カスタマーサクセス職の採用に困っている採用担当者へのアドバイス
小原良太郎
2024.09.20
カスタマーサクセス人材の採用
会社が大きくなるにつれて、カスタマーサクセス(CS)の仕事が大事になってきています。でも、ぴったりの人を見つけるのが難しと思っている採用担当者さんも多いようで、よくご相談をいただきます。特に日本だと、カスタマーサクセスはまだ新しい仕事なので、適任の人がなかなか見つからないんですよね。
この記事では、たくさんのカスタマーサクセス人材を採用してきた自分が、カスタマーサクセスの人材を上手に採用するためのコツや作戦について、わかりやすく解説していきます。
1. カスタマーサクセスの役割を正しく理解する
まずは、カスタマーサクセスの役割は何なのか、しっかり理解することが大切です。
よくカスタマーサポートや営業と間違えらてしまうのですが、全然違います。カスタマーサクセスの仕事は、お客さんの問題を解決するだけじゃなく、提供した製品やサービスを最大限活用してもらって、ビジネスで成果を出せるようサポートすること。この役割をきちんと理解できれば、ぴったりの人材を見つけやすくなります。
カスタマーサクセス担当者に求められるのは、お客さんと長い付き合いをして、満足度を上げながら解約を防ぐこと。さらに、追加で商品を買ってもらったり、より高いプランに移ってもらい、お客さんのLTVを最大化すること。つまり、ただ顧客思考なだけではなくて、コミュニケーション力とビジネス感覚の両方を兼ね備えた人を慎重に選ばないとならないのです。「いい人」や「親切な人」を探すのではなく、戦略的に考えられて、会社の成長に貢献できるプロを見つけることが重要です。そんな人材こそが、お客さんの成功を通じて会社も成功させる、本物のカスタマーサクセスの担い手になれます。
2. 適切なスキルセットを見極める
カスタマーサクセス職に必要なスキルは、結構幅広く、ちょっと難しいです。
まず、コミュニケーション力がめちゃくちゃ大事です。ただおしゃべりが上手いだけじゃなくて、お客さんと仲良くなって、本当に困ってることや将来やりたいことまで見抜いちゃう、そんな能力が必要になります。そして、それを元に「こうしたらいいんじゃなですか?」って提案できるスキルも求められます。これには、人を説得する力と、相手の気持ちを理解する力が欠かせません。お客さんの立場に立って、その業界のことをよく知った上で、価値ある提案ができる人が求められています。
さらに、テック系の会社だと、製品やサービスについてかなり詳しくないといけません。ただ「これはこういう機能です」と説明するだけじゃなく、その裏側にある技術のことや、お客さんの仕事にどう組み込めるかまで分かってないといけません。難しい技術的な問題を理解して、それをお客さんのビジネスゴールとつなげて、技術に詳しくない人にも分かりやすく説明できる能力がとても大事です。これができると、お客さんの技術的な悩みを解決するだけではなく、製品やサービスの価値を最大限に引き出すアドバイスもできるようになります。
最近特に注目されているのが、データを上手く使いこなすスキル。今のビジネス環境では、カスタマーサクセスがどれだけ効果があるのかを数字で見せたり、お客さんの行動パターンやニーズを細かく分析したりするには、データを使いこなす思考が欠かせません。例えば、適切なKPI(要するに、成果を測る指標)を設定したり、複雑な顧客満足度の指標を追いかけて解釈したり、そのデータを使ってお客さんの体験をどんどん良くしていく戦略を立てたり。さらに、そのデータを使って、上司や他の部署の人たちを納得させるような提案やレポートを作れる能力も大切。こういうデータ分析と戦略を立てるスキルを持っている人材は、お客さんを喜ばせるだけじゃなく、会社の長期的な成長や儲けを直接的に後押しする、すごく価値のある存在なんです。
3. カスタマーサクセス職の候補者を見つけるチャネルを広げる
日本でカスタマーサクセス職の人材を見つけるのって、ちょっと大変なんですよね。だから、柔軟に考えて、ちょっと変わった方法も試してみる必要があるんです。まず、他の仕事から転職してくる人たちにも目を向けてみるのがよいです。例えば、カスタマーサポートとか営業、アカウントマネージャーとかプロジェクトマネージャーの経験がある人たちって、カスタマーサクセスに使えるスキルをたくさん持ってるんですよ。特に、お客さんとのやり取りに慣れてる人とか、長く付き合いを続けられる人なんかは、ぴったりかもしれません。こういう人たちは、お客さん第一で考えられたり、問題解決が得意だったり、コミュニケーション上手だったりするので、ちょっと訓練すれば、すぐにカスタマーサクセスのプロになれる可能性が高いんです。
