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SaaS開発からカスタマーサクセスへ転向して見えたこと──“顧客の声”を活かす新しい役割

私はもともとSaaSプラットフォームを活用したシステム開発に従事していましたが、現在はカスタマーサクセスの領域に携わっています。エンジニアとしてのバックグラウンドを持ちながら、顧客と直接対話する役割にシフトしたことで、さまざまな視点からサービス改善に関わるようになりました。

本記事では、開発職からカスタマーサクセス職へとキャリアチェンジした私の経験を通じて、「顧客の声を活かす重要性」や「プロダクト価値を最大化する取り組み」について具体的にご紹介します。カスタマーサクセス職への転向を検討している方や、あるいは開発部門・営業部門など他部門との連携に課題を感じている方にとって、ヒントとなる視点を提供できれば幸いです。 

 

顧客ニーズと開発現場の“すれ違い”──転向の原点

開発時代に感じていた最も大きな課題は、顧客のニーズと開発側の認識に乖離があることでした。開発者が「良い」と思って作った機能が、実際には顧客にとっては使いにくい、もしくは不要なものだったというケースも少なくありませんでした。

そんな中、私はSaaSプラットフォームの活用セミナーのプロジェクトで講師を担当する機会を頂きました。ある受講者の方から「プラットフォーム上で◯◯のように活用したいのですが、できますか?」という質問を受けたときのことが、今でも印象に残っています。

 

その内容は、私自身が想定していなかった活用方法で、非常に驚かされました。この経験から、エンドユーザーに近い立場で業務に携わり、開発者との橋渡しができる役割の重要性を強く感じました。そして、サービス改善により直接的に貢献したいという思いが芽生え、カスタマーサクセスへの転向を決意しました。

 

開発と顧客理解を兼ね備えた“ハイブリッド型”人材として

エンジニアリング経験を経て、カスタマーサクセスに転向するというキャリアは、まだ少数派かもしれません。しかし、技術的な理解と顧客視点の両方を持っていることは、大きな強みになると感じています。

特に、開発側と顧客の間に立ち、互いのニーズや制約を翻訳するような役割を果たせるのは、両方の立場を知る人材だからこそ担えるポジションです。 このような“ハイブリッド型”の人材は、プロダクト開発の方向性を見極める上でも、組織の横断的な連携を促進する上でも、今後ますます求められていくでしょう。

 

実体験から見えた──カスタマーサクセスの本質的な価値

顧客との直接対話や、セミナー講師としての活動を通じて、カスタマーサクセスの役割は単なるサポート業務ではなく、企業と顧客をつなぐ「橋渡し役」であると強く感じました。

例えば、あるSaaSプラットフォームのシステム開発のプロジェクトでは、担当クライアントと対話を重ね、プラットフォームの活用意図を深く理解した上で支援を行いました。ユーザーごとにITリテラシーや活用目的に違いがあり、画一的な支援では対応しきれない現実を痛感しました。

また、導入支援セミナーで多数の顧客に同時に活用方法を伝える中で、「初めてで何をどう設定すればいいかわからない」といった共通の課題が多く聞かれました。こうした声は、機能改善の優先度を判断する上で非常に参考になり、プラットフォーム活用の方向性にも影響を与えることになりました。

顧客の声が未来をつくる──プロダクトと組織を進化させる力

カスタマーサクセスは、顧客の声を開発にフィードバックし、製品やサービスを進化させる重要な役割を担っています。顧客がプロダクトを効果的に使いこなし、本来の業務課題を解決することで満足度が向上し、結果として継続的な利用やLTV(顧客生涯価値)の向上にもつながります。

一方で、開発側にとっても、ユーザーの具体的な課題を正確に把握できることで、効率よく価値のある機能改善ができるようになります。プロダクトの価値を最大限に引き出すためには、顧客との接点で得た“リアルな声”を起点にした改善活動が不可欠です。

 

「知らなかった」から「不可欠な存在」へ──私が信じるカスタマーサクセスの未来

私が開発者だった当時は、「カスタマーサクセス」という言葉すら知りませんでした。しかし、その本質的な価値は確実に必要なものであり、今後ますますその重要性は高まっていくと感じています。

特にSaaSのような変化と継続が前提となるプロダクトにおいては、「売って終わり」ではなく、「使いこなしてもらうこと」が成果につながります。だからこそ、カスタマーサクセスの存在は、企業にとっても顧客にとっても、今後さらに欠かせないものになっていくでしょう。

これからも、現場で得た気づきを大切にしながら、プロダクトと顧客、そして組織全体をつなぐ架け橋として、私自身も工夫と挑戦を重ねていきたいと思います。


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