オンボーディングとは?目的や手順、実施する際のポイントを紹介!
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武田龍哉
2025.11.25
カスタマーサクセスマネージャーを務める中で「顧客がサービスを継続して利用してくれない」「新メンバーが即戦力にならない」というジレンマに悩んでいませんか?これらの悩みを解決できる取り組みが、オンボーディングです。
今回はオンボーディングについて詳しく解説します。この記事では、従業員・顧客・ユーザー別のオンボーディングの取り組み方をご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
オンボーディングとは

オンボーディングとは、新しい人が環境に馴染み、早期に成果を出せるようサポートすることです。
一般的には、新入社員に即戦力として活躍してもらうためのサポートを指します。
しかし、SaaS業界では顧客がツールの操作に慣れ、目的を達成できるようにするサポートすることもオンボーディングと呼びます。共通点は、新しい環境にスムーズに適応し、最大限のパフォーマンスを発揮できるようサポートすることです。
オンボーディングは単なる初期対応ではなく、継続的な支援を通じて信頼関係を築くことを目的としています。
オンボーディングとOJT、Off-JTの違い
繰り返しになりますが、オンボーディングとは新しい人が環境に馴染み、早期に成果を出せるようにサポートすることをいいます。一方で、OJTやOff-JTはトレーニング方法です。
OJTは現場の業務を進めながらスキルを身に付けるトレーニング方法で、Off-JTは社員研修やセミナーなど知識を体系的に学ぶ座学形式のトレーニング方法です。
つまり、オンボーディング計画にOJTやOff-JTが組み込まれます。
オンボーディングの目的
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オンボーディングの目的は4つあります。
早期戦力化
オンボーディングの目的は、新入社員を早期に戦力化することです。
新入社員が企業文化や業務、必要なスキルを短期間で身につけ、高いパフォーマンスを発揮できるように支援します。
例えば、先輩社員が業務の進め方を指導するOJTを実施すれば、新入社員は3か月後には自分自身で業務を進められるようになることでしょう。新入社員を早期に戦力化できれば組織全体の生産性と競争力が向上します。
組織文化の理解と共有
オンボーディングは企業文化の理解、共有するために行うこともあります。
企業文化とは「企業の価値観」「行動規範」「暗黙のルール」です。文化を理解し、行動に落とし込むことは、単なる業務知識の習得と同じくらい大切です。
文化が共有されることで組織全体で共通認識が持てるようになり意思決定のスピードが上がり、連携もスムーズになります。
離職率の低下
オンボーディングを実施すれば、新入社員の離職率を下げられます。なぜなら、新入社員が会社を去る理由には入社後のミスマッチや、誰にも相談できないという孤独感があるためです。このようなネガティブな要因を取り除きましょう。
例えば、入社後にメンターを付けて定期的に面談を行えば、会社から歓迎されていると感じて、業務上や人間関係の悩みをすぐに相談できるようになります。
歓迎されていると感じられることでエンゲージメントが高まり、自己都合の退職を減らせます。
顧客生涯価値(LTV)の向上
SaaS業界では顧客がツールの操作に慣れ、目的を達成できるようにするサポートすることもオンボーディングといいます。
SaaS業界では、サービス導入時のオンボーディングがLTVに影響を及ぼします。なぜなら、顧客が初期段階で躓くと、早期に解約されてLTVが低下するためです。そのため、顧客がサービスを利用できるように支援し、製品の価値を実感してもらう必要があります。
顧客がサービスの価値を実感できるようになれば、継続的に利用してくれるようになり、LTVが向上します。
関連記事:『LTVとは?意味や計算式、向上させるための施策まで徹底解説!』
関連記事:オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要性・ポイントをご紹介!
