カスタマーサービスとは?対応品質の向上のために大切なこと8つ
前田千波
2024.11.07
カスタマーサービスを立ち上げるとき「部門の評価指標をどのように定めるべきか?」「どのような仕事内容を行うべきか?」とお悩みを抱えてしまうかもしれません。カスタマーサービス部門の立ち上げは、顧客対応の品質を左右するため慎重に行いましょう。
今回はカスタマーサービスについて詳しく解説します。対応品質を向上させるコツが理解できるため、ぜひお役立てください。
カスタマーサービスとは
カスタマーサービスは、商品購入前や商品購入後に顧客をサポートする仕事をいいます。「お客様窓口」や「サポートセンター」と呼ばれるケースも多いです。
お客様1人1人に合ったサポートを行い「商品・サービスを購入してよかった」と満足してもらうことで、パートナーシップを築いていきます。
カスタマーサービスの役割
カスタマーサービスの役割は、顧客が抱える課題を解決していき、信頼関係を築きパートナー関係になることです。
顧客に「自分を理解してくれる人だ」と思われて、パートナーシップを築くことができれば、商品を継続して購入してもらえたり、商品やサービスの改善点の意見をもらえるようになります。顧客と信頼関係を築いて売り上げに貢献することがカスタマーサービスの役割です。
カスタマーサービスの仕事内容
購入前 | ・商品やサービスの説明 ・トライアル体験談のサポート |
購入時 | ・商品やサービスの注文方法の説明 ・商品やサービスの注文の受付 ・サービス導入時のサポート |
購入後 | ・商品やサービスに関する質問への回答 ・クレーム対応 ・追加注文の受付 ・修理・交換の受付 ・支払い方法など変更の受付 |
その他 | ・顧客からのお問い合わせ内容の記録 ・商品・サービスに関する意見の受付 ・顧客の意見を参考に商品・サービスの改善 |
カスタマーサービスとカスタマーサポートの違い
カスタマーサービスとカスタマーサポートの違いを簡単に説明すると「目的」です。
カスタマーサポートの目的は、インストール方法や解約手続きサポートなどテクニカルサポートで顧客の悩みを解決することです。
その一方で、カスタマーサポートの目的は、顧客1人1人に寄り添ったサポートをしてパートナーシップを確立することとなります。
カスタマーサービスの中に、カスタマーサポートが含まれていると考えると理解しやすいです。
カスタマーサービスの効果
カスタマーサービスを通じて顧客と真のパートナーシップを確立すると3つの効果が得られます。
リピート率の向上
顧客1人1人に合ったサポートをして「感動」「驚き」「喜び」を与えれば、相手と信頼関係が築けるようになり、自社商品をリピート購入してもらえるようになります。
自社の商品・サービスの愛着を持ってもらえれば、価格競争に陥ることもありません。既存顧客にリピート購入してもらえれば、売上アップが見込めます。
新規顧客の獲得
顧客とパートナーシップを構築できれば「マイホームは●●住宅会社が良いよ」と新規顧客を紹介してもらえるようになります。
紹介営業は通常の営業よりも成約率が高いため、新規顧客が低コストで獲得できるようになります。
企業競争力の向上
素晴らしい顧客体験をした人は「この喜びを誰かに伝えたい」と思うようになり、ブログやSNSで企業の良い評判・口コミを発信するようになります。
企業から金銭的・精神的インセンティブを得ていないにも関わらず、良い口コミを流してくれたり、キャンペーン情報を共有してくれたりするようになるため、企業競争力が高まります。
カスタマーサービスで大切なこと・心得
カスタマーサービスで大切なことや心得を理解しておくことで、顧客と真のパートナーシップを確立できるようになります。カスタマーサービスで大切なことは3つです。
顧客視点で物事を考える
カスタマーサービスは、顧客視点で物事を考えることが大切です。お客様が、どのような対応を求めているかを考えて「感動」「驚き」「喜び」を伴う対応をすることで、相手に良い印象を残せます。良い印象を残すことができれば、信頼されるようになり商品・サービスを売りやすくなるのです。
顧客視点に立ったサービスを作りたい場合は、カスタマージャーニーマップを作成することをおすすめします。
コミュニケーションを取りやすくする
カスタマーサービスは、好きなときに好きなように連絡できるようにすることが大切です。そのため、電話やメール以外にも、メッセージングアプリ、チャット、SNSなど多様なチャンネルを用意しておきましょう。
24時間365日対応のお客様窓口を設置すれば、顧客満足度が上げられます。顧客のパートナーになるためには、家族や友人のようにコミュニケーションを取りやすくすることが大切です。
会社の顔・代表であると意識する
カスタマーサービスは、会社の顔・代表であることを意識することが大切です。
会社の顔・代表であることを意識することで、顧客が抱える悩みを解決するだけでなく「なぜ問題が起きたのだろう?」「再発防止のためにどうすればいいのだろう」と一歩踏み込んで物事を考えられるようになります。
カスタマーサービスの品質を向上させるコツ
カスタマーサービスの品質を向上させるコツは4つあります。
カスタマーサービススキルを磨く
カスタマーサービスの品質を向上させるために、カスタマーサービス部門向けのスキルアップ研修を行ってスキルを磨きましょう。
カスタマーサービスに必要なスキルには、以下のようなものがあります。
- コミュニケーションスキル
- IT活用スキル
- 傾聴力
- 問題解決力
- タスク管理力
- 自社商品の知識
ITソリューションを導入する
カスタマーサービスの仕事は多岐に渡るため、担当者の負担が重くなります。その結果、顧客対応力が低下することもあるため、ITソリューションを導入して業務効率化を図りましょう。
【ITソリューションの例】
- 顧客の質問に自動で回答できるチャットボット
