お問い合わせ

お気軽にご相談ください!

オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要性・ポイントをご紹介!

オンボーディング(on-boarding)には、本来「船や飛行機に乗っているクルーや乗客をサポートする」という意味があり、新規採用した人材を戦力化させる人事用語として使用されています。

最近では、そのオンボーディングという言葉がSaaS型ビジネスにも派生し、カスタマーサクセスの重要なプロセスとして広く活用されるようになりました。
SaaSにおけるオンボーディングは、サービス購入後の早い段階で使い方に慣れてもらうための取り組みを指します。
この仕組みを導入することで、サービスに対する満足度や継続率の向上が見込めます。

 

本記事では、オンボーディングの重要性や実施する上でのポイント、事例などを詳しく解説します。
オンボーディングに関してより詳しく学びたい方は、ぜひこちらの資料もダウンロードください!

SaaSにおけるオンボーディングとは

SaaSにおけるオンボーディングとは

SaaSにおけるオンボーディングとは、自社サービスを購入した顧客に対して継続的な利用を促す、一連のプロセスや取り組みを指します。


顧客に対し、チュートリアルやガイドツアーを提供するのが代表的な取り組みです。
例えば、オンボーディングツールのひとつに「Onboarding」があります。


このツールを導入すると、以下のように自社のSaaS内で、使い方ガイドの吹き出しが表示されます。

 

使い方ガイドの吹き出し

出典:Onboarding

 

自社サービスをスムーズに利用できる使い方を提示することで、顧客が快適に操作できるようになり、サービスに対する価値を実感してもらえるでしょう。


その結果、継続率の向上や早期解約の防止につながります。

 

SaaSのカスタマーサクセスにおいてオンボーディングが重要な理由

SaaSのカスタマーサクセスにおいてオンボーディングが重要な理由

 

SaaS型ビジネスでカスタマーサクセスを実施するうえで、オンボーディングは特に重要な取り組みだといえます。


その理由は、以下で取り上げているように、オンボーディングが早期解約の防止や顧客単価の向上へと結び付きやすいためです。


オンボーディングの重要性を理解し、カスタマーサクセスを成功に導きましょう。

 

カスタマーサクセスの第一歩を成功に導くため

カスタマーサクセスとは、企業による能動的なアプローチで、顧客の成功体験をサポートする取り組みです。


顧客が自社サービスを利用して課題を解決し、ゴールへと到達することで、サービスの継続率を高め、LTV(顧客生涯価値)を向上させる役割があります。

 関連記事:カスタマーサクセスとは何か?カスタマーサポートとの違いや指標について説明

 

カスタマーサクセスには、導入期・活用期・定着期という3段階のフェーズが存在します。このうち、オンボーディングを実施するのは、導入期から活用期の間にかけてです。


導入期から活用期の期間は、顧客がサービスを導入して間もないタイミングにあたります。この時点でサービスに対する不満が高まると、早期解約につながり、継続的に利用してもらうのが難しくなるでしょう。


そのため、カスタマーサクセスの第一歩を成功に導くひとつの要素として、オンボーディングが重要な役割を担います。

 

早期の解約(チャーン)リスクを抑えられるため

オンボーディングを実施すると、早期の解約(チャーン)を回避できます。SaaS型ビジネスでは、サービス導入後の早いタイミングで顧客にネガティブな印象を抱かれると、早期解約につながる可能性が高まります。


特にサービスの仕様や各種機能が複雑な場合、使い方がわからなかったり、十分なサポートを受けられなかったりすると、競合他社に乗り換えられるケースも珍しくありません。

 

このような事態を避けるために、オンボーディングが効果を発揮します。オンボーディングでは、サービスを利用するうえで発生しそうな疑問や悩みを特定し、その解決策となるチュートリアルやガイドツアーを用意しておきます。

 

最終的に顧客のストレスを払拭できるため、早期解約を防ぐとともに継続利用を促せます。

 

顧客単価の向上につながりやすいため

オンボーディングを行うと、アップセルやクロスセルを実施しやすくなり、顧客単価の向上につながります。


アップセルとは、現在よりも単価の高いサービスを提案・推奨する方法です。一方のクロスセルは、関連性の高い別サービスの購入を促す方法です。


いずれも顧客単価を引き上げる効果があるため、SaaSにおけるLTVを高めるためには欠かせない手法だといえます。


オンボーディングによって顧客の不満を解消し、サービスに対する満足度を高めることで、アップセルやクロスセルの提案をスムーズに行えるでしょう。

 

