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【翻訳】カスタマーサクセスプランの成功に必要な7つの要素

この記事は著作権を有する Custifyの許可を得て翻訳したものです。
Original article:https://www.custify.com/blog/elements-customer-success-plan/

はじめに


カスタマーサクセスプランとは、顧客が製品を通じて目標を達成できるよう支援するための戦略とアクションを計画化(プラン化)したものです。このプランの成功は、顧客満足度を高めるだけでなく、顧客ロイヤルティの向上にもつながります。

しっかりとしたプランがあれば、顧客は自社製品の価値を明確に認識できるようになり、自社と顧客双方にとって長期的な成功へとつながります。

ここでは、カスタマーサクセスプランを策定する方法と、成功するプランを作成するための基本ステップについて紹介します。

1. 基礎を築く


まずは、明確かつ測定できる目標を設定しましょう。自社が達成したいことは何か?ビジネス全体のゴールは何か?例えば、チャーン(解約)率の削減や、顧客満足度の向上などが考えられます。目標は具体的で、進捗を追跡可能である必要があります。これがカスタマーサクセス戦略の土台になります。

SMARTな目標を定義する

目標は「SMART」基準(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性がある、Time-bound:期限がある)に基づくべきです。

例:「6か月以内にNPS(顧客ロイヤリティのスコア)を20%向上させる」
 このような目標はチーム全体が目指すべき方向性を明確に示します。

 

 

主要なカスタマーサクセス指標を特定する:NPS、CSAT、CLV

適切な指標を推定し、追跡することは重要です。以下の点に注目しましょう。

  • NPS(ネットプロモータースコア):顧客のロイヤルティを測定する指標。高スコアは満足度が高く、顧客が知人にサービスを紹介する可能性も高いことを意味します。
  • CSAT(カスタマーサティスファクションスコア):製品やサービスに対する顧客満足度を測定します。
  • CLV(顧客生涯価値):顧客との取引期間全体を通して、どれだけの収益をもたらすかを示します。CLVが高いほど、顧客価値が高いことを意味します。

2.顧客を理解し、セグメント化する


ビジネスで成功するためには、顧客のニーズをよく知る必要があります。顧客が誰で、何をニーズとしているのか理解することで、より良いサポートやサービスを提供できるようになります。


顧客からのフィードバックは、貴重な情報のリソースです。アンケート、レビュー、直接のやり取りなどを通じて顧客の声に耳を傾けます。さらにデータ分析を活用し、顧客の行動や嗜好を深く掘り下げます。これらの情報を組み合わせることで、顧客が本当に求めているものを明確に把握できます。

顧客セグメンテーション

すべての顧客がニーズが同じ、というわけではありません。顧客をグループに分けることで、適切なアプローチが可能になります。ユーザーをセグメント化する方法をいくつか紹介します。

  • 人口統計的セグメンテーション:顧客を年齢、性別、地域、所得などでグループ分けする方法。
  • 行動セグメンテーション:顧客がどのように製品を使用しているかに注目する方法。頻繁に使うユーザーか、時々しか使わないユーザーかといった違いがポイントです。
  • ニーズに基づくセグメンテーション:異なるグループがどのような具体的なニーズを持っているか把握する方法。例えば、あるグループは多くのサポートを必要とする一方で、別のグループは高度な機能を求めているかもしれません。
  • 収益セグメンテーション:有料顧客には優先的なサポートやサービスを提供すべきです。LTV(顧客生涯価値)が高い顧客には、より一層の配慮が求められます。



顧客をセグメント化することで、各グループ固有のニーズに対応するターゲット戦略を策定できます。これにより、顧客固有の問題点に対処できるようになります。

3. 顧客とのやり取りを強化する


顧客を理解することで、より良いサービスを提供します。顧客に対して、コメントや質問にただ反応するのではなく、積極的な対応を行いましょう。

プロアクティブな顧客エンゲージメントとは、問題が発生する前に顧客にアプローチをすることを意味します。HubSpotのレポートによれば、プロアクティブなカスタマーサービスに注力している企業は、顧客の維持率が23%向上しています。
参照:https://offers.hubspot.com/state-of-customer-service


