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カスタマーサクセスで重要なリテンション率とは?計測するメリットや改善方法を解説

リテンション率とは、継続してサービスを利用する顧客の割合を指し、カスタマーサクセス領域で特に重要視されている指標です。サブスクリプション型のSaaSビジネスを展開する場合、サービスの解約は事業成績に大きな影響を与えます。

だからこそ、顧客の継続利用を促しリテンション率を改善させることには、重要な意味があります。しかし、意義は理解しているものの、「数値の低さに悩んでいる」「改善方法がわからない」と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、リテンション率の概要や計算方法、改善するためのポイントを詳しくご紹介します。

 

カスタマーサクセスで重要なリテンション率(顧客維持率)とは?

リテンション率とは、Webサービスやアプリを継続利用する顧客の割合を示す指標です。「顧客維持率」や「継続率」とも呼ばれています。マーケティング用語として用いられる機会の多いリテンション率ですが、顧客との継続的な関係性を維持するための指標として、カスタマーサクセスの領域でも使われています。

カスタマーサクセスは、自社サービスによって顧客の成功を支援し、結果としてLTVを最大化させるのが目的です。特にサブスクリプション型のSaaSビジネスにおいて、LTVを最大化させるためには顧客に継続してサービスを利用してもらわなければなりません。サービスを継続されているかどうかを、表したものがリテンション率です。リテンション率が高いほど、サービスに対する満足度が高いといえるでしょう。

 

リテンション率の計算方法

リテンション率の計算式は次の通りです。

 

  • リテンション率(%)= 継続顧客数 ÷ 新規顧客数 × 100

 

例えば、1,000人の新規顧客の内、計測期間後に300人との契約が継続していた場合、、リテンション率は30%です。上記の計算式における新規顧客数とは、計測を開始した時点の顧客数を指します。とはいえ、計測を終了するまでの間に新規契約する顧客もいれば、解約する顧客も存在します。

そのため継続顧客数は、「計測が終了した時点の顧客数 - 計測期間中に新規契約した顧客数」の計算式で求める必要があります。仮に1月1日の顧客数が1,000人で、1月31日の顧客数が1,200人だとします。1ヶ月の間に新規契約した顧客数が500人いた場合、次のようにリテンション率を計算できるでしょう。

(1,200人 - 500人)÷ 1,000人 × 100 = リテンション率70%

 

リテンション率を向上させるメリット

リテンション率を向上させるメリットは次の通りです。

 

  • 収益が安定しやすい
  • 質の高いUGCが生まれやすい
  • アップセルやクロスセルにつながる

 

ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

 

収益が安定しやすい

SaaS型ビジネスにおいて、リテンション率の向上は収益の安定性に直結します。例えば、サービスの月額料金が5,000円だとすると、1年で解約した顧客からの収益が60,000円なのに対して、5年継続すると30万円の収益となります。

上記のように、SaaS型ビジネスでは、いかに顧客に継続して利用してもらえるかがカギを握っています。既存顧客による長期的な継続利用が見込めることで、売上・収益の安定化をはかれます。また、獲得に多くのコストを要する新規顧客に頭を悩ませる場面も少なくなるでしょう。

質の高いUGCが生まれやすい

UGC(User Generated Content)とは、企業発信ではなく、ユーザーが自発的に生成するコンテンツです。個人が投稿したブログや掲示板への書き込み、SNS投稿、口コミなどが代表例です。リテンション率の高さは、顧客からの信頼や満足度が高いことを表しています。

カスタマーサクセスによって大きな信頼や満足感を得た顧客ほど、質の高いUGCを生み出してくれる可能性があります。その満足しているかどうかの判断基準の1つとしてリテンション率を用いることができます。また、インターネット上に公開されたUGCは拡散されやすいのも特徴です。自社に対する良い評判や口コミが広く伝播した結果、ブランディングに好影響をもたらします。

 

アップセルやクロスセルにつながる

アップセルやクロスセルに結び付きやすいのもメリットのひとつです。カスタマーサクセスにおけるアップセルとは、現在契約している上位プランを顧客に提案し、顧客単価を引き上げる施策です。

一方のクロスセルでは、関連性の高い別のサービスやオプションなどを勧めます。アップセルやクロスセルを提案するためには、満足度の高い顧客を対象にする必要があります。満足度が高くなければ、そもそも聞く耳を持ってもらえない可能性が高いためです。

リテンション率は顧客の満足度を示す1つの指標でもあり、高い水準を維持すると、スムーズにアップセルやクロスセルを提案しやすくなります。

 

リテンション率が低下する要因

リテンション率が低下する場合は必ず原因が存在するものです。以下でご紹介するような目安となる原因を把握しておくと、改善点を的確に見直せるでしょう。

 

顧客満足度が低い

1つ目の要因は、サービスに対する顧客満足度が低い点です。サービスを利用したものの、操作性や機能性が悪くサービスへの価値を感じなければ、継続して使おうとは思わないでしょう。他にも、仕様が複雑すぎて使いこなせなかったり、システムトラブルや動作不良が多かったりすると、顧客満足度の低下につながってしまいます。

 