オンボーディングの手順
オンボーディングの手順は以下の通りです。
- 事前準備を行う
- オリエンテーションを実施する
- 教育・トレーニングを行う
- フォローアップを行う
ここでは、各手順について解説します。
1.事前準備を行う
オンボーディングを成功させるためには、初日までの事前準備が大切です。
事前準備が不十分だと、初日から「必要なものが揃っていない」「誰にも歓迎されていない」といったネガティブな印象を与え、信頼関係が築けなくなります。
例えば、社員向けの場合は入社日までにPCや業務用アカウントを準備し、当日のスケジュールや集合場所を事前に案内しておき、受け入れ体制を整ておくことが基本です。
顧客向けの場合は、初期設定ガイドの送付や、担当者からの挨拶メールを送っておくことで、スムーズな導入支援が行えるようになります。
2.オリエンテーションを実施する
オンボーディング初日には、全体像を理解してもらうためにオリエンテーションを実施しましょう。
全体像を説明しないままトレーニングを開始すると、相手は不安を感じやすくなります。そのため、共通認識を持つことが大切です。
社員向けの場合は、経営層が会社のミッション・ビジョン・バリューを伝えて、人事担当が就業規則や福利厚生、社内制度を説明しましょう。
顧客向けの場合は、製品の主な機能を紹介し、デモンストレーションを通じてイメージしてもらうことが効果的です。
オリエンテーションを通じて「なぜこれをやるのか」を伝えて学習意欲を高めることで、効果的なトレーニングが行えるようになります。
3.教育・トレーニングを行う
実践に通用するスキルを習得するためには、トレーニングが必要不可欠です。
社員向けの場合は、先輩社員が業務の進め方を教えるのが効果的です。また、ビジネスマナーなど基礎知識は、eラーニングで学べるようにしておきましょう。
顧客向けの場合は、操作ガイド動画や個別コンサルティングを提供します。大切なことは、顧客が叶えたいことを実現できるようにサポートすることです。
4.フォローアップを行う
フォローアップは、離脱リスクを防ぐために欠かせない取り組みです。
対象者は、新しい環境において必ず何らかの不安や疑問を抱えるものです。こうした課題を放置すると、不満が蓄積され、離脱につながる可能性があります。
そのため、定期的に面談を実施して不安を悩みを抱えていないかをヒアリングしましょう。
社員向けの場合は、入社後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月といったタイミングで面談を実施し、業務理解度や職場への適応状況、悩みや不安をヒアリングします。
顧客向けの場合は、サービス導入後のヘルススコアを確認し、利用頻度が落ちている顧客に「使い方がわからずに悩んでいませんか?」と状況を確認することで信頼関係を深めていきます。
オンボーディングを実施する際のポイント
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オンボーディングを実施する際のポイントも併せて覚えておきましょう。ここでは、オンボーディングを実施する際のポイントを5つご紹介します。
日頃からコミュニケーションを取る
オンボーディングを成功させるには、日頃からの継続的なコミュニケーションが不可欠です。新しい環境に慣れるまで、相手は不安や疑問を抱えます。
これらの不安や悩みを早期に発見し、適切に対応するためにはコミュニケーションが欠かせません。こまめに声をかけ、相談しやすい雰囲気を作ることが大切です。これにより、新入社員は抱えている不安や疑問を気軽に相談できるようになります。
小さな目標を設定する
モチベーション維持するために、オンボーディング期間中は達成可能な小さな目標を設定しましょう。
大きな目標に取り組むと、挫折感につながる可能性があります。そのため、小さな目標をクリアしていくことで自信を持たせることが大切です。
成功体験を積み重て自信を付けることで、次のステップに進むための意欲を湧かせられます。
ハイブリッドな学習環境の用意する
オンボーディングにおいて、オンラインとオフラインを組み合わせるハイブリッドな学習環境を構築しておきましょう。なぜなら、すべてを対面で行うと時間と場所に縛られてしまうためです。
一方ですべてをオンラインにすると、文化の理解や人間関係の構築ができない恐れがあるためです。そのため、オンラインとオフライン両方の良い部分を組み合わせる必要があります。
