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CX(顧客体験)とは?重要性とCXを向上させる方法を解説!

「いい商品なのに、なぜリピートしてもらえないんだろう…」「価格や機能だけでは、もう選ばれにくくなってきた気がする…」といった悩みを感じていませんか?

今、顧客が重視しているのは「体験」です。だからこそ、企業には、より良い顧客体験を提供することが求められる時代になってきました。

 

そこで、今回はCX(顧客体験)について詳しく解説します。この記事では、顧客体験を向上させる方法や成功事例もご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

CX(顧客体験)とは

CX(顧客体験)とは
CX(顧客体験)とは、顧客が商品・サービスを購入して利用するまでの一連の体験を指します。

米国コンサルティング会社PwCの調査レポートでは、顧客の73%が顧客体験が素晴らしければ商品、サービスを購入することが明らかとなっています。

現在では、店舗とECサイトの両方を運営するのが当たり前となってきましたが、より良い顧客体験を提供するために両方を運営し始めた結果、収益が4倍伸びた企業も存在します。

顧客体験を重視する企業が高い収益を得られる理由は、商品やサービスに対してだけではなく、企業に対して信頼や愛着を抱いてもらえるようになるためです。このように収益にも直結するため「どのような体験を提供できるか」と見直し、顧客とより良い関係を築いていきましょう。

 

顧客サポートとの違い

顧客サポートとは、商品を購入して利用するまでに、顧客が抱いた疑問に回答することをいいます。基本的に受け身です。

例えば、お客様の問い合わせに回答したり、商品不具合の返品対応したりすることが該当します。つまり、顧客と一次的に関わることになります。一方で、顧客体験とは顧客が商品を購入して利用するまでに得られる体験です。

「Webサイト」「資料請求」「商品購入」「サポート」「アフターサービス」などの顧客と接点を見直して、より良い体験を提供していきます。顧客と継続的に関わり、どのように良い関係を築いていくかを考える能動的な取り組みです。
 

CX(顧客体験)の重要性

 CX(顧客体験)の重要性が増してきた背景には、顧客が商品やサービスの価格や機能だけではなく、どれだけ快適で良い体験を提供してもらえるかで購入先を決めるようになってきたことが挙げられます。


素晴らしい顧客体験を提供できれば、顧客は商品やサービスだけではなく、企業の信頼と愛着を寄せるようになります。その結果、商品やサービスを継続して利用してもらえるようになり、売上が安定していくのです。このように、売上や企業イメージを左右するものなので、顧客体験を見直す企業が増えてきました。

 

CX(顧客体験)を評価するための指標

CX(顧客体験)を評価するための指標
より良い顧客体験を提供するためには、現時点でどれぐらい快適な体験を提供できているかを把握することが大切です。そのため、現時点の顧客体験がどれぐらいであるかを顧客に評価してもらいましょう。

顧客体験を評価してもらうための指標には「NPS」「CSAT」「LTV」があります。

NPS

NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客体験を定量的に評価するための代表的な指標です。

顧客に対して「商品、サービスを家族や友人、知人に薦めたいと思いますか?」と質問し、0点から10点で回答してもらい算出します。9〜10点を付けた顧客を「推奨者」、0〜6点を付けた顧客を「批判者」、7〜8点を「中立者」と分類し、「推奨者の割合―批判者の割合=NPS」と算出します。

たとえば、推奨者が60%、批判者が20%の場合、NPSは+40です。

NPSは顧客ロイヤルティを測定する上で有効とされており、商品、サービスの愛着を抱いてもらえているかを把握できます。「なぜそのスコアを付けたのか」という自由記述欄を設けることで、顧客体験全体で良い点や悪い点が見えるようになります。

関連記事:『NPSとは?顧客満足度との違いや算出方法について解説』
 

CSAT

CSAT(顧客満足度スコア)は、「商品やサービスにどれだけ満足できましたか?」と質問して、1〜10点で回答してもらい「上位スコアの割合÷全体の割合×100=CSAT」と算出します。

