Intercom(インターコム)の料金プランまとめ|4プランの違いと主要機能を解説
Intercom(インターコム)は、顧客情報管理やチャットボットの実装、FAQサイトの構築といった機能を備えたCRM(顧客管理システム)です。Intercomには4種類の料金プランがあり、それぞれ利用できる機能が大きく異なります。そのため、料金プランごとの違いを把握し、自社の目的に合わせて選び分けることが大切です。本記事では、Intercomの4種類の料金プランについて、特徴やメリットをご紹介します。
Intercom(インターコム)の基本情報
Intercom(インターコム)とは、ユーザーとの幅広いコミュニケーション機能を備えたCRM(顧客管理システム)です。CRMとは、顧客の氏名や会社名、連絡先などの属性データのほか、商品・サービスの購入履歴やWebサイトのアクセス履歴といった行動データを一元管理できるシステムです。社内の基幹システムや、営業・マーケティング・カスタマーサポートなどで用いる外部システムと連携し、顧客に関する情報を1ヶ所に集約する役割があります。
Intercomはメインとなる顧客情報管理機能に加え、チャットボットやメール配信、FAQサイトなどの充実したコミュニケーション機能を搭載しています。また、営業活動をサポートするSFA(営業支援システム)や、マーケティング活動を効率化させるMA(マーケティングオートメーション)など、包括的な機能を搭載しているのも特徴です。そのため、Intercomを導入すれば、カスタマーサポートの業務効率化、営業・マーケティング活動のパフォーマンス最適化など、幅広いシーンで効果を発揮します。
Intercomの料金プラン一覧
Intercomは、契約する料金プランによって利用できる機能が大きく異なります。Intercomの料金プランは次の4種類です。
Support | Engage | Convert | Starter | |
利用料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 月額$74 |
顧客情報管理 | ○ | ○ | ○ | ○ |
問い合わせ管理 | ○ | - | ○ | ○ |
チャットボット | ○ | ○ | ○ | ○ |
FAQサイト | ○ | - | - | ○ |
メール配信 | - | ○ | - | ○ |
広告管理 | - | ○ | ○ | - |
オンボーディング | - | ○ | - | - |
営業活動支援 | - | - | ○ | - |
API連携 | ・Slack ・Salesforce ・Zendesk ・HubSpot ・GitHub |
・Slack ・Mailchimp ・Salesforce ・Zendesk ・HubSpot ・Marketo |
・Slack ・Salesforce ・Zendesk ・HubSpot ・Marketo |
・Slack ・Mailchimp ・HubSpot ・GitHub |
顧客情報を一元管理できる機能は、すべての料金プランに含まれています。そのためIntercomの料金プランは、「顧客情報管理機能 + 付加機能」という構成です。料金プランごとに強みや役割が異なるため、あらかじめツールを活用する目的を明確にし、自社に合う最適なプランを選択することが大切です。
Intercomにおける4種類の料金プランと棲み分け
では、Intercomの料金プランはどのように選び分ければ良いのでしょうか。ここでは、4種類の料金プランの棲み分けとそれぞれの特徴をご紹介します。
Supportプラン:カスタマーサポート向け
料金プラン | Supportプラン |
利用料金 | 要問い合わせ |
対応機能 | 顧客情報管理 問い合わせ管理 チャットボット FAQサイト |
API連携 | Slack Salesforce Zendesk HubSpot GitHub |
カスタマーサポート領域でIntercomを活用したい方には、Supportプランがおすすめです。Supportプランには、顧客情報管理や問い合わせ管理、チャットボット、FAQサイトの構築など、カスタマーサポートに役立つ機能が搭載されています。IntercomのSupportプランは、システム内に蓄積した顧客属性・行動履歴の情報と問い合わせ対応に関する情報を紐付けられるのが特徴です。
例えば、電話をかけてきたユーザーの購買履歴やサイト訪問歴、商談の進捗具合などの情報をもとに案内をすれば、よりスムーズな問い合わせ対応が実現するでしょう。また、Supportプランでは、よくある質問やその回答を1ヶ所にまとめたFAQサイトを構築できます。問い合わせ窓口とは別にFAQサイトを用意しておくと、ユーザーによる問題の自己解決を促せるため、電話やメールでの問い合わせ件数を最小限に抑えられます。
関連記事:カスタマーサポートとは?必要な業務と企業にもたらすメリットとは?
