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【ある日突然、カスタマーサクセスのチームの一員になって見えてきたこと】 〜カスタマーサクセスで得た、リアルな気づきと実務ナレッジ〜

導入『なぜカスタマーサクセスを選んだのか』

近年、SaaSを中心に注目を集めているカスタマーサクセスという仕事。

私は営業職を長く続けていた経験から、売って終わり、受注したそれ以降はメインで担当を行わずに次の新たな顧客を創造していくということをひたすら続けていました。

 

もっと深くサポートしたい、フォローし続けたい、関係構築を維持し続けたい。

そのような秘めた渇望から、顧客の長期的な成功を支援する役割に魅力を感じ、カスタマーサクセス職としてのキャリアを選択しました。

 

特に「売って終わり」ではなく「使い続けてもらって初めて価値になる」ビジネスモデルにおいて、カスタマーサクセスは企業の成長に欠かせない存在であり、これからの社会に必要不可欠な献身的業態だと考えたからです。


入社前、カスタマーサクセスの業務は“プロダクトの利用促進”や“導入サポート”が主なイメージでもありましたが、実際に現場に入ってみると、そこには想像以上に多面的な役割と責任と顧客との関係性がありました。

 

本記事では、私がカスタマーサクセスとして得たリアルな気づきや実務ナレッジを、できるだけ具体的にご紹介します。

現場で直面したギャップ『理想と実態の間にあるもの』

■ 情報の多さと業務範囲の広さ

カスタマーサクセスの仕事は一言で言えば「顧客の成功を実現すること」ですが、その手段やアプローチは多岐にわたります。顧客の業界理解や業務把握に始まり、自社プロダクトの機能把握、CRM・分析ツールの活用、契約管理、チーム連携、さらにはマーケティングや営業といった他部署との橋渡しも担います。


初回打合せから始まるオンボーディングの初期は、毎日大量の情報を処理しながら、顧客との対話に備える必要がありました。「この業界では何がKPIなのか?」「この機能は誰にとっての価値なのか?」といった問いに即座に答える力が常に求められます。

 

特定の顧客対応だけでなく、広範な業務知識を“横断的”に持つことがカスタマーサクセスには求められるのです。

 

■ 成果指標の曖昧さ

営業職であれば「受注数」、マーケ職であれば「リード獲得数」など、比較的明確なKPIがあります。一方、カスタマーサクセスの成果は“継続利用”や“活用促進”といった中長期的な結果であることが多く、直接的に「この行動がこの成果につながった」と言いづらい面があります。


このため、個別施策のインパクトを検証するためには、自ら仮説を立ててKPIを設定し、地道にモニタリングを続ける姿勢が必要不可欠です。加えて、顧客との信頼関係の構築という非常に『定量化しにくい成果』にも真剣に向き合い続ける必要があり、到達点の無い終わりなき旅に向かうことなります。

実務で得た気づき①『カスタマーサクセスは「成果の設計者」である』

配属当初は、日々変化するシステムと目の前の課題に対応することで精一杯でした。しかし業務を重ねる中で、カスタマーサクセスの役割は「顧客のゴール達成に向けてプロセスを設計・推進すること」だと気づきました。

 

いわば、顧客の“成果に向けたプロジェクトマネージャー”という立ち位置です。

 

■ 顧客ごとに異なる「成功」の定義

ある顧客にとっての成功が「業務工数の削減」である一方、別の顧客にとっては「現場社員の定着率向上」であることもあります。

 

だからこそ、まずは顧客のビジネスモデルや事業課題を理解し、「何をもって成果とするか」を一緒に定義することが出発点になります。

 

■ 成果を逆算して、施策を設計する

成果定義ができたら、それを実現するために必要なアクションを逆算し、具体的なステップに落とし込む必要があります。

 

このとき重要なのが、「仮説思考」と「進捗管理力」です。

 

施策を実行しながら、仮説と結果を比較し、柔軟に修正していくPDCAの回転が、カスタマーサクセスの成果創出には欠かせません。もちろん回転を行いつつ顧客との関係を維持し続けることが前提となります。

実務で得た気づき②『カスタマーサクセスは“チーム戦”と“ナレッジ戦”』

カスタマーサクセスは一見すると顧客との1対1の関係に見えますが、実態は“チーム戦”であり、“ナレッジ戦”です。

 

■ ナレッジの重要性

例えば、過去に同じ業界で成功した導入支援の進め方、オンボーディングに失敗したケースの教訓、あるツールの活用提案が刺さった理由、こういった実践知がナレッジとして蓄積されているか否かで、カスタマーサクセス担当者の対応力には大きな差が出ます。


私の所属するチームでは、Notionを使い始めたことで、成功・失敗を問わず事例を記録し、施策の背景や顧客の反応まで含めて共有しています。こうした文化があることで、新人であっても質の高い支援が可能になり、結果的に顧客満足度も向上しつつあります。

 

■ 心理的安全性とフィードバックし続ける文化

また、チーム内で自由に意見を出し合える“心理的安全性”は、ナレッジ共有の前提条件です。自分の失敗をオープンに語れる環境があってこそ、組織としての学習が進み、高まり合います。

 

カスタマーサクセスの現場では、「正解がないこと」に取り組む場面も多いため、個人の成功体験だけでなく、組織の集合知が極めて重要です。

実務で得た気づき③『カスタマーサクセスの価値は“顧客の変化”に現れる』

カスタマーサクセスの最もやりがいのある瞬間は、「顧客の変化」を感じたときです。数値に表れる前の、小さな兆しにこそカスタマーサクセスの介在価値が宿ります。

 

■ 顧客の“変化”とは

たとえば、提案を受け身で聞いていた担当者が、「実はこういう使い方も考えていまして」と自らアイデアを語ってくれるようになった瞬間です。

 

また、導入を渋っていた部門が前向きな姿勢を見せ、社内で活用事例を紹介してくれたときなどもあります。こうした変化は、単なる機能活用の枠を超えて、“顧客組織の中に起こった行動変容”です。

 

■ 定量と定性の両方を見る

データ(活用率、NPSなど)だけでは見えない変化に気づくためには、顧客との日々の対話や、細やかな観察が不可欠です。

 

定性的な情報も記録・分析し、定量と組み合わせて総合的に判断する姿勢が、成果を高めるカスタマーサクセスには欠かせません。

まとめ『カスタマーサクセスは「顧客の変化」を起点に成果を生み出す仕事』

カスタマーサクセスは、単なるサポート職ではありません。顧客の目指すべき成果を定義し、それをともに追いかけていく「成果共創」のパートナーです。

 

このパートナーシップこそが職務の核となります。そしてその価値は、顧客の行動や意識の“変化”に現れます。


現場での学びを通じて、私はカスタマーサクセスが“戦略的な役割”であり、ビジネスの根幹を支える存在であると強く感じています。今後は、自身のナレッジをさらに深め、仕組みとして組織に還元し、より多くの顧客に“本質的な価値”を届けていきたいと考えています。


カスタマーサクセスに関わるすべての人が、顧客の変化にワクワクできる、そんな世界の実現に少しでも貢献できるように歩みを止めずに進んでいきたいです。


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