たとえば、5点満点評価で「4点または5点」を選んだ顧客が80%だった場合、CSATスコアは80%となります。CSATスコアが高いほど顧客維持率が高くなることが大きな特徴です。

しかし、CSATは商品やサービスを利用した直後の一時的な感情です。そのため、顧客体験全体を把握するためには、NPSやLTVなど他の指標と組み合わせる必要があります。

ただ、調査が簡単に行えて回答率も高い傾向があるため、モニタリングする指標に適しています。

LTV

LTV(顧客生涯価値)は、顧客が取引を開始してから終了するまでにおける総収益を示す指標です。顧客体験最適化の成果を評価する上で極めて重要な指標となります。

LTVは一見すると「売上重視の指標」に見えるが、CXの観点では「どれだけ長く、どれだけ深く顧客に価値を提供できているか」という指標です。各段階の取り組みが、LTVに反映されていくため、四半期や半年、年度末に計測してみることをおすすめします。

関連記事:『LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!』
 

CES

CES(カスタマーエフォートスコア)は、顧客が製品やサービスを利用する過程で「どれだけ手間がかかったか」を評価する指標です。「タスクを完了するのはどれくらい簡単でしたか?」といった質問に対して、1~5で回答してもらいます。

大きな特徴は顧客体験における負の側面の可視化に有効であることです。そのため、顧客体験の中で、どこに課題があるかを洗い出したいときに測定してみてください。
 

CX(顧客体験)を向上させる方法

CX(顧客体験)を向上させる方法
現在の顧客体験を評価できたら、より良い体験を提供して満足度を向上させていきましょう。ここでは、CX(顧客体験)を向上させる方法を5つご紹介します。

カスタマージャーニーを作成する

顧客に素晴らしい体験を提供するためには、カスタマージャーニーが欠かせません。カスタマージャーニーとは、商品やサービスの存在を知り、購入、利用するまでの過程をまとめたマップです。一連の流れにおける「顧客の感情」「顧客の行動」「課題や要望」を整理していき、どのような体験を提供すべきか判断できるようにします。

カスタマージャーニーを作成する前に、ペルソナを設定しておけば、顧客の感情」「顧客の行動」「課題や要望」を深く理解できるようになり、より良い体験を検討できるようになります。

既存の顧客体験の全体像を俯瞰視して改善しやすくなるため、カスタマージャーニーを作成しておくようにしましょう。

関連記事:『カスタマージャーニーとは?ジャーニーマップの作り方と注意点を徹底解説』
 

パーソナライズ化を強化する

顧客に感動を提供するためには、パーソナライズ対応も重要です。顧客一人ひとりの属性や行動履歴、嗜好に基づいて最適な情報、体験を提供すれば顧客ロイヤリティを醸成できます。

たとえば、ECサイトにおいて閲覧履歴や購買履歴をもとにレコメンド商品を表示した場合、CVRが向上するなどが好事例であり、顧客一人ひとりに最適な情報を提供すれば契約に至りやすくなります。

パーソナライズを強化するためには、顧客データの収集と統合が前提です。

CRMなどにWebログ、アプリ行動、問い合わせ履歴、購買情報を蓄積していき、そのデータに基づいて体験を提供します。

興味を持つであろう情報を先回りして提供すれば、本当に顧客を大切に想っている会社だと感じてもらえるようになります。

 

フィードバックループを構築する

顧客体験を改善する上で不可欠なのが、顧客の声を収集・分析し、施策に反映する「フィードバックループ」の構築です。

アンケート調査後は社内全体で結果を共有し、改善できるところを見直していきます。また顧客に改善したことを伝えることで、顧客は「自分の意見を聞いて企業が変わってくれた」と実感し、企業に対するエンゲージメントやロイヤルティが上がります。

フィードバックループの構築は顧客体験を向上させるための施策だけではなく、CX文化を根付かせる上でも欠かせないものです。そのため、フィードバックループを構築しておきましょう。
 

オムニチャネル化する

顧客により良い体験をしてもらうためにはオムニチャネル化も欠かせません。オムニチャネルとは、オンラインとオフラインの顧客接点(Webサイト、店舗、アプリ、SNS、電話、チャットなど)をシームレスに統合した上で一貫性のある体験を提供する戦略をいいます。

