【完全版】カスタマーサクセス職を徹底解説!これさえ読めば7つの必須スキルや仕事内容・将来性等が分かる
近年の日本では、SaaS業界を中心にカスタマーサクセスの重要性が高まっています。
しかし、カスタマーサクセスは日本に浸透して日が浅いため、「カスタマーサクセスの具体的な仕事内容って?」「カスタマーサクセスを実施するにはどんなスキルが必要なの?」など、仕事内容や役割について疑問を感じている人が多いのが現状です。
本記事では、カスタマーサクセスの仕事内容やスキルなどを紹介します。カスタマーサクセスをより詳しく理解できる記事なので、ぜひご参考ください。
注目の職種「カスタマーサクセス」とは
近年「カスタマーサクセス」という職種に注目が集まっています。
カスタマーサクセスとは「顧客の成功」と直訳できるように、顧客が自社サービスを活用してビジネスの成長や課題の解決などの成功体験ができるよう、サポートする職種です。
カスタマーサクセスの役割
カスタマーサクセスの役割を端的に表現すると「顧客を成功へと導くこと」です。
ここでいう成功とは、顧客が商品・サービスの利用を通し、期待していた成果や目的を達成した状態のことです。カスタマーサクセスは、顧客が抱える課題を抽出し、自社サービスを活用してどのように解決できるか提案します。その結果、顧客は「このサービスは自分にとって価値がある」と思い、利用を続けてくれます。また、「もっと活用したい」と思うようになり、プランのアップグレードやオプションの追加なども行うでしょう。
このように、カスタマーサクセスは顧客と良好な関係性を築いて成功体験へと導き、解約率の低下やアップセル・クロスセルなどへつなげる役割をもちます。
カスタマーサクセスと「The Model」の関係性
カスタマーサクセスについて深く理解するには「The Model」の関係性を知っておく必要があるでしょう。「The Model(ザ・モデル)」とはセールスフォース社が提唱する営業プロセスモデルのことで、営業プロセスを以下の4つに分業する仕組みを指します。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
The Modelでは、4つに切り分けられた営業プロセスの中にカスタマーサクセスが含まれており、顧客との関係を構築して顧客満足度・LTVの向上へとつなげる重要な役割だとしています。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサクセスと混同されやすい職種に「カスタマーサポート」があります。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの根本的な違いは、目的です。
カスタマーサポートは、顧客の問題や疑問の解決をサポートし顧客満足度を向上させることが目的です。多くの企業がカスタマーサポートとして、サポートセンターや問い合わせ窓口を設置し購買後のフォローを実施しています。
一方のカスタマーサクセスは、サービスを利用している顧客と能動的に関わり、課題を解決しながら顧客を成功に導くことが目的です。顧客の成功を実現するために、不満やトラブルを未然に防ぎ、発生する可能性のある問題や課題を先回りして対策や改善策を考えます。
カスタマーサクセスの職種が注目される背景
カスタマーサクセスが注目されている理由は多岐にわたりますが、特に着目すべきポイントを紹介します。
サブスクリプション型ビジネスの台頭
カスタマーサクセスがこれほどまでに注目されるようになった背景には、サブスクリプション型サービスが普及してきたことがあります。
サブスクリプション型ビジネスの場合、毎月の利用料金やアップセル・クロスセルにて収益を確保します。しかしながら、顧客がサービスに対して価値を感じられなければ早期に解約となり、収益が出ずに終わることもあります。
そのため、カスタマーサクセスが手厚くサポートし、顧客がサービスの価値を感じられるよう使い方や活用方法を提案していくことで、顧客の解約を防ぐ効果があります。さらに、カスタマーサクセスの伴走によってサービスに対するエンゲージメントが高まればアップセルやクロスセルにつながるため、さらなる収益向上が見込めるでしょう。
競合他社との差別化
