「3人×フルリモートでも成果を出す──CS常駐プロジェクトのリアル」

田伏 梓織
2025.11.20
はじめに
現在私は、フルリモート体制で、3名のチームメンバーと共に、電子請求書サービスを提供する企業様に常駐しています。直接訪問するのではなく、完全にオンラインで連携を取りながら、日々の業務を進めています。
主な業務内容は、サービス導入企業様に向けたオンボーディング支援です。具体的には、キックオフミーティングの実施を皮切りに、導入スケジュールの調整や、期日が近づいた際のタスクリマインド、お客様からの問い合わせへの対応など、運用開始に向けたサポートを担っています。
フルリモートでのチーム常駐というスタイルは、場所にとらわれず柔軟に働ける一方で、コミュニケーションや業務進行における独自の工夫や課題も多く存在します。
本記事では、実際にこの体制で働く中で感じた「メリット・デメリット」や「日々の気づき・工夫」についてご紹介します。
同じようなチーム体制で働く皆さんや、今後リモート常駐を検討している方々にとって、チーム連携のヒントや業務効率化の参考になれば幸いです。
フルリモートでのコミュニケーションの工夫
フルリモートで業務を行うにあたって、コミュニケーションの方法に戸惑う方も多いのではないでしょうか。私自身もリモートで業務を行うのが初めてだったため、当初は戸惑いや不安を感じる場面が少なくありませんでした。
そこで私がフルリモートで働くにあたって意識していることを3点お伝えします。
即レス
フルリモートにおいて、最も重要なのが「即レス」だと感じています。
相手の様子が見えないからこそ、すぐに返信することで相手に安心感を与え、信頼関係の構築に繋がります。
また、チームメンバーが困っているときには、即レスすることで迅速にメンバーをサポートすることができます。
報連相
報告・連絡・相談(いわゆる「ホウ・レン・ソウ」)は、チームで仕事を進める上で基本であり、非常に大切な行動です。もちろん、自分でしっかり考え、判断して行動する力も必要ですが、判断に迷ったときには、遠慮せずにチームメンバーへ相談することも同じくらい重要だと感じています。
実際、私自身の経験としても、相談を通じてミスを未然に防ぐことができたケースが何度かありました。「自分ひとりで抱え込んで判断していたら、おそらく間違っていたかもしれない」という場面で、相談によって正しい方向へ導かれたことが何度もあります。
とはいえ、何でも相談すれば良いというわけではありません。相手の時間を過剰に使ってしまうリスクもあります。そんなとき、ある方からいただいたアドバイスがとても腑に落ち、今でも実践しています。
それは「お客様がその操作をすることで元に戻せなくなる場合(=リカバリーが難しい)」は、必ず相談するべきという考え方です。
この基準があることで、自分の中で「これは一人で判断しても大丈夫」「これは相談してから進めよう」と判断しやすくなり、業務を進める上での安心感にもつながっています。
日々の業務において、すべてを完璧にこなすことは難しいですが、「迷ったら相談する」「ただし判断軸を持ってバランスよく」という姿勢は、ミスの予防だけでなく、チーム全体の信頼関係や効率的な連携にもつながっていくと感じています。
ミーティング中の表情管理
リモートワークでは、対面でのコミュニケーションが難しい分、表情や態度から相手の気持ちを読み取る場面が多くなります。実際には何も思っていなくても、少し気を抜いた表情をしているだけで、「機嫌が悪いのかな?」と相手に誤解されてしまうことも少なくありません。
特に、オンラインミーティングではその傾向が顕著です。カメラ越しの限られた情報の中で、私たちはお互いの表情や目線から多くを判断しています。たとえば、誰かが発表しているときに別の作業をしていたり、目線を合わせなかったりすると、「話をちゃんと聞いていないのかな」と受け取られてしまうこともあるでしょう。
