クロージングとは?営業活動で成約率を上げるテクニック13個を紹介
武田龍哉
2024.12.18
「商談が成約に結びつかない」「顧客反応は良いのに契約してもらえない」とお悩みを抱えていませんか?このような悩みは、クロージング方法を見直すことで解決できます。
今回は成約に繋がるクロージング方法をご紹介します。この記事では、クロージングの流れやテクニックをご紹介しているため、ぜひ営業トークの見直しにお役立てください。
クロージングとは
クロージング(Closing)は「終わり」「結び」と訳すことができ、営業活動では商談を契約に結びつける最終フェーズをいいます。つまり、顧客の購買意欲を確かめて、契約へ結びつける営業業務です。
クロージングで契約に至らない主な原因は(1)営業担当者のスキル不足(2)タイミングの誤りであることが大半です。そのため、クロージングスキルを磨き、適切なタイミングでクロージングするようにしましょう。
クロージングの重要性
営業担当者がクロージングスキルを習得すべき理由は、商談を契約に結びつけるだけでなく、顧客との信頼関係の構築にも役立つためです。クロージングが重要な理由は3つあります。
営業成績(成約率)を上げられる
営業担当者がクロージングスキルを習得すれば、顧客の発言や表情を通して商品への関心度を把握でき、適切なタイミングでクロージングが行えるようになります。
クロージングが上手い営業担当者は、顧客の発言や表情から懸念点なども読み取ることができます。
例えば、商品に疑問を抱えている顧客に対しては十分に説明して、不安を払拭してあげるでしょう。顧客ニーズを捉えて、商談の停滞も防ぐこともでき、より多くの契約が獲得できるようになります。
顧客満足度を向上させられる
営業力が高い担当者は、取引の流れや契約方法、支払い方法や導入スケジュール、フォローアップ体制について説明できるため、スムーズに取引を進められます。
各説明において、顧客から質問や確認事項があった際にも迅速に回答することができるでしょう。このようなスムーズな取引を行えば、顧客満足度を向上できます。
顧客との信頼関係を構築する
営業担当者がクロージングスキルを習得すれば、顧客に気持ちに寄り添うことができます。
顧客は「商品を購入する場合は、信頼ができるAさんにお願いすれば安心だ」「営業担当者Aさんから商品を購入すればアフターサポートを受けられるだろう」と信頼されるようになるでしょう。
このような信頼関係を構築しておけば、新規顧客の紹介や良い口コミの拡散が期待できます。
クロージングのやり方・流れ
クロージングは3STEPで行います。
- テストクロージング
- クロージング
- 契約締結
ここでは、それぞれの手順について詳しく解説します。
1.テストクロージング
まずは、テストクロージングで商品に対する顧客の反応を確認します。顧客がどの程度、商品購入に前向きかを把握してタイミングを見極めるためにテストクロージングを行います。
テストクロージングには、さまざまな方法がありますが、(1)商品購入後に利用イメージを聞く(2)価格に対する反応を高める方法がおすすめです。
例えば、フィットネスジムに入会してもらえそうか確かめる場合は「どの時間帯や曜日に通われることが多そうですか?」と質問して、具体的に回答してもらえたら入会に前向きであると判断できます。
また「ドリンク飲み放題のオプションサービスが1000円で利用できますがいかがですか?」と質問すれば、どれぐらいの予算を確保しているかを把握することができます。
顧客が疑問を抱く表情をしている場合は、フォローアップして不安を払拭してあげましょう。
2.クロージング
顧客が商品購入に前向きな場合は、商談を契約に結び付けるためにクロージングを行います。
「このプランで契約を進めてさせて頂いても宜しいでしょうか?」「こちらのサービスで契約手続きを進めて問題ないでしょうか?」と質問して意思確認します。
顧客の購買意思に不安を感じる場合は「まずは1週間無料でお試しいただけますので、試されてみませんか?」「「初回割引でさらにお得にご利用いただけますが、これでいかがでしょうか?」」とハードルを下げたクロージングも有効的です。
3.契約締結
契約締結時は、顧客が安心して契約の合意ができるように準備、サポートをしましょう。
契約締結の6STEP
- 契約内容(サービス内容、料金、納期、サポート範囲)をわかりやすく説明する
- 契約条件(支払い条件、特典などの適用条件、キャンセル条件)を説明する
- 契約書の記入方法を説明する
- 身分証明書や必要書類を説明する
- 今後の流れを説明する
- 顧客に不明点がないかを確認して最終合意を得る
契約締結後のトラブルを防止するために、顧客の疑問は解消してあげてから合意を得るようにしましょう。
クロージングの成約率を上げるコツ
