「カスタマーハピネス」とは?測定方法から顧客体験の改善まで解説!
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武田龍哉
2025.04.15

「お客様に心に残るサービスを提供したいけれど、具体的にどうすれば良いのか…」とお悩みではありませんか?
ブランドを通じてお客様に幸せや満足感を感じてもらうことができれば、その結果、リピート購入や顧客紹介といった恩恵を得ることができます。
今回は「カスタマーハピネス」について詳しく解説します。お客様がブランドを通じてどれだけ幸福感を感じているかを測定する方法から、その幸福感を向上させるためのアプローチ方法をご紹介しているため参考にしてみてください。
カスタマーハピネスとは
カスタマーハピネスとは、お客様がブランドと関わり得られる幸福度(ポジティブな感情)です。お客様にとって本当に必要なことを考え、適切なタイミングで適切なアプローチをすることで、ポジティブな感情を抱いてもらえるようになります。
お客様に幸せだと感じてもらうことは、ビジネスを成長させる上で欠かせないものです。なぜなら、お客様に信頼されれば商品をリピート購入してもらえて、家族や友人にブランドを推奨してもらえるようになるためです。そのため、カスタマーハピネスを提供できているかを意識するようにしましょう。
顧客満足度と顧客幸福度の違い
顧客満足度とは、顧客が求める商品やサービスと提供されるものの差を指します。「価格」「デザイン」「機能」「アフターサポート」などを改善し、顧客の期待に応えることで満足度が向上します。
しかし、顧客が商品に満足していても幸せだと感じているわけではありません。例えば、商品の価格に満足していても「このブランドが好き」「ワクワクする」といったポジティブな感情は生まれません。
顧客幸福度は「このブランドと関わることで嬉しい」「ワクワクする」といったポジティブな感情が生まれる状態を指します。そのため、ブランドの世界観や体験価値を提供し感動を与える必要があります。
カスタマーハピネスの重要性
カスタマーハピネスは「顧客ロイヤリティの獲得」「顧客獲得コストの削減」「ブランドイメージ毀損の防止」「顧客生涯価値(LTV)の向上」で欠かせないものです。
顧客ロイヤリティの獲得
ブランドを通じてお客様に感動を提供できれば、愛着(=顧客ロイヤリティ)を持ってもらいやすくなります。
愛着を持ったお客様は、他社製品ではなく自社商品を選び続ける傾向が強くなります。さらに、お客様が家族や友人にブランドを紹介することで、新たな顧客を獲得しやすくなるでしょう。結果として、ビジネスの成長を加速させることができます。
関連記事:『顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティを高める施策や成功事例を紹介!』
顧客獲得コストの削減
カスタマーハピネスを高めてリピーターを増せば、広告費を抑えながら売上を伸ばすことができます。なぜなら、「1:5の法則」によると、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍以上かかるとされているためです。
さらに、商品に愛着を持つお客様は、自然と家族や友人にブランドの魅力を伝えてくれるようになります。口コミで広まること、新規顧客獲得のコストも削減できます。
ブランドイメージ毀損の防止
ブランドを通じてお客様にポジティブな感情を持ってもらうことは、ブランドイメージを守る上でも重要です。なぜなら、お客様がブランドに少しでもネガティブな印象を持つと、悪い口コミを書かれる可能性があるためです。
SNSの発達により、悪意のある噂や偽情報が瞬時に拡散される時代になりました。一度広まったネガティブな情報を訂正するのは困難で、ビジネスに深刻な悪影響を与える可能性があります。こうした風評被害のリスクを防ぐためにも、カスタマーハピネスの重要性が高まっています。
顧客生涯価値(LTV)の向上
顧客がブランドに対してポジティブな感情を持つと、リピート購入が増えるだけでなく、より高価格な商品や関連商品も購入してもらいやすくなります。
アップセルやクロスセルが成功しやすくなり、顧客生涯価値(LTV)の向上につながります。安定した経営もしやすくなるため、カスタマーハピネスを提供して顧客生涯価値(LTV)が向上させていきましょう。
関連記事:『LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!』