だからこそ、私はリモートでの会話において「表情管理」をとても大切にしています。話し手の立場に立ってみると、聞き手がうなずいてくれたり、軽く相槌を打ってくれるだけでも、「ちゃんと聞いてくれているんだな」と安心でき、自然と話しやすくなるものです。小さなリアクションや表情一つで、場の空気が和らぎ、温かい雰囲気が生まれます。
私自身、話し手が気持ちよく話を進められるような空気づくりを意識し、画面越しでも「安心感」や「一体感」を感じてもらえるよう、表情やリアクションには常に気を配るようにしています。こうした小さな気遣いの積み重ねが、チーム内の信頼関係や、円滑なコミュニケーションにつながっていくと信じています。
チーム内での取り組み
毎日の朝礼、終礼で、自然な連携と安心感を
私たちのチームでは、毎朝の朝礼と業務終了前の終礼を通じて、チーム内の情報共有とコミュニケーションを大切にしています。
朝礼では、各メンバーがその日のスケジュールを共有し合い、お互いがどのような業務に取り組む予定なのか、どの時間帯が忙しそうかといった動きを把握しています。これにより、タイミングを見て相談したり、サポートを申し出たりと、自然な連携が取りやすくなっています。
また、朝礼と終礼のどちらにも「相談・共有の時間」を設けており、ちょっとした疑問や不安でも、気軽に持ち寄れる雰囲気づくりを意識しています。特にフルリモートの環境では、気軽に声をかけることができない分、こうした機会があることで、チーム全体で問題を早期にキャッチし、解決する体制が整っていると感じます。
このように、毎日の小さな積み重ねが、チーム内の信頼関係や業務効率の向上につながっており、リモートでも安心して働ける土台になっています。
Slackでの質問も“伝え方”を意識
業務の中で自分だけでは解決が難しいときは、Slackを活用してチームメンバーに質問をしています。その際に私が特に意識しているのは、「相手にとってわかりやすい伝え方」です。具体的には、質問の背景や現在の状況を簡潔に整理したうえで、何を知りたいのかを明確にして投稿するよう心がけています。
私自身、質問をすることが多い立場ですが、Slackで質問したときに、すぐに回答をいただけたり、「確認中です」といったスタンプが付いているだけでも、「見てもらえている」という安心感があります。些細なリアクションかもしれませんが、リモート環境ではそうした小さなサインが心強く感じられます。
だからこそ、自分が質問を受ける立場になったときには、できるだけ早く反応するように意識しています。たとえその場で回答ができなかったとしても、「今見ていますよ」「少し時間をくださいね」というサインを送るだけでも、相手にとって安心材料になるはずです。
このように、リモートでのやり取りだからこそ、ちょっとした気遣いやリアクションが、お互いにとって大切なコミュニケーションの一部だと実感しています。
気軽に話せる「ばたりん」の存在
私たちのチームでは、Slack上に「ばたりん」と呼ばれるちょっとユニークな名前のミーティングルームを設けています。これはまさにオフィスでの井戸端会議のようなイメージから名付けた、いつでも立ち寄れるミーティングスペースです。
通常、テキストでのやり取りが中心になるリモート環境では、複雑な内容や細かいニュアンスが必要な会話は伝えにくいことがあります。そんなときに活用しているのが、この「ばたりん」です。わざわざグーグルカレンダーで会議を設定するほどではないけれど、今すぐちょっと話したい、そんな場面で気軽に利用できるようにしています。
Slack上にリンクを常設しておくことで、「話したいときに、すぐ入れる」「誰かが入っていれば、ちょっと立ち寄ってみる」というような柔らかいコミュニケーションが実現できています。
実際にこの場を活用することで、テキストでは解決しづらかった疑問がすぐに解消されたり、対話を通じて理解が深まったりすることが多々あります。また、何気ない雑談からチームの雰囲気が和らぎ、連携がスムーズになるという効果も感じています。
チーム常駐のメリットとデメリット