Engageプラン:カスタマーサクセス向け
料金プラン | Engageプラン |
利用料金 | 要問い合わせ |
対応機能 |
顧客情報管理
チャットボット メール配信 広告管理 オンボーディング |
API連携 | Slack Mailchimp Salesforce Zendesk HubSpot Marketo |
質の高いカスタマーサクセスを実現したい方には、Engageプランが向いています。カスタマーサクセスとは、自社の商品やサービスを通して顧客を成功へと導くことです。カスタマーサクセスを実現させるには、顧客ニーズを的確に読み取る分析手法や円滑なコミュニケーション環境を確立する必要があります。Engageプランは、顧客情報管理やチャットボット、メール配信など、カスタマーサクセスの環境を構築する際に役立つ豊富な機能をあわせ持つのが特徴です。また、自社サービスの導入直後の顧客にアプローチできるオンボーディング機能が搭載されています。
オンボーディング機能を活用すれば、自社サービスのシステム内にチュートリアルやガイドツアーなどを実装できます。結果として、顧客が初期設定や各種機能の使い方をよりスムーズに理解できるため、満足度の向上や自社サービスへの定着につながるでしょう。
関連記事:オンボーディングとは?SaaSにおける重要性や事例、おすすめツールを紹介
Convertプラン:営業・マーケティング向け
料金プラン | Convertプラン |
利用料金 | 要問い合わせ |
対応機能 | 顧客情報管理 問い合わせ管理 チャットボット 広告管理 営業活動支援 |
API連携 | Slack Salesforce Zendesk HubSpot Marketo |
営業やマーケティングにIntercomを活用したい方は、Convertプランを選択すると良いでしょう。Convertプランには、営業活動の進捗状況をファネル状に可視化する営業パイプライン管理機能のほか、見込み顧客から顧客へと転換するまでのプロセスを示すカスタマージャーニー機能が搭載されています。営業・マーケティング活動のデータを一元管理できるため、管理業務の効率化やパフォーマンスの向上に効果を発揮します。また、見込み顧客がWebサイトを訪れたときにアラートで通知したり、見込み顧客との会話を自動的にルーティング(処理する担当者を決定する作業)できたりと、営業・マーケティング活動をサポートする機能が充実しているのも特徴です。
Starterプラン:小規模ビジネス向け
料金プラン | Starterプラン |
利用料金 | 月額$74 |
対応機能 | 顧客情報管理 問い合わせ管理 チャットボット FAQサイト メール配信 |
API連携 | Slack Mailchimp HubSpot GitHub |
ビジネス規模が小さい場合や試験的にIntercomを使ってみたい方には、Starterプランがおすすめです。Starterプランでは、月額$74(2023年4月15日時点で約9,900円)と比較的安い価格でサービスを利用できます。低コストで導入できるにもかかわらず、顧客情報管理や問い合わせ管理、チャットボット、FAQサイトなど、Intercomの基本的な機能を利用できるのが特徴です。また、別途オプションを契約し、必要に応じてオンボーディングやWhatsApp(ワッツアップ)との連携機能を拡張できます。Intercomの無料トライアルを活用すると、Starterプランの機能を14日間のみ無償で利用可能です。
関連記事:intercomの無料トライアルを利用するメリット3選!期間内にカスタマーサクセスを実行しよう!