カスタマーハピネスの測定方法
カスタマーハピネスは主観的な概念ですが、以下の5つの方法でおおよその測定が可能です。
- 顧客満足度:商品・サービスに対する満足度
- 顧客努力指標:商品・サービスを利用する際のストレス度合い
- ネットプロモータースコア:他社推奨や顧客ロイヤルティ
- 顧客幸福度:ブランドに関与したことで得た幸福度
- ソーシャルメディア分析:商品・サービスに対する感情
以下に、それぞれの測定方法を解説します。
顧客満足度(CSAT)
顧客満足度(CSAT)は、商品・サービスにどれぐらい満足しているかを表す指標です。
「商品・サービスにどの程度満足していますか?」と質問して、5つの中から回答してもらいます。
- 非常に満足
- 満足
- どちらでもない
- 不満
- 非常に不満
その上で「(非常に満足の人数+満足の人数)÷アンケート人数×100」で顧客満足度を測定します。
顧客努力指標 (CES)
顧客努力指標(CES)は、商品やサービスの利用時にどの程度のストレスを感じたかを測る指標です。
リテンション率との相関関係が高いことで有名です。「商品・サービスの利用時にどの程度ストレスを感じましたか?」と質問し、0~10の11段階で回答してもらいます。と質問して、0~10の11段階で回答してもらいます。
回答者の点数を以下のように分類します。
- 批判者:0~6点
- 中立者:7~8点
- 推奨者:9~10点
とカウントして「推奨者の割合―批判者の割合=スコア」で計算します。
※ユーザーへのヒアリングやサービス利用状況のモニタリングを行い、どこに課題があるのかを把握しましょう。
ネットプロモータースコア(NPS)
ネットプロモータースコア(NPS)とは、顧客ロイヤリティを測定するための指標です。
「自社サービスを友人や同僚にどの程度推奨したいと思いますか?」と質問し、0~10の11段階で回答してもらいます。
回答者の点数を
- 批判者:0~6点
- 中立者:7~8点
- 推奨者:9~10点
と分類し、「推奨者の割合-批判者の割合=スコア」の計算式でNPSを算出します。業界の平均スコアと比較して、数値が高いか低いか判断しましょう。
関連記事:『NPSとは?顧客満足度との違いや算出方法について解説』
顧客幸福度
顧客幸福度は、顧客がブランドを通じてどれだけ幸福を感じているかを示す指標です。ブランドとの関わりの中で、顧客がポジティブな感情を抱いているかを測定します。
顧客幸福度を測定するために、以下の3つの質問をします。
- 「〇〇〇」が在ることで、自分自身は幸せを感じる
- 「〇〇〇」は、顧客や関わる人たちを幸せにしてくれると思える
- 「〇〇〇」の存在に感謝できる「ありがとう」と思える
各回答の点数を集計し、顧客幸福度を評価します。
- まったくそう思わない
- そう思わない
- あまりそう思わない
- まあまあそう思う
- そう思う
得点が高いほど顧客幸福度が満たされていると判断します。
ソーシャルメディア分析
ソーシャルメディア分析とは、SNS上の投稿やコメントを収集・分析し、顧客の感情や意見の傾向を把握する手法です。Twitter(X)、Instagram、Facebook、口コミサイトなど、さまざまなプラットフォームに投稿されたテキストデータを対象とします。
分析の主な目的は、ブランドや商品に対するポジティブ・ネガティブな意見の割合を明らかにし、顧客の満足度や幸福度を測定することです。特に、ネガティブな投稿が多い場合は、顧客が抱える不満や課題を特定し、改善策を講じることが重要です。
ポジティブな投稿が多いほど、顧客幸福度が高いと判断できます。
カスタマーハピネスを向上させる方法
カスタマーハピネスを向上させれば、顧客ロイヤリティを獲得でき、LTVを最大化できます。ここでは、カスタマーハピネスを向上させる方法をご紹介します。
顧客からのフィードバックを収集する
カスタマーハピネスを測定してスコアが低い場合は、顧客からフィードバックをもらいましょう。フィードバック収集方法としては、「アンケート調査」「インタビュー」「SNS」「レビュー」があります。
商品・サービスに対する顧客の声を聞くことで、「どのようなイメージを持たれているのか」「商品・サービスの強みや弱みはどこなのか?」を把握でき、どこを改善すべきかを判断できるようになります。
フィードバックに基づいて行動する
顧客からフィードバックを収集したら、自分たちの想像と乖離していないかを確かめましょう。
