インサイドセールスとは?見込み顧客の商談化、営業効率化を目指そう
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武田龍哉
2025.02.19

インサイドセールスは近年多くの企業で採用されている営業スタイルのひとつです。営業効率化が図れるため注目されています。
今回は、インサイドセールスについて解説します。
この記事では、インサイドセールスの概念をはじめ、注目される背景や立ち上げ方までご紹介してます。そのため、インサイドセールスの導入を検討する際にお役立てください。
インサイドセールスとは
インサイドセールス(Inside Sales)とは、電話やメール、オンラインツール(ビデオ会議、チャットツールなど)を活用して非対面で行う営業活動を指します。
見込み顧客との関係を構築し購買意欲を掻き立てるのが主な役割です。
インサイドセールスの具体的な仕事内容
- 役立つ情報をメルマガで配信する
- 学びたいテーマのセミナーを開催する
- 電話をかけて顧客ニーズをヒアリングする
- 見込み度の高い企業にアプローチしてアポイントを取得する
見込み顧客の購買意欲やアプローチの履歴をCRMやSFAに登録しておき、フィールドセールスと連携を図ります。
営業活動効率化を図るために、インサイドセールスを導入する企業が増えました。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスには「SDR」と「BDR」があります。
SDR
SDR(Sales Development Representative)は、マーケティング活動で獲得したリードに対して、電話やメール、オンラインツールを活用してフォローアップして商談を創出します。
見込み顧客との関係を構築し購買意欲を掻き立て検討度合を上げていくことが主な役割です。
「マーケティング部門」「インサイドセールス部門」「セールス部門」と連携し、SDRはリードナーチャリングを担当と分担することで営業効率を上げられます。
BDR
BDR(Business Development Representative)は、営業リストを作成して電話、メール、SNSなどを活用してアプローチして商談を創出します。新規顧客を開拓し、売上拡大に貢献することが主な役割です。商談を創出できたらセールス部門に引き渡します。
インサイドセールスとフィールドセールスの違い
インサイドセールスとフィールドセールスの違いは「役割」「営業手法」「KPI」です。
インサイドセールス | フィールドセールス | |
役割 | ・リードナーチャリング ・アポイント獲得 ・商談創出 |
・商談 ・契約締結 |
営業手法 | 非対面 (電話、メール、オンラインツール) |
対面 (顧客訪問) |
KPI | ・架電件数 ・接続率 ・商談獲得率 ・有効商談率 |
・受注率 ・受注金額 |
インサイドセールスは、見込み顧客との構築し購買意欲を掻き立てて、商談を創出することが仕事です。
一方で、フィールドセールスはインサイドセールスから引き継ぎ、商談して受注することが仕事になります。適切に連携することで、営業活動効率化や売り上げアップが狙えます。
(※オンラインツールが浸透してきたため、企業によってはインサイドセールスが「リードナーチャリング」「商談創出」「商談」「契約締結」を担当することもあります。)
インサイドセールスのメリット・デメリット
インサイドセールスにはメリット・デメリット7つの特徴があります。
メリット①営業活動を効率化できる
インサイドセールスは電話やメール、オンラインツールを活用して顧客と接触するため、顧客先に訪問する必要がありません。
顧客先への移動時間を営業に充てられます。通常の営業よりも、1日に多くの顧客へアプローチできます。1日に8件アプローチすることも可能です。
メリット②業務の属人化を防止できる
インサイドセールスはCRMやSFA、トーク解析AI搭載電話など活用して、営業活動を行います。
デジタルツール上に顧客の情報、営業活動履歴を残して共有するため「ハイパフォーマンスの人はどのようなアプローチをしているのか?」「どのようなトークスクリプトが有効的なのか?」を解析できます。
解析結果を共有して営業活動に役立てれば、誰でも一定のパフォーマンスを発揮できるようになります。
メリット③人手不足を解消できる
インサイドセールスを導入すれば、少人数で営業活動が行えます。
顧客先に訪問する必要がなく、通常の営業よりも1日に多くの顧客へアプローチできるようになります。
また、CRMとMAを活用してセグメントした顧客層にメルマガを一斉送信して購買意欲を掻き立てることも可能です。
さらに、ハイパフォーマンスの人の営業手法を共有すれば、商談化率を上げられます。少人数で営業活動が行えるようになるため、人手不足を解消できます。
メリット④売上予測がしやすくなる
