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デジタルアダプションとは?メリットやデメリット、導入ステップまで解説!

「最新システムを導入したのに、なぜか現場で使われない…」「DX推進が理想通りに進まない…」とお悩みを抱えていませんか?

どれほど優れたデジタルツールを導入しても、現場で使用されなければ投資効果は得られません。このような事態を防ぐための取り組みが、デジタルアダプションです。

今回は、デジタルツールを導入して現場に定着させるために必要不可欠な「デジタルアダプション」について解説します。DX推進にも欠かせない取り組みのため、ぜひ参考にしてください。

デジタルアダプションとは

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デジタルアダプション(Digital Adoption)とは、企業が導入したデジタルツールやソフトウェアを、従業員が最大限に使いこなせるように促すための取り組みを指します。

DAP(Digital Adoption Platform)と呼ばれるツールを利用し、デジタルツールやソフトウェア上に操作ガイドを表示させたり、ルールに沿ったデータ入力を制御したりして、従業員がマニュアルを見なくても操作できるように促します。

 

デジタルアダプションの目的は、従業員にデジタルツールの機能や価値を理解させて、日常の業務に使用してもらい、それを定着させることです。企業が導入したデジタルツールやソフトウェアのROI(投資対効果)を最大化するための取り組みです。

 

デジタルアダプションとDXの違い

デジタルアダプションとDXは密接に関与していますが「目的」が違います。

DXはデジタル技術を駆使してビジネスモデルを根本的に変革しし、競争優位性を確立することを目的としています。

一方で、デジタルアダプションの目的は、従業員にデジタルツールの機能や価値を理解させて、日常の業務に使用してもらい、それを定着させることです。

どんなに優れたデジタルツールやソフトウェアを導入しても、従業員が使いこなせなければ意味がありません。DX投資が無駄になります。つまり、デジタルアダプションはDXを成功させるための取り組みとなります。

デジタルアダプションの市場規模

ITコンサルティング会社の株式会社アイ・ティ・アールのプレスリリースによると、デジタルアダプションの市場規模は急成長しています。

デジタル・アダプション・プラットフォーム市場の2024年度の売上金額は65億9,000万円、前年度比66.0%増となりました。

企業内においては、DX推進や業務効率化のためのシステム導入に伴う操作教育の効率化やコスト削減を主な目的に導入が進んでいます。

一方、顧客向けサービスでは、顧客支援におけるコスト削減や利益最大化への期待から注目度が高まっています。

これらのことから、同市場のCAGR(2024~2029年度)は49.9%、2029年度には500億円に迫る市場規模に達すると予測しています。

引用:株式会社アイ・ティ・アール「ITRがデジタル・アダプション・プラットフォーム市場規模推移および予測を発表」

プレスリリースからも、DXを成功させるための取り組みであるデジタルアダプションが注目されていることがわかります。

デジタルアダプションのメリット

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デジタルアダプションには3つのメリットがあります。

ROI(投資対効果)の最大化

デジタルアダプションは、企業が導入したデジタルツールやソフトウェアの投資対効果(ROI)を最大化するための取り組みです。

ERP、CRM、SFAなどの新しいものを導入する際に多額の費用を投じますが、投資に見合う効果が出ない原因は、現場の従業員がツールを使いこなせないことです。

デジタルアダプションに取り組めば、従業員がデジタルツールやソフトウェアの価値、使い方が理解できるようになり、日常業務に活用するようになります。

デジタルツールやソフトウェアが使用されない事態を防ぐことができ、ROI(投資対効果)を最大化できます。

生産性の向上

従業員がデジタルツール、ソフトウェアを操作できるようになれば、業務効率を大幅に向上できます。

新しいシステムを導入した後には、従業員が操作方法に戸惑いマニュアルを読んだり、同僚に尋ねたりといった非効率な問題が多発し生産性が落ちてしまいかねません。

しかし、デジタルアダプションに取り組み、デジタルツールやソフトウェアに操作ガイドを表示することで、従業員がマニュアルを読むことなく操作できるようになります。結果、デジタルツールを駆使して業務効率化を図ることができ、生産性が向上します。

