リモート時代の報連相を円滑に!「伝わる」テキストコミュニケーションの基本

高田 麻美
2025.11.04
リモートワークが働き方の一つとしてすっかり浸透し、チャットやメールを中心としたテキストでのやり取りは、日常業務に欠かせないコミュニケーション手段となりました。
一方で、「伝えたつもりが伝わらない」「言いたいことが正しく伝わらない」といったコミュニケーションの課題に直面している方も少なくないでしょう。
本記事では、そうした課題を解消し、スムーズな意思疎通を実現するために、私が普段実践している「伝わる」テキストコミュニケーションの基本についてご紹介します。
リモートワークで直面するテキストコミュニケーションの課題
テキストコミュニケーションでは、対面での会話とは異なり、相手の表情や声のトーンといった非言語情報が伝わりづらく、意図や感情のニュアンスを正しく汲み取ることが難しくなります。
その結果、以下のような問題が起こりやすくなります。
誤解や認識のずれが生じやすい
テキストでは、言葉の選び方一つで、相手に全く違うニュアンスで伝わってしまうことがあります。
例えば、「〇〇の件、どうなりましたか?」という一文も、相手が多忙な状況で目にすると「急かされている」と受け取られてしまうかもしれません。
非言語情報(表情や声のトーンなど)が伝わらない分、こうした感情の機微を察することが難しいため、意図しない誤解や認識のずれが生じやすくなるのがテキストコミュニケーションの難しさです。
何を伝えたいのか、要点が分かりづらい
情報が整理されておらず、複数の話題が混在しているメッセージは、読む側の負担が大きくなります。
特に緊急の案件や確認事項など、相手に迅速な判断を求める場面で要点が曖昧だと、相手の理解が追いつかず、返信の遅れや業務のボトルネックにつながってしまいます。
メッセージの見逃しと返信の遅延
メッセージの量が多すぎたり、通知設定が適切でなかったりすると、重要な連絡を見逃してしまうことがあります。
また、メッセージの受信に気づいていても、「後で返信しよう」と後回しにしてしまうことで、結果的に対応が遅れ、やり取りが滞ってしまうことも少なくありません。
まずはテキストコミュニケーションに適しているかを判断
テキストでやり取りを始める前に、「この内容は本当にテキストで伝えるべきか?」を一度立ち止まって考えることが大切です。
以下のような観点から判断しましょう。
- 緊急性はあるか?: 即時の対応が求められる、緊急度の高い内容か?
- 複雑性はどうか?: 口頭で説明した方が早い、または認識のズレが生まれやすい複雑な内容か?
- 感情やニュアンスを正確に伝える必要があるか?: 感謝や謝罪など、相手に気持ちをしっかりと伝えたい内容か?
これらの判断を経て、テキストでのやり取りが最適だと判断した場合、これからご紹介する実践ポイントを意識することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
「送る側」で実践するポイント
結論ファーストで相手の時間を尊重する
良好なコミュニケーションは、相手の時間を大切にすることから始まります。チャットやメールでは、冒頭で結論を述べ、その後に背景や補足情報を加える構成を意識しましょう。これにより、相手はすぐに要点を把握し、対応がしやすくなります。
5W1H(+2H)で抜け漏れなく伝える
伝えるべき情報に抜け漏れがあると、相手から何度も確認の質問が増えてしまい、かえって非効率になります。以下の要素を意識してメッセージを組み立てましょう。
「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」 に加え、「How much(いくら)」「How many(いくつ)」 これらを意識することで、伝達ミスを防ぎ、より正確な情報伝達が可能になります。
目的と期限を明確にする
「このメッセージの目的は何か?」「いつまでに返信が必要か?」を明確にすることで、相手は対応の優先順位を判断しやすくなります。特に依頼や確認事項が含まれる場合は、行動を促す明確な指示が重要です。
「送る側」のまとめ:テンプレートの活用が有効
これらのポイントを毎回意識することは大変です。
そこで、ポイントを押さえたテンプレートを作成して活用することを推奨します。
これにより必要な情報を効率よく伝え、情報漏れを防ぐことができます。チームでテンプレートを共有すれば、メッセージの品質も均一化されます。
「受け取る側」で実践するポイント
素早いリアクションで安心感を与える
メッセージを受け取ったら、まずは「了解しました」「確認します」といった一言リアクションをすぐに返しましょう。
これだけでも相手は「メッセージがちゃんと届いた」と安心できます。
不明点は放置せず、積極的に質問する
少しでも分からない点があれば、そのままにせず、積極的に質問しましょう。
不明点を放置すると、後々大きな問題に発展する可能性があります。相手も「きちんと理解しようとしてくれる」と感じられ、好印象です。
返信が遅れる場合は、事前に伝える
すぐに返信できない場合は、「〇〇の対応中です。16時までには返信します」のように、状況を一報入れておくだけで、相手は不必要な不安を感じずに済みます。こうした気遣いは信頼構築に直結します。
「受け取る側」のまとめ:安心感と信頼を築くための行動
受け取る側として最も重要なのは、「相手に安心感を与える」ことです。
迅速なリアクションや不明点の確認、そして返信の遅延を事前に伝える行動は、すべて「あなたのメッセージは届いています」「私はきちんと対応します」という姿勢を示すことにつながり、相手との信頼関係を築く上で欠かせません。
テキストコミュニケーションは「思いやり」
リモート環境において円滑なコミュニケーションを実現するために、私が最も大切にしているのは「相手への思いやり」です。
- 相手の時間を尊重するために、結論から簡潔に書く。
- 誤解を生まないよう、明確な言葉で意図を伝える。
- 相手がどう感じるかを意識して言葉を選ぶ。
これらの工夫は、すべて「相手がどう感じるか」を考えることから生まれます。
一つひとつのメッセージに思いやりを込めることで、顔が見えないリモート環境でも強固な信頼関係を築くことができると考えています。

この記事を書いたライター
高田 麻美
様々な業界で8年間メールサポートを担当。業務フロー設計、運用オペレーションの構築、スタッフ育成、施策効果の検証などに携わる。