市場が成熟している現代では、機能面や価格面で競合他社と差別化することが難しくなっています。競合サービスや類似サービス、代替サービスなど、顧客にとっての選択肢が増えている時代のため、いかにして顧客に選ばれるか、そして選ばれ続けるか、という視点でビジネスを展開することが重要です。
そこで、カスタマーサクセスが有効となります。
カスタマーサクセスが密にコミュニケーションを取り、顧客の課題に寄り添って伴走することで、他社サービスにはない価値を提供できます。
カスタマーサクセスの主な仕事内容
カスタマーサクセスは、顧客が成功するためにどのような仕事を行うのでしょうか。主な仕事内容を紹介します。
顧客の課題を解決する仕組みづくり
カスタマーサクセスは、顧客のビジネスを理解したうえで、顧客とコミュニケーションを図ったり、課題解決への筋道を提案したりします。具体的には、電話や対面ミーティングなどで顧客が抱える課題をヒアリングし、サービスの適切な活用方法や機能を提案します。
またサービスを導入する際にサポートし、導入後には役立つ情報を積極的に発信し顧客に関わることも大切でしょう。顧客のアンケートデータなどを元に、あらかじめ想定される課題に対策を講じ、顧客がスムーズに成功できる仕組みを構築します。
このように、サービスの導入から運用定着にかけて、中長期的に顧客をサポートする仕組みをつくります。
オンボーディング支援
顧客をサポートする仕組みの一つが、オンボーディングの支援です。オンボーディングとは、顧客がサービスの使い方を理解して自ら利用できる状態になるよう育成することです。
オンボーディングがうまくいかないと、顧客はサービスを導入しても使い方がわからずに早期解約してしまうでしょう。
マニュアルやチュートリアルの提供、勉強会の開催、1on1での育成など行い、導入期における顧客の負担やストレスを解消します。
アダプション
カスタマーサクセスは、顧客がサービスの運用を定着させるアダプション期のサポートも行います。
アダプションにおいて、ヘルススコアの測定が効果的です。利用状況をモニタリング・ヒアリングしてサービスをどの程度活用しているかを測定する指標です。
活用度合いの低い顧客には、機能レクチャーやトレーニングの実施、ユーザーに合った活用事例の共有などを行い、活用を促します。
アップセルとクロスセルの提案
カスタマーサクセスの業務内容の1つに、アップセルとクロスセル提案があります。アップセル・クロスセルは、いずれも顧客のLTVを向上させるための手法です。- アップセル:契約中の商品・サービスよりも上位プランを提案する手法
- クロスセル:契約中の商品・サービスに関連した商品・サービスを提案する手法
アップセル・クロスセルを成功させるには、顧客のニーズ分析が不可欠です。カスタマーサクセスは顧客へのヒアリングやサービスの利用状況をもとにニーズを分析し、適切なタイミングでプランのアップグレードやオプションの追加などを提案します。
フィードバック収集とサービス改善
フィードバックの収集は、顧客と直接関わり合えるカスタマーサクセスならではの仕事です。サービスの不具合や改善点などのフィードバックを集め、どのようなサービスを求めているか分析します。
例えば、顧客から「この機能が使いにくい」というフィードバックがあった場合、社内のシステム部門や開発部門の展開し、機能の改善へとつなげます。
こうしてサービスをより良くブラッシュアップし、顧客満足度の高いサービスを提供するよう取り組みます。
カスタマーサクセスの将来性
カスタマーサクセスの将来性はどのような見通しなのでしょうか。複数の視点から、将来性を解説します。
カスタマーサクセスは将来性がある仕事
結論から言うと、カスタマーサクセスは将来性がある仕事です。将来的にも需要が見込めるため、今のうちにカスタマーサクセスに必要なスキルを身につけておきましょう。
また、企業は早い段階からカスタマーサクセス人材の確保・育成を行い、将来に備えておく必要があります。
【理由1】SaaSビジネスの拡大
今後、SaaSビジネスがさらに拡大していくため、カスタマーサクセスの将来性も高まると言えます。
SaaSとはインターネット経由でソフトウェアを利用できるサービスのことで、クラウドサービスの一種です。
令和3年度の総務省の調査によると、クラウドサービスを利用していると回答した企業は70.4%にのぼり、前年度の68.7%、前々年度の64.7%と比較して着実に伸びています。
