顧客満足度アンケート調査とは?リサーチや分析方法まで徹底解説!
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武田龍哉
2025.06.11

顧客満足度の向上に悩んでいませんか?
今回は、顧客の声を正確に把握し、商品やサービスの改善に活かすための「顧客満足度アンケート調査」について解説します。
顧客満足度の目的や設計手順、分析方法までを網羅し、初心者にもわかりやすくまとめています。調査を通じてファンを増やし、リピーターを育てたい方はご覧ください。
顧客満足度アンケート調査の基本概念
まずは、顧客満足度アンケートの基本概念を説明します。
顧客満足度アンケートとは
顧客満足度アンケート(CS調査:Customer Satisfaction Survey)とは、企業が提供する商品やサービスに対して、顧客がどの程度満足しているかを把握するための調査です。
アンケートやインタビューなどの手法を用いて顧客の声を収集し、期待したいことや不満なことを理解します。
顧客の声を収集することで、商品やサービスの改善点を明らかにでき、顧客満足度の向上につながる施策が打てるようになります。
顧客満足度アンケートの重要性
顧客満足度アンケートは、自社の取り組みが顧客にどのように受け入れられているかを把握するために活用するものです。
満足度が高い場合は、顧客の維持率(リテンション)や顧客生涯価値(LTV)が高まりやすく、良い評価が得られる傾向があります。満足度が低い場合でも原因を明らかにし、データに裏付けられたインサイトを得ることで、製品やサービスの改善につなげられます。
つまり、顧客ニーズの変化を早期に察知できたり、他社との差別化を図ったりする際に役立つものです。企業の持続的な成長に欠かせないものであるため、多くの企業で取り組まれています。関連記事:『LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!』
顧客満足度アンケート調査の目的
顧客満足度アンケートの目的は5つあります。
顧客ニーズを把握する
顧客満足度アンケートを通じて、顧客が本当に求めているものを把握できるようになります。
顧客ニーズを把握するために、企業側で仮説を立てておきましょう。仮説を立てることで、企業が想定する価値と顧客が感じている価値とのギャップに気付くことができます。
例えば、企業側は豊富な機能が製品の魅力だと考えていたものの、顧客から「操作しやすさ」「サポート体制」が評価されていたというケースも珍しくありません。
このような認識ズレを発見することで、顧客の声を反映した商品開発やサービス提供ができるようになりブランドロイヤルティの強化を図れるようになります。
競合他社と比較する
自社と競合他社の満足度を比較すれば、市場における立ち位置や商品・サービスの強みと弱みを客観的に把握することができます。自社の評価のみでは気づきにくい改善点も、競合他社と比較することで浮き彫りになります。
競合他社と比較したい場合は、業界全体の調査データを活用するのがおすすめです。より詳細に比較したい場合は調査会社にパネル調査を依頼してみるとよいでしょう。
競合他社と比較することで「どこで差をつけられているのか」のインサイトを得ることができ改善できるようになります。
商品やサービスを改善する
アンケートの回答は、商品やサービスの改善に直結する貴重なヒントを含んでいます。顧客がどの点に満足しているか、逆にどの点に課題を感じているかを把握することで、改善の優先順位や方向性が明確になります。
不満点を改善するだけでなく、評価されている部分をさらに強化することで、差別化や競争力強化につなげることも可能です。
顧客の声でサービス改善することで、顧客ロイヤルティやブランド価値の向上に寄与します。
顧客ロイヤリティを向上する
顧客満足度アンケートを通じて、顧客の声に耳を傾けて改善する姿勢を示すことで顧客とのエンゲージメントを深められます。
信頼関係を深めることで、ブランドのファンにさせることができ、商品を推奨してもらえることがメリットです。
顧客が親しい人に商品を薦めたり、SNSで高い評価を付けてくれたりするため、新規顧客の獲得にもつながる強力な波及効果が見込めます。
関連記事:『顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティを高める施策や成功事例を紹介!』
顧客満足度アンケート調査を行う手順・流れ
顧客満足度アンケートは9SETPで取り組みます。
目的を決めて仮説を立てる
何のために顧客満足度アンケートを行うのか、仮説としてどんなことが考えられるか、適切な調査対象者や質問項目を決めやすくなりインサイトの質を高められます。そのため、具体的に何を知りたいのかを明文化しましょう。