なぜなら、自分たちが正しい対応だと思っても、顧客からすれば適切な対応ではないと思われているケースは珍しくないからです。そのため、フィードバックから新たな気づきを得ることができたら、それに基づいて行動するようにしましょう。
シームレスな顧客体験を提供する
顧客が悩みを抱えた際に、迅速に対応できることが重要です。そのため、各チャネルを連携させ、シームレスな顧客体験を提供するようにしましょう。
例えば、電話、メール、LINEなど、異なる連絡手段での問い合わせ内容を一元管理することにより、顧客は同じ説明を繰り返すことなく、円滑に対応を受けられるようになります。
チームのトレーニングを行う
従業員のトレーニングは、顧客との良好な関係を築くために不可欠です。顧客対応の品質はブランドイメージに直結するため、従業員全員が一貫したサービスを提供できるようにすることが重要です。
このトレーニングは、単なる一度きりのワークショップに限らず、従業員のキャリア全体を通じて継続的に行われるべきです。
定期的なトレーニングにより、従業員は常に成長し、顧客との信頼関係を深めることができます。継続的なトレーニングをすることで、最終的に顧客満足度の向上につながります。
顧客体験をパーソナライズする
顧客のニーズを把握し、適切なタイミングで適切にアプローチすることで、ブランドに対してポジティブな感情を抱いてもらえるようになります。そのため、顧客体験をパーソナライズしましょう。
顧客データを収集し、個別にメールを送信したり、行動履歴に基づいたレコメンドを表示したりすることで、よりパーソナライズされた顧客体験を提供できます。
顧客一人一人を深く理解した上でコミュニケーションを取ることで、「ブランドは私のことをよく理解してくれている」と感じ、愛着や信頼を深めてもらえるでしょう。
リピーター顧客に特典プログラムを提供する
リピーター顧客に特典プログラムを提供することで、顧客がサービスと継続的に関わるように促すことができます。
特典は、ポイント制度や限定オファー、優先サービスなど、顧客にとって魅力的な特典を用意しましょう。これにより、顧客の間にコミュニティや帰属意識が生まれ、ブランドへの愛着が深まり、最終的には顧客基盤の構築や長期的な関係の維持につながります。
テクノロジーを活用して顧客体験を強化する
テクノロジーを活用することで、顧客体験を大幅に強化することができます。例えば、ライブチャットを導入することで、顧客はリアルタイムでサポートを受けることができ、迅速な対応が可能になります。これにより、顧客は即座に問題を解決できるため満足度が向上します。
また、ヒートマップを利用することで、ウェブサイトやアプリのユーザー行動を分析し、どの部分が注目されているのか、どこで離脱が起きているのかを視覚的に把握することが可能です。
このデータを基に、より効果的なサイト設計や改善を行うことができます。このように、顧客に最適な体験を提供して信頼を獲得していきましょう。
関連記事:『【翻訳】カスタマーハピネスを高めるためのヒント』
カスタマーハピネスの成功事例
出典元:『SPICE&HERBシーズニング』
株式会社マーケティング・ハピネスは、顧客幸福を追求する新たなビジネス戦略を打ち出し、「ホットスポット・プロジェクト」という異業種のアイデアマンたちが集まるプロジェクトを立ち上げました。
2015年に実施したプロジェクトでは、エスビー食品の経営企画部長(当時)である池村和也氏が参加し「SPICE&HERBシーズニング」シリーズの開発を行いました。
このプロジェクトは「期待による幸福」を生み出す商品作りを目指しました。シリーズの商品は、外食で食べたことのあるメニューを手軽に作れるもので、便利さだけでなく「期待感」や「幸福感」を重視しました。最終的には、新規事業で10億円以上の売上を達成しました。
まとめ
カスタマーハピネスは、お客様がブランドと関わることで得られる幸福度、つまりポジティブな感情を指します。
お客様に感動してもらい、信頼されることで、リピート購入や友人・家族へのブランド推奨が生まれ、ビジネスにとって有利に働きます。このため、カスタマーハピネスは近年注目されているのです。
この記事では、カスタマーハピネスの測定方法と、その幸福感を向上させるためのアプローチ方法を紹介しました。ぜひ、この記事を参考にして、カスタマーハピネスの提供を目指してみてください。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。