それから、カスタマーサクセスの勉強会とかセミナー、業界のイベントにも積極的に顔を出すのもおすすめです。こういう場所で、カスタマーサクセスに興味がある人や、既にプロの人たちと直接話せるチャンスがあります。ここでは、人材を見つけるだけじゃなくて、業界の最新情報や上手くいってる例なんかも学べて、自分の会社のカスタマーサクセス戦略に活かせるんですよ。SNSやLinkedInみたいなネットワークも使わない手はありません。ここでは、業界の新しい動きに敏感で、自分を高めようとしている人を見つけられるかもしれません。こういうプラットフォームでは、その人の投稿や活動を見て、スキルや業界への理解、コミュニケーション能力なんかを事前にチェックできるので、採用の効率も上がりますよ。
最後に、自社の中で人材を育てるのも大切です。今いる社員の中から、カスタマーサクセスに向いてる人を見つけて、専門的な訓練をすることで、社内からカスタマーサクセス人材を育てられるんです。この方法だと、会社のことや製品のことをよく知ってる人材が確保できるし、社員にとってもキャリアアップのチャンスになるので、みんなが満足して、長く会社に残ってくれる可能性も高くなります。
4. 魅力的な職場環境とキャリアパスを提示する
いい人材を見つけることができたら、次はカスタマーサクセス職を魅力的に感じてもらうための職場環境とキャリアパスの提示が非常に重要になります。
カスタマーサクセスは比較的新しい職種であり、多くの候補者にとって将来的なキャリアパスが不透明に感じられることが少なくありません。そのため、企業としては、明確で具体的なキャリアパスを提示することが極めて大切です。例えば、ジュニアCS担当者からスタートし、シニアCS担当者、CSチームリーダー、CSマネージャー、CSディレクター、そしてVP of Customer Successといった階層を設け、各段階での役割と責任、必要なスキルセット、そして昇進の機会を明確に示すことが、優秀な人材を引き寄せる重要な要素となります。さらに、各段階でのスキルアップのための研修プログラムや、メンターシップ制度なども用意されていることを伝えると、より魅力的に映るでしょう。
また、カスタマーサクセス職の働きがいと意義を強調することも非常に効果的です。この職種は単なる顧客サポートではなく、顧客の成功を自分の成功と直接的に結びつけることができる、やりがいのある仕事です。顧客の事業成長に貢献し、その成果を実感できる喜びや、企業全体の成長に直結する重要な役割を担っているという誇りを、具体的な成功事例や数字を交えて候補者に伝えることが重要です。例えば、「あなたのサポートによって顧客の売上が○○%増加した」といった具体的な成果を示すことで、仕事の意義をより明確に伝えることができます。
さらに、現代の働き方のトレンドに合わせた柔軟な職場環境の提供も、優秀な人材を引きつける重要なポイントです。リモートワークやフレックスタイム制の導入、ワークライフバランスを重視した休暇制度、健康管理サポートなど、従業員のウェルビーイングを考慮した環境作りが求められています。また、最新のテクノロジーツールや、データ分析プラットフォームの提供など、効率的に仕事を進められる環境整備も重要です。これらの要素を組み合わせることで、カスタマーサクセス職が単なる仕事以上の、キャリアと人生の充実を両立できる魅力的な選択肢であることを、候補者に強く印象づけることができるでしょう。
5. 適切な採用プロセスを整える
さて、採用プロセスをもっと楽しくて効果的にすることもとても大切です。カスタマーサクセス職は、技術的なスキルもソフトスキルも両方見る必要があるため、ちょっと難しいです。そのため、普通の面接だけじゃなく、もっと実践的で多面的な評価方法を取り入れるのがおすすめです。例えば、ケーススタディやロールプレイングをやってみると、候補者の問題解決能力やコミュニケーションスキルがよくわかります。
具体的には、実際のお客さんのシナリオを出して、候補者がどう分析して、どんな解決策を提案して、どのようなコミュニケーションを取るかを見ます。そうすると、実際の仕事ぶりがよくわかるります。グループディスカッションやプレゼンをやってもらえば、チームワークやリーダーシップも見えてきます。オンラインのテストツールを使って、適性や能力を客観的に測るのも良いですね。こういういろんな方法を組み合わせると、候補者の能力がよくわかって、ぴったりの人材が見つけやすくなります。