マーケティング・インサイドセールス・セールス・カスタマーサクセスの各部門の目標を数値化して、営業活動するフレームワークThe Modelを採用すれば売上予測がしやすくなります。
・The Model
部門 | 指標 |
マーケティング | サイト来訪者数×獲得率=見込み顧客数 |
インサイドセールス | 見込み顧客数×案件化率=案件数 |
営業 | 案件数×受注率=受注数 |
カスタマーサクセス | 受注数 × 継続率 = 顧客維持数 |
見込み顧客数と案件化率、受注率がわかれば、今期の売り上げがどれぐらいになるかを計算できます。
デメリット①部門間連携が難しい
インサイドセールスを導入する場合は、マーケティング部門やセールス部門と連携しなければなりません。
部門間で情報共有が不十分だと、アプローチするタイミングを逃してしまったり、顧客に何度も同じ説明をしてもらったりしなければなりません。
また、組織全体のKPIを定めず、部門毎にKPIを定めると相互の不満、摩擦が生じる可能性があります。
営業活動の効率化のために、インサイドセールスを導入したにも関わらず、部門間連携が難しいため非効率になってしまう恐れがあります。
デメリット②顧客との信頼関係の構築が難しい
インサイドセールスは、電話やメール、オンラインツールを活用して非対面で行う営業活動を指します。そのため、身振り手振りなどが制限されてしまい誤解が生じるリスクがあります。
また、営業担当者に対して抱く警戒心を、短時間で取り除くのは簡単なことではありません。顧客との信頼関係の構築が難しいと挫折してしまう方も多くいます。
デメリット③商品の魅力を伝えるのが難しい
インサイドセールスでは商品の質感などディテールを体験してもらうことができません。そのため、商品の魅力に気づいてもらいにくいです。
近年、バーチャル試着や360度ビューなどが登場してきて、オンライン上で商品の質感などディテールを体験できるようになりました。このような技術を上手く活用して商品の魅力を伝えましょう。
インサイドセールスが注目される理由
インサイドセールスが注目される理由は3つあります。
VUCA時代の到来
予測不能な出来事が起きても、 持続可能なビジネスモデルを構築する必要があります。
新型コロナウイルスでは対面営業が行えない中、非対面営業を行っていた企業がビジネス機会に恵まれました。このような予測不能な出来事に備えてインサイドセールスを導入する企業が増えています。
サブスクリプションモデルの台頭
多くの業界でサブスクリプションサービスが登場してきています。クラウドサービスやストリーミングなど月額料金を支払えば、安価な価格でサービスを利用し続けられることがメリットです。
サブスクリプションサービスの月額料金は安いため、1人1人に営業を行っていれば利益が確保できなくなります。
月額料金は安ければ、非対面営業でも契約してもらいやすいです。このような理由により、サブスクリプションサービスを提供する会社がインサイドセールスを導入し始めました。
深刻化する人手不足
少子高齢化などにより、労働力不足が深刻な問題となっています。営業部門の人材採用が難しくなる中で営業していくためには、インサイドセールスによる効率化が欠かせません。
インサイドセールスは在宅勤務することも可能です。在宅勤務を希望する方は一定数いるため需要があり、労働力を補うことができます。つまり、採用強化するためにインサイドセールスを導入する企業が増えています。
インサイドセールスの立ち上げ方
インサイドセールスは5STEPで立ち上げられます。
- インサイドセールスの目的を決める
- インサイドセールス部門の人材配置を行う
- インサイドセールス部門のKPIを設定する
- 部門間で情報共有するための基準を決める
- 部門間連携するためにデータベースを整備する
インサイドセールスの目的を決める
まずは、インサイドセールスの役割、目的、ペルソナを決めましょう。
役割 | リードナーチャリング アポイント獲得 商談創出 |
目的 | リード数の拡大 商談の質の向上 顧客体験の改善 |
ペルソナ | 市場や業界を絞り込む ペルソナを明確にする アプローチを策定する |
インサイドセールス部門の人材配置を行う
次にインサイドセールス部門の人材配置を行います。インサイドセールスは電話やメール、オンラインツール(ビデオ会議、チャットツールなど)を活用して非対面で行う営業活動です。
また、顧客情報や営業履歴をCRMやSFAに登録しなければなりません。そのため、ゼネラリスト型のベテラン社員やITツールを得意としている新入社員などを配置すると良いでしょう。
インサイドセールス部門のKPIを設定する
インサイドセールスの目的、人材配置を決めたらKPIを設定しましょう。
KPI | 概要 | 平均値 |
アクション数 | 1日のアクション数 | 50件 |