Intercomの料金プランに含まれている代表的な機能
Intercomを最大限に活用するためにも、各種機能の特徴を押さえることが大切です。次の4つは複数の料金プランに含まれる代表的な機能なので、その分使用する機会も多いでしょう。
- 顧客情報の管理・分析
- 問い合わせ管理
- チャットボット
- FAQサイト構築
顧客情報の管理・分析
顧客情報の管理・分析機能は、Intercomのすべての料金プランに含まれています。営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの領域で取得した顧客情報を集約し、チームメンバー全員が1つのダッシュボードのみで情報を共有できるのが特徴です。
出典:Intercom
Intercomは、次のような種類の顧客情報に対応しています。
- 企業情報:
取引先名・担当者名・業種・所在地など - 連絡先情報:
電話番号・メールアドレスなど - 行動履歴:
商品やサービスの購入履歴・Webサイトの閲覧履歴・モバイルアプリの利用履歴など - 外部サービスの利用状況:
Intercomと連携可能なSalesforceやHubSpotなどの契約情報
このような顧客情報は、Intercomのなかにあるチャットボットやメール、FAQサイトでのコミュニケーション履歴と紐付けられるので、顧客ニーズをより詳細に分析したいときに役立ちます。
問い合わせ管理
ユーザーからの問い合わせをチケットごとに一元管理できる機能です。例えば、ユーザーからメールで問い合わせがあった場合、自動的にチケットが発行され、そのなかに送信者名や送信日時、問い合わせ内容などの情報が整理されます。さらにIntercomに蓄積された顧客情報を紐付けて表示できるのも特徴です。
出典:Intercom
複数チャネルからの問い合わせ情報を1ヶ所に集約できるため、対応時に複数の管理画面を行き来する必要がありません。また、対応済みや未対応といったステータス、優先順位、一次対応時のコメントを各チケットに設定できるので、対応漏れや重複対応の抑制につながるのもメリットです。
チャットボット
Intercomでは、必要なWebページにタグを埋め込むだけで簡単にチャットボットを実装できます。
出典:Intercom
IntercomのチャットボットはAI型で、機械学習と自然言語処理の技術を採用しているのが特徴です。機械学習とは、あらかじめシステムにFAQやマニュアルといった膨大な情報をインプットすることで、AIが自動的に内容を読み取り、徐々に回答精度を向上できる仕組みです。一般的なチャットボットとは異なり、企業側で回答シナリオを作成する必要がなく、システムの構築にかける手間を最小限に抑えられるメリットがあります。自然言語処理とは、人間が口語のように話す自然文を正確に読み取るための技術です。自然言語処理がなければ、「~の料理ってうまいよね」という自然文の意味が、「上手い」のか「美味しい」のか機械には判別できません。一方、自然言語処理が施されたAIチャットボットなら、「料理」の言葉からテキスト全体の意味を連想し、「料理が美味しい」という本来の意図を把握できます。Intercomのチャットボット機能を使えば、ユーザーの質問に対して自動的に正確な回答ができるため、担当者による問い合わせ対応数を削減できます。ただし、複雑な質問があった場合は、必ずしも正確に回答できるわけではない点や、ある程度の学習期間が必要な点には注意が必要です。
FAQサイト構築
IntercomのFAQサイト構築機能は、数あるテンプレートのなかからデザインを選択できるほか、FAQの個別ページをノーコードで簡単に作成できるのが特徴です。
出典:Intercom
また、各FAQページを閲覧したユーザーの評価やコメントを収集し、顧客情報管理機能に集約できます。ユーザーの意見やフィードバックを参考にすれば、カスタマーサポートやカスタマーサクセスの質向上、あるいは顧客ニーズに添った製品開発などが実現可能です。
関連記事:FAQの4つのメリット|作り方とQ&Aとの違いを解説
Intercomと他社製品の料金プランを比較
Intercomは料金プランごとに特徴や強みが異なるため、それぞれ次のような性質を持っています。
- Supportプラン:カスタマーサポートツール(問い合わせ管理システム)
- Engageプラン:カスタマーサクセスツール
- Convertプラン:営業・マーケティングツール(CRM・SFA)
そのため、複数の製品を比較・検討する際は、「IntercomのSupportプランと他社の問い合わせ管理システム」といったように、同じ分類の製品同士を見比べると良いでしょう。
Supportプランと問い合わせ管理システムの比較表
IntercomのSupportプランには、顧客情報管理や問い合わせ管理、チャットボットなどの問い合わせ管理業務を効率化するための機能が搭載されています。このような機能を搭載した類似製品が問い合わせ管理システムです。IntercomのSupportプランと他社の問い合わせ管理システムを比較した場合、次のような違いがあります。
Intercom(Supportプラン)
|
Zendesk | Freshdesk | Re:lation | |
初期費用 | 要問い合わせ | 無料 | 無料 | 15,000円~ |
月額利用料 | 要問い合わせ | $49~ | $15~ | 12,800円~ |
