インサイドセールス立ち上げに役立つKPI設定方法【フェーズ別に解説】
山田理絵
2024.11.07
インサイドセールス部門のパフォーマンスを把握するためにKPIを設定したいけれど、どのように設定すべきかわからないとお悩みを抱えていませんか?
そのような方向けに、今回はインサイドセールス部門のKPIについて解説します。この記事ではKPIの平均値までご紹介しているため、インサイドセールス部門の立ち上げにお役立てください。
[はじめに]インサイドセールス部門の立ち上げ方
インサイドセールスは見込み顧客の購買意欲を高めて商談化させる役割を担います。インサイドセールス部門の立ち上げ手順は6STEPです。
[インサイドセールス部門の立ち上げ手順]
- 営業プロセスを設計する
- インサイドセールス部門の人材を選定する
- 顧客情報を蓄積・管理するツールを導入する
- インサイドセールスのシナリオを作成する
- インサイドセールス部門のKPIを設定する
- インサイドセールス活動を実施する
インサイドセールスについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事:『インサイドセールスとは?役割やメリット・注意点、導入方法を解説』
インサイドセールス部門におけるKPIの重要性
KPI(重要業績評価指標)とは、目標を達成するための各プロセスの達成度を評価するための指標です。
各プロセスの達成度を可視化することで、どこに課題があるか発見しやすくなり正しくマネジメントできるようになります。
また、インサイドセールス部門の評価基準を統一することも可能です。つまり、インサイドセールス部門のパフォーマンス動向の把握や社内評価に役立ちます。
インサイドセールス部門のKPI設定方法
インサイドセールス部門のKPIを設定するときは、企業全体の最終目標KGIから逆算して考えていきます。
- KGIを設定する
- KGIを達成するための受注数と顧客獲得単価を決める
- 受注数を達成するための商談数と受注率を決める
- 商談数からアクション数と商談化率を割り出す
- 受注率から有効会話数と有効商談率を割り出す
インサイドセールス部門のKPIと平均値
インサイドセールス部門を立ち上げるときは、KPI数値をどれぐらいに設定すべきか悩んでしまうかもしれません。そのような方向けにKPIの平均値も併せてご紹介します。
アクション数
アクション数とはインサイドセールスの「架電数」「着電数」「メール送信数」の総数です。
インサイドセールスの1日のアクション数の平均は50件です。
インサイドセールスは見込み顧客の購買意欲を上げて商談化することが主な役割のため、「商談数÷商談化率=アクション数」で必要なアクション数を計算します。
参考:『株式会社immedio インサイドセールス白書2023』
コネクト数
コネクト数とはインサイドセールス担当者が見込み顧客に架電して繋がった件数です。インサイドセールスのコネクト数の平均は15件です。
インサイドセールスが見込み顧客に架電しても繋がらないこともあります。見込み顧客と電話で繋がった数(コネクト数)を確認しておけば、本当に必要なアクション数がどれぐらいかを見直せます。
また、コネクト数を計測しておけば「どれぐらいの時間帯に電話をかければ、電話に出てもらえるのか」などの営業戦略の見直しも可能です。そのため、アクション数と併せてコネクト数の目標を設定しておきましょう。
参考:『株式会社immedio インサイドセールス白書2023』
有効会話数
有効会話数とは、インサイドセールス担当者が見込み顧客に架電し、相手から「商品に興味があることを聞いた」「商品の導入を検討している」などの興味・関心度合いをヒアリングできた数を指します。
有効会話数は必ず追うべき数字ではありません。しかし、有効会話数を計測しておくと、営業の見直しをすべき人を洗い出すことができます。
商談化率
商談化率は見込み顧客にアプローチして商談に至った割合です。商談化率の平均は5~10%と言われています。つまり、50件のアクションをした場合、2~5件の商談を創出できることになります。
商談数
商談数は、インサイドセールスが創出した商談の数です。つまり、営業部門に引き渡した顧客の数となります。インサイドセールスの商談数の平均は1日2~5件です。
最初は商品知識など乏しいため、商談創出できないかもしれません。しかし、仕事に慣れてきて1週間、1ヶ月間と商談が創出できない担当者がいる場合は、どのようなアプローチをしているかを聞き出して指導をすることをおすすめします。
受注件数
受注件数とは、商談して契約に至った数です。営業の成約率の平均は30%と言われています。3件の商談をして1件の受注を獲得できる計算です。受注率が低い場合は、営業担当者の提案力やクロージング力を見直すことをおすすめします。
受注金額
受注金額とは、契約金額です。営業部門の売上目標を達成するためには、理想の金額で受注することが欠かせません。受注金額より低い価格で契約することが多い場合は、競合他社より劣っている部分はどこかなどを確認して、自社商品の改善をすることをおすすめします。
[フェーズ別]インサイドセールス部門のKPI運用方法
インサイドセールス部門のKPI設定方法を説明しましたが「初期」「中期」「後期」のフェーズ別で、どのように運営すべきなのでしょうか?
