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現場担当者がつまずかないための6つの視点 ── 経営管理システムのオンボーディングガイド

経営管理システムの導入は、企業の成長を大きく左右する重要なプロジェクトです。
その成否は、導入初期における「オンボーディングの質」にかかっています。


本稿では、システム導入を成功に導き、顧客との信頼関係を構築するために、「オンボーディング担当者が特に意識すべき6つの視点と実践」について解説します。

顧客の羅針盤を明確にする支援:導入目的とKPI設定の深掘り

顧客がなぜ経営管理システムを導入するのか、その真の目的を深く理解することがオンボーディングの第一歩です。


「業務効率化」「意思決定の迅速化」「情報共有の促進」といった顧客の言葉の奥にある課題や期待を引き出し、具体的な目標設定を支援します。

  • オンボーディングの視点
    顧客が設定した導入目的とKPIが、具体的で、測定可能で、達成可能で、関連性があり、時間制約がある(SMART原則)かを確認し、必要に応じて見直しを提案します。
  • 実践例
    • 顧客との初期ヒアリングでは定量的な目標だけでなく、定性的な期待値(例:部門間の連携強化、属人化の解消)も丁寧にヒアリングし、それらがKPIにどう影響するかを議論します。
    • KPI設定ワークショップを実施し、顧客自身が納得感を持てる目標設定を支援します。

 

全社一丸となるための橋渡し:各部署との連携促進

経営管理システムで扱う数字は、各部署の日々の業務から生まれるデータの集積です。
そのため、システムに関わる全ての部署からの同意と協力が不可欠となります。


実際に詳細なデータを入力するのは各部署の担当者であり、彼らがシステムの目的やメリットを理解していなければデータの品質は低下し、システム全体の価値を損なう可能性があります。


システムの導入初期段階から各部署を巻き込み、丁寧に説明を行うことが重要です。

  • オンボーディングの視点
    システム導入のメリットを各部署の視点に合わせて明確に伝え、早期からの巻き込みを支援します。
  • 実践例
    顧客内の関係部署を集めた説明会やワークショップを企画・実施し、システム導入の目的、各部署の役割、期待される効果などを丁寧に説明します。
    例えば「これまで煩雑だった報告業務がシステム上で一元化されてリアルタイムでの情報共有が可能になる」といった具体的なメリットを伝えることが効果的です。

 

プロジェクト推進を加速させる:多忙な担当者への配慮と巻き込み

経営管理システムの導入プロジェクトは、データ移行、システム設定、社員へのトレーニング、運用体制の構築など、多岐にわたるタスクを並行して進める必要があります。
多忙な経営管理担当者がこれらの業務を通常業務と並行して行うのは困難であり、プロジェクトの遅延や停滞を招きかねません。


そのため、
「誰が何を、いつまでに」担当するのかを明確にし、役割と責任の所在をはっきりさせることが、スムーズな進行に不可欠です。

  • オンボーディングの視点
    顧客の経営管理担当者が、日々の業務(各部署のデータ集計、経営会議資料作成、予算策定など)で多忙であるという前提を理解し、導入作業のスケジュール調整などに配慮します。
    特に繁忙期を避け、集中してシステム導入に取り組める期間を設定することを推奨します。
  • 実践例
    • 初期段階で、顧客から業務の繁忙期やスケジュールをヒアリングし、無理のない導入計画を共に策定します。
    • 導入タスクの優先順位付けをサポートし、担当者が効率的に作業を進められるよう支援します。

 

現状把握から始める:業務の可視化とシステム反映

経営管理システムの導入を検討する企業の中には、「システムの導入と同時に、懸案事項となっている社内の問題も解決したい」と考えるケースが少なくありません。


また、経営管理は企業ごとに固有のノウハウや強みがあり、それを活かすことがスムーズな導入と定着の鍵となります。

  • オンボーディングの視点
    まずは現在の業務フローを正確に把握し、それを忠実にシステムに反映させることを強くお勧めします。顧客担当者自身も、自社の業務を漏れなく詳細に伝えることは困難であることを理解し、丁寧にヒアリングを進めます。
  • 実践例
    業務分析のヒアリングシートやワークショップなどを活用して顧客の業務プロセスを可視化する支援を行います。その上で、システムの標準機能で「今できること」を具体的に提示し、顧客担当者が基本機能を理解・活用できた段階で、次に業務改善や高度な活用方法を検討していくのが効率的であることを伝えます。

 

スムーズな移行をデザインする:データ移行計画の策定支援

既存のシステムやExcelなどで管理しているデータを新しいシステムに移行する作業は、慎重かつ計画的に行う必要があります。


データの形式が異なる場合や不要なデータが含まれている場合もあるため、事前にデータのクレンジングを行い、移行計画をしっかりと立てることが重要です。

 

  • オンボーディングの視点
    データ移行の手順、注意点、リスクなどを顧客に丁寧に説明し、具体的な移行計画の策定を支援します。
  • 実践例
    • データクレンジングの必要性や具体的な方法、移行ツールの活用などをアドバイスします。
    • テストデータを用いた移行リハーサルを推奨し、本番移行時のリスクを最小限に抑えるためのサポートを行います。
    • バックアップ体制の重要性を強調し、顧客のデータ保全意識を高めます。

 

成長を支援する継続的なパートナー:導入後のフォローアップと改善提案

経営管理システムの導入は、システムの稼働開始がゴールではありません。
導入後のフォローアップと継続的な改善を通じて、システムを常に最適な状態に保つことが重要です。

 

  • オンボーディングの視点
    定期的な利用状況のモニタリング、効果測定、顧客からのフィードバック収集を通じて、システムの課題や改善点を見つけ出し、顧客に提案します。
  • 実践例
    • 定期的なフォローアップミーティングを実施し、システムの利用状況や顧客の課題を共有します。
    • KPI達成度合いを共に確認し、更なる改善に向けたアクションプランを策定します。
    • システムのアップデート情報や新たな活用方法などを積極的に提供し、顧客のシステム活用レベル向上を支援します。

 

まとめ

経営管理システムの導入を成功させるためには、システムの機能だけでなく、導入プロセス全体を顧客と伴走するオンボーディング担当者の支援が重要です。


上記の6つの視点を持ち、顧客の成功を第一に考えた丁寧なオンボーディングを実践することで、顧客との信頼関係を築くことができるでしょう。


長期的なパートナーシップは、双方にとって価値のある関係を築く上で不可欠です。


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