従業員満足度の向上

デジタルアダプションは、従業員満足度の向上にも貢献します。使いにくいデジタルツールは、従業員にとって大きなストレスやフラストレーションの原因となり、ストレスを溜めてしまうことにもなりかねません。

複数のデジタルツールやソフトウェアを往復するデジタルツール疲れも深刻な問題となっています。そのため、デジタルアダプションに取り組み、従業員の負担を軽減していかなければなりません。

デジタルアダプションに取り組めば、従業員が負担を感じることなく、さまざまなツールを使いこなせるようになるため、達成感と自信を与えられます。

デジタルアダプションのデメリット

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デジタルアダプションにはデメリットも2つあります。

VoC(顧客の声)の収集機会の減少

デジタルアダプションに取り組めば、従業員がデジタルツールやソフトウェアを使いこなせる環境が整い、問い合わせ件数が減少します。

望ましい状況のように思えますが、従業員が感じている不満や困り事を把握する機会がなくなる恐れがあります。 従来は問い合わせを通じて、「どこで躓いているのか」が明らかになっていました。

しかし、デジタルアダプションで自己解決できるようになれば、表面化しない課題が見逃されるリスクが高まります。そのため、従業員アンケートを実施するなど工夫が必要です。

関連記事:「VoC分析とは何か?収集方法や分析方法、手順を解説!」

コストの増加

デジタルアダプションに取り組むにはコストがかかります。

たとえば、DAP(デジタルアダプションツール)の導入費用や、教育コンテンツを作成するためのチーム構築が必要です。 

長期的な視点で見ると、生産性向上や投資対効果の最大化につながる取り組みです。しかし、短期的な視点でみるとコストや工数が増加します。そのため、コストとリターンのバランスを見極めながら進めていくことが大切です。

デジタルアダプションが求められる背景

デジタルアダプションは、DXの成否を分ける重要な取り組みです。

企業が優れたデジタルツールやソフトウェアを導入しても、現場で活用されなければ投資が無駄になり、DX推進は頓挫してしまいます。デジタルアダプションに取り組み、従業員がデジタルツールを使いこなせるように促すことで、デジタル投資のROIを最大化できます。

また、変化の激しいビジネス環境に対応するためにも重要な取り組みです。市場の変化や競争優位性を維持するために、新しいシステムを導入していかなければなりません。

デジタルアダプションの仕組みを構築しておくことで、俊敏性(アジリティ)が向上します。つまり、デジタルアダプションは企業の競争力を高めるための土台となる取り組みです。

デジタルアダプションを実現するためのステップ

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デジタルアダプションは4STEPで実現できます。

1.目的を明確にする

デジタルアダプションに取り組む上で「なぜ必要なのか」「何を達成したいのか」を決めます。

まず、デジタルアダプションを通じて解決したい課題を特定します。例えば、「新しいシステムへの移行後、従業員の利用率が低下した」「従業員のトレーニングコストがかかる」といった課題を洗い出しましょう。

次にKPIを設定します。「新しいシステムを導入後に従業員の利用率を20%向上させる」「新入社員のオンボーディング期間を30%短縮する」などです。目的を明確にすることで、施策の方向性が定まりやすくなります。

2.ユーザー行動を分析して課題を洗い出す

次に、既存デジタルツールのユーザー行動を分析して課題を洗い出します。プロダクトアナリティクスデータを活用して「どの機能が使われていないか」「どのような問い合わせが多いか」を把握しましょう。

また、従業員のデジタルリテラシーを考慮に入れ「デジタルツールで操作しにくい箇所は?」など定期的にヒアリングしましょう。現状分析を行うことで、ボトルネックとなっている箇所を特定できるようになります。

3.コンテンツを作成する

次に、ボトルネックにアプローチするためのコンテンツを作成します。DAPツールを活用して、以下のようなコンテンツを作成しましょう。
<デジタルアダプションの施策例>

チュートリアル 新しいシステムやソフトウェアの操作方法を学習するためのガイドを表示する
ツールチップ 特定の箇所にマウスを置いたときに必要な情報を表示する

4.効果測定して改善する

次に、デジタルアダプションの取り組みが成果につながっているかを測定します。プロダクトアナリティクスでユーザー行動を集計、分析してボトルネックが解消されたかどうかを確認します。

