応酬話法とは?種類別のテクニックとトレーニング方法をご紹介!

「商談で顧客に否定的な態度を取られたら、上手く切り返すことができない」「応酬話法には、どのような手法があるのだろう」とお悩みを抱えていませんか?
営業経験が浅いと、じどろもどろな対応になってしまいがちですが、トレーニングすれば営業成績を伸ばしていけます。
今回は応酬話法について詳しく解説します。この記事では、応酬話法の例文を記載しているため、トーク術のマニュアルとしてお役立てください。
応酬話法とは
応酬話法(読み方:おうしゅうわほう)とは、顧客の反応に対して適切な切り返しを行い、商談を滞らせることなく進めるためのトークテクニックです。販売心理学に基づいて編み出されました。
英語では「Basic sales talks」と表現されるように、営業トーク力を上げるために書かせないトークテクニックとなります。
応酬話法を習得しておけば、顧客に無関心な反応やネガティブな反応をされた際に上手く切り返せるようになります。
応酬話法のメリット
応酬話法を習得することで、3つのメリットが得られます。
顧客と信頼関係を構築できる
応酬話法を習得すれば相手の警戒心を解き、心を開いてもらいやすくなります。なぜなら、相手の話に共感を示すことで「この人なら悩みを理解してくれるのではないか?」「悩みを打ち明けてもよいのではないか?」と感じてもらえるようになるためです。
例えば、お客様に生命保険を提案した後に「病気や怪我にならなかった場合は損した気分になりそうですよね。」とネガティブな反応をされた場合「その気持ち、とてもわかります!私も保険は必要なのかなと思っていました。」と共感を示すことで警戒心を解けます。
その上で「お客様と似たような考えを持っていた方がいたのですが、去年、突然の病気で入院されました。その際に治療費を気にせずにしっかり療養できたと感謝されました。」と伝えれば「なるほど」と前向きに検討してもらえるようになります。このように、顧客と信頼関係を築き、営業を有利に進めていくことができます。
商談を円滑に進められる
応酬話法を習得すれば、顧客にネガティブな反応された場合でも適切に切り返すことができ、商談を円滑に進められるようになります。特に商談中はネガティブな反応をされる場面に遭遇しやすいです。
例えば、お客様から「価格が高い」とネガティブな反応をされた場合は「おっしゃる通りです。他製品と比較すると価格が高く感じられるかもしれません。
しかし、自社製品を活用して業務効率化を図れば、年間〇〇万円分のコストを削減できます。そのため、リターンが得られます。」と伝えれば、商談が予期せぬ形で終わるのを防ぐことができます。商談を円滑に進め、成約まで結びつけるためにも応酬話法は必要です。
成約率を上げられる
顧客が成約しない理由を聞いた上で、適切に対応することで成約率を上げていけます。なぜなら、契約に踏み切れない顧客の後押しができるようになるためです。
顧客は商品・サービスを検討する際に何かしらの不安を抱えています。その悩みを解決できない限り、大きな決断を下すことができません。
例えば、商談中に相手から「今すぐ導入するのは難しい」と否定的な言葉を言われた場合は「どのような条件であれば導入して頂けますか?」と質問し、その条件を提示すれば契約してもらえやすくなるでしょう。
このように、自社と顧客の双方が納得いく条件を見つけて擦り合わせしていけるようになれば成約率を上げられるようになります。
応酬話法の種類
商談で活用できる応酬話法は9つあります。
肯定法(バックトラッキング)
肯定法(バックトラッキング)とは、相手の言葉をそのまま引用することで、円滑なコミュニケーションを促すトークテクニックです。相手との信頼関係を築く上で重要な役割を果たします。
相手の言葉を繰り返すことで「理解しようとしてくれている」と安心感を与えられて、より深い話をしてもらえるようになります。より有益な情報を引き出したいときにおすすめです。
応酬話法の例文
- 営業担当者「なるほど、○○ということですね…」
- 営業担当者「○○と考えていらっしゃるのですね?」
質問法
質問法とは、お客様が取引を断る理由に対して質問を返し、どうすれば契約してもらえるのか攻略法を見出すためのトークテクニックです。質問責めをすると不快にさせてしまう恐れがあるため、物腰柔らかく相手に配慮しながら質問していきましょう。
応酬話法の例文
- 営業担当者「~の点が気になるということですが、特にどの部分が一番気になりますか?」