データを活用する
オンボーディングでは、学習状況を把握することが大切です。なぜなら、誰がどの段階でつまずいているかが把握できないと適切なタイミングでフォローができず離脱されてしまうためです。
社員向けの場合では、eラーニングの完了率や習熟度をモニタリングし、スコアが低い人に声をかけましょう。顧客向けの場合では、サービスの初期設定の完了率や利用頻度を把握し、利用率が下がっている顧客をサポートしましょう。データを見れば、ベストなタイミングでフォローできるようになります。
テンプレートで業務効率化を図る
オンボーディングを実施する際は、資料をテンプレート化するなど工夫して業務効率化を図りましょう。なぜなら、担当者により指導の質が変わるのは良くないためです。
また、資料作成などの工数が増えれば、手厚い支援ができなくなります。そのため、資料はテンプレート化しておきましょう。
オンボーディングの取り組み方【参考例】
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オンボーディングは「対象」と「目的」で取り組み方が変わります。ここでは4つのケースに分けて、オンボーディングの取り組み方をご紹介します。
新入社員向けオンボーディング
新入社員の早期戦力化と離職防止には、オンボーディングが必要不可欠です。
入社初日には、企業理念や組織編成・制度・規則を理解してもらうためのオリエンテーションを行います。その翌日から配属先でOJTを実施し、現場の業務を進めながらスキルを身に付けてもらいます。
OJTを実施する際は、先輩社員との1on1面談を設けるなど相談しやすい環境を整えるように心がけましょう。このようなオンボーディングを実施すれば、新入社員は自らの役割を把握し、孤立することなく自信を持って業務に取り組めるようになります。
中途社員オンボーディング
中途社員が早期にスキルを発揮できるようにするためには、情報共有に軸を置いたオンボーディングが必要です。
中途社員は即戦力となりますが、前職と働き方が違うことにより、その実力を十分に発揮できないケースがあります。そのため、入社当日には、組織体制や部門の役割を説明する場を設けて、業務の全体像や連携方法を伝えましょう。
さらに、前職と働き方が違うことにより戸惑いが生じたときに相談できるメンター制度を導入することで「誰に相談すればよいか」がわかり、安心して働けるようになります。
このような取り組みにより、中途社員はスムーズに業務に馴染み、迷いなく専門性を発揮することで、組織への貢献度を最大化できます。
顧客向けオンボーディング
顧客向けオンボーディングでは、商品やサービスを購入した顧客が迷うことなく利用を開始し、期待通りの効果を得られるようサポートすることが大切です。
具体的には、専任のカスタマーサクセス担当者による初期設定支援や、他社の活用事例の共有などが有効な施策です。こうした支援を通じて顧客が自身の課題を解決できれば、サービスに対する愛着が生まれます。
その結果、顧客はロイヤルカスタマーへと成長し、サービスを継続的に利用してくれるようになります。
ユーザーオンボーディング
ユーザーオンボーディングとは、モバイルアプリやWebサービスを初めて利用するユーザーがスムーズに操作できるように改善することをいいます。ゴールは、ユーザーがモバイルアプリやWebサービスを使いこなせる状態にすることです。
例えば、アプリ起動時に操作ガイドを表示したり、サービスの価値を伝えるスライドを表示したりなどの工夫が効果的です。
このような工夫により、ユーザーはマニュアルを読むことなくモバイルアプリやWebサービスを利用できるようになります。
まとめ
オンボーディングは、新しい人が環境に馴染み、早期に成果を出せるようサポートすることです。その目的は、従業員の早期戦力化・離職率の低下から、SaaSにおける顧客生涯価値(LTV)の向上に至るまで多岐にわたり、事業成長に不可欠な取り組みです。
オンボーディングを成功させるためには、「事前準備」「オリエンテーション」「トレーニング」フォローアップ」を計画的に実施することが大切です。
また、コミュニケーションを取り、小さな成功体験の積み重ねる工夫も欠かせません。この記事では、オンボーディングの取り組み方をご紹介したため、これを機会に見直してみてください。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。