課金形態 | 1ユーザーごと+月間1,000リーチごとに課金 | 1ユーザーごとに課金 | 1ユーザーごとに課金 |
1ユーザーごと+ストレージ容量ごとに課金
|
対応チャネル | 電話 メール SNS チャットボット |
電話 メール Webフォーム SNS チャットボット FAQ |
電話 メール SNS チャットボット |
電話 メール Webフォーム SNS チャットボット ECモール |
顧客情報管理 | ○ | 要システム連携 | 要システム連携 | 要システム連携 |
チケット管理 | ○ | ○ | ○ | ○ |
チャットボット | ○ | ○ | - | - |
FAQサイト | ○ | ○ | ○ | - |
コミュニティフォーラム | - | ○ | ○ | - |
クラウド電話 | - | ○ | ○ | - |
分析レポート | ○ | ○ | ○ | ○ |
Intercomは顧客情報管理機能を標準搭載しているため、外部システムとの連携不要で高度な顧客情報管理が可能です。ただし、利用者の要望次第で月額利用料が変動し、他社のツールに比べて料金体系がわかりづらいデメリットがあります。
Engageプランとカスタマーサクセスツールの比較表
Engageプランは、オンボーディングやメール配信などの機能を備えており、カスタマーサクセスツールに近い性質を持ちます。他社のカスタマーサクセスツールと比較した場合、次のような違いがあります。
Intercom(Engageプラン)
|
KARTE | pottos | HiCustomer | |
初期費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 300,000円~ | 要問い合わせ |
月額利用料 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 98,000円~ | 要問い合わせ |
課金形態 | 1ユーザーごと+月間1,000リーチごとに課金 | 月間ユーザーごとに課金 | 顧客数や利用内容によって月額利用料が異なる | 非公開 |
対応チャネル | ○ | ○ | 要システム連携 | 要システム連携 |
顧客情報管理 | - | ○ | ○ | ○ |
チケット管理 | ○ | ○ | - | - |
チャットボット | ○ | - | - | - |
FAQサイト | ○ | ○ | ○ | - |
コミュニティフォーラム | ○ | - | ○ | ○ |
クラウド電話 | - | - | ○ | - |
分析レポート | ○ | ○ | ○ | ○ |
業界を代表するカスタマーサクセスツールと比較しても、IntercomのEngageプランは、必要な機能を網羅しています。1つのツールで豊富な機能を活用できるのがIntercomのメリットです。その反面、導入期や定着期といったカスタマーサクセスの細かいプロセスを管理できない点には注意が必要です。
ConvertプランとCRM・SFAの比較表
IntercomのConvertプランのように、案件管理や営業パイプライン管理、承認プロセス自動化などの機能を搭載したツールは、CRM・SFAにあたります。また、CRM・SFAのなかには、メール自動送信やアクセス解析といったMAの機能をあわせ持つツールも存在します。CRM・SFAの代表的な製品を比較した場合、次のような違いがあります。
Intercom(Convertプラン)
|
Salesforce Sales Cloud | Zoho CRM | HubSpot CRM | |
初期費用 | 要問い合わせ | 無料 | 無料 | 無料 |
月額利用料 | 要問い合わせ | 3,000円~ | 1,680円~ |
無料
※機能を拡張する際に料金が発生 |
課金形態 | 1ユーザーごと+月間1,000リーチごとに課金 | 1ユーザーごとに課金 | 1ユーザーごとに課金 |
1ユーザーごとに課金(有料プラン)
|
対応チャネル | ○ | ○ | ○ | ○ |
顧客情報管理 | ○ | ○ | ○ | 要機能拡張 |
チケット管理 | ○ | ○ | ○ | 要機能拡張 |
チャットボット | - | ○ | - | ○ |
FAQサイト | - | - | ○ | ○ |
コミュニティフォーラム | - | - | - | ○ |
クラウド電話 | ○ | ○ | ○ | ○ |
分析レポート | ○ | ○ | ○ | ○ |
IntercomのConvertプランは、MA機能を搭載しておらず、案件管理や営業パイプライン管理の機能に特化しています。他社のCRM・SFAに比べてシンプルな機能性ですが、営業時の見込み顧客向けにチャットボットやライブ配信機能を活用できるのが特徴です。
まとめ:目的に合わせてIntercomの最適な料金プランを選択しよう
顧客情報管理やチャットボット、FAQサイトの実装など幅広い機能を備えたIntercom。Intercomは他社製品のように明確なツールの区分はなく、料金プランによって性質が大きく異なります。そのため、「より効率的なカスタマーサポートを実現するにはSupportプラン」「営業活動のパフォーマンスを向上させたいのでConvertプラン」といったように、自社の目的に合わせて料金プランを選び分けることが重要です。本記事でご紹介した各料金プランの特徴やメリットを参考に、自社に合った最適なものを選択しましょう。