- 営業担当者「どのような条件なら前向きに検討いただけますか?」
寄り添い法
寄り添い法とは、相手の話を聞いて「一緒に解決したい」と気持ちを伝え、より深い話を聞き出すトークテクニックです。商談の序盤に活用することで、顧客ニーズを聞き出せて最適な提案ができるようになります。一緒に考えていく姿勢を示すことが大切です。
応酬話法の例文
- 顧客「業務効率化のためにシステム導入を検討しているけど使いこなせるか心配です。」
- 営業担当者「新しいシステムの操作に慣れるまでに時間がかかりますよね。私がお客様が使いこなせるようにサポートしますのでご安心ください。」
ブーメラン法
ブーメラン法は、顧客の断り文句を逆手に取り、プラスに変えていくトークテクニックです。顧客の断り文句に対して「そう思われても当然ですが、実は…」と話すことで気づきを与えることができます。
断り文句をポジティブなものに転換することで、顧客の興味を引き、契約を検討してもらえるようになります。こちらのペースに持ち込みたい際におすすめです。
応酬話法の例文
- 顧客「この商品は価格が高いですよね。」
- 営業担当者「確かに。他製品と比較して価格は高いです。しかし、耐久性が高く長時間使えるため、中長期でみるとコストを抑えられるんですよ。」
- 顧客「そもそも、業界内で御社のツールはあまり使われていないですよね。」
- 営業担当者「確かに導入事例は少ないかもしれません。しかし、他社とは異なり弊社のツールは〇〇のような特徴があり貴社の活動に貢献できると考えております。」
Yes but法
Yes but法は、相手の意見を肯定的に受け止めた上で反対の意見を伝え、こちらの意見にも耳を傾けてもらうトークテクニックです。相手の感情を逆撫ですることなく、こちらの意見を聞いてもらいやすくなるため、議論をスムーズに進めることができます。意見が対立している相手と建設的な話し合いをしたい場合に有効です。
応酬話法の例文
- 顧客「現状、問題を感じていないので導入を検討していません。」
- 営業担当者「現状に問題がないとは素晴らしいことですが、競争が激しくなっているため、将来を踏まえて早めに対策を取るという企業様も増えていますよ。」
Yes Set法
Yes Set法とは、Yesで答えられる質問を準備しておき、相手に複数回Yesと回答させることで肯定的な回答を得やすくするトークテクニックです。
Yesと回答し続けることで、無意識の内に好印象を抱きやすくなり心理効果を活用しています。そのため、短時間で相手と信頼関係を構築したい際に役立ちます。
応酬話法の例文
- 営業担当者「〇〇さまはマーケティングを担当されているんですよね?」
- 顧客「はい。」
- 営業担当者「最近、SNSの重要性が増していると感じませんか?」
- 顧客「そうですね。実感しています。」
- 営業担当者「でも、SNS運用して反応が得られないと課題をお聞きする機会が多いのですが、同じような悩みはありませんか?」
- 顧客「そうですね。確かに課題です。」
- 営業担当者「弊社の代行サービスであれば、そのような課題を解決できます。ぜひ、一度、詳しくお話を聞いて頂けないでしょうか?〇月〇日〇時のご都合は空いていますか?」
- 顧客「その日時なら都合を合わせられます。」
Yes and法
Yes and法は、顧客の肯定的な意見を受け止めた上で、メリットを伝えていくトークテクニックです。「そうですね、それに加えて…」「おっしゃる通りです。そして…」といった表現を使うことで、顧客との一体感を作り上げられます。そのため、顧客との信頼関係の構築に役立ちます。
応酬話法の例文
- 顧客「新しいツールは便利そうだけど、操作に慣れるのに時間がかかりそうで不安です。」
- 営業担当者「おっしゃる通りですね。新しいツールは慣れるまで少し時間がかかることもあります。そのような悩みを解決するために、弊社では無料トレーニングを実施しているので、に使いこなしていただけるようサポートできますよ。」
否定法
否定法とは、顧客の不安を打ち消すために意見を否定するトークテクニックです。商品説明後やクロージングの段階で活用します。クロージング前に顧客が「本当に大丈夫かな?」と不安を抱くこともあるでしょう。
その際に「私たちにお任せいただければ心配ありません」と伝えることで安心してもらえます。意見を否定する際には落ち着いたトーンで伝えましょう。
応酬話法の例文
- 顧客「システムを使いこなせるか不安ですよね…」