たとえば、「新規ユーザーの登録数が伸び悩んでいる」という課題がある場合、「広告の訴求内容がターゲット層に響いていないのではないか」「登録フローにおいて離脱ポイントが存在するのではないか」といった仮説を立てていきます。
顧客体験の一連の流れの中で、どのタイミングや接点が高く評価されているのか、またどこで不満が生じているのかを把握するうえで、仮説を立てる際の有力な手がかりとなります。
調査対象を決める
顧客満足度アンケートは「誰に対してアンケートを行うか」という調査対象が極めて重要です。商品やサービスの利用者全体を対象にするのか、特定の利用者に絞り込むのかを判断します。
例えば、初回に満足度が低下する原因を明らかにしたい場合は、直近でサービスを利用した顧客を対象に調査を行う必要があります。
調査対象により得られる情報は変わるため慎重に決めましょう。
調査時期を決める
顧客満足度アンケートは、実施する時期によって得られる回答に差が出る場合があります。そのため、商品・サービスを使用する時期に合わせて調査を行い、意見を収集するようにしましょう。
例えば、オンライン学習サービスに関する調査を行う場合、新学期シーズン(4月や9月)や試験前の時期に実施することで、有益な情報が得やすくなります。
一方で夏季休暇などに調査を行うと、有益な情報が得にくくなります。そのため、調査テーマに適したタイミングを選ぶようにしましょう。
調査方法を決める
顧客満足度調査を行う際は、どのような方法でアンケートを実施するか検討する必要があります。ざまざまな調査方法があり、メリット・デメリットが異なります。
Webアンケート
Webアンケートは、Webサイトやメールを通じて実施する調査方法です。短期間で実施でき、回答の集計がしやすいため手間を抑えられます。一方で、インターネットを利用しない顧客にはアプローチが難しいという欠点もあります。
対面インタビュー
対面インタビューは、顧客と会って意見を聞く調査方法です。グループインタビューとデプスインタビューに分類でき、それぞれ特徴と適した活用シーンが異なります。
(1) グループインタビュー
複数の顧客にインタビューを行い、参加者同士の意見交換や議論を通じて、さまざまな視点を引き出します。多様な意見を一度に収集できますが、一人ひとりの意見は深堀しにくくなります。
(2) デプスインタビュー
顧客一人ひとりに話を聞く形式で、消費行動の背景や心理を深く理解するのに適しています。顧客の本音やインサイトが得られやすいですが、労力がかかります。
電話調査
電話調査は、調査員が顧客に電話をかけて質問を行う方法です。対話形式のため、回答率が高く、その場で補足説明を加えながら複雑な質問もできます。
一方で、電話調査は対象者が不在で回答が得られにくいという欠点もあります。また、相手にとって予期せぬ連絡となるため、タイミングには配慮が必要です。
郵送調査
郵送調査は、アンケート用紙を郵便で送付して回答を回収する調査方法です。インターネットを利用しない層にアプローチできます。
一方で、回答率が比較的低い傾向があり、回収や集計に時間と手間がかかります。返信用封筒や郵送料などコストもかかるため、慎重に判断するようにしましょう。
お客様相談窓口
お客様相談窓口は、顧客からの問い合わせを受け付けると同時に課題を把握することができます。お客様相談窓口の対応によっては、その場で課題を解決でき、満足度の向上につなげられます。
しかし、ネガティブな意見が集まりやすく偏りがちです。そのため、他の調査方法と組み合わせることが望ましいです。
設問設計を行う
顧客満足度アンケートは目的に沿って設問設計を行いましょう。漏れなく、ダブりなく設計することが大切です。
満足度を測る設問 | Q. あなたは○○についてどの程度満足していますか? |
推奨度を測る設問 | Q. 周囲の人に〇〇を推奨したいと思いますか? |
満足度の理由を尋ねる設問 | Q. その満足度を選んだ理由を教えてください(自由記述/選択肢) |
顧客属性設問 | Q. 年齢を教えてください/サービスを知ったきっかけは何ですか? |
継続利用意向設問 | Q. 今後も○○を利用し続けたいと思いますか? |
アンケート調査を行う
調査を実施する際には、調査の目的や所要時間、回答方法を明記した案内を添えることで、回答者の協力を得やすくなります。また、謝礼やインセンティブを設定することで回答率を高めることも検討しましょう。
どのような調査方法かにもよりますが、Webアンケートの場合はリマインドメールを送信したり、回答状況をモニタリングして進捗を確認したりすることが大切です。
調査後には、収集した回答データを速やかに集計しておき、次のステップに活かせるように準備しておきましょう。
回答データを分析する
