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クロスセルとは?うまくいかない原因から成功率を上げる戦略まで解説

「既存顧客に関連商品を購入してもらうためには、どのような工夫が必要なのだろうか?」「関連商品を販売して売上を伸ばしたいけれど、うまくいかない原因は?」とお悩みを抱えていませんか?そのような悩みを抱えている方向けに、今回はクロスセルについて解説します。

この記事では、クロスセルが失敗する原因や解決策までご紹介しているため、営業手法を見直す際にぜひお役立てください。

クロスセルとは

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クロスセルとは、顧客が購入した商品やサービスの関連商品を勧めることで売上アップさせる営業手法です。クロスセルを成功させるためには、関連商品も利用した方が便利そうだとポジティブな印象を持ってもらうことが大切です。クロスセルには、次のような例が挙げられます。 

<クロスセルの具体例>

  • オフィス用プリンタ導入時にインクや用紙の定期配送を勧める
  • クラウドストレージを契約している企業に、セキュリティ監視オプションを追加提案する
  • 法人向けインターネット回線を契約した企業に、IP電話を提案する

 

クロスセルとアップセルの違い

クロスセルもアップセルも売上アップさせるための営業手法ですが提案内容が違います。

クロスセルは関連商品、アップセルは上位プランを提案します。顧客ニーズや商品やサービスの利用状況を把握した上で、どちらを提案すべきか判断するようにしましょう。

例えば、SaaSの利用頻度が高い場合は上位プランへの切り替え(アップセル)が適切です。一方で、システムの利用頻度は高くないが、業務上の課題を抱えている場合は追加オプション(クロスセル)の提案が適切と言えます。

クロスセルの重要性

クロスセルが重要な理由は、ビジネス競争が激化しており、新規顧客を獲得することが難しくなってきているためです。新規顧客を獲得するためには、イチから信頼関係を築く必要があり時間と労力がかかります。

また、市場が飽和しているため、自社商品に興味・関心を持ってもらうために莫大な広告宣伝費を費やさなければならなくなりました。そこで、自社商品を検討している顧客に関連商品も併せて購入してもらい売上を伸ばす必要が出てきて、クロスセルの重要性が増してきたのです。

クロスセルの手順

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クロスセルの手順は次の通りです。

顧客情報を把握する

まずは、顧客情報を把握しましょう。なぜなら、クロスセルは顧客ニーズを把握した上で適切な提案をすることが不可欠であるためです。

顧客が何を期待していて、どのような興味を持っているのかを理解する必要があります。そのため、顧客の購買履歴や行動パターン、SNSなどを分析し洞察を得ましょう。「顧客が何を求めているか」「どのような商品やサービスに魅力を感じるのか」を把握していきます。

クロスセル候補のサービスを整理する

次に各商品やサービスの関連性を整理します。商品同士の相関性を可視化し、どの組み合わせが補完的な価値を生み出すかをマッピングしましょう。マッピングしておくことでクロスセル戦略が立てやすくなります。

例えば、関連商品をセット販売することでお得感を演出すれば購入意欲を喚起できるでしょう。また、商品に共通するストーリーを伝えることでセットで購入してもらえるようになります。そのため、サービスを整理しましょう。

提案資料を準備する

次に提案資料を準備します。なぜなら、クロスセルを受け入れてもらうためには、顧客に価値ある情報を提供することが不可欠なためです。

提案資料に顧客の課題を解決できる情報を提供することで、自然と商品に興味を持ってもらえるようになります。そのため、提案資料はハウツー系が効果的です。製品の使い方や活用事例などを載せておけば、顧客の課題を解決できるイメージを持ってもらえるようになり、関連商品にも興味を持ってもらえるようになります。

クロスセルのタイミングを見極める

次にクロスセルのタイミングを見極めましょう。クロスセルのタイミングを誤ると押しつけがましさを感じさせてしまい逆効果となる恐れがあるため注意してください。

例えば、顧客が商品をカートに追加した瞬間や決済直前などに、相性の良い関連商品を提案すれば検討してもらいやすくなるでしょう。また、商品のアフターサポート時に顧客が商品に対して満足してくれているのであれば追加提案すると受け入れてもらいやすくなります。

