カスタマーサクセス担当者がアップセル・クロスセルを勝ち取るためには!

昨今、カスタマーサクセスの役割としてアップセル・クロスセルにも重点がおかれるようになってきました。
このあたりはカスタマーセールスと呼ばれ、実質的にセールス活動になってきます。
カスタマーサクセスをやっているけど、セールスは未経験者という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで購入してもらうためのテクニックと、私が経験した事例をご紹介させていただきます。
「検討します」で終わらせない!商談を勝ち取る方法とは!
物を買ってもらったり契約してもらう時に、「検討します」と言われてそのまま音沙汰が無いなんて事はよくあります。
その時、その人は本当に検討した上で勧められた物を買わないと決断したと思いますか?
答えはNOです。
「検討します」と言った段階で断ろうと思っているのです。
それでは一つずつ紐解いていきましょう。
まず、日本人という人種を理解しよう
日本人は物事をハッキリ言わない人種です。
例えば何かを食べに行くときに「何食べたい?」と聞いて「なんでもいいよ」と言われたとします。
「じゃあ焼肉とかどう?」と言っても「ちょっと重たいからもう少し軽い物がいいかな」とか言われたことはありませんか?
もしくは「いいよ」と言われたとしても、あまり嬉しそうじゃなかったりしたことはありませんか?
日本人は自分の意思をハッキリ伝えるのが苦手という人が圧倒的に多い
日本人はハッキリ言わないのが優しさと捉えている人が多いです。
告白した時も「今は誰とも付き合う気がない」とか「私には勿体ない」とか、差し当たりない言葉で断る人もいます。
これはハッキリ断ることで恨みを買うのが怖かったり、摩擦が生じる事が億劫なのだと私は思っています。
要は悪い人と思われたくない。それが日本人の傾向として強いと思います。
「検討します=お断り」と理解すべし
以上の事から「検討します」と言う方は、ほぼ断ろうと思ってるけどハッキリ言いたくなくて、あやふやにして終わらせようとしていることが多いのです。
興味があれば必ず質問があります。
質問もなく「検討します」で終わった場合は100%お断りと思ってください。
では、どうすれば興味を持ってもらえるようになると思いますか?
興味を惹き付ける為には
人は誰でも悩みを抱えている生き物です。
悩みがなく全てに満足をしている人なんていません。
その悩みが解消できる方法があると知ったら、興味が惹かれませんか?
つまり、まずはその人が抱えている悩みを浮彫にして整理してあげてください。
その上で、「解消する為のいい案(商品)があるんですよ」と言われたらちょっと聞いてみていいかなと思いませんか?
まずはこの下地を作る事がめちゃくちゃ重要です。
ちなみに、悩みが無いなんて人がいたら、それは悩みを悩みと認識していないだけです。
コチラから引き出してあげれば悩みは誰にでもある物なのです。
下地を作った後の話し方
下地を作っても、相手はまだ少し話を聞いてもいいかな?という段階なので、その後の話し方や順序も非常に大切です。
自分が営業をかける相手というのは、他の人からもたくさんの営業を受けています。
その為、自分本位の提案はすぐに見抜かれます。
相手の立場を踏まえて話すのは当たり前に大事なのですが、それでも最初は難しいと思いますので、細かいテクニックを紹介していきます。
他の人を事例に出す
あなたはスーパーに商品を卸したい営業だったとします。
その場合は、「最近他の方から、野菜が高騰して困ってるとよく相談されるのですが、貴社では大丈夫ですか?」など他の方から相談された事案を例に聞いてみてください(もちろん、その方が困っているだろう事を想定して)
その場合、困っていれば「ウチもだよ」となり提案に移れますし、導入した実績なども例に話を進める事ができます。
もし、「ウチは大丈夫だな」となれば、また別の事例を出して、相手の困っていることを想定して引き出していきます。
直接的に聞かない
あなたはコピー機のレンタルオフィスの営業だったとします。
もし直接「コピー機を導入しませんか?」と言ってしまうと、「考えます」や「NO」と言われた時に巻き返しが難しくなってしまいます。
その為、別の角度から話を持ちかけた方が良いのです。
例えば
「最近人件費を上げろという世間の流れがあって厳しくないですか?」
⇒「まずコストを削減しませんか?」