SaaS型ビジネスでオンボーディングを実施する5つの手順

SaaS型ビジネスでオンボーディングを実施する5つの手順

 

SaaS型ビジネスでオンボーディングを実施する手順は次の通りです。

 

  1. カスタマーサクセスのプロセス整理
  2. オンボーディングのゴール設定
  3. KPIの設定
  4. アプローチ方法の決定
  5. 効果検証・改善

 

上記の手順ごとにオンボーディングの実施方法を解説します。

 

手順1. カスタマーサクセスのプロセス整理

まずは、自社におけるカスタマーサクセスのプロセスを整理しましょう。この手順を踏んでおくと、オンボーディングを行う最適なフェーズや顧客が抱える課題に対する解決策を把握しやすくなります。


カスタマーサクセスの一般的なプロセスは次の通りです。

 

フェーズ

必要な施策

導入期

導入・立ち上げ支援
オンボーディング

活用期

活用状況のデータ分析・ヒアリング
活用事例や新機能の提案

定着期

アップセル・クロスセル
契約更新の促進

 

このうち、オンボーディングを実施する主なタイミングは導入期ですが、その後の活用期や定着期を見据えて実施計画を策定することが大切です。


オンボーディング実施後にデータ分析が必要であれば、顧客の活用状況を可視化できるツールの導入を、早い段階で検討しておく必要があります。


また、アップセルやクロスセルを見据え、提案サービスを拡充しておくのも良いでしょう。

参考記事:カスタマーサクセスの4フェーズ:顧客の成功を導く実践ガイド

 

手順2. オンボーディングのゴール設定

カスタマーサクセスのプロセスを整理した後は、オンボーディングのゴールを設定します。


オンボーディングのゴールとは、顧客が自社サービスを使いこなせたことを示す基準です。
例えば、「自社サービスを1ヶ月間継続して利用する」「初期設定が済みデータ作成が可能な状態」など、サービスの内容や特質に合わせてオンボーディングのゴールを設定しましょう。


ただし、あまりにも高い基準を設定しないよう注意が必要です。


達成困難なゴールを設定してしまうと、いつまで経ってもカスタマーサクセスが進展しなくなります。最初は低めのゴールを設定し、顧客の状況を見ながら適切なレベルを探りましょう。

 

手順3. KPIの設定

オンボーディングを実施する際は、ゴールと同時にKPIを設定することが大切です。


KPI(重要業績評価指標)とは、目標となる数値を含んだデータ計測時の指標です。


計画策定段階でKPIを設定すると、目標と実績の差をもとに課題の特定や改善策の検討を行えます
オンボーディングにおけるKPIには次のような種類があります。

 

  • オンボーディング完了率(期間内に特定の工程が終了した顧客の割合)
  • オンボーディング完了までに要した時間
  • オンボーディング進捗率(ゴールに対する工程の進み具合)
  • サービスの利用時間
  • 特定の機能の利用回数

 

サービス内容や顧客が抱えている課題に合わせて適切なKPIを設定しましょう。

 

手順4. アプローチ方法の決定

続いて、設定したゴールやKPIに合わせてアプローチ方法を決定します。
オンボーディングを実施する際は、次の3種類のアプローチ方法を活用できます。

 

  • ハイタッチ:
    最も顧客単価の高い顧客層に対して行う1対1のサポート。個別の目標設定や定期的な進捗管理など、コンサルティングに近い手厚いサポートを実施する。
  • ロータッチ:
    ハイタッチの顧客層よりも顧客単価が低い場合に行うサポート。セミナーや勉強会といった多人数参加型のサポートと個別対応を組み合わせるのが一般的。
  • テックタッチ:
    最も顧客単価が低い場合に行うサポートで、システムやITテクノロジーを駆使して可能な限り費用を抑える。顧客数の多い低単価サービスでよく利用される。

 

上記の方法は1種類に限定する必要はなく、複数を組み合わせた活用も可能です。

 例えば、自社サービスを導入した顧客へ一律でテックタッチを提供し、ゴールに到達しそうな顧客にのみ、ハイタッチによる充実したサポートを行うのも良いでしょう。


とはいえ、ハイタッチの施策を行う際は費やす金銭的コストと人的リソースが増えやすい傾向にあり、長期的な継続は困難です。


最終的には、顧客自身で全工程を完結させる「セルフオンボーディング」を目指せるよう、テックタッチの比重を徐々に高めていくことをおすすめします。

参考記事:カスタマーサクセスのタッチモデルとは?