(出典:令和3年通信利用動向調査の結果|総務省)
SaaSビジネスは、The Model型の営業組織を構成している企業が多いため、カスタマーサクセスの存在は必須のビジネスです。今後もSaaSビジネスは進展が期待できるため、カスタマーサクセスの需要も拡大するでしょう。
【理由2】サブスクリプションモデルが増加
SaaSビジネスの増加に伴い、サブスクリプションモデルのビジネスが主流となっています。今まではSaaSビジネスをはじめとするIT関連のビジネスでサブスクリプションモデルが採用されていましたが、近年では食品や自動車、アパレルなどさまざまな業界でも活用されています。
サブスクリプションモデルのビジネスでは、顧客の解約を防ぐためにカスタマーサクセスの取り組みが必須です。今後サブスクリプションモデルのビジネスが増えることで、カスタマーサクセスの需要が見込まれます。
【理由3】消費者がCXを重視する傾向
市場にサービスがあふれているため、現代の消費者は機能面や価格面だけでなく、「このサービスは役に立ったから嬉しい」「簡単に使えたから快適」などのCX(顧客体験)を重視する傾向にあります。より良いCXを提供するために必要なのがカスタマーサクセスのサポートです。
たとえばサービスを導入して使い方が分からず不満を感じても、カスタマーサクセスが丁寧に対応してくれて使い方を理解できれば満足度が高まり、CXが向上します。質の高いCXを受けられれば、他社への乗り換えを検討することもなく契約を継続してくれるため、カスタマーサクセスの手厚い伴走によるCXの向上が求められるのです。
カスタマーサクセスに必要な7つのスキル
ここでは、カスタマーサクセスを行うにあたって必要な7つのスキルをご紹介します。
コンサルティングスキル
顧客が成功をイメージできるよう具体案を策定し提案するとともに、適切な応対を行うためのコンサルティングスキルが求められます。顧客との対話を通じて課題やボトルネックとなっている部分を見つけ、自社サービスならどのように解決できるかを分かりやすく提案する力が必要です。
専門分野に関する深い理解力
顧客の課題を解決するためには、顧客に関する理解だけでなく、業界の動向や市場のトレンドなどの専門知識が求められます。もちろん、自社サービスについても深く理解しておかなければ、顧客に最適な提案ができません。
業務に関わる専門分野に関しては、深く理解しておく必要があります。
コミュニケーションスキル
カスタマーサクセスは、顧客と話す・聞く・理解するといった基礎的なコミュニケーションスキルが必須です。
また、マーケティング部門や営業部門などの関連し合う部門と協力しながら、会社全体で連携を図りながら仕事をすすめていく必要があります。顧客とだけうまくコミュニケーションがとれればいいのではなく、組織内での情報交換や会議、引継ぎの際に正確でスムーズにやり取りできるスキルが求められます。
忍耐力
カスタマーサクセスは長期間顧客と伴走していくので、継続する力と忍耐力が必要です。
時にはなかなか成功に至らず、プレッシャーを感じることや、対応すべきタスクが多くてくじけてしまいそうになることもあるかもしれません。しかし、顧客を成功に導くというカスタマーサクセスの本質を忘れず、粘り強く継続してサポートすることで成功への近道となることでしょう。
課題発見スキル・問題解決スキル
カスタマーサクセスは、顧客が抱える問題を何度も解決しながら成功までの道のりを伴走します。その中で、顧客が気づけない課題を発見したり、顧客とのコミュニケーションで見えてきた課題や不満を素早く解決したりすることもカスタマーサクセスの役割です。
「顧客が抱えている問題は何か」「どうしたら解決されるか」「問題を引き起こしている原因が何か」を明確にし、解決のためにすべきことを考えなければなりません。
なお、問題を抱えたまま利用することは顧客のサービス解約へとつながるので、すばやく解決する力も求められます。
分析力
顧客へのサポート内容やコミュニケーション方法が適切だったか判断するため、あらかじめ設定しているKPI指標に対する成果を定量的に分析しなければなりません。また、顧客のサービス利用データやアンケート結果などを分析し、課題やニーズを抽出する作業も必要です。
このように、カスタマーサクセスは分析を行う場面が少なくないため、分析力を習得しておくと良いでしょう。