顧客のニーズを予測し早い段階で対応すれば、トラブルを回避しつつ、エンゲージメントを強化することができます。


次のステップとして、パーソナライズされた対応を行えば顧客は「大切にされ、理解されている」と感じてもらうことができます。例えば、以下のようなサービスが挙げられます。

 

  • パーソナライズされたメール
  • 顧客に合わせた製品のおすすめ
  • 顧客ごとにパーソナライズされたサポート
  • ロイヤルティプログラム
  • 特別な日(記念日など)に関連したオファー

多くのツールが、こうした顧客とのやり取りの自動化を支援します。自動化によって、時間を節約しながら、やり取りをカスタマイズできます。マッキンゼーの調査によれば自動化化されたエンゲージメントツールを活用している企業は、チャーン率を20%以上削減できます。

参照:https://www.mckinsey.com/capabilities/operations/our-insights/the-next-frontier-of-customer-engagement-ai-enabled-customer-service

プラットフォーム上でのエンゲージメント指標を分析し、エンゲージメントが低下した顧客には積極的にアプローチをしましょう。そうすることで、チャーンリスクの兆候に迅速かつ誠実に対応でき、顧客を引き止められる確率が上がります。



カスタマージャーニーにおけるあらゆるタッチポイントは、顧客体験を向上させるチャンスです。カスタマージャーニーを可視化し、カスタマーサクセスプランを強化する重要なインタラクションを見つけましょう。スムーズなオンボーディングプロセスは良い印象を与えます。適切なタイミングでフォローアップを行うことで、顧客のエンゲージメントを維持し、製品を使い続けてもらうことができます。

 

4. テクノロジーとツールでスピードアップ


CSM(カスタマーサクセスマネージャー)という役職は、同時に多くの業務をこなします。それに関連して役立つのが、業務の効率化、顧客とのインタラクションの向上、そして貴重な洞察(インサイト)の提供を可能にする各種ツールです。

 

顧客関係管理(CRM)ソフトウェア

SalesforceHubSpotといったCRMシステムは、顧客とのすべてのやり取りを記録し、顧客データを管理します。CRMは、エンゲージメント状況やオンボーディングのステップに応じたマーケティング活動のオートメーションやメールの送信設定も可能です。また、タスクの管理、過去のコミュニケーションの確認、ユーザー行動の可視化・把握など、多くの機能を備えています。

Custify    

Custifyのようなカスタマーサクセスプラットフォームは、顧客のヘルススコアをモニタリングしたり、オンボーディングの進行を管理することができます。また、カスタマーサクセスのワークフローも自動化できます。特にSaaS企業にとっては、チャーンを減らし、顧客の生涯価値(CLV)を向上する手助けとなります。Custifyは実用的な洞察を提供するとともに、業務を自動化し、役立つ無料リソースも豊富に兼ね備えています。

参照:https://www.custify.com/customer-success-resources



Tableau

Tableauのようなデータ分析ツールは、顧客のデータを視覚的に分析し、行動や傾向に関するインサイトを提供します。情報に基づいた意思決定が可能になり、顧客ごとのインタラクションをパーソナライズすることができます。

 

Canny

Cannyのようなフィードバックツールやアンケートツールは、顧客からのフィードバックを収集・分析し、製品にどのようなニーズがあるのかを把握できます。こうしたインサイトを製品の改善や新機能の開発に導入します。

Intercom

Intercomのようなコミュニケーションツールは、顧客とのシームレスなコミュニケーションを促進します。ライブチャット、サポートチケット、ヘルプセンターなどの機能を備えているため、迅速なサポートを提供しやすくなります。

これらの多くのツールがAIを活用して、反復的なタスクを自動化しています。顧客基盤の拡大に伴い、自動化ツールは迅速な拡張を可能にします。これにより、事業を拡大しつつ高品質なサポート体制が維持できます。