それから、採用の過程全体を通して、コミュニケーションの質と頻度にも気をつけましょう。カスタマーサクセス職は、お客さんとの信頼関係が大切な仕事なので、コミュニケーションを重視している事が多いです。つまり採用側のコミュニケーションも見られているのです。採用の各段階で素早くて丁寧なフィードバックを心がけて、候補者の質問にも誠実に答えることが大切です。
同時に、これは会社側が候補者を知る機会でもあるんです。候補者が会社の文化や雰囲気に合うかを見極めながら、会社の魅力や成長のチャンス、チームの雰囲気なんかも積極的にアピールしましょう。例えば、今働いてるカスタマーサクセスの人と話す機会を設けたり、オフィスツアーをしたりすると、候補者も実際の職場の雰囲気がよくわかるはずです。それに、候補者からのフィードバックも積極的に聞いて、採用プロセス自体をどんどん良くしていくのも大切ですよ。こうやって、お互いをよく知り合えるプロセスを作ると、長い目で見て成功する採用ができるんです。
最後に、多様性と包括性も忘れちゃいけません。カスタマーサクセス職は、いろんなバックグラウンドのお客さんと接する機会が多いので、多様な視点や経験を持つ人材を採用すると、チームの創造性や問題解決能力がグッと上がるんです。だから、採用基準や評価方法が特定の属性や背景に偏ってないか、常にチェックして、公平で包括的な採用プロセスを作ることが大切です。例えば、名前や性別を伏せたブラインド採用を導入したり、いろんなバックグラウンドの面接官を起用したりすると、より幅広い人材プールから最適な候補者を見つけられる可能性が高くなります。
カスタマーサクセスの業務委託
カスタマーサクセス職の正社員雇用以外にも、企業が柔軟に人材を確保できる様々な選択肢があります。これらの代替手段は、企業の特定のニーズや状況に応じて効果的に活用できる可能性があります。
例えば、派遣社員の活用は、短期的なニーズや繁忙期の対応に特に適しています。この方法では、迅速に必要な人材を確保できるだけでなく、業務量の変動に応じて柔軟に人員を調整することが可能です。また、専門的なスキルを持つ派遣社員を活用することで、正社員の採用や教育にかかる時間とコストを削減しつつ、即戦力となる人材を獲得できるメリットがあります。
また、業務委託という方法もあります。特別なプロジェクトや専門的な仕事には、外部のエキスパートを呼びましょう。社内にないスキルが必要な時や、高度な知識が必要な時に便利です。必要な時に必要なスキルを持つ人を呼ぶことができます。またある程度、パターン化した業務、例えばオンボーディングなどを業務委託に頼むケースも増えてきています。
これらの方法は、正社員を雇うよりコストを柔軟に調整できたり、特殊なスキルを持つ人を見つけやすかったりします。会社のニーズに合わせて、うまく組み合わせて使うとよいでしょう。
例えば、急に退職者が出てしまってリソースを補強しないといけない、うまく回ってはいるがテックタッチに注力して効率化したいが社内だと知見が足りない、アップセル・クロスセルをやっていくべきだが、セールス的な経験をもった人材が社内にいない、などなど様々なシーンで業務委託を活用することが可能です。
こんな風に、いろんな雇用形態をうまく使いこなせば、市場の変化やお客さんの要望にすばやく対応できる、柔軟で強いカスタマーサクセスチームが作れちゃいます。
弊社アディッシュではカスタマーサクセス領域に特化し、カスタマーサクセス人材の常駐支援(業務委託)をしているので、よければ覗いていってみてください。
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まとめ
カスタマーサクセス職の人探しは、確かに大変ですが、うまくやれば絶対成功できるはず!
まずは、カスタマーサクセスとは何をする仕事なのか、どんなスキルが必要なのかをハッキリさせること。それから、いろんな方法で人を探して、魅力的な職場環境とキャリアアップの機会をアピールすることが大切。実践的な採用プロセスを作って、候補者とのコミュニケーションを大事にすれば、優秀な人材をゲットできて、長い目で見た成功につながるはずです。
この記事を書いたライター
小原良太郎
アディッシュの執行役員経営戦略本部長。経営戦略やマーケティングなどを担当。前職ではMarTech SaaSでマーケからカスタマーサクセスまでマネジメント。