アンケート調査が完了したら、収集したデータを適切に分析し、顧客満足度や自社の課題を明らかにしていきます。データ分析方法には「単純集計」「クロス集計」「ポートフォリオ分析」があります。
(1) 単純集計
単純集計は各設問の回答数を集計する基本的な方法です。顧客全体の傾向を把握するのに役立ちます。
(2) クロス集計
クロス集計は、複数の設問を掛け合わせて分析する方法です。例えば「年齢」と「顧客満足度」を組み合わせることで、どの年代の顧客が満足しているのかが把握できます。属性別の傾向を比較できるため、深いインサイトが得られます。
(3) ポートフォリオ分析
ポートフォリオ分析は複数の評価項目を「重要度」と「満足度」の2軸でマッピングし、優先的に改善すべき領域を明らかにする分析手法です。顧客満足度を向上させるために何から改善すべきか計画が立てられるようになります。
報告書にまとめる
アンケート調査の結果は、関係者全体で活用できるように報告書にまとめるようにしましょう。報告書には以下の内容をまとめておくことで、関係者がアクション取りやすくなります。
<報告書に記載すべき内容>
- アンケート調査の目的
- アンケート調査の背景
- アンケート調査の概要(実施期間、対象者の条件、調査方法、サンプル数、有効回答数)
- アンケート調査結果
- 改善提案・次のアクション
サービスを改善する
具体的なアクションに移します。調査で判明した問題点の中でも、影響度や優先度の高いものから着手しましょう。
たとえば、「スタッフの対応に不満が多かった」場合は、接客研修の強化やマニュアルの見直しといった対策が考えられます。
改善施策を実行する際には、KPIを定期的にモニタリングすることが大切です。顧客の変化や新たな課題を把握することで、PDCAサイクルを回しながら満足度を高めていきましょう。また、サービス改善後に顧客に報告すると、信頼関係が築きやすくなります。
顧客満足度アンケート調査を行う際の注意点
顧客満足度アンケートを行う際の注意点は3つあります。
回答者の負担を軽減する
顧客満足度アンケートで情報を収集するためには、回答者に配慮した設問設計が不可欠です。特にアンケートの回答のしやすさは回答率や回答内容の質に直結します。そのため、アンケート設問数は10〜15問程度に抑えるのが理想的です。
質問が多すぎると、途中で離脱されたり、適当に回答されるリスクが高まります。選択肢形式の質問を用意し、自由記述を最小限に留めて回答者の負担を軽減することで、多くの人に回答してもらえるようにしましょう。
個人情報の取り扱いについて
顧客満足度アンケートでは、年齢や性別、連絡先など個人情報を取得します。回答者に安心してアンケート調査に回答してもらうためにも、個人情報の取り扱いについては十分な配慮が必要です。
そのため、アンケートの冒頭などで、個人情報の利用範囲を明示しておきましょう。
「回答内容は統計的に処理し、個人を特定する形では利用しません」といった説明を記載することで、回答者の不安を和らげることができます。
取得した情報は、社内での取り扱いルールを定め、安全に管理する必要があります。アクセス権限を制限したり、暗号化された環境で保管するなど、セキュリティ対策を講じましょう。このような対策をしておくことで、回答者は安心してアンケートに回答できるようになります。
バイアスを考慮する
顧客満足度アンケートではバイアス(偏り)に注意を払うことが大切です。バイアスとは、調査方法などにより回答結果が本来の姿から偏ってしまう現象をいいます。
例えば、インセンティブを提供すると、「お礼をもらったから良い評価をしよう」という心理が働き、高評価な回答が集まりやすくなります。
また、「○○に満足していますか?(とても便利ですよね)」といった誘導的な表現も、回答に偏りをもたらす原因です。バイアスを完全に排除することは困難ですが、中立的な表現で設問を作成するなどの工夫で影響を最小限に抑えることができます。
まとめ
顧客満足度アンケートは、ビジネスにとって不可欠なツールであり、カスタマーサクセス担当者として、あなたが顧客の声を聞き、サービスを向上させ、事業を成長させるための鍵となります。この記事を通じて、アンケートの設計から実施、分析、そして改善策の立案までの一連の流れを理解できたことでしょう。
しかし、アンケートは一度きりのイベントではありません。継続的な評価と改善のサイクルを通じて、あなたの企業はより深く顧客を理解し、顧客体験を最適化し、顧客満足度を高めることができます。
ぜひ、効果的なアンケートを実施し、顧客満足度向上につなげましょう!まずは小規模なWebアンケートからスタートし、顧客の声を可視化してみましょう。 継続的な分析と改善を重ねることで、顧客満足度の向上だけでなく、LTVの最大化やファンの育成にもつながります。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。