5. 他部署との連携


カスタマーサクセスチームは、こうしたプランの主導的役割を担います。そのため、「すべてが自分の肩にかかっている」と思い込みがちです。「自分がカスタマーサクセスの担当なのだから、タスクのすべてを引き受けるべきだろう」……と。それは違います。



カスタマーサクセスへの取り組みは、チームメンバーや他部門の助けを得ながら進めます。特に、カスタマーサクセスを担当しているのが自分一人だけという場合は、積極的に他部署の力を借りていきましょう。以下にいくつかの例を挙げます。

  • 営業チームは、顧客のニーズや懸念点を深く理解しています。顧客が製品に関して何を求めているか、そして購入後にどう支援できるかを考えるために協力するべきです。また、アップセルやクロスセルの機会を見つける上でも営業チームは重要なパートナーになります。

  • マーケティングチームとは、メッセージングの整合性を保つために協力でき、SNSから顧客フィードバックを収集したり、よくある質問や課題に対応するためのコンテンツを作成することも可能になります。

  • プロダクトチームとは、重要な機能リクエストやバグ対応を優先的に処理できます。顧客からのフィードバックを共有し、収益への影響を可視化して伝えましょう。プロダクトチームもカスタマーサクセスの視点から意思決定を行いやすくなります。

  • サポートチームは、日々カスタマー対応を行っており、よくある問題や改善が必要なポイントに関する貴重な洞察を得ています。協力してナレッジベースを作成したり、サポートプロセスを効率化することで、良い顧客体験を提供しましょう。

このように連携を図ることで、すべての部門が同じゴールに向かって動くことになります。それは「顧客を満足させ、ツールを通じて利益や目標を達成するよう支援すること」に繋がります。その結果として、組織全体(顧客を含む)にとって利益をもたらす「共通の成功イメージ」が出来上がります。

6. プロセスを文書化する


効果的なカスタマーサクセスプランを実現するには、明確なドキュメントとプロセスが不可欠です。その理由は以下のとおりです。

 

  • 一貫性の確保
    プロセスをマニュアル・文書化することで、すべてのメンバーが同じ手順に従います。これにより顧客体験が一貫したプロセスとなり、ミスが起こるリスクも低減します。

  • トレーニングとオンボーディング
    明確なドキュメントがあることで、新しいメンバーもすぐに自身の役割や責任を理解します。スムーズな立ち上がりを支援し、プロセスの教育にかかる時間を短縮します。

  • 責任の所在を明確化
    文書化されたプロセスは、各タスクに対して「誰が責任を持つか(誰を頼ればいいか)」が明らかになります。パフォーマンス(製品の実績、成果)の追跡やヘルプに対してチームメンバーへの責任の所在を明確にし、問題が発生した際にも迅速に対処できます。

  • コミュニケーションの改善  
    部門間の引き継ぎをマニュアル化しておくことで、情報の行き違いや誤解が減少します。これは、シームレスで一貫した顧客体験を維持するために極めて重要です。


新たなカスタマーサクセスプランを構築する際は、「今、何をしているか」をしっかりとドキュメントに残しましょう。そうすることで、後から業務の引き継ぎを行う際に、重要なステップを見逃すことなくスムーズに進めることができます。

7. 継続的な改善


CSM(カスタマーサクセスマネージャー)の仕事に終わりはありません。常に調整や改善、修正が必要です。以下の方法を実践することで、常に最新かつ有効な施策を保ち続けることができます。



参照:https://qualaroo.com/blog/how-to-build-feedback-into-your-products-lifecycle/ 

定期的なフィードバック収集

まず、フィードバック収集をプロセスに組み込むことが重要です。アンケート調査、レビュー、直接会話を聞くことは、顧客へのフィードバックを得るために非常に効果的な手段です。アップデートの後には、簡単なアンケートを送信して顧客の反応を計測しましょう。

