企業課題を解決するカスタマーサクセス研修方法
岡本紗季
2024.12.13
企業が抱える研修課題
企業規模が大きくなるにつれて発生する課題が「属人化」。
特定のメンバーに知識が集中し、メンバーごとに業務の質が変わってしまうことがあります。
「属人化」課題の解決方法として、業務の「型化」、そして型化された通りの業務を遂行できるように、メンバーに対する「研修」の実施が考えられるでしょう。
これは、カスタマーサクセス組織においても同じことが言えます。
カスタマーサクセスの属人化課題を放っておくと、対応スキルが十分でない対応や、スキルの高いカスタマーサクセスメンバーの離職によるカスタマーサクセスの質の低下が発生し、顧客満足度の低下や、ひいては企業の成長を阻む要因になりかねません。
そのため多くの企業でカスタマーサクセス研修を実施・検討していますが、そこには以下のような課題が多く聞かれます。
- 講師の工数: 時間やリソースが限られ、効果的な研修ができない。
- 座学中心の学習: 一方的で実践的なスキルが身につかない。
これらの課題をクリアにし、効果的なカスタマーサクセス研修方法について解説します。
具体的な研修方法
研修は、従業員が必要なスキルを習得し、企業の目標達成に貢献するための重要な取り組みです。ただし、研修の成果はその「方法」によって大きく左右されます。研修や、内容が参加者に合っていない研修では、期待される効果を十分に得ることができません。
そこで、具体的な研修方法は下記となります。
録画形式の講義
録画形式を採用することで、研修の参加者自身の業務状況やスケジュールに合わせて、柔軟に学習を進めていただくことが可能となります。
また、録画形式を活用することで、受講者が学習内容をより深く理解できる環境を整えられます。
録画講義のもう一つの大きな利点は、コンテンツの再利用性が高いことです。録画形式はコストパフォーマンスの向上にもつながります。
同じコンテンツを複数回利用できるため、研修全体の運営コストを削減でき、講師の時間を効率的に活用することが可能です。
一方で、録画講義の場合、参加者の進捗や理解度の把握に不安を感じることもあります。その場合、進捗や理解度を確認するためのクイズを行うことで、録画形式の研修でも講師と受講者の距離感を感じさせない運営が可能となります。(次項にて解説)
録画形式による効率化は、長期研修運営の負担を軽減するだけではありません。
講師が余裕を持ち、本来の専門性を最大限に発揮できる環境を整えることで、より質の高い講義や研修プログラムを実現することが可能となります。
また、録画形式の活用によって研修内容の標準化が進み、部門や拠点を超えた継続性のある教育体制を実現することで企業全体のパフォーマンス向上や顧客満足度の向上に貢献することが期待されます。
録画形式は、ワンタッチの便利なツールではなく、研修の質を向上させ、従業員の余裕が成長するための強力なサポートとなります。この形式を効果的に活用することで、企業全体の成長をさらに促進することができるでしょう。
プログラムごとの理解度クイズ
企業研修に関して、参加者がどれだけ学んだか、どの内容に理解が不足しているのか把握することは、研修の効果を最大化するために必要不可欠です。
理解度クイズは、研修のプログラムごとに実施します。これを取り入れることによって、参加者が学習した内容をその場で確認できます。このプロセスにより、受講者が自分の理解度を自覚し、必要に応じて学習のやり直しを行うことができるため、学習内容の定着を促進し、研修全体の効果を高めることができます。
理解度クイズを活用することの大きなメリットの一つは、どの部分が理解されていないのか、あるいは研修内容のどの部分に問題があるのかを明確に理解できる点です。
受講者の理解度に応じたフォローアップを行った結果、不足している知識やスキルに対するサポートを迅速に提供できます。
また、理解度クイズの結果を分析することで、研修プログラムのどの部分が効果的で、どの部分を改善すべきか、次回以降の改善ができます。
また、理解度クイズをアップデートする際に、受講者自身がクイズを作成する方法を取り入れることは非常に効果的です。