初期
インサイドセールス部門を立ち上げた時は「アクション数」を意識して行動していきましょう。
なぜなら、初期の頃はインサイドセールスに関する知見が全くないためです。そのような状態で「コネクト率」「有効会話数」「商談化数(商談化率)を追いかけると「どうして目標数値が達成できないのだろう?」とモチベーションが低下してしまいます。
そのため、初期の頃はアクション数を意識して行動して、インサイドセールスに関する知見を増やすことに集中しましょう。
中期
インサイドセールス部門を立ち上げて、アクション数をこなし商談が創出できるようになれば「コネクト率」「有効会話数」「商談率」「受注金額」を追いかけましょう。
これらの数字を参考にしながら、どのような顧客にアプローチすれば、高角度で受注金額が高い商談を創出できるのかを考えていきます。
後期
インサイドセールス運営が定着したら、営業部門と連携して「受注件数」「受注金額」を追いかけていきましょう。つまり、部門全体の目標を追いかけていきます。
各メンバーの状況を確認して、躓いている人がいたらフォローしていきましょう。
インサイドセールス部門のKPIを達成するコツ
インサイドセールス部門のKPIを達成するコツは3つあります。
見込み顧客のリストを整理する
インサイドセールス部門のKPIを達成するために、見込み顧客のリストを整理しましょう。見込み顧客のリストを整理すれば、以下のようなことができます。
- 優先してアプローチすべき顧客がわかる
- 共通点のある顧客へ同時にアプローチできる
- 顧客のステータスに合わせたアプローチができる
つまり、営業効率化が見込めてアクション数や商談数を増やしていけます。
見込み顧客との関係を醸成する
インサイドセールスは見込み顧客の購買意欲を高めて商談化することが主な役割ですが、実現するためには顧客との関係を醸成する必要があります。そのため、顧客の検討段階を踏まえて有効的なコミュニケーションを取りましょう。
興味・関心 (Interest) |
商品の存在を知っているけれど興味・関心を持っていない ⇒商品やサービスに評判を広める |
欲求 (Desire) |
商品に興味・関心を持っているけれど購買意欲が高くない ⇒商品やサービスを購入すれば悩みが解決できることを訴求する |
記憶 (Memory) |
商品の購買意欲があるけど存在を忘れてしまっている ⇒キャンペーン情報を提供する |
どのような段階の見込み顧客かを見極めてコミュニケーションを取ることで、関係が醸成されていきます。
インサイドセールス担当者を教育する
インサイドセールス部門のKPIを達成するためには、以下のようなインサイドセールス担当者の教育が欠かせません。
- 顧客の課題を把握するヒアリング力
- 顧客アプローチ方法
- 商談を創出するためのコツ
- 自社商材や他社商材に関する深い知見
これらのスキルが足りない担当者は、どれだけアクションしても商談が創出できません。アクション数が多いのに商談数が少ない担当者がいる場合は教育をしましょう。
ナレッジを共有する
インサイドセールス部門のメンバーが所有するナレッジを全員で共有すれば業務標準化ができます。週1回の部門会議を開いて「どうして成約に至ったのか」「どのような工夫をして商談を創出しているのか」とナレッジを共有する場を作りましょう。
インサイドセールス支援サービスを利用する
インサイドセールス部門の立ち上げは想像以上に大変です。「どのような人材を採用すべきかわからない」「シナリオ設計が難しい」などの悩みが出てきがちです。
そのため、インサイドセールスを立ち上げて営業効率化したいけれど不安がある方は、インサイドセールス支援サービスを利用することをおすすめします。インサイドセールス支援サービスを利用すれば伴走型サポートが受けられます。
インサイドセールス部門のKPIを見直すタイミング
インサイドセールス部門のKPIを見直すタイミングは、目標と実績が乖離している場合です。KPIを達成するためにアクションしても目標を達成できない場合は、KPI自体に問題がないか見直すことが大切です。
インサイドセールスのKPIの平均をご紹介しましたが、売上目標や組織体制で数値が大きく変動します。高い目標を設定し続けると従業員のモチベーションが下がり離職を招いてしまうため、目標と実績が乖離している場合はKPIを見直しましょう。
まとめ
インサイドセールス部門のパフォーマンス管理のためにKPIを設定することは非常に重要です。「受注金額」「受注件数」「商談数」「有効会話数」「コネクト率」「アクション数」を設定しておけば、どこに問題があるかを洗い出すことができます。
この記事では、インサイドセールス部門のKPIを達成するためのコツまで紹介しました。ぜひ、この記事を参考にしながらインサイドセールス部門をマネジメントしてみてください。
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この記事を書いたライター
山田理絵
不動産営業を経験後、アディッシュにて、カスタマーサクセス関連商材のインサイドセールスを担当し、初期接点から課題の顕在化をし機会創出を行う。 趣味はポールダンスと料理。