Zendesk Copilotとは?機能一覧と使用例

境野 高義
2025.07.04

Zendesk AI はAI活用により、利用中のZendeskの利用効果を最大化する手段として有効です。しかしながら、Zendeskは機能やプランが多かったり、Zendesk AIについてはまだ情報が少なくて何から調べれば良いかが分からない方も多いのではないでしょうか。
アディッシュでは、カスタマーサポートツールとしてZendeskを活用しています。ZendeskのAI機能を実際に試し、その結果をもとに高度なAIの主な機能一覧を作成しました。
Zendesk AIの導入を検討している方や、まずはZendesk AIの活用方法を把握したい方にとって、本記事が参考になれば幸いです。
Zendesk Copilotとは
Zendesk AIとCopilotの使い方 の公式ヘルプによると
Zendesk AIは、Zendeskプラットフォームのインテリジェンスレイヤーです。膨大なカスタマーサービスデータを基に構築されたZendesk AIは、よりスマートな会話やAIエージェントから、エージェントの生産性向上ツールや管理者向けの新しいインサイトと即座のアクションまで、サービス体験のあらゆる側面を強化します。
とあり、下記のようなことが可能になります。
- AIを活用したエージェントの能力向上と効率化
- AIを使用してチケットをルーティングし、より迅速なサービスを提供する
- AIを活用してナレッジベースを強化し、回答を提供する
- AIを活用して24時間365日のサービスを提供し、よりスマートなAIエージェントを構築する
また、以下の点に留意する必要があります。
・Zendesk AI:スタンドアロン製品とSuiteプランに含まれ、プランのレベルによって機能が異なります。
・Zendesk Copilot:SuiteおよびSupport Professional以上のプランのアドオンとして提供されます。
一般的に「ZendeskのAI機能」とひとくくりにされがちですが、実際には「Zendesk AI」と「Zendesk Copilot」アドオンの違いを理解した上で導入を検討する必要があります。
本記事では「Zendesk Copilot」アドオンの機能について詳しく解説します。
既存の環境でZendesk AI を有効にするには
既にZendeskを利用している場合、「Zendesk Copilot」アドオンを購入し、有効化することで利用できます。ただし、Suite Professional以上のプランが必要です。
購入方法はこちら Copilotアドオンの購入
プランと料金についてはこちら プランと料金
を参照ください。
Copilotの肝となるインテリジェントトリアージ
Copilotの肝となるのは「インテリジェントトリアージ」機能です。(インテリジェントトリアージについて)
この機能では、以下の3点をAIが自動で検出します。
- チケットの目的 (※1)
- 言語
- 印象(メッセージがポジティブかネガティブかの判定)
※1 チケットの目的とは、「エンドユーザーが問い合わせを行った理由」を指します。どのような問題を解決したいのかについて、AIが自動的に判定し、あらかじめ用意された設定値のいずれかに分類されます。
詳細は以下の手順で確認できます。
「目的」について見てみます。
管理センター > AI > AIエージェント > インテリジェントトリアージ に遷移します。
下記のような画面になります。
例えば「請求」の項目を開いてみると下記のように多くの項目が出てきます。
この項目一つ一つが「目的」となります。
また、「目的を作成」から「カスタム目的」を作成できます。
続いて「センチメント」について見てみます。
管理センター > AI > AIエージェント > センチメント に遷移します。
上記のように、5段階で判断されます。
インテリジェントトリアージの要件
インテリジェントトリアージを有効にするためには、以下の要件を満たす必要があります。
カスタマーの目的、言語、センチメントを自動的に検出 のページに「インテリジェントトリアージの使用に関する要件」が記載されています。
特に「チケットボリューム」の要件が重要となります。インテリジェントトリアージを有効にするためには、1,000件以上のチケットが必要です。
Copilotの機能一覧
下記がCopilotの主な機能一覧です。(Zendesk AIとCopilotの使い方 にある表を元に作成)
機能 |
概要 |
カスタマーからのリクエストに、目的、言語、センチメントに関するAI予測を適用できます。そして、これらの予測に基づいて、カスタマイズされた自動応答を送信するトリガを作成することができます。 |
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大規模言語モデル(LLM)活用して、カスタマーから届いたチケットの内容を理解し、問題の解決策を提案します。 |