また、新しいボトルネックが発生していないかを確認し、PDCAサイクルを回していきましょう。デジタルアダプションは一度で完結するものではありません。システムがアップデートされたり、業務プロセスが変更されたりする度に取り組むものです。

デジタルアダプションを成功させるためのポイント

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デジタルアダプションを成功させるためのポイントは5つあります。

推進体制を確立させる

デジタルアダプションを成功させるためには推進体制を確立しましょう。

まず、全社的な業務プロセスを変革する場合などは、経営層のコミットメントが欠かせません。経営層が「なぜデジタルアダプションが必要なのか」というメッセージを発信することで、現場の抵抗を抑えて推進力が生まれます。

また、推進力を高めるためにIT担当者や教育担当者など複数部署のメンバーからなる専任チームを結成することが望ましいです。専任チームが中心となり、計画立案、実行、評価を一貫して担うことで成功しやすくなります。

ユーザー目線を大切にする

デジタルアダプションを成功させるためには、ユーザー目線に徹底的に立ったサポートが欠かせません。

ユーザーはデジタルツールの操作で困ったときに、すぐに解決したいと考えています。このようなニーズに応えるため、DAPを活用した「必要なときに、必要な情報だけ」を提供するリアルタイムのガイドが極めて重要となります。

システム画面上に表示される操作ガイドはわかりやすくなければなりません。そのため、ユーザー目線に立ったコンテンツを作成するように心がけましょう。

データに基づいた意志決定を行う

デジタルアダプションに取り組み、デジタルツールのROIを最大化するためには、データに基づいた意思決定を行うことが大切です。

プロダクトアナリティクスから「ユーザー利用率」「機能の実行率」「エラー率」「サポートデスクへの問い合わせ件数」などを収集・分析しましょう。このデータ結果から、どこがボトルネックになっているかを把握して、改善していきます。

もし期待した効果が得られていない場合は、ボトルネックを特定し、コンテンツの内容や表示のタイミングを調整するなど、施策を微調整してください。

デジタルアダプションの成功事例

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デジタルアダプションに取り組む企業では、どのような効果が見込めているのでしょうか?デジタルアダプションの成功事例を見ておきましょう。

コンサル会社

コンサル会社では、購買システムの導入・定着化にあたり、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)を活用しました。

購買システムは操作手順が複雑であり、従業員がシステム利用時に迷うことによる社内からの問い合わせ増加と、それに伴うヘルプデスク担当者の負荷増大が懸念されていました。

DAPを活用し、システムの入力フォームや複雑な操作手順の上に、リアルタイムの操作ガイドやツールチップをオーバーレイ表示しました。

これにより、従業員はマニュアルを参照することなく、画面上でステップバイステップの支援を受けられるようになりました。導入後、システム操作に関する社内からの問い合わせ件数が9割削減されました。

印刷会社

印刷会社では、基幹システムの刷新・リプレースプロジェクトにおいて、従業員へのシステム浸透と安定稼働を最重要とみなし、DAPを活用しました。

全社的なシステム刷新は、従業員に対して新しい操作方法を一斉に教育する必要があり、従来の集合研修やマニュアル作成では膨大なコストと時間がかかる上、現場への定着に不安が残るという課題がありました。

DAPを活用し、新しいシステム画面上に、必須入力項目を案内するツールチップや、複雑な操作手順を導くデジタルガイドを実装しました。

これにより、ユーザーはマニュアルを参照する手間なく、システム上でリアルタイムにセルフラーニングできるようになりました。大規模なシステム刷新を期限内で実現しつつ、導入後に発生しがちな操作方法に関する問い合わせやシステムエラーを抑制し、システムの安定稼働に成功しました。

まとめ

デジタルアダプションとは、企業が導入したデジタルツールを現場に使用してもらい定着させるための取り組みです。既存システムの課題を洗い出して、役立つ操作ガイドやツールチップを埋め込むことで、さまざまな人に利用してもらえるようになります。

もし「システムを導入したにも関わらず現場に利用してもらえない」「DX推進に課題がある」とお悩みを抱えている場合は、アディッシュまでお気軽にご相談ください。


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