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“対自分”から“対相手”へ──カスタマーサクセス定例で大切にしたい5つのこと

「定例ミーティングって、どう進めればいいんだろう?」

カスタマーサクセスに携わっている方の中には、そんなふうに悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。

 

カスタマーサクセスの定例ミーティングは、お客様と定期的にコミュニケーションを取り、活用状況のキャッチアップやフィードバック収集を行う重要な場です。とはいえ、「何を話せばいいのか分からない」「毎回同じ内容になってしまう」と悩むこともあると思います。


私自身、月に一度、30分〜1時間ほどの定例ミーティングを複数のお客様と行っています。フェーズとしては、運用が軌道に乗ったあとのサポートが中心で、プロダクトをより効果的に活用していただくためのヒアリングや提案、改善のヒントを拾うことが主な目的です。


この記事では、私が定例ミーティングの中で意識している5つのコミュニケーションの工夫と実際によく使っているフレーズもあわせてご紹介します。ポイントは、「自分がどう話すか」よりも「相手がどう感じてくれるか」、定例の時間を“単なるルーティーン”ではなく、“関係性を育てる時間”にするために、大切にしている考え方です。

 

私が定例で気をつけている5つのこと

1. 「話す」より「聞く」具体的な問いかけを

カスタマーサクセスとして、話すべきこと・伝えたい情報はたくさんあります。ですが、それ以上に大事なのは「聞く姿勢」を持つことです。


たとえば、「何か困っていることはありますか?」と漠然とした聞き方をしてしまうと、相手は「特にないです」と答えがちです。理由は簡単で、抽象的すぎて具体的な場面が思い浮かばないからです。


一方で、「〇〇の操作感、実際使ってみてどうでしたか?」といったように、具体的なシーンを想起させる聞き方をすると、相手も自然と本音を話しやすくなります。細かい問いを投げかけることで、相手の温度感や課題が見えてきます。


よく使うフレーズ:

  • 「最近、業務の中で気になっていることはありますか?」
  • 「プロダクトを使う中で、“もう少しこうだったら”と感じる点はありますか?」
  • 「実際に活用されている現場の方のご意見やご感想は届いていますか?」
  • 「導入してから、業務にどんな変化がありましたか?」
  • 「活用されていて、違和感を感じる部分はありますか?」

 

2. 感謝と伴走の姿勢を言葉にする

カスタマーサクセスは、サービス提供側でありながらも「お客様の味方」であるべきだと考えています。


定例はお客様の業務時間をいただいているもの。だからこそ、最初に「本日はお時間ありがとうございます」と一言添えるだけでも、相手の印象は変わります。また、新機能の検証やフィードバックに協力いただいた場合は、丁寧に感謝の言葉を伝えるようにしています。


カスタマーサクセスはただ単にサポートする人ではなく、【同じゴールを目指すパートナー】だと考えているので、例えば「こういった改善を目指して、私たちも今こう動いています」と共有することで、並走している感覚を持っていただくように意識しています。


よく使うフレーズ:

  • 「本日はお時間をいただき、ありがとうございます」
  • 「お忙しい中、ご対応いただき助かります」
  • 「フィードバックをいただけるのは本当にありがたいです」
  • 「私たちも、〇〇の改善に向けて動いています」
  • 「一緒によりよい形を探していければと思っています」

 

3. 小さなフィードバックも拾って、社内へ届ける

「ちょっと気になっただけなんですけど…」というお客様からの一言が、実はプロダクト改善の大きなヒントになることがあります。


そのため、些細な指摘や気づきも、しっかりメモを取り、「社内にも共有しておきますね」とその場で伝えるようにしています。こうすることで、「言ってよかった」と感じてもらえるだけでなく、こちらへの信頼感にもつながります。


また、可能な限り「いつまでに共有し、どんなアクションがあるか」を具体的に伝えるようにしています。たとえば、「この件は来週の開発会議で取り上げますので、そのあと改めてご連絡しますね」といった形です。


相手の声を拾い上げ、責任を持って持ち帰ること。それもカスタマーサクセスの大切な役割です。


よく使うフレーズ:

  • 「その点、社内にも共有しておきますね」
  • 「そういった声は他のお客様からもいただいています」
  • 「開発側にもフィードバックを届けます」
  • 「具体的な改善時期は改めてご案内します」
  • 「ご指摘いただき、ありがとうございます」

 

4. スクリプトに頼りすぎず、自分の言葉で話す

定例前にはスクリプトやメモを準備していますが、実際の会話ではなるべく【目の前の人と話している】ことを意識しています。


以前は、スクリプト通りに話すことに意識が向きすぎてしまい、相手の反応を見逃してしまうことがありました。


特に「この場を乗り切らなきゃ」「うまく話さなきゃ」と焦ってしまうと、つい“対自分”のモードに入ってしまいます。


今は、完璧に話すことよりも「伝わること」を意識して、少し崩した言い回しでも【自分の言葉】で伝えるようにしています。


相手が理解しやすくなるだけでなく、「この人と話しやすい」と感じてもらえるきっかけにもなります。


よく使うフレーズ:

  • 「こういう表現で伝わりますかね?」
  • 「実を言うと、こういう風に考えてまして」
  • 「ざっくり言うと、こんな感じです」
  • 「ちょっとラフな表現になりますが…」
  • 「あくまで個人的には、こう思います」

 

5. 一方通行にならないように、こまめに確認する

機能説明をしているときなど、「特に質問がなかったから、理解されたのかな」と思ってしまうことがあります。でも実際には、相手が質問しづらい雰囲気だっただけ、ということもよくあります。
そのため、私は説明の合間ごとに、「ここまででご不明な点ありますか?」と区切りながら話すようにしています。


それでも質問が出なければ、「他のお客様からはこういった質問があったのですが…」とよくある事例を挟むと、相手も「実はうちも…」と話しやすくなることがあります。
相手に寄り添ったテンポで進めることが、安心感を生み出します。


よく使うフレーズ:

  • 「ここまででご不明な点ありますか?」
  • 「一度ここで区切りますね」
  • 「これは少し分かりづらいかもしれないので、補足しますね」
  • 「他社様からよくいただくご質問としては…」
  • 「実際に使ってみたときに違和感などありましたか?」

 

失敗からの学び

かつて私は、「この定例ミーティングを無事に終えること」にばかり意識が向いていた時期がありました。


スクリプト通りに話すことを優先するあまり、相手のリアクションを見ずに話し続けてしまったこともあり、その結果、質問が出なかった=伝わっていなかった、ということに後から気づくこともありました。

この経験を通じて、「この場を乗り切る」ことではなく、「お客様の理解とプロダクト活用を後押しすること」、そして「プロダクトを活用いただいて本来実現したいゴールに向かって伴走すること」こそが、カスタマーサクセスの本来の目的だと気づきました。


今は、“伝えたつもり”で満足せず、「伝わったか?」「活用のきっかけになったか?」という視点で定例を見直すようになりました。

 

おわりに

定例ミーティングは、ただの情報共有の場ではありません。
お客様との関係性を育て、信頼を積み重ねていく大切なタッチポイントです。


カスタマーサクセスにとって、お客様は“対応すべき相手”ではなく、“一緒によりよいサービスをつくっていくパートナー”。だからこそ、「自分をよく見せること」よりも、「相手の理解や満足にどれだけ貢献できたか」を大切にすべきだと考えています。


これからも、「対自分」ではなく「対相手」の姿勢を忘れずに、日々の定例をアップデートしていきたいと思います。


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