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生成AIを使用してチケットへの最初の返信を提案します。AI生成の提案を使ってチケットに対応することで、時間を節約し、生産性を高めることができます。 |
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コンテキストパネルの「ナレッジベース」セクション内でエージェントが実行した検索に対してAI生成された回答を提供します。 |
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チケットに追加されたパブリックコメントを要約します。 |
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予測される目的、言語、およびセンチメントが表示されます。 |
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チケットコメントの文面を洗練化するのに役立ちます。 |
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現在作業中のチケットと統合可能なチケットが特定されます。チケットを統合すれば、同じ問題を何度も解決する必要がなくなり、作業効率が向上します。 |
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チケットの内容(目的)、使用言語、カスタマーのメッセージがポジティブかネガティブか(印象)をAIが自動的に検出する機能です。 |
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管理者のためのマクロ提案 |
多くのエージェントが既存のマクロを使用せずに繰り返し同じようなコメントをしている場合、今後は迅速に一貫性のある応答ができるよう、新しい共有マクロを作成するための提案を得ることができます。 |
インテリジェントトリアージの結果を条件にしてトリガを設定することにより、オートリプライおよびパブリックコメントと社内メモをチケットに自動的に追加するトリガを作成できます。 |
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ヘルプセンターに掲載するコンテンツの長文化および洗練化が可能です。 |
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各コールの終了後にコール概要がチケット内に自動的に生成され、エージェントの時間を節約し、生産性を向上させることができます。 |
試してみた機能と活用例3選
実際に試した活用例を3つ紹介します。
インテリジェントトリアージ
顧客対応の優先順位は、どのように決定していますか。Zendesk AIの「インテリジェントトリアージ」を活用すると、AIが問い合わせの緊急度を自動で判定し、優先度の高いものから対応することが可能になります。具体的な設定手順や活用事例について詳しくはこちらの記事で解説します。カスタマーサポートの効率化を検討されている方は、ご確認ください。
参考記事:Zendesk AIのカスタマーサポート活用例。温度感の高い問合せを優先対応する方法とは
オートアシスト機能
Zendesk AIの「オートアシスト」では、問い合わせ内容に応じた返信文をAIが自動生成します。これにより、エージェントの負担を軽減しながら、迅速かつ的確な顧客対応が可能になります。設定方法や活用のポイント、レポーティングによる効果測定について詳しくはこちらの記事で解説します。カスタマーサポートの効率化を検討されている方は、下記記事をご確認ください。
参考記事:Zendesk Copilotのオートアシスト活用。生成AIで返信文を自動作成する設定手順は?
クイック回答
カスタマーサポートの対応時間を短縮したいと考えていませんか。Zendesk AIの「クイック回答」を活用すると、ナレッジを即座に検索・引用し、エージェントの業務負担を大幅に削減できます。
まとめ
Zendesk Copilot は、カスタマーサポートの生産性を向上させる強力なツールです。本記事では、その中でも特に実用性の高い 「インテリジェントトリアージ」「オートアシスト」「クイック回答」 の3つを取り上げ、実際の活用方法や設定手順を紹介しました。これらの機能を活用することで、よりスマートで迅速なカスタマーサポート運営が実現できます。
Zendesk AIの導入を検討している方は、ぜひ各機能の詳細記事もご覧ください。

この記事を書いたライター
境野 高義
QAエンジニア、開発エンジニアを経て、業務改善・自動化を得意としています。著書に「ケーススタディでしっかり身につく! Google Apps Script超入門」(https://www.amazon.co.jp/dp/4297126273)がある。エンジニア視点でZendeskの活用を支援しています。