チーム常駐して少し経った現在、チーム常駐のメリット、デメリットが明確化してきたと感じたため、チーム常駐のメリット、デメリットについてご紹介させていただきたいと思います。
メリット
1. 相互フォローがしやすい
困りごとがあった際に、すぐにチームメンバー同士で相談・確認できるのは、非常に心強く感じています。
一人常駐の場合、不明点が出るたびにクライアントへ都度確認が必要になりますが、チーム常駐であれば、まずチーム内での解決が可能なため、クライアントへの確認頻度を減らすことができ、結果として相手の負担軽減にもつながります。
2. ノウハウが蓄積しやすい
それぞれのメンバーが経験した内容や対応事例をナレッジとして共有・蓄積できるため、情報の属人化を防ぐと同時に、チーム全体の成長速度も高まります。
一人常駐と比べ、情報共有の文化が生まれやすく、効率よく学びを得られる環境が整っていると感じます。
3. 孤立しにくく、安心して働ける
フルリモートであっても、朝礼・終礼といった定期的なミーティングがあるため、コミュニケーションの機会が自然と生まれ、孤独感を感じにくくなっています。
不安や迷いがあっても、すぐに相談できる相手がいるという安心感が、日々の業務の支えになっています。
また、CSM(カスタマーサクセスマネージャー)に相談しづらい細かな内容でも、チーム内で共有し解決に導けるのは大きなメリットです。
4. 教育・育成がしやすい
経験の浅いメンバーも、他メンバーのフォローを受けながら実務を通じて成長することができます。
過去の対応事例やノウハウがチーム内に蓄積されていることで、OJTや研修も効率的に進めることができ、教育体制としても非常に有効だと感じています。
デメリット
1. チーム全体のマネジメント負担が増える
チーム体制では、モチベーション管理・育成など、マネジメント業務が多岐にわたります。通常業務と並行して研修などを実施する場面もあり、負荷が大きくなりがちです。
2. 業務の切り分けが曖昧になりやすく、他責につながりやすい。
業務範囲が明確でないと「誰がどこまで担当するのか」が不透明になり、属人化や業務の偏りが発生しやすくなります。
また、責任の所在が曖昧になることで、タスクの押し付け合いや混乱が生じる原因にもなります。その結果、「誰かがやってくれるだろう」という意識が生まれ、メンバー全員の主体性が低下するリスクもあります。チームの機動力を高めるためには、役割分担を明確にしたうえで、各自が自分の業務に責任を持ち、必要に応じて相互にフォローし合う姿勢が重要です。
まとめ
私たちのチームでは、日々の業務を通じてメンバー一人ひとりが成長できるよう意識して取り組んでいます。実際に、多くの学びや気づきが生まれていますが、今後さらにチームとしてレベルアップしていくためには「一人ひとりの主体性」が必要だと感じています。
現状では、持ち案件が多いメンバーに作業が集中したり、積極的に提案してくれるメンバーに業務が偏ったりする場面があります。その結果、負荷の不均衡や対応品質のばらつきが生じる可能性があります。これを防ぎ、安定したパフォーマンスを発揮するためには、チームメンバーそれぞれの役割を明確にし、対応品質を均一化していくことが今後の改善点です。
役割を明確にすることで、業務の偏りを防ぎ、特定の人に過度な負担がかかるのを回避できます。また、各自が自分の担当領域に集中できるため、責任の所在が曖昧にならず、チーム全体の動きもスムーズになります。さらに、役割が整理されることで、メンバー同士のフォロー体制も整いやすくなり、結果的にチーム全体の成長スピードの加速にも繋がります。
今後も、チームの中で「安心して挑戦できる環境」を維持しながら、メンバー全員が自分の強みを活かし、主体的に取り組めるチームづくりを目指していきたいと考えています。

この記事を書いたライター
田伏 梓織
2024年にアディッシュに入社しました。前職の経験を活かして、丁寧かつスピーディーな対応を心がけながら、オンボーディング支援を担当しています。