 

手順5. 効果検証・改善

ここまでの手続きがすべて完了すれば、実際にオンボーディングの施策を始められます。


この際に、運用中の効果検証や施策の改善を忘れないよう注意が必要です。手順3で設定したゴールやKPIをもとに目標と実績を比較し、PDCAを回転させましょう。


目標に到達できない指標があれば、ボトルネックとなっている箇所を特定し、その原因を探ります。
こうして何度も改善を繰り返すことがオンボーディングの成功へとつながります。

 

オンボーディングを実施する際のポイント

オンボーディングを実施する際のポイント

 

オンボーディングを実施する際に注意すべきポイントは次の3つです。

 

  • 顧客のニーズや課題を徹底調査する
  • 継続的にフォローできる体制を整える
  • 適切なツールを選定する

 

顧客のニーズや課題を徹底調査する

顧客が自社サービスを通じて価値を感じるか否かは、サービスの利用目的やその背景によって異なります。そのため、事前に顧客のニーズや課題を徹底的に調査しておきましょう。


顧客のニーズや課題が明らかになると、個別に最適なアプローチを行えるようになります。特にオンボーディングでは、顧客に対する明瞭な説明や状況に応じた解決策の提示が求められます。


だからこそ相手の不明点や疑問点をよく理解することが、以降の継続的な利用につながるといっても過言ではありません。


自社サービスを利用中の顧客のニーズや課題を調査するには、問い合わせ内容の分析や購入後のアンケート調査を活用し、VOC(お客様の声)を収集するのが効果的です。

 

継続的にフォローできる体制を整える

オンボーディングを成功に導くためには、継続的に顧客をフォローできる体制を整えることが大切です。


順調に工程が進行しているように見える顧客でも、途中で高度な設定を求められて、継続意欲が低下してしまうケースも珍しくありません。


そのため、チャットボットの設置やFAQの拡充など、必要に応じてアプローチを強化する必要があります。


また、ロータッチ層に対しては、コンタクトセンターを拡充するのも手段のひとつです。顧客の現状を常にモニタリングしつつ、タッチモデルごとにフォロー体制を整えましょう。

 

適切なツールを選定する

オンボーディングを設計する際は、適切なツールを選定する必要があります。


オンボーディングツールにはさまざまな種類があるため、顧客のニーズに合わせて選び分けることが大切です。


例えば、ほとんどメールを確認しない顧客に対して、有益なサポート情報を掲載したメルマガを送信しても、閲覧される可能性は低いといえます。


各ツールの機能や強みを十分に比較したうえで、顧客のニーズを満たせるものを選びましょう。

 

オンボーディングのおすすめツール

オンボーディングのおすすめツール

 

ここでは、SaaS型ビジネスに役立つおすすめのオンボーディングツールをご紹介します。

 

ツール名

価格

主な機能

Onboarding

要問い合わせ

セルフオンボーディング
ユーザーごとのガイド表示
顧客状況に関するダッシュボード
機能活用レポート

pottos

初期費用:300,000円~
月額料金:98,000円~

オンボーディング管理
顧客状況の可視化
メール・ポップアップの自動配信

KARTE

要問い合わせ

オンボーディング管理
行動ログ可視化
NPSアンケート
システム連携

Fullstar

月額55,000円~
※無料プランあり

チュートリアル管理
エンゲージメント・アンケート管理
対応リクエスト管理
ストーリー編集

Zendesk Guide

月額49ドル~

FAQ作成・管理
WYSIWYGエディタ
分析レポート

Tayori

月額3,400円~
※無料プランあり

FAQ作成
アンケート作成
問い合わせフォーム作成
チャットサポート構築

WalkMe

要問い合わせ

オンボーディング管理
行動ログ可視化
分析レポート

Product Tours

月額料金:74ドル~
アドオン:月額199ドル

チュートリアル作成
ヘルプページ構築
チャットサポート構築
メール配信

Techtouch

要問い合わせ

デジタルガイド
NPS計測
機能活用レポート

 

オンボーディングツールは、オンボーディング機能に特化したものから、カスタマーサクセス全般の機能を備えたものまで、実にさまざまな種類が存在します。

 

オンボーディングを導入したSaaS企業の事例

オンボーディングを導入したSaaS企業の事例

 

最後に、オンボーディングを導入したSaaS企業の事例をご紹介します。

 

事例1.クラウドサーカス株式会社

事例1.クラウドサーカス株式会社

出典:BowNow

 