受講者が学んだ内容を基にクイズを作成することで、単に知識を受け身で学ぶのではなく、積極的に自分の理解を深めることができます。
クイズ作成は、学んだ内容を自分の言葉で整理し、どの部分が重要であるかを考えるプロセスであり、このような思考の過程を通じて、知識の定着だけでなく、アウトプット力や問題解決能力も向上させることができます。
理解度クイズの用意に時間がかかる場合は、ChatGPTなどのAIツールを活用すれば、クイズ作成がスムーズに進み、研修内容に沿った適切な問題が効率よく生成されるため、活用してみるのもいいかもしれません。
このように、理解度クイズを活用することで、受講者の学習効果、研修の質向上を最大化することができます。
スプレッドシートでの管理やAIツールを活用することで、研修運営の効率化にもつながります。
デモ操作集
企業研修では、受講者が業務で必要な操作を確実に学び、それを実務に活かすことが大切です。そのためのサポートとして活用されるのが「デモ操作集」です。
デモ操作集は、顧客対応や業務に必要な操作を網羅したリストで、学ぶべき内容を明確にすることができます。事前に重要な操作を整理して優先順位をつけることで、受講者は効率よくスキルを習得することが可能となります。
たとえば、よく使うシステム操作や顧客対応の基本手順がリスト化されていれば、受講者は何を重点的に学ぶべきかが分かりやすくなり、実践的なスキルを身につけられます。
さらに、よくある質問への対応方法や基本操作も含まれているため、実務に直結した学びが可能となります。
ただし、デモ画面が必ず用意されているとは限りません。その場合は、キャプチャ付きの操作手順をリンク集としてリスト化しておくと、デモ画面がなくても必要な操作を正確に学ぶことができます。
このような工夫により、受講者は迷うことなく研修を進められ、研修全体の効率化につながります。
整理されたデモ操作集と補足リソースを活用することで、受講者は研修期間内に実務で役立つスキルを身につけられるでしょう。
応用問題集
先ほどの理解度クイズでは、研修プログラムごとに内容を理解しているかを確認するものでしたが、研修中に学んだ知識は、顧客対応に瞬時に活用できるわけではありません。
特に、顧客からの質問や対応にどのような準備が必要か予測するのは難しいこともあります。
企業研修が完了した後、顧客対応に進めるか否かを判断する際に有効なのが「応用問題集」の活用です。
この問題集は、研修時に学んだ内容を実際の顧客対応に結び付けるために、顧客からくる質問をもとに作成したものとなります。
この成長過程で、受講者は顧客対応に必要な知識をしっかりと身につけることができ、疑問点を解消することができます。
そのため、顧客対応におけるパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
まとめ
カスタマーサクセス研修は、スキルの属人化を防ぎ、組織としてカスタマーサクセスの質を高いものにするために欠かせない取り組みの一つです。
適切な工数で、実践的なスキルを習得を目指せる研修の設計を行うことで、カスタマーサクセス全員が統一された高いスキルを持ち、顧客対応において高いパフォーマンスを発揮することに繋がり、顧客満足度の向上、LTVの向上に繋げていくことができます。
また、研修は一度実施すれば終わりではなく、定期的な更新や見直しが必要です。
市場や顧客のニーズが変化する中で、研修内容も柔軟に対応していかなければなりません。
「誰が」「何を」「いつ」行うのかを明確に決め、研修内容の定期的な更新も計画に織り込んで、質の高いカスタマーサクセス研修を作っていきましょう。
この記事を書いたライター
岡本紗季
企業ブランディングの分野で、SNS運用やプレスリリースなど幅広い業務を経験。新規営業やチームマネジメントを通じて、社内社外問わず「あなただから」と信頼関係を築くことを得意としている。 「きっかけからきっかけを作る」というマイルールと培ったコミュニケーションスキルを活かし、現在は、カスタマーサクセスとして、課題解決や新たな価値提供へ挑戦中。