Zendesk AIのカスタマーサポート活用例。温度感の高い問合せを優先対応する方法とは

境野 高義
2025.07.03

多くの問い合わせに対応する際、「温度感の高い問い合わせ」を優先して対応することが重要になる場面は少なくありません。
これまでは、各問い合わせを一つ一つ人間が判断していましたが、Zendesk AIの機能を活用することで、自動で温度感を判定できるようになります。
この記事では、Zendesk AIでのお問い合わせ対応に活用できる例として、インテリジェントトリアージの機能を使用した一例を紹介します。
Zendesk AI とは
Zendesk AIとはZendesk社が提供する、Zendeskのプラットフォーム上で利用可能なAI機能です。
以下のような活用が可能です。
- AIを活用したエージェントの能力向上と効率化
- AIを使用してチケットをルーティングし、より迅速なサービスを提供する
- AIを活用してナレッジベースを強化し、回答を提供する
- AIを活用して24時間365日のサービスを提供し、よりスマートなAIエージェントを構築する
Zendesk AIのインテリジェントトリアージとは
インテリジェントトリアージは、Zendesk AIが提供する機能の一つです。公式ヘルプによると
インテリジェントトリアージ機能は、人工知能(AI)を使用して、エージェントや管理者の助けを借りずに、チケット対応に役立つ情報をSupportやメッセージングのチケットに追加するものです。具体的には、インテリジェントトリアージで、新しいチケットの目的と言語、カスタマーのセンチメントを予測します。
とのことです。
つまり問い合わせ内容の文章をAIが分析し、ネガティブな感情の度合いを判断することで、優先度の高い問い合わせとして分類できます。それにより優先度に応じて、お問い合わせ内容の確認を先にしたり、返信対応をしていく運用が可能となります。
今回は「カスタマーのセンチメント」を利用します。これは「カスタマーの感情」が Negative(否定的) か Pocisitve(肯定的) かがわかります。ここでは「温度感が高い」を「センチメントがNegativeである」と定義します。
Zendesk AIで温度感を判断する設定方法
「高度なAI」を有効化
「高度なAI」アドオンを購入した上で有効化します。
参考:
Zendeskの高度なAIについて
「高度なAI」アドオンの購入
参考:「高度なAI」の価格
Zendeskの2025年1月時点での料金情報によると、Advanced AI(高度なAI)の利用料金は、$50/エージェント1人の月額(年払い)でした。
センチメント判断機能の設定
管理センター > オブジェクトとルール > ビジネスルール > インテリジェントトリアージ から設定します。「一般設定」の画面が下記です。
「センチメントを検知する」にチェックをいれます。
「チャネル」は環境に合わせて設定します。今回はメールでの問合せを対象にしています。
「センチメントのリスト」の画面が下記です。
5つのセンチメントが用意されています。現時点では、センチメントの種類を変更することはできません。
アクションにある「タグを表示」を選択すると下記のような表示になります。
これらのタグをAIが自動でチケットに付与してくれます。
Zendesk AIで温度感の高い問合せを検知する
例として「社内の情報システム部門への問合せ」を仮定して、あえて強い文面で温度感の高い問い合わせをしてみました。
タグとして sentiment_negative と sentiment_confidence_high が付与されています。
左下の Sentiment と Sentiment confidence の項目にも値が入っています。
これはお問い合わせの内容をAIが判断し、Sentimentの分類と、その分類の確からしさを判定しています。
この画面でSentimentを手動で変更することも可能です。
ここまでで、お問い合わせに対してSentimentが自動で設定されることがわかりました。
センチメント判断を活用したビューを作成する
Sentiment が Negative あるいは Very Negative の問合せだけを表示させるビューをつくることで「このビューにあるものを優先して対応する」ことが容易になります。
「管理センター>ワークスペース>ビュー」の画面からビューを作成します。
※ 条件のタグのところで「少なくとも1つを含む」として「sentiment_negative」と「sentiment_very_negative」を選択したかったのですが「sentiment_very_negative」が選択肢に表示されませんでした。現時点で sentiment_negativeタグがついたチケットは存在しているのですが、sentiment_very_negative のチケットが存在していないからかもしれません。
まとめ
Zendesk AIのインテリジェントトリアージを活用すれば、温度感の高い問い合わせを自動で検知し、対応の優先順位を明確にできます。運用に取り入れることで、エージェントの負担を軽減し、顧客満足度の向上につなげることが可能です。
CS STUDIO を運営するアディッシュでは、カスタマーサポート、カスタマーサクセスでのZendeskの活用方法の支援、運営の代行、Zendesk AI活用の支援をしています。お気軽にご相談ください。

この記事を書いたライター
境野 高義
QAエンジニア、開発エンジニアを経て、業務改善・自動化を得意としています。著書に「ケーススタディでしっかり身につく! Google Apps Script超入門」(https://www.amazon.co.jp/dp/4297126273)がある。エンジニア視点でZendeskの活用を支援しています。