ファシリテーション能力
カスタマーサクセスでは、物事がスムーズに進むよう調整するファシリテーション能力が求められます。
サービスの使い方や技術的なことに詳しい顧客はあまりいないため、わかりやすく説明しなければなりません。また、自社のシステムの開発者が顧客のビジネスを知らないケースもあります。カスタマーサクセスは、顧客と開発者の間に立ち、時には翻訳のような役割も担う必要があるでしょう。
さらに、社内チームの連携を良好に保つことも求められます。それぞれの立場を尊重しつつ状況を見極めることが大切です。
カスタマーサクセスのキャリアプラン別の必須スキル
カスタマーサクセスには上記のようなスキルが求められるうえ、キャリアに応じた適切なスキルも必要となります。そこで「未経験」「マネージャーへの昇格・昇進」「独立」という3つのキャリアプラン別に必須のスキルを紹介します。
未経験からカスタマーサクセスを目指すためのスキル
未経験からカスタマーサクセスを目指すためには、教えられたことを吸収し実行に移す行動力と柔軟性が必要です。営業経験がある、または同等のコミュニケーション力があれば未経験でも採用される可能性があります。
しかし、最初は教育制度が充実している企業や事業や組織が成熟している企業を選ぶのが無難でしょう。カスタマーサクセスとしてすぐに活躍できるよう、独学でスキルや知識を備えておくなど準備しておくことをおすすめします。
マネージャーに昇格・昇進するために必要なスキル
カスタマーサクセスのマネージャーや管理職へ昇格する場合、組織を牽引する立場になります。リーダーシップはもちろん、KPIマネジメントの業務も入ってくるので客観的な視点で数字を読み取る冷静な分析力が求められます。
具体的には、組織で掲げたカスタマーサクセスの指標と結果を照らし合わせ、課題の仮説を数字から読み取ること、アクションと指標との関連性を読み取り、解決策を作れることなどが求められます。
独立するために必要なスキル
カスタマーサクセスでプロとして独立するためには、コネクションを開拓するスキルが必要です。例えば、プロとして独立してから従業員を雇う場合や、新規案件を受注する場合などです。
また、業務フローを作成するスキルやKPI設計スキルなどの組織を構築する方法や経験も必要になるでしょう。
カスタマーサクセスに向いている人の特徴
最後に、カスタマーサクセスに向いている人の特徴を紹介します。カスタマーサクセスを目指している人は自分に適性があるか、カスタマーサクセスの人材の採用を考えている人は採用の基準としてご参考ください。
顧客志向な人
カスタマーサクセスは顧客の成功を願い、顧客の立場で物事を考えられる顧客志向の強い人に向いています。自社の利益につながることでも顧客のためにならない要望は、時にはキッパリ断ることができる勇気も必要でしょう。
ただし顧客志向な人といえども、顧客志向に偏りすぎないことが大切です。顧客の全体像は理解していながらも自社の事業戦略と併せて考えることができ、カスタマーサクセスの活かし方を考えられる人は重宝されることでしょう。
リーダー気質な人
人を導く力があり、かつ責任感の強いリーダー気質の人はカスタマーサクセスに向いています。カスタマーサクセスは顧客を成功まで導くため、リーダーシップを取って進めていく必要があります。
また、カスタマーサクセスはチームで取り組み、顧客への対応品質を底上げしていき満足度を高めなければなりません。そのため、苦難に対しても果敢に挑戦する姿は、カリスマ性がありチームからの信頼を得やすいでしょう。
気持ちの切り替えができる人
カスタマーサクセスは、気持ちの切り替えも必要です。どれだけ関係性を構築できていても、途中で失注してしまうことも少なくありません。そのため、気持ちを切り替えて次に進める人がカスタマーサクセスに向いているでしょう。
まとめ
カスタマーサクセスの仕事や必要なスキルは多数あります。カスタマーサクセスに必要なスキルを身につけることで企業の業績アップになり、より効果的なサービスを顧客に提供することができます。カスタマーサクセスは将来性のある仕事のため、早い段階で必須スキルを身につけ、今後の流れに乗り遅れないことが重要です。
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