顧客は、スマートフォンで商品情報を調べ、比較検討し、店舗で実物を確認して購入するといった行動を当たり前に行っており、企業側はオムニチャネルに対応することが求められています。

オムニチャネルを成功させるためには、顧客データの一元管理と共有が欠かせません。たとえば店舗スタッフがオンラインで見た商品について会話できるようにデータを共有しておくことで、より快適な顧客体験を提供できるようになります。
 

ベストプラクティスを共有する

顧客体験を向上させるためには、社内・社外にある成功事例(ベストプラクティス)を整理して共有することが大切です。

顧客接点が複雑化し、多様化している現代においては「どの施策が成果につながったのか」「どの対応が顧客の感情を動かしたのか」などを可視化することで、再現性のある体験設計が提供できるようになります。そのため、顧客体験を向上させたい場合は、さまざまなベストプラクティスを収集しておきましょう。
 

従業員満足度を向上させる

顧客体験を向上させるためには、従業員満足度を高めることも欠かせません。なぜなら、従業員がやりがいと充実感を持ち、前向きな姿勢で働いているかどうかは、日々の顧客対応に反映されるためです。

特に顧客と直接接点を持つカスタマーサポートや営業では、対応品質に影響を与えます。そのため、営業やカスタマーサクセス部門の人がどのように会社に貢献できているのか、それを評価する仕組みを整えるようにしましょう。
 

顧客体験(CX)を向上させた成功事例

エクスパンションの施策例
顧客体験(CX)の見直しはどのように行えばよいのか、取り組んでいる企業事例を参考にしましょう。ここでは、顧客体験(CX)を向上させた成功事例を3つご紹介します。

サポート体制を強化(国内大手通信キャリア)

国内の大手通信キャリアでは、顧客満足度の向上とクレーム削減を目的として、最新のAI技術と感情解析システムを組み合わせたリアルタイム音声解析システムをサポートセンターに導入しました。


このシステムは、顧客とオペレーターの通話内容をリアルタイムで解析し、話し方や声のトーンなどから感情スコアを自動的に算出・可視化します。

 

たとえば、顧客の声に怒りや不満などのネガティブな感情が検出されると、その情報が即座にスーパーバイザー(管理者)に通知されます。これにより、スーパーバイザーはその場で状況を把握し、必要に応じてオペレーターを支援したり、会話に介入したりすることで、迅速かつ的確な対応を可能とし、クレーム発生率を抑制しました。

オンボーディングプロセスの見直し(SaaS企業)

SaaS企業では、導入初期の顧客体験を改善するためにオンボーディングプロセスを見直し、アクティベーション率を2倍に向上させました。

まず、カスタマージャーニーを再設計し、NPS調査を通じて顧客の声を収集したところ、「初期設定がわかりづらい」「操作に迷う」といった課題が判明しました。

これを受けて、チュートリアルやガイドの内容を改善した結果、導入初期の離脱を防ぐことに成功しました。同社はその後も定期的にNPSを活用して改善を続けることで、顧客体験の質を高めています。

パーソナライズ化した接客(小売店)

ある小売店では、オンラインと実店舗を連携させたオムニチャネル戦略を導入しました。

スタッフはタブレットを使い、顧客のWeb閲覧履歴や購入履歴を確認しながら接客することで、一人ひとりに合ったパーソナライズ対応を実現。この取り組みにより、顧客満足度が高まり、平均購入金額の増加や再来店率の向上といった成果につながりました。

まとめ

CX(顧客体験)は、顧客対応やサービス品質を上げるだけではなく、企業の持続的成長を支える戦略的な取り組みです。

より良い顧客体験を提供していけば、顧客は企業に信頼と愛着を持ち、長期的な関係を築いていくことができます。

競合との差別化が難しくなっている今こそ、どれだけ顧客を深く理解し、より良い体験を提供できるかが企業の成長を左右します。そのため、これを機会に、ぜひ顧客体験を見直してみてください。


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私は現在、カスタマーサクセスという職種に就いています。