得られたフィードバックを集計することで、顧客のニーズを常に把握し、製品のどの部分に改善の余地があるかを明確にします。これは、顧客ベース(顧客全体)の動向を感じ取る手段とも言えるでしょう。

フィードバックを分析する

フィードバックを得られたら、徹底して分析しましょう。傾向や繰り返し発生する問題を探りましょう。

複数の顧客が特定の機能の使い勝手に困っていたら、それは明確な改善ポイントです。この分析は、顧客ベースの全体像を把握し、フィードバックに基づいた意思決定を行うために必要不可欠です。

改善策を実行する

フィードバック分析を終えたら、行動に移しましょう。機能の更新かもしれませんし、サポートのアプローチを見直すことかもしれません。あるいは、顧客のニーズに適した新機能を導入することなど、多岐にわたります。

一例として、「オンボーディングプロセスが分かりづらい」といったフィードバックが多い場合は、チュートリアルを簡潔にする、明確な分かりやすいUIを配置する施策が挙げられます。

結果をモニタリングする

変更を実施した後は、その結果を注意深くモニタリングしましょう。顧客にとって実際に改善されているかどうかを評価するために、CSAT(顧客満足度スコア)やNPS(ネット・プロモーター・スコア、顧客ロイヤリティのスコア)といった指標を活用しましょう。

新機能をリリースした後、利用率や顧客満足度の変化を分析し、ポジティブな変化(アクション)が見られるか確認することも手段の一つです。

継続的に行う

プロセスはこれで終わりではありません。「継続的な改善」とは、顧客の変化するニーズと得られたフィードバックに応じた、定期的に改善を繰り返すことを意味します。このサイクルを回し続け、競合他社に後れを取ることなく、常に効率的かつ最新の状態に保つことにもつながります。

実際の例
SaaS製品に新機能をリリースしたと想像してみてください。リリース後、アンケートを実施したところ、多くのユーザーが機能を「分かりづらい」と感じていることが分かりました。CSMの分析で、「オンボーディングのチュートリアルプロセスが分かりづらい」という詳細が分かりました。そこで、チュートリアルを更新し、アプリ内ガイダンスを追加して、結果をモニタリングします。

その後、CSAT(顧客満足度)スコアが向上し、その機能に関するサポート問い合わせ数も大幅に減少しました。この事例が示すように、継続してフィードバックを収集し続け、ユーザーの提案に基づいて製品内の機能を改善することで、その機能はやがて製品の中でも高いエンゲージメントを持つ要素となります。

まとめ:効果的なカスタマーサクセスプランを構築する方法


効果的なカスタマーサクセスプランを作成するには、いくつかの重要なステップに集約されます。まずは、測定可能な目標を設定し、NPS(ネット・プロモーター・スコア、顧客ロイヤリティのスコア)、CSAT(顧客満足度スコア)、CLV(顧客生涯価値)などの主要な成果指標を追跡しましょう。


次に、顧客のニーズを深く理解し、ユーザー層をセグメント化することで、ニーズに合わせたアプローチを行います。常に顧客が達成したい目標を意識することが重要です。
また、顧客に対して積極的に関与し、パーソナライズされたインタラクションを提供することも欠かせません。テクノロジーを活用してプロセスを効率化し、データに基づいた施策を行いましょう。
製品に関しては、アップデートを意識し続けてください。顧客からのフィードバックに基づいて行動することで、信頼とロイヤルティを築きます。


優れたカスタマーサクセスプランには、明確な目標、パーソナライズされたエンゲージメント、そして効率的なプロセスが不可欠です。そして、そのプランは常にアップデートされていくべきです。包括的なカスタマーサクセスプランを構築すれば、ユーザーが指標や目標を達成する手助けができ、かつ自社のKPI(重要業績評価指標)も達成できます。

サクセスプランは複雑である必要はありません。チーム内外で意見を求め、共に構築していくことで、「企業と顧客が相互に成功するプラン」を作ることができます。
紹介したヒントを実践して、これまでにないほどのレベルで顧客にサービスを提供してみてください。


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