事例から学ぶ!カスタマーサクセス支援の質を高める『CS座談会』

永冨隆之
2025.05.13

カスタマーサクセスに関わるすべての方へ
カスタマーサクセス(CS)に取り組んでいるものの、なかなか成果が出ずに悩んでいませんか? 顧客満足度向上や継続率の改善といった目標達成に苦労している方もいるかもしれません。
この記事では、弊社の取り組みである『CS座談会』を通して、カスタマーサクセス支援の質や組織力を高め、顧客へより質の高い支援を提供する仕組みを紹介します。
弊社のカスタマーサクセス支援とは?
弊社では、カスタマーサクセスチームのメンバーが、それぞれの経験やノウハウを活かし、さまざまな企業の成長を支援しています。
クライアント企業ごとに異なる課題に向き合いながら、単なるアサイン業務に留まらず、組織全体として支援の質を高めることを意識しています。
その一環として、弊社では「CS座談会」という社内勉強会を定期的に実施し、ノウハウの共有を図っています。座談会を通じて、メンバー個々のスキルアップはもちろん、チーム全体のレベル向上を目指しています。
CS座談会とは?
「CS座談会」は、メンバー間で実際の事例を共有し、より良いカスタマーサクセス支援の形を模索する場です。
業務において直面した課題や成功事例、落とし穴などのリアルな情報を共有することで、実践的な学びを得られる場としています。机上の空論ではなく、現場で役立つ知識やスキルを身につけることが目的です。
⭐️発表内容のポイント
座談会では、各メンバーが自身の担当案件について、以下の視点で発表を行います。
- [会社情報] どの業界/業種のクライアントか?クライアントのビジネスモデルや企業規模も共有します
- [商品/サービス情報] どのようなサービスを、どのような利用者に提供しているか?サービスの特徴やターゲット層を明確にします。
- [KPI] カスタマーサクセスの支援範囲と、目指すゴールは?具体的な数値目標や、達成度を評価します
- [Result] どのような施策を実施し、どんな成果が得られたか?施策の内容だけでなく、その効果や反省点も共有します
- [ToBe] 今後の動きとして、どういった目標に対し、どういったアクションをしていく予定なのかを共有します
このような情報をもとに、異なる業界・業種の成功事例を学び、それぞれのプロジェクトに活かすことを目的としています。他社の事例を知ることで、新たな視点やアイデアを得ることが期待できます。
事例紹介
それでは、いくつか実際の事例を紹介いたします。
※その場で上がった議論ポイントをメンバー同士で分科会として別MTGを設置し、より深掘りをしていくこともあります。一つのテーマについて深く掘り下げることで、より具体的な解決策や改善策を自身のアサイン先の業務に紐づけて見つけることができます。
<Case①:SaaS企業におけるチャーン対策>
■背景:
継続利用してほしいが、契約更新の時期が差し掛かると解約になってしまう顧客が多い状態
解約理由が不明確なため、効果的な施策が打てずにいた
■実施した施策:
カスタマージャーニーマップを作成し顧客体験を視覚化
どのポイントでユーザーがつまづいているかを聴取/分析し視覚化(不満/要望)
リスク度を検知できるようヘルススコアを設計
特に課題が大きいと考えられるオンボーディングのフロー見直し
ヘルススコアを用いてリスクを検知しアクションを実行
■結果:
ユーザーがつまづきやすいタイミングで支援ができる状態になった
ヘルススコアによってリスクを事前に検知しすぐにアクションを実行できる状態になった
オンボーディング後の利用率(ログイン率、特定の機能利用率)が上昇した
<Case②:カスタマーサポートと連携した業務改善>
■背景:
お問い合わせがそれなりにあるが専任担当者がおらず、社員でカバーしていた
工数が大きく他業務に手が回らない状態
■実施した施策:
お問い合わせ対応・二次応対の実施の代行運用(品質向上・業務効率化)
スクリプトやフローの作成による属人化解消(標準化)
顧客の自己解決率を上げるため、FAQの修正/追加等の対応
■結果:
お客様のお問い合わせに即日返答ができる状態になった(顧客満足度)
FAQの整理/アップデートがされたことでお問い合わせが30%減った
委託元社員の手がほぼ100%空いて、他施策に注力できるようになった
「楽になったよ」「やりたいことに注力できるようになったよ」とお礼の言葉をいただけた
まとめ
カスタマーサクセスの業務は、多岐にわたるスキルを必要とする、まさに総合的なプロフェッショナル領域です。
例えば、
- 課題を分析する力
- 顧客の言葉の裏にある真のニーズを掘り下げ、行動データや利用状況から潜在的な課題を炙り出す洞察力
- 視覚化する力
- 複雑なデータを分かりやすいグラフや図に落とし込み、チーム全体で共通認識を持つための情報整理力
- ロジカルな思考力
- 目の前の事象を鵜呑みにせず、「なぜ?」を繰り返し、仮説を検証しながら最適な解決策を導き出す問題解決力
これらのスキルを磨くには、日々の業務で経験を積み重ねることはもちろん、他のメンバーの成功・失敗事例から学び、自身の引き出しを増やしていくことが不可欠です。
カスタマーサクセスは、顧客ごとに異なる課題と向き合い、常に進化が求められる分野です。だからこそ、私たちはお互いの知識と経験を共有し、『CS座談会』を通じてチーム全体としての成長を追求していきます。
変化の激しい時代においても、常に顧客にとって最適な支援を提供できる組織であるために、私たちはこれからも挑戦し続けます!

この記事を書いたライター
永冨隆之
2011年2月にアディッシュへ入社。カスタマーサポート部門でオペレーターから運用統括まで幅広く担当し、ツール設計、拠点管理、教育業務も担当。現在はカスタマーサクセス領域を主軸に、コンサルティングや伴走支援、1on1・座談会の企画、タレントマップ作成などを通じて組織力向上に取り組んでいる。前職は音楽業界でギター講師やレコーディング、バンド活動、バックステージ業務などを経験。