クロージングで契約に至らない原因は(1)営業担当者のスキル不足(2)タイミングの誤りです。つまり、クロージングにはテクニックがあります。ここでは、クロージングの成約率を上げる7つのコツをご紹介します。
BANTC条件を確認する
BANTC条件を確認すれば、クロージングのタイミングを見極めやすくなります。
BANTC条件とはBudget(予算)Authority(決裁権)Need(ニーズ)Timeframe(導入時期)Competitor(競合状況)を確認して、商品購入に前向きかどうか、購入に適した条件が整っているかを判断する際に使用するものです。
Budget(予算) | 顧客の予算を把握する 例:「今後の導入に向けて、どれぐらいの予算をお考えですか?」 |
Authority(決裁権) | 最終決定者は誰か、どのような決裁プロセスかを確認する 例:「契約の最終判断は、どなたがされる予定ですか?」 |
Need(ニーズ) | 顧客ニーズを把握して自社サービスで解決できるかを確認する 例:「現在の業務で改善したい部分はどのような点ですか?」 |
Timeframe(導入時期) | 商品・サービスの導入時期を確認する 例:「こちらの導入はいつ頃を目安に考えていますか?」 |
Competitor(競合状況) | 競合他社の商品やサービスを検討しているかを確認する 例:「他にもご検討されている商品やサービスはございますか?」 |
タイミングを見極める
商談中の顧客の発言、表情、反応を見ながらクロージングのタイミングを見極めるようにしましょう。
例えば「支払い方法は銀行振り込みだけですか?」や「アフターサポートについて詳しく教えてください」という質問が増えた場合は、商品購入を具体的に検討しているサインです。
また、カタログやサンプルを何度も確認したり、お試しで体験できないかを質問してきた場合は、商品への関心度が高いです。このような場合は、すぐに無料体験を提供してあげると喜ばれます。
「このサービスを活用すれば、業務効率化ができそうですね」とポジティブな発言が出た場合も、商品購入に前向きとわかります。
顧客の発言、表情、反応を見ながらクロージングのタイミングを見極めれば、商談を契約に結びつけることができます。
顧客の質問に回答して不安を取り除く
クロージングの成約率を上げるためには、顧客の商品購入に対する不安を払拭してあげることが大切です。そのため、顧客の話は傾聴するようにしましょう。
顧客が商品購入に対する不安を話したとき「お客様のお気持ち、よくわかりす」と共感を示して、最後まで話を聞いてあげることが大切です。
その上で、他のお客様の事例、サービスの導入実績など根拠を示しながら、顧客の不安を取り除いてあげます。
顧客の不安を払拭することで、クロージングの成約率は上がるため、よく傾聴するようにしましょう。
商品やサービスのベネフィットを説明する
クロージングで成約率を上げるためには、ベネフィットを説明して、商品の購入意欲を高めることが大切です。
ベネフィットを説明するときは、顧客が抱える課題、要望に合わせてベネフィットを伝えてあげましょう。
ベネフィットを伝えるときはデータや数字を用いて具体的に説明してあげてください。このような工夫をすることで「この商品は自分のためにある」と感じてもらいやすくなり、成約につながりやすくなります。
ゴールデンサイレンスを妨げない
ゴールデンサイレンスとは、相手が物事を深く考えているときに、意図的に沈黙を保つことで、相手の本音を引き出す手法です。
ゴールデンサイレンスを活用することで、商品を購入する上で何がネックになっているかを特定できたり、購入見込み度を判断できたりします。
クロージングテクニックを使用する
クロージングテクニックを習得しておき、顧客の購入意欲に合わせて使い分けると成約率を上げられます。そのため、5つのクロージングテクニックを習得しておきましょう。
1.選択肢を与える
複数の選択肢を提供して、どちらかを選んでもらうことで成約に結び付ける
2.条件を加える
初回割引や3カ月間の無料サポートなど条件を付けて成約に結び付ける
3.お試し体験を薦める
1週間の無料体験を促して、商品の価値を感じてもらい成約に結び付ける
4.タイムリミットを設ける
キャンペーン期間限定を活用して、成約を促す
5.商談内容をまとめる
お客様が希望するものを全て備えて、予算内で収まることを説明して成約に結び付ける
フォローアップを徹底する
クロージング時ではありませんが、自社商品を購入してくれた顧客に対してフォローアップを徹底すると、顧客紹介や良い口コミの拡散などに協力してもらえるようになり、ビジネス機会に恵まれやすくなります。
SNSの発展により、顧客や商品、サービスの口コミを投稿できるようになりました。商品、サービスの評判をみて商品購入の意思決定をする方も多くいるため、既存顧客のフォローアップを徹底しましょう。