クロスセルを提案後に改善する

クロスセルは営業手法を見直し、改善していくことで成功率が上がります。そのため、顧客からのフィードバックを収集・分析しましょう。

クロスセル提案を受けた顧客の感想や反応など、商品が顧客の期待にどれほど応えていたか、どのような点に不満や疑問があったかを共有しましょう。そして、クロスセルを提案するタイミングや方法を見直して改善していくことで成功率を高めていくことができます。
  

クロスセルの成功率

クロスセルの成功率は、一般的に7%から10%とされています。

ただし、企業の営業力やマーケティング施策が優れていたり、商品やサービスの相性が非常に良い場合には、成功率が20%程度にまで達することもあります。

ただし、それ以上の成功率は稀であり、基本的には10%前後を想定しておくのが現実的です。

クロスセルの成功率は業界特性、商品性、提案方法、顧客理解の深さなど、複数の要素が絡み合って決まるものですが、7%以下の場合は見直すことをおすすめします。
 

クロスセルが失敗する原因

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クロスセル提案の成功率の低さからもわかるように大半の提案は受け入れてもらえません。ここでは、クロスセル提案が失敗する原因をご紹介します。

顧客のニーズを把握していない

クロスセルは顧客にとって必要なものを提案することで受注できるものです。顧客の状況、抱えている課題、ビジネスのフェーズを十分に理解していないと的外れな提案をしてしまいかねません。

相手が必要に感じていないものを提案すると「自社のことを理解してくれない」と不信感を与えてしまうことになります。営業側の都合で関連商品を売り込もうとしている印象を与えてしまい、提案を聞いてもらいづらくなります。
 

商材の特性に合わせた売り方ができない

クロスセルを成功させるには商材の特性を理解した上での提案が不可欠です。なぜ関連商品の必要性を説明できなければ、顧客に納得してもらえません。

関連商品を購入する費用、導入労力をかけてまでの価値があるとは感じることができず「意味のない提案をされた」と顧客満足度が低下してしまいます。「自社のことを理解してくれない」と不信感を与えてしまうことになります。
 

顧客の利用状況を把握していない

既存顧客にクロスセルを提案する場合は「システム導入が済んだ」「システムの利用頻度が高い」などの利用状況を把握した上での提案が欠かせません。顧客の利用状況を踏まえて提案しなければクロスセルの成功率が低下します。

例えば、システムの利用頻度が高いにも関わらず、新規顧客と同じように「追加機能がリリースされたので契約しませんか?」といったセールストークをすると手厚いサポートをしてくれないと期待を裏切ってしまうことになります。

オペレーション体制を築けていない

クロスセルはセールス活動ですが「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の連携が欠かせません。

社内で情報共有できていなければ、顧客の契約更新のタイミングを知らず営業機会を逃してしまうなどの失敗をしてしまいかねません。

また、インサイドセールスが顧客ニーズを深く理解していたが、フィールドセールスやカスタマーサクセスに共有されていないなどの失敗もしてしまいます。
 

クロスセルを成功させるための戦略

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クロスセルは通りにくいですが、工夫すれば成功率を上げられます。ここでは、クロスセルの成功率を上げるためのクロスセル戦略をご紹介します。

セグメント別の戦略設計

クロスセルを成功させるためには、顧客の属性や購買履歴、行動パターンをセグメント化して最適なアプローチをすることが不可欠です。

パーソナライズされた提案をすることで、クロスセルが成功しやすくなります。

例えば、商品価格に敏感なセグメントに関しては、期間限定の特典や割引を提供することで喜んでもらえるようになるでしょう。このように、顧客をセグメントして戦略を設計・実行することで、成果の最大化を図れます。

タイミングのトリガー設置

クロスセルの成功には提案するタイミングが非常に重要です。そのタイミングを見極め、提案が行えるようにトリガーを設置しましょう。

トリガーとは、顧客の行動や状況に応じて提案できる状態をいいます。MAツールなどでトリガーを設置しておき、商品を購入してから1週間後にフォローアップメールを送るなど設定しておくことで、関連商品を購入してもらいやすくなります。