- チャネル間をシームレスに切り替えられるお問い合わせ管理ツール
- 問い合わせの確認漏れを防止できるタスク管理ツール
FAQサイトで自己解決を促す
顧客が悩みを自己解決できるようにFAQを作成しておくと、顧客満足度が上がります。
顧客は常に誰かに助けてもらいたいと思っているわけではありません。自分の悩みの解決に協力してもらうのは気が引けると思う方もいます。
顧客の69%は自己解決を望んでいることが判明しているため、FAQサイトを作り、さまざまな悩みを解決できるようにしておきましょう。
KPIを計測して改善する
カスタマーサービスの品質を向上させるためには、KPIを計測して改善する必要があります。
カスタマーサービスのKPIには以下のようなものがあります。
解約率 | 顧客がサービスを解約した割合 計算式:解約者数 ÷ 総顧客数 × 100 |
顧客維持率 | 一定期間中に契約している顧客の割合 計算式:(期間終了時の顧客数 - 期間中の獲得顧客数) ÷ 期間開始時の顧客 × 100 |
オンボーディング完了率 | 顧客がサービス運用を始めてから定着するまでの期間 計算式:オンボーディングが完了した企業数 ÷ オンボーディング期間の全企業数× 100 |
アップセル・クロスセル | アップセル・クロスセルの件数 |
LTV | 顧客が自社にももたらす利益 計算式:平均顧客単価 × 収益率 × 購買頻度 × 継続期間 |
NRR(売上継続率) | 前年度と比べた際の既存顧客の売上の増減 計算式:前年度の顧客の今月のMRR ÷ 前年度の顧客の同月のMRR × 100 |
アウトソーシングや委託を検討する
カスタマーサービスの仕事内容は多岐に渡るため、社内で完結できないかもしれません。ITソリューションを導入して業務効率化を図ってもリソースが足りないこともあります。
また、事業が急成長してカスタマーサービスのリソースが足りなくなるケースも多いです。このような悩みを抱えたら、アウトソーシングや委託を検討しましょう。
カスタマーサービスのコンサルティング事例
アディッシュはスタートアップ企業のカスタマーサービスのコンサルティングを得意としています。
ここでは、弊社のアウトソーシングサービスを利用したカスタマーサービスの成功事例をご紹介します。
株式会社FUNDINNO
株式会社FUNDINNO様は、ベンチャー企業を応援できるクラウドファンディング「FUNDINNO」や「FUNDINNO PLUS+」などを運営するスタートアップ企業です。
同社は投資家の観点からカスタマーサービスを追求する「投資家サクセス部」を新設しました。投資家サクセス部の狙いは以下の4つ。
- 投資家のために10万円以上の投資をしてもらうためのオンボーディングを行う
- 投資家向けに新規案件のご紹介する
- イベント活動による投資家やスタートアップとの関係を構築する
- 投資家のエンゲージメントを工場させて、他の案件にも投資をしてもらう
初めての試みのため「カスタマーサービス部門のKPIは、どのように設定するのか?」「カスタマーサービス部門の貢献度をどのように報告すればいいのか?」と悩みを抱えていました。
弊社で課題の解決方法を提案して、投資家サクセス部の成果の可視化を実現しました。
ゲシピ株式会社
ゲシピ株式会社は「eスポーツ英会話®︎」「eスポーツジム」などeスポーツをメインとしたメタバース教育カンパニーです。 事業の飛躍的な拡大に伴い、2022年7月にカスタマーサービス部門を委託して立ち上げました。
2022年7月以前から「eスポーツ英会話®︎」スクール管理用の表計算ソフトの作成、カスタマーサービスツールZendeskの導入サポートを依頼しており、柔軟に対応してくれることから、アディッシュに依頼を決めたとのこと。
お客様に本当に必要なFAQを作るために、必要な項目と不要な項目を相談しアップデートしていきました。2週間に1回ほど定例会を実施し、より良いカスタマーサービスを目指しています。このような体制を構築して、1ヶ月400件前後のお問い合わせに対応しています。
REALITY株式会社様
REALITY株式会社様はスマホ1台で好きな姿に変身できるスマートフォン向けメタバース『REALITY』を運営している会社です。同社は『REALITY』の運営におけるコミュニティ健全化を目的として、インターネットモニタリングサービスを導入しました。
サービスローンチから監査業務を重視しており、24時間365日体制で管理したいため、外部委託を決断しました。多くの人に安心してサービスを利用してもらうためには、ガイドラインに抵触する行為を早期に発見しなければいけません。そのため、監査業務に注力したいと考えていたのです。
アディッシュはガイドラインに抵触する違反行為の対応業務をはじめ、方針やフロー等をアップデートを支援しています。
まとめ
カスタマーサービスは、自社の商品・サービスを長く利用してもらうために顧客とパートナーシップを築いていく役割を担います。そのため、顧客視点で物事を考えて、家族や友人に相談するかのようなコミュニケーションの取りやすさが重要となります。
カスタマーサービス部門を立ち上げるときは、成果を評価できるようにKPIを定めましょう。また、業務が多岐に渡るためITツールで効率化したり、リソースを確保することも大切です。
カスタマーサービスを立ち上げる際にお悩みを抱えたら、カスタマーサービス総合支援サービスを提供しているアディッシュまで、お気軽にご相談ください。
カスタマーサービスの総合支援
この記事を書いたライター
前田千波
前職のITベンチャーにてインサイドセールスの立ち上げに参画し、SDR・BDR共に経験。特にSNSを活用したアポ創出を行う。 アディッシュではインサイドセールスの新規開拓推進担当として、カスタマーサクセス商材を中心にアポ創出やチーム構築に携わる。大分県在住