ZendeskのAIでサポート業務効率化『クイック回答』の実力を試してみた
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平内大樹
2025.07.16

Zendeskの高度なAI機能『クイック回答』を活用すると、カスタマーサポートの対応スピード向上や業務負担の軽減が期待できます。
この記事では、Zendeskの高度なAI機能『クイック回答』の導入手順やメリット、検証結果をご紹介します。
高度なAIについてはZendesk Copilotとは?機能一覧と使用例をご確認ください。
Zendesk AIによるクイック回答とは
サポート対応の効率化において、「エージェントが回答を探す時間」 は大きな課題の一つです。
クイック回答とは、Zendeskの高度なAI機能の一つで、エージェントがナレッジベースを検索しなくても、最適な回答を自動で生成してくれる機能になります。
具体的には、エージェントがコンテキストパネル(サポート画面の右側にある補助ツール)内の検索ボックスに質問を入力すると、AIが以下の情報をもとに最適な回答を提示します。
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- ナレッジベースの記事
- コミュニティ投稿
- 外部コンテンツ(Enterpriseプランでは「横串検索」により対応)
参照:エージェントワークスペースのクイック回答について
これにより、エージェントはエンドユーザーからの問い合わせに対し、ナレッジを探す手間や返信文を作成する時間を大幅に短縮できます。
結果として、サポート対応のスピード向上や業務効率化につながります。
クイック回答を有効化するには
Zendeskのクイック回答は、以下の手順で有効化することができます。
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- 管理センターにアクセス
- 左メニューから[ワークスペース]>[エージェントツール]>[コンテキストパネル]を開く
- クイック回答の項目にある「検索結果の前にクイック回答を表示する」にチェックを入れ、[保存]をする
詳細な手順は、エージェントワークスペースのクイック回答の有効化をご確認ください。
導入時に押さえるべき3つのポイント
Zendeskのクイック回答を導入するだけでは、必ずしも最適な回答が得られるとは限りません。
AIの精度を高め、より効果的に活用するために、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
1.ナレッジベース(Guideの記事)を充実させる
クイック回答は、Guideに登録された記事をもとにAIが回答を生成します。そのため、ナレッジの内容が不足していると、適切な回答が得られない可能性があります。
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- 最適な記事を作成するコツ
- よくある質問(FAQ)を整理し、ナレッジベースに登録
- 短すぎる記事ではなく、適切な文脈が伝わる内容にする
- 記事タイトルや見出しに「ユーザーが検索しそうなキーワード」を入れる
- 例:返品の手続き方法
- 最適な記事を作成するコツ
2.単語ではなく、文章で検索を行う
クイック回答は、入力された質問やフレーズの意味をAIが理解して回答を生成します。
そのため、単語だけで検索すると、意図した回答が出にくいことがあります。
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- 検索時のコツ
- 「○○とは」のような具体的な質問を入力する
- 「返品」「支払い方法」など単語だけでなく、文章で検索する
- ×悪い例:「返品」「支払い方法」
- ◯良い例:「返品の手続き方法を知りたい」「請求書を発行する方法を教えて」
- 検索時のコツ
3.フィードバックを活用して精度を向上させる
クイック回答の品質は、継続的なフィードバックによって改善できます。
Zendeskでは、AIの回答に対して「適切だったかどうか」を評価する機能が用意されています。
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- フィードバック活用のポイント
- エージェントがAIの回答を評価し、不適切な回答を見直す
- 適切でない回答が出た場合、ナレッジ記事を更新する
- 特定の問い合わせが多い場合、新しいナレッジ記事を作成する
- フィードバック活用のポイント
クイック回答で返信文を作成する(検証結果)
実際に、Zendeskのクイック回答を使って問い合わせの返信文を作成できるのか検証しました。
今回は、社内のセキュリティに関する問い合わせ対応を想定し、以下のケースを試します。
検証ケース:社員から「Pマークの登録番号を教えて欲しい」という問い合わせが届いた
クイック回答を使った検索の流れ
- チケットの右側のメニューから「ナレッジベース」を選択
- 「検索ボタン」をクリック
- 検索バーに「Pマークの登録番号を教えてほしい。」と入力
- Enterまたは入力内容が表示されたボタンをクリックすると、高度なAIが回答を検索
検索を実行すると、Zendeskの高度なAIがナレッジベースの記事をもとに自動で回答を作成します。
生成された回答は、Goodボタンの左にある[会話にコピー]をクリックするだけで、そのままパブリック返信に反映させることができます。
業務効率化のためのクイック回答の活用シーン
Zendeskの高度なAIを活用した「クイック回答」を導入することで、カスタマーサポートやテクニカルサポートの業務効率化に期待ができます。
エージェントの負担を軽減しながら、迅速かつ統一された対応を実現することで、顧客満足度の向上や対応コストの削減などにつながる可能性があります。
製品・サービスに関するカスタマーサポートの自動化
よくある質問
- 「注文のキャンセル方法を教えてください」
- 「返品・交換の手続きについて知りたい」
- 「請求書の発行は可能ですか」
従来、エージェントがナレッジベースを検索して回答していた定型的な問い合わせに対し、Zendeskの高度なAIがリアルタイムで適切な回答を提示します。
これにより、以下のような効果が期待できます。
- 対応時間の削減
- 回答のばらつきを防ぎ、統一された情報を提供
ユーザーからの技術的な質問に対応するテクニカルサポートの自動化
よくある質問
- 「ソフトウェアのインストール方法を教えてほしい」
- 「APIの利用方法について詳しく知りたい」
- 「ログインエラーが発生したときの対処法を知りたい」
Zendeskの高度なAIは、ナレッジベースにある技術情報をもとに、最適な回答を生成 します。
そのため、複雑な技術的な問い合わせでも、エンジニアや専門チームに依存せず、スムーズに対応することができます。
まとめ
Zendeskのクイック回答は、問い合わせ対応のスピードを向上させ、エージェントの業務負担を軽減する有効なツールです。
本記事では、クイック回答の機能から、実際に検証した結果、効果的な活用シーンまで詳しく解説しました。
クイック回答を活用すれば、問い合わせ対応の質とスピードを同時に向上させることができます。
「エージェントの負担を軽減しながら、顧客や従業員への対応をよりスムーズにしたい」と考えている企業にとって、クイック回答は強力な武器になります。
CS STUDIO を運営するアディッシュでは、カスタマーサポート、カスタマーサクセスでのZendeskの活用方法の支援、運営の代行、Zendesk AI活用の支援をしています。お気軽にご相談ください。
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この記事を書いたライター
平内大樹
情シス業務の傍ら、社内のZendeskチームの立ち上げ当初から関わり、その知見を活かして、より良いシステム活用をエンジニア視点で探求しています。