ストーリーテリング

クロスセルの提案を受け入れてもらうためには感情に訴えるアプローチが効果的です。

ストーリーテリングとは、商品やサービスにまつわる背景や開発の想い、実際の使用シーンなどを物語として伝える手法であり、顧客との心の距離を縮め、提案の納得感を高める力を持っています。

ストーリーを通じて商品の魅力を感情的に伝えることで、顧客は単なる提案としてではなく、自分にとって意味のある選択肢として受け止めるようになります。

ストーリーテリングは、クロスセルを押し売りにせず、自然な関心と共感を引き出す強力な手段なのです。そのため、積極的に使っていくようにしましょう。
 

クロスセルの成功事例

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クロスセルを成功させている企業はどのように取り組んでいるのでしょうか?ここでは、クロスセルの成功事例をご紹介します。

EC事業

大手ECサイトでは、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴を活用し、商品ページ内に関連性の高い商品を自動で表示する仕組みを導入しています。

たとえば、「この商品を見た人はこんな商品も見ています」や「一緒に購入されている商品」といった提案が、ページの自然な流れの中で表示されることで、顧客は無理なく追加購入に関心を持つようになります。

こうした提案は、AIやレコメンドエンジンによって最適化されており、個々のユーザーのニーズに合わせたパーソナライズが実現されています。

その結果、顧客単価の向上や購入点数の増加に加え、顧客満足度や再訪率の向上にも寄与しており、クロスセル戦略を効果的にシステムへ組み込むことで大きな成果を上げている好例となっています。
 

通信会社

携帯電話の販売代理店も、クロスセル戦略を巧みに活用し、売上拡大を実現している業種の一つです。中でも代表的なのが、機種変更のタイミングを活かした提案型の営業です。携帯端末そのものは、顧客の希望によってあらかじめ決まっていることが多いため、代理店は端末以外のサービスを通じてクロスセルを行います。 

たとえば、電気やガスといったインフラ契約、動画ストリーミングなどのサブスクリプションサービスを追加オプションとして案内し、携帯とセットで契約することで料金面や管理面のメリットを訴求します。

携帯アプリで電気・ガスの使用量を一括管理できる利便性や、通信契約と併せることで割引が適用される特典など、日常生活と密接に関わる提案がポイントです。

このように、顧客の生活導線に溶け込んだサービスを組み合わせることで、携帯販売代理店は単なる端末販売にとどまらず、付加価値の高い提案によって顧客満足度を高めつつ、継続的な収益の拡大に成功しています。

IT会社

SaaS(Software as a Service)型のサービスにおいては、クロスセル戦略を通じて顧客単価を継続的に向上させることが可能です。

あるCRM系SaaS企業では、まず顧客管理の基幹機能を提供し、導入後の利用状況や課題を把握しながら、必要に応じてマーケティング支援(MA)や営業支援(SFA)、カスタマーサポート、分析ツールなどの追加機能を提案する手法をとっています。

このような段階的な機能拡張は、顧客との信頼関係を構築しつつ、業務の成長や変化に合わせて価値を提供できる柔軟なクロスセル施策となります。

SaaSの特性を活かし、必要な機能を後から選べる仕組みを整えることで、顧客の満足度と利用継続率を高め、自然な形で収益を拡大することが可能になります。この戦略は、SaaSビジネスにおけるクロスセルの理想的なアプローチの一つと言えるでしょう。

まとめ

 クロスセルとは、顧客が購入した商品やサービスの関連商品を勧めることで売上アップさせる営業手法です。クロスセルが重要な理由は、ビジネス競争が激化しており、新規顧客を獲得することが難しくなってきているためです。

そこで、自社商品を検討している顧客に関連商品も併せて購入してもらうことで売上を伸ばす必要が出てきて、クロスセルの重要性が増してきました。

この記事では、クロスセルの手順、成功率を上げるクロス戦略をご紹介しました。そのため、これを機会にクロスセルを提案してみてください。
 
 


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