業務効率化のカギ!FAQ記事作成ガイドラインのポイント
松井純平
2024.12.23
カスタマーサポート業務では、日々多くのユーザーの課題に対応する必要があります。その中で、サポートサイトのFAQやガイド記事を作成することは、ユーザーの自己解決を促進し、問い合わせ対応の負担を軽減する重要な役割を担っています。
しかし、これらの記事作成のノウハウが属人化すると、品質のばらつきや業務効率の低下を招く可能性があります。
この記事では、自身の経験を踏まえ、ガイドラインやテンプレートの整備によって属人化を解消し、効率的かつ高品質な記事作成を実現する方法を解説します。
属人化がもたらす問題
サポートサイトの記事を量産するにあたって、属人化を原因とする、以下のような問題が発生していました。
- ノウハウの共有不足
記事作成のノウハウが個々のメンバーに委ねられており、新しいメンバーはゼロから身に着ける必要がありました。 - ルールの曖昧さ
既存の表記ルールが大まかで、具体的な指針がないため、記事ごとにトーン&マナーにばらつきがありました。 - 品質担保の難しさ
記事の品質をチェックできるのがレビュー担当者のみで、レビューに過度な負担がかかっていました。その結果、公開後に誤りや不備が発覚することもありました。
これらの課題を放置していると、チーム全体の負担が増し、公開後にユーザーからの指摘を受けるリスクも高まります。
解決策:①ガイドラインとテンプレートの導入
これらの問題を解決するために、記事作成ガイドラインとテンプレートを作成しました。これにより、記事作成のフローがシンプルになり、品質を維持し、効率を高めることが可能になりました。
ガイドラインの作成
ガイドラインは、記事作成時に迷うことなく進められるよう、ルールを明文化したものです。
主な内容
- 表記の統一
用語の使い方やトーン&マナーをルール化。例えば、「専門用語は避けて平易な言葉を使う」「操作手順は簡潔に説明する」など、具体的な指針を設けました。 - 読者を意識
初めて記事を作成するメンバーでも一人で対応できるよう、わかりやすさを重視しました。 - チェックリストの明確化
記事のドラフト完成後に確認すべきポイント(例:リンクの有効性や体裁が統一されているか等)を網羅しました。
これにより、メンバー間で記事の基準が統一され、トーンや品質のばらつきが減少しました。また、経験の少ないメンバーでも作成方法やルールを理解できるようになりました。
テンプレートの作成
テンプレートは、記事構成の型を示したものです。テンプレートを活用することで、作成時間を短縮しつつ、内容を体系的に整理することができました。
また、どのメンバーが執筆しても一定の品質を担保できるようになり、レビューや公開作業がスムーズになりました。
解決策:②品質チェック体制の整備
品質を保つためには、公開前後でのチェック体制の構築が欠かせません。そこで、以下の品質チェックの仕組みを導入しました。
セルフチェックリストの活用
記事の公開前に確認すべき項目を以下のようなリストにしました。
- 表記やフォーマットがガイドラインに沿っているか
- 全てのリンクが正しく機能しているか
- 画像やスクリーンショットが適切か
これにより、公開前に記事の品質を確認する機会を増やし、不備を防げるようになりました。
自動化ツールの活用
セルフチェックはSlackのワークフローを活用して、公開後に作成者が手軽に行える仕組みを整えました。
これにより、レビュー担当者のチェック時に発生しがちな漏れを防ぎ、ミスを大幅に削減しました。またレビュー担当者のチェックに割くリソースを削減することができました。
ガイドライン作成時のポイント
ガイドラインを作成する際に以下のようなポイントを意識しました。
目的を明確にする
ガイドラインを作成する際には、その目的を具体的に設定しました。
「品質の一貫性を保つ」「記事作成の効率化を図る」などの明確な目標があることで、メンバーがその重要性を理解し、遵守しやすくなります。
シンプルで簡潔にする
ガイドラインの内容はできるだけ簡潔にまとめました。記事の種類が多岐に渡る場合でも、統一できる部分は統一し、一貫性を意識しました。
誰もが理解できる記事を目指す
記事の読者には、技術的な知識が豊富なユーザーもいれば初心者もいることを想定し、専門用語を避けた平易な表現を徹底しました。
様々なケースを想定する
単にルールを設定しただけでは、イレギュラーの際に余計な縛りとなり品質を落とす場合があります。過去の事例から様々なケースを想定し、あらかじめ対応できるようにしました。
遊びを持たせる
ルールの設定は重要ですが、イレギュラーの場合には、各人の判断が必要な場合があります。ルールを具体的に明記しながらも許容範囲を広げ遊びを持たせ、判断に委ねる余地を残しました。
定期的にアップデートする
ガイドラインは作成して終わりではありません。時間が経つと陳腐化する可能性があるため、定期的にアップデートを行い、最新の状態を維持するようにしました。
まとめ:ガイドラインとテンプレートの整備がもたらす効果
- 業務効率の向上
作成時の迷いが減り、記事作成のスピードが向上しました。 - 品質の安定化
誰が作成しても一定の品質を維持できるようになり、レビュー負担が軽減され、公開後の不備も減少しました。 - チーム全体のスキル向上
ガイドラインを通じてノウハウが共有され、新しいメンバーも短期間で対応できるようになりました。
記事のガイドラインやテンプレートの作成は、ユーザーからは見えない裏側の業務ですが、サポートサイトの品質はプロダクトのイメージに大きくかかわる重要な要素です。制作体制を整え、属人化を解消し、一定の品質を維持できる環境を作ることで、プロダクトのイメージ向上やユーザーの安心感につなげることができます。
また、単に効率化や品質向上を実現するだけでなく、業務しやすい環境を作り出すこともでき、現場の状況やニーズに応じて改善を続けることができるので、長期的な成果を生み出すことができます。今回の事例を参考にぜひ、このアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
松井純平
web制作会社で、金融系企業やコンサルティングファームを顧客とした制作ディレクションを経験したのち、アディッシュに入社。現在はカスタマーサクセスに従事し、オンボーディング支援やカスタマーサポート対応など、多角的な視点から顧客に寄り添った課題解決を提供するために尽力している。