⇒「コピー機を買うのではなくレンタルしませんか?」
⇒「購入とレンタルだとこれだけコストが変わってきます」
など、コストカットという相手側の利益を考えて別の要因から提案をすることで相手に寄り添った提案となります。
相手の利益を考える
上でも書きましたが、自分が営業をかける相手は、他の人からもたくさんの営業を受けている為、自分本位の提案はすぐに見抜かれます。
商品のすばらしさを伝えるのではなくではなく、購入(導入)することで相手にどのようなメリットがあるか(どう変わるのか)を具体的に提案することが大事です。
関係性を築いていく
一度NOと言われてもそこで諦めてしまうのは勿体ないです。
NOと言われたら、まずは受け入れた後に理由を聞いてみてください。
その理由次第では、解消できる提案をできるかもしれませんし、そもそも相手が提案内容をしっかり理解していなくて勘違いしているという事もあり得ます。
そこから次につながることが往々にしてよくあります。
NOと言われたときは、その理由を確認するのが大切です。
また、購入(導入)いただいた場合でもそこで終わりにしないでください。
導入後の経過測定~改善案などを提案して関係性を築いていく事でアップセルやクロスセルに繋がりますし、他のお客様を紹介してくれる場合もあります。
関係性を築くことで裏表ない意見を言い合えたり、深い話し合いができるようになってきますので、積極的に関係性を築いていきましょう。
実際に契約を取った例
実際に契約を何度も獲得した事例をご紹介します。
私は以前、業界大手のECモールのBPOで、既に加盟されている店舗への広告営業を行っていた時期があります。
そのECモールでは、加盟店へ様々な部署から異なる広告営業をしており、数打てばあたる方式を行っており、加盟店の店舗ページなど見ず、下手すると何の商品を扱っているかも不明な状態で、架電数が求められる状況でした。
そこで私は架電数絶対主義のやり方を一か月だけ変えて、独自のやり方を試させてほしいとクライアントに掛け合いました。
そこで結果を出し、そのやり方をチーム全体に波及させて売上を2倍以上に伸ばす事ができました。
行った事は、電話をかける前に加盟店の商品ページを見て、「この商品を入口にして、お客さんに自社のページを見てもらいませんか?」と変えたことです。
ECモールでは多くの店が出店している為、まずは自分のお店の存在と商品を知ってもらわないと販売の機会が得られません。
しかし、売上が少ない店舗は支出も減らしたい気持ちが強く、なんの施策も行っていない事が多いのです。
施策を行っていないとどこを改善したらいいのかも勘で行うことになってしまいます。
その為、第一歩として目をひくような商品を広告にして、店舗のページに誘導する事を提案しました。
試しに広告を出してアクセス数が伸びない場合や購買が低い場合はその商品(もしくは見せ方)に魅力が無い事になりますし、他の商品ページを見る人が少なければページの作り方を変えた方がいいとお伝えし、売上を伸ばすために施策を打ち出していこうと提案しました。
また、目的の目線合わせをしっかりすることも大事です。
「広告料<売上」になることが目的ではありません。
広告を出して知ってもらい、リピートしてもらうことが大事なのです。
広告後の導入効果から、次回広告への情報(ページビュー数や、1アクセスあたりのページ閲覧数、訪問数、購入率 などから、自社のサイトの作り方やキャッチフレーズなどを見直す)を収集することが目的と捉えていただかないと、広告料より売上が低かったという目先の視点だけでその後の契約が続かないこともあります。
お客様の立場を考えると、ECモールにお金を払って加盟を続けているという事は、売上をどんどん大きくしたいという意思はある(売れる商品を扱っているという自覚)という事です。
それを踏まえたやり方にしたことで、お客様の心に響き、契約を勝ち取っていったという流れです。
まとめ
大切なことは以下になります。
1、相手に聴く体制を持ってもらう
その為に相手の悩みを引き出す
2、相手の立場で提案する
購入(導入)することで相手にどのようなメリットがあるか(どう変わるのか)を具体的に提案
3、NOと言われた場合も、売った後も、関係性を築いていく
NOの理由や、導入後の測定・改善など
4、自分の都合(会社のやり方)を押し付けるのではなく、双方に取って良い結果となる方法を探し続ける
以上を念頭に置いて行動することが大切です。