コネクト数 | 架電して繋がった件数 | 15件 |
商談化率 | 商談に至った割合 | 5~10% |
商談数 | 創出した商談の数 | 2~5件 |
下記にインサイドセールスのKPIと平均値をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:『インサイドセールス立ち上げに役立つKPI設定方法【フェーズ別に解説】』
部門間で情報共有するための基準を決める
部門間で情報共有するために顧客の見込み度をランク付けしておくようにしましょう。
A 当月中に商談が成立する見込みである
B 2~3カ月以内に商談が成立する見込みである
C 顧客にアプローチ後、返事待ち
D 6カ月以降に商談が成立する見込みである
E 顧客ニーズに自社商品が合わない
F 正しい連絡先が不明
部門間連携するためにデータベースを整備する
最後に部門間連携するために、顧客情報や営業利益を管理するデータベースを整備しましょう。以下のようなインサイドツールを使用すると、データベース構築できて情報共有しやすくなります。
ツール名 | 詳細情報 |
名刺管理ツール | 名刺情報を一元管理する |
営業リスト作成ツール | 営業先の情報を収集してリストを作成する |
CRM/SFAツール | 「顧客情報」「案件情報」「取引履歴」を一元管理する |
MAツール | 見込み顧客を属性で分類して、メール配信する |
電話システム | インターネット通話ができる |
アポ日程調整ツール | 日程調整を効率化できる |
WEB会議ツール | オンライン上で会議や商談が行える |
インサイドセールスの成功事例
マイナビは、目標の商談件数に届かない状況に立たされて、営業効率化を図る必要性に迫られました。
営業効率化を図るために、インサイドセールを立ち上げ、少数精鋭で目標を達成することに成功しました。また、目標を達成するために、次のような工夫もしています。
(1)サンクスメールに日程調整を埋め込む
各資料がダウンロードされた際にサンクスメールを自動送信しており、そのメールに日程調整URLを埋め込み、お客様が都合が良い日時に商談を設定できるようにしました。この施策により、商談化率を上げています。
(2)チャネル別の接続率・トスアップ率を分析
リードを獲得したチャネル別の接続率やトスアップ率を定量的に分析して、アプローチの優先順位を決め、より効率的なアプローチを可能としまいた。
マイナビの事例は、非常に参考になります。
インサイドセールスに関してよくある質問
最後にインサイドセールスに関してよくある質問をご紹介します。
インサイドセールスに向いている人は?
インサイドセールスに向いているのは、次のような特徴がある人です。
- 電話やメール、オンラインツールを活用したコミュニケーションが上手い人
- 顧客ニーズを引き出すのが上手い人
- 物事に対して継続して取り組める人
- チャレンジ精神があり打たれ強い人
- 業務処理のスピードが速い人
- 事実をありのまま報告できる人
- 相手に対して親身に接することができて、信頼関係が築くのが上手い人
営業からインサイドセールスへ配置転換してもよい?
営業からインサイドセールスへの配置転換はおすすめしません。なぜなら、営業は顧客先に訪問して商談し契約を獲得する仕事です。
インサイドセールスへ配置転換すると、人と会うことが好きな人には物足りなさを感じてしまいます。
また、対面でのコミュニケーションを得意とする人の中には、デジタルツールが不得意な人もいます。そのため、適正を見てインサイドセールスへの配置転換を決めましょう。
インサイドセールスが辛いという悩みを解決する方法は?
インサイドセールスが辛いという悩みが出てくる原因は3つあります。
- インサイドセールス部門のKPIが不適切である
- 社内にインサイドセールスのノウハウがない
- インサイドセールスのキャリアマップがなくてモチベーションが維持できない
このような悩みは、インサイドセールスが働きやすい環境を整備してあげれば解決できます。もし、社内にノウハウがない場合はインサイドセールス支援会社へ相談してみることをおすすめします。
まとめ
インサイドセールスとは、電話やメール、オンラインツールを活用して非対面で行う営業活動を指します。インサイドセールスを導入すれば、業務の属人化を防止できて、営業効率化を図れます。
少人数でも多くの顧客にアプローチできて売り上げを伸ばすことができるため、サブスクリプションサービスの提供会社がインサイドセールスを導入し始めました。
また、VUCA時代でも持続可能な企業を目指しインサイドセールスを導入し始めている企業も増えてきています。この記事では、インサイドセールスの立ち上げ方をご紹介しましたので、ぜひ導入してみてください。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。