クロージングに活用したいトークテクニック
クロージングで商談を契約に結びつけるためには、顧客の反応に適切に切り返し、滞らせることなく進めることが大切です。そのためにも、トークテクニックを習得しておきましょう。
ここでは、クロージングに活用したいトークテクニックを6つご紹介します。
イエスバット法
イエスバット方は、顧客からの反対意見に対して共感を示しつつ、こちらの主張を伝えて、反論を受け入れてもらいやすくするためのトークテクニックです。
顧客:「商品の価格が高いですね」
営業担当者:「そうですね。他社商品と比較すると価格が高く感じられるかもしれません。しかし、耐久性があるため長期間使用できて、中長期でみるとコストパフォーマンスが良いと評判なんですよ。」
イエスセット話法
イエスセット話法は、相手が「はい」と回答しやすい質問をして、相手から同意を引き出すでトークテクニックです。相手は「はい」と答え続けることに慣れ、クロージングにも同意してもらいやすくなります。
営業担当者:「製品に関する情報をお探しでしたよね」
顧客:「はい。そうです。」
営業担当者:「プランAでご契約されませんか?」
顧客:「そうですね。」
FSV話法
FSV話法とは、製品やサービスの紹介時に使用される応酬話法です。商品の特徴(Feature)、使用場面(Scene)、価値(Value)の3つを説明することで、製品を購入すべき根拠を提示できます。
営業担当者:「自社製品は高解像度のカメラを搭載しています。例えば、お子さまの運動会のとき、より鮮明な写真が撮影できます。この製品を使えば、大切な家族のイベントを美しく残すことができ、かけがえのない思い出を永遠に保存できます。」
ドア・イン・ザ・フェイス
ドア・イン・ザ・フェイスとは、相手に大きな要求をして断られた後に、小さな要求をして合意を得るトークテクニックです。
営業担当者:「最新モデルの自動車はフルオプションで500万円ですが、いかがでしょうか?」
顧客:「価格が高いため、購入できません。」
営業担当者:「最新モデルの自動車のベーシックモデルは280万円ですが、いかがでしょうか?」
ifクロージング
ifクロージングとは、顧客の商品購入意欲を引き出した上で、成約するための条件を提示するトークテクニックです。
営業担当者「引っ越し費用など、諸経費を含めて予算外みたいですが、引っ越し費用を負担するなら不動産のご契約をしていただけるのでしょうか?」
損失回避の法則
損失回避の法則とは、得したいよりも損したくない気持ちを活用した応酬話法です。例えば、「期間限定のオファー」といった言葉で、何かを逃すかもしれない(損失を感じる)という恐怖を煽ることがあります。「今だけ限定特典つき」「在庫限り」などのプロモーションは、損失回避の法則を上手く活用したものです。
営業担当者:「在庫限りなんですが、2,980円で販売しています。いかがでしょうか?」
商談相手の反応にどう対応する?
商談相手の反応には、どのように切り返したら良いか迷うものもあります。そのため、切り返し方法を覚えておくようにしましょう。
意思決定者ではないため決められない
商談相手が情報収集を任せられており、決裁者ではない場合は「意思決定者ではないため決められない」と言ってくるでしょう。決裁者でない相手と話し続けても契約に至りません。
そのため「決裁者はどなたになりますか?」「決裁者の方と繋いで頂くことはできますか?」と訪ねて、アポイントを取るようにしましょう。
今すぐの導入を検討していない
商談相手が「今すぐの導入を検討していない」と言ってきた場合は、現状、大きな課題を抱えていないことが大半です。大きな課題を抱えていなければ、契約は難しいでしょう。
しかし、課題に気づいていない場合もあります。そのため、「他社では〇〇に悩んでいますが、御社はそのような悩みを抱えていないのでしょうか?」と質問して、課題を掘り起こしましょう。
コスト的に導入は難しい
商談相手が「コスト的に導入は難しい」と言ってきた場合は、製品の価値を説明するようにしましょう。
中長期で見た際の投資対効果を説明して、納得させることができれば高いものでも契約してくれます。
製品を値下げする方法もありますが、正規価格で購入した顧客に知れ渡るとクレームになるため気をつけてください。
まとめ
クロージングは、顧客の商品の購買意欲を確かめて、契約へ結びつける業務です。クロージングで契約に至らない原因は(1)営業担当者のスキル不足(2)タイミングの誤りです。
しかし、クロージングの流れやテクニックを習得しておけば、誰でも成約率を上げることができます。この記事では、クロージングの流れやテクニックをご紹介したため、これを機会に営業トークを見直してみてください。
この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。