- 営業担当者「問題ありません。私たちがサポートしますのでご安心してください。」
- 顧客「この製品が本当にコストメリットがあるのか不安です。」
- 営業担当者「ご心配には及びません。1年以内に投資回収を実現されています。」
例え話法
例え話法とは、具体的な事例や分かりやすい比喩を用いて説明するトークテクニックです。
顧客が「価格が高い」「必要性を感じない」といったネガティブな反応を示すことがあります。そのような場面で、具体的な事例や分かりやすい比喩を用いて説明すると、顧客に納得してもらいやすくなります。
例え話法を説明する際は、他の企業の成功事例や統計データを織り交ぜることで説得力を高めましょう。
応酬話法の例文
- 顧客「今のところ、特に問題はないので、新しいシステムを導入する必要はないと思っています。」
- 営業担当者「なるほど、そういうお考えですね。実は、同じように考えていたA社様も、昨年までは現状維持の方針でした。しかし、競争環境が激化する中で、業務の効率化が急務になり、結局後から導入されました。最初から導入していれば、よりコスト削減ができたとおっしゃっています。」
応酬話法のトレーニング方法
営業経験が少ないと商談時にじどろもどろになってしまうかもしれませんが、トレーニングすることでトークテクニックを習得できるためご安心ください。ここでは、おすすめのトレーニング方法をご紹介します。
応酬話法のマニュアルを作成する
営業担当者は、顧客の反応に対して適切な切り返しを行い、商談をスムーズに進める必要があります。
しかし、経験の浅い営業担当者はどのように切り返すべきか分からないことも多いため、マニュアルやトークスクリプトを用意して共有しておきましょう。
トークスクリプトは、顧客との対話パターンを分類し、対応方法を記載しておくと役立てられるようになります。事前に準備しておくことで、営業担当者は商談中に迷うことなく、効率的に会話を進められるようになります。
ロールプレイングを行う
営業スキルを向上させるためには、実際の商談に近い環境で練習を積ませるのが一番です。そのため、商談を想定したロールプレイングを行いましょう。ロールプレイングを実施する際は、次のような工夫をします。
- 実際に起こり得る商談を想定して、ロープレイングを行う
- 顧客役と営業担当者約を交代で演じることで、視点を変えて気づきを得る
- ロールプレイング終了後は、上司や先輩からフィードバックをもらう
チーム全体の営業力の向上にも役立つため、ロールプレイングを行ってみてください。
成績が良い営業担当者を参考にする
成績が良い営業担当者の商談に同行すれば、素早く営業スキルを習得できます。顧客との距離の縮め方や応酬話法の使い方を観察することで、多くのテクニックを学ぶことができます。
同行した商談で得たテクニックは、マニュアルに落とし込むことが大切です。どんなフレーズが効果的だったか、どのタイミングで切り返したかをまとめます。そして、得た気づきをもとにロールプレイングを行い、実務に役立てます。
応酬話法の学習におすすめの本
応酬話法の学習におすすめの本は「禁断の説得術 応酬話法」です。
出典元:『amazon』
「禁断の説得術 応酬話法」は著者がセールスマン時代に全国1位の営業成績に至るためのトークテクニックが載っている書籍です。
実際に全国1位の営業成績を獲得した経験がある著者による応酬話法は、とても勉強になると高く評価されています。この書籍にてご紹介されている応酬話法は5つです。
- 質問によって本音をあぶり出す「質問話法」
- 最初に肯定してから、ソフトに否定していく「間接否定話法」
- 相手の言葉を繰り返して信頼関係を築く「繰り返し話法」
- 具体例を示して説得力を上げる「実例話法」
- 論争を割けて自分のペースに持ち込む「聞き流し話法」
どの応酬話法も具体例が書かれていて理解しやすいため、トークテクニックを磨きたい方はぜひ読んでみてください。
まとめ
応酬話法とは、顧客の反応に対して適切な切り返しを行い、商談を滞らせることなく進めるためのトークテクニックです。応酬話法を習得すれば相手の警戒心を解き、心を開いてもらいやすくなります。
またネガティブな反応をされた場合でも、商談を続けられるようになり成約率を上げられます。経験が浅いと、じどろもどろになってしまうでしょう。しかし、ロールプレイングやフィードバックなどスキルを磨いていけば、誰でも応酬話法は習得できます。そのため、これを機会にテクニックを磨いてみてください。