顧客への必要なフォローができていない

顧客への適切なフォローができていない場合もリテンション率に悪影響を及ぼします。サービスの利用に不慣れな顧客のフォローが不十分、使いこなせる顧客に必要以上にMTGを打診する等、フォローの過不足があると、不満につながります。顧客に対して必要なフォローを行っていない場合、悩みや疑問が解消しない顧客が解約する可能性も考えられます。

 

リテンション率の改善方法

リテンション率を改善するためには、次の4つの方法が効果的です。

 

  • 提供する商品やサービスの品質向上
  • 顧客への応対品質を向上
  • 顧客との接触機会を増加
  • CRM(顧客管理システム)の活用

 

提供する商品やサービスの品質向上

リテンション率の向上には、何よりも商品・サービスの品質を高める必要があります。いくら顧客へのサポートが充実していても、商品やサービス自体に価値を感じなければ、定着化は期待できません。商品・サービスの品質を高めるために有効なのが「VOC(顧客の声)」です。

アンケートやヒアリングなどを通じて得たVOCには、顧客からの率直な意見やフィードバックが含まれており、品質改善のヒントになります。顧客のニーズに合わせて商品やサービスの仕様、デザイン、機能などを設計し直しましょう。

 

顧客への応対品質を向上

商品やサービスと同時に、応対品質を向上させることも重要です。商品・サービス品質と応対品質は車の両輪のような関係だといえます。いくら丁寧なサポートを行っても、商品やサービスに魅力がなければ継続利用は見込めないでしょう。

上記と同様に、商品やサービスの品質が高くても、顧客の悩みを解消できるようなサポートが少ないと、不満が募る温床にもなりかねません。応対品質を高める具体的な施策には、カスタマーサポートの充実やチャットボットの導入などが効果的です。また、顧客の疑問を先回りして解決できるよう、セミナーや勉強会を実施するほか、FAQやマニュアルを整備するのも方法のひとつです。

 

顧客との接触機会を適切に調整

リテンション率を改善するためには、顧客との接触機会や顧客接点(タッチポイント)を適切に調節することが大切です。顧客との接触機会が少ないと、サービスに対する疑問を解消できず解約につながる恐れがあります。

一方、接触機会を増やしすぎても、かえって顧客の負担増につながる恐れがあるため、接触機会を調節することが重要です。例えば顧客との接触機会が少ない場合は、WebサイトやSNS、問い合わせフォームに加え、セミナーや直接訪問を実施するだけでも、顧客と接する範囲が大幅に拡大します。

結果として顧客が質問をする機会が増えると同時に、企業側でも情報発信や提案・アドバイスを行いやすくなり、双方向的なコミュニケーションが活性化するでしょう。活発なコミュニケーションを取るなかで的確に顧客の疑問を解消できれば、リテンション率の向上に結び付きます。

 

CRM(顧客管理システム)の活用

CRM(顧客管理システム)とは、あらゆる顧客の属性や行動データを蓄積し、一元管理するためのツールです。営業・マーケティング活動で得た見込み客情報に加え、カスタマーサポートで対応した顧客との履歴などをまとめて把握できます。

リテンション率の改善には、商品・サービス品質や応対品質の向上が求められますが、課題を特定し、的確なアクションプランを練るためには顧客情報が必要不可欠です。CRMに蓄積された顧客情報を参考にすれば、過去の行動履歴をもとに顧客が抱えている課題やニーズを明らかにできます。

 

リテンション率を向上させるうえでの注意点

最後に、リテンション率を向上させる際の2つの注意点をご紹介します。

 

PDCAを欠かさない

リテンション率を改善するうえで最も忘れてはならないのが、PDCAです。改善策は一度実施して終わりではなく、継続的に効果を確かめる必要があります。そのためにも、改善策を実行する前に、まずはリテンション率をKPI(数値目標)として設定しましょう。

次に、あらかじめ設定した目標と、実績の差を比較しましょう。もし実績よりも目標のほうが低い場合は、あらためて課題抽出と仮説検証を行い、新たな改善策を考えなければなりません。上記のようなPDCAサイクルを繰り返すことで、徐々にリテンション率の水準が向上します。

 

あらかじめ期間を決めておく

改善策の実施から効果検証までの期間は、事前に明確な区切りを設定しましょう。リテンション率を計測する適切な期間は、サービスに対する顧客の定着状態によって異なるからです。例えば、サービス導入期は顧客の疑問や悩みが生じやすく、短期間で解約につながるケースもあるため、週次や月次の短い期間で効果検証をする必要があります。

一方の定着期の場合、すでに顧客はサービスに慣れ親しんでおり、導入期ほど高い頻度で効果検証をする必要はありません。顧客の定着状態をしっかりと把握したうえで、適切な検証期間を定めることが大切です。

 

リテンション率を高め効果的なカスタマーサクセスを実施しよう

リテンション率は、カスタマーサクセスを実施するうえで非常に重要な指標です。リテンション率が低い状態は、顧客が継続的にサービスを利用しておらず、サービス内容や応対品質などに問題が発生しているかもしれません。問題を解決するためには、品質向上や接触機会の増加によって顧客満足度を高める必要があります。

反対に数値が高ければ、顧客に一定の満足感を与えられているといえるでしょう。高水準のリテンション率を目指すことで、カスタマーサクセスの成功へと一歩近付けるはずです。


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