クラウドサーカス株式会社は、自社で開発したMAツール「BowNow(バウナウ)」にオンボーディングを採用しました。


MAは「マーケティングオートメーション」と呼ばれ、さまざまなプロセスを経るマーケティング活動を仕組み化することで、業務効率化に結び付けるためのツールです。


使いこなせれば便利なツールではあるものの、複雑で難解な仕様上、高度なスキルを持つマーケティング担当者でなければ理解が難しいデメリットがあります。

 

 そこでBowNowでは、3つのタッチモデルを用いて顧客の理解促進をサポートしています。まずは、顧客がツールの全体像を理解できるよう、導入前に基礎講座を受けてもらいます。


その後、ハイタッチ向けに個別の目標設定を行い、同時にツールの操作動画を視聴してもらうという流れです。


上記のような徹底したオンボーディングを行った結果、BowNowは98.4%という高水準の継続率を達成しています。

 

事例2.Canva(キャンバ)

事例2.Canva(キャンバ)

出典:Canva

 

Canva(キャンバ)は、オーストラリア発祥のグラフィックデザインプラットフォームです。


ポスターやロゴ、プレゼンテーションといった膨大なテンプレートが登録されており、そのなかから好きなデザインを選んで、自分好みに画像や動画を作成できます。


ユーザーは無料でサービスに登録した後、簡単なオンボーディングに参加します。


具体的には、20秒程度のサービス紹介動画を視聴するほか、デザインを行うためのガイドツアーを確認し、具体的な使用方法を習得する仕組みです。


特にCanvaのガイドツアーはユニーク性に優れています。ガイドツアー中に出てくる猿に帽子をかぶせたり、自分の好きな食べ物を探したりと、ゲーム感覚で使い方を学べるため、ユーザーにポジティブな印象を抱かせることが可能です。

 

 2021年9月に評価額が400億ドル(4.5兆円相当)に達し、米経済紙Forbesによって「世界一成長の速いソフトウェア会社」と評価されたCanva。


その成長の陰には、ユーザーを楽しませることに特化したオンボーディングが大きな影響を与えているのかもしれません。

参考記事:【SaaS向け】9つの事例から見るオンボーディング成功の秘訣|目的・用途別に解説

 

まとめ:オンボーディングを導入しSaaS型ビジネスを成功に導こう

まとめ:オンボーディングを導入しSaaS型ビジネスを成功に導こう

 

SaaS型ビジネスでカスタマーサクセスを支援し、顧客満足度や継続率を向上させるには、オンボーディングの取り組みが欠かせません。


サービス導入後の早い段階でアプローチを行うことで、SaaSに対する価値を顧客に実感してもらえるでしょう。


オンボーディングを設計する際は、顧客のニーズや課題を徹底的に調査することが大切です。そのうえでオンボーディングのゴールやKPIを設定し、顧客の課題解決につながるアプローチを実施しましょう。


オンボーディングの取り組みが実を結べば、よりスムーズなカスタマーサクセスを実現できます。

 

カスタマーサクセスの専門会社、アディッシュ株式会社ではカスタマーサクセスにおける業務代行や本記事のようなオンボーディングフェーズにおけるご相談も受け付けておりますので、以下のフォームからお問い合わせいただけたら幸いです!


ホーム /  記事一覧 / オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要性・ポイントをご紹介!

関連記事

インサイドセールス部門のパフォーマンスを把握するためにKPIを設定したいけれど、どのように設定すべきかわからないとお悩みを抱えていませんか?
NPSアンケート調査で回答者から「ブランドは好きだけど友人には秘密にしたい」「ブランドを薦められるような友人がいない」と言われて、精度の高いデータを取得できているのか不安を感じていませんか?そのような方には、NPS×NRSアンケート調査をおすすめします。
カスタマージャーニーを検討する上で、欠かせないのがタッチポイントの存在です。正しくタッチポイントを把握し設定することは、見込み客の認知から購買までの流れをスムーズに促すことにつながります。
組織活動を効率的なものにするための施策として、近年注目されているのがBPOの導入です。BPOはアウトソーシングの一種とも考えられていますが、具体的にはどの様な点で違いがあるのでしょうか。
多くの企業が、顧客が自社の商品・サービスをどのように選択して購入まで至ったのか把握できていませんが、購入までのプロセスを把握することで今よりも効率的に顧客へアプローチすることができます。...
セールス活動はその内容に応じて分類を行うことで、それぞれの施策の強みを正しく理解し、最大限のパフォーマンスを発揮することにつながります。 中でもインサイドセールスとフィールドセールスはセールス施策である点では共通しているものの、そのアプローチは大きく異なるため、違いを理解しておくことが大切です。