチの領域、およびロータッチの一部などの、マーケティング施策部分を担当するのがカスタマーマーケティングと言えます。

また、最近では上記の3つのタッチモデルに追加して、すべてのタッチモデルを横断する「コミュニティタッチ」も登場しています。

コミュニティタッチとは、顧客同士がコミュニケーションを取れるコミュニティを運営することで、顧客の課題解決やロイヤルティ向上を実現するタッチモデルです。

このコミュニティタッチも、カスタマーマーケティングで対応する領域となっています。

カスタマーマーケティングに取り組むメリット

カスタマーマーケティングに取り組むことで、企業は以下のようなメリットを得られます。

  • 既存顧客のリテンション(維持)
  • 口コミ・紹介による新規顧客獲得
  • 顧客獲得コストの最適化
  • VOCの収集


一つずつ詳しく見ていきましょう。

既存顧客のリテンション(維持)

カスタマーマーケティングによって顧客のロイヤルティが向上すると、顧客は自社サービスに対して「なくてはならないもの」という意識になります。そのため、既存顧客の解約を防いでリテンション(維持)することができ、売上の安定につながるでしょう。

口コミ・紹介による新規顧客獲得

カスタマーマーケティングによってロイヤルティが高まった顧客は「このサービスを勧めたい」「みんなに使ってほしい」という気持ちになり、SNSで口コミを発信したり、家族や友人などに紹介してくれたりするでしょう。今まで自社サービスを認知していなかった層にも口コミを発信してくれるため、新たな顧客獲得のチャンスが広がります。

顧客は自主的に口コミを発信したり紹介してくれたりするため、企業は宣伝費や広告費をかけることなく新規顧客を獲得できる点もメリットと言えるでしょう。

顧客獲得コストの最適化

前述のように、新規顧客の獲得には多大なコストがかかるため、新規顧客獲得のための施策を複数展開するとそれだけコストも膨れ上がるでしょう。

しかし、カスタマーマーケティングによって、バランスよく「既存顧客の維持」と「新規顧客の獲得」が両立できれば、新規顧客獲得にかかっていたコストを削減できます。コストを最適化でき、収益率が高まるでしょう。

VOCの収集

カスタマーマーケティングを通じて、VOCの収集も可能です。

VOCとは「Voice Of Customer」の略称で、日本語では「顧客の声」と直訳できるように、自社サービスに対する顧客の不満・要望・感想などの総称です。VOCの収集により、自社サービスのブラッシュアップや新サービスの開発などに活用できます。

顧客にアンケートを取ったり、コミュニティで意見を求めたりすることで、自社にとって価値のあるVOCを多く収集できるでしょう。

カスタマーマーケティングの施策例

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カスタマーマーケティングには、具体的にどのような施策があるのでしょうか。

  • オンボーディングマーケティング
  • リテンションマーケティング
  • コミュニティマーケティング


上記3つの施策について、例を交えながら紹介します。

オンボーディングマーケティング

自社サービスを導入したばかりの顧客に対し、サービスを使いこなして自走できる状態にサポートすることがオンボーディングです。オンボーディングの段階で顧客が価値を感じられなければ、早期の解約につながりかねません。そのため、カスタマーマーケティングによって適切なサポートを行い、顧客の自走を支援することが必要です。

オンボーディングマーケティングには、例として主に以下の取り組みがあります。

  • マニュアルの作成
  • チュートリアルの作成
  • FAQページの作成
  • チャットボットによる問い合わせ対応
  • 導入支援セミナーや勉強会の開催


これらの取り組みを通じ、顧客がサービスについて理解して使いこなせる状態になるよう導きます。

リテンションマーケティング

オンボーディングが成功したら、顧客が継続的にサービスを活用して成果を高めていき、解約せずに使い続けてくれるようリテンション(維持)することも重要です。リテンションマーケティングには、以下のような取り組みがあります。

  • 活用事例の発信
  • 契約更新のタイミングに合わせたキャンペーンの配信
  • クレーム・要望への対応
  • セミナー・ウェビナーの開催
  • アンケートの実施


リテンションのためには、顧客に対する情報発信だけでなく、顧客の声を吸い上げる工夫も必要です。

コミュニティマーケティング

顧客同士のコミュニケーションを活性化したり、顧客同士で質問・回答をしたりすることで、ロイヤルティを高められるコミュニティ。コミュニティ運営も、カスタマーマーケティングの重要な取り組みです。

  • オンラインコミュニティの開設
  • コミュニケーションの促進
  • 顧客との共同開発
  • 新機能や新サービスのモニター募集
  • リアルイベントの企画・開催


このような取り組みを通じてコミュニティを活性化させ、ロイヤルティを向上させましょう。

最後に

既存顧客に対するカスタマーマーケティングは、顧客のロイヤルティを高めてリテンションや新規顧客獲得などにつながる重要な施策です。特にサブスクリプションモデルのビジネスにおいては、適切なカスタマーマーケティングによって解約を防ぐことが重要となります。

カスタマーマーケティングには、オンボーディングマーケティングやリテンションマーケティング、コミュニティマーケティングなど、さまざまな取り組みがあります。自社の顧客層やサービスの特徴などから、適した施策を展開しましょう。

当社、アディッシュ株式会社は、今までに培ったカスタマーサクセスの実績やノウハウから、適切なカスタマーマーケティング支援も可能です。カスタマーマーケティングを始めたい方や、取り組んでいても成果が出ていない方は、ぜひアディッシュまでご相談ください。







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