顧客満足度調査(CS調査)とは?重要性や実施方法、改善事例を解説
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武田龍哉
2025.07.28
自社の商品やサービスに対する、顧客の満足度や期待を調べることを顧客満足度調査(CS調査)といいます。商品やサービスの質を向上させるためには、欠かせない調査です。
しかし、「顧客満足度調査とはどのように行うのだろうか」「どのようなアンケートを作成すれば良いのだろうか」などのお悩みもお聞きします。
そこで、今回は顧客満足度調査の手順をご紹介します。この記事では、すぐに始められるように顧客満足度アンケートのテンプレートもご用意したため利用してみてください。
顧客満足度調査とは
顧客満足度調査(CS調査)は、商品やサービスを購入した顧客がどれぐらい満足しているかをスコアで確認するリサーチ手法です。商品やサービスの改善をはじめ、マーケティング手法の見直しやカスタマーサポート対応品質の改善に役立てることで事業成長を促すことができます。
近年、インターネット上の商品レビューや口コミが購買意思決定に役立てられる風潮があるため、いかに顧客に満足してもらえているかを調査する必要性が増してきました。
顧客満足度調査の目的
顧客満足度調査の目的は、競合他社への流出を防ぎ顧客に商品やサービスを利用し続けてもらうことです。
顧客満足度調査を通じて、顧客は商品やサービスを利用し続けたいと思ってくれているかを把握できます。仮に顧客満足度が低い場合は「商品価値」「顧客体験」「価格」「サポート」など、どこに問題があるかを把握し、会社側と顧客側のズレを理解した上で改善することで、ニーズを満たしたものを提供できるようになります。
顧客満足度調査の重要性
顧客満足度調査の重要性が増したのは、3つの背景があります。
顧客ニーズの多様化
近年、さまざまな商品やサービスが販売されており顧客ニーズは多様化しました。同じサービスを利用していても、顧客による求める価値、重視するポイントは異なります。
スピードを重視する顧客もいれば、丁寧さを求める顧客もいるでしょう。会社側と顧客側にズレがあり、そのまま対応していると競合他社へ流出してしまいかねません。
ビジネス機会の損失を防ぐためにも、顧客満足度調査を実施して、顧客ニーズを満たせているかを把握する必要が出てきました。
トレンドの変化
時代とともにトレンドは大きく変化しています。従来は商品の価格や性能が顧客満足度に直結していましたが、モノが溢れるようになり顧客体験に目が向けられるようになりました。
顧客接点の一つひとつが評価対象となり、「サポートの質」「対応スピード」「共感」などが評価されます。
また、従来は商品を販売したら終わりというビジネスモデルが主流でしたが、現在ではサブスクリプション型ビジネスへの移行が進んでいます。サブスクリプション型ビジネスで収益を得るためには顧客との良好な関係が欠かせません。このようなトレンドの変化により、顧客が何を求めているのかを調査する必要が出てきました。
少子高齢化による市場縮小
日本では少子高齢化が進行しており、あらゆる業界で国内の市場縮小が問題視(2030年問題)されています。新規顧客の獲得が難しくなりつつある中で、既存顧客と良好な関係を築き商品・サービスを継続して利用し続けてもらうことが売上の成長に欠かせない時代へと移行しました。
また、既存顧客と良好な関係を維持できれば、新規顧客の紹介もしてもらえます。このように市場縮小の中でも売上を伸ばすために、戦略的に顧客満足度調査をする必要が出てきました。
顧客満足度調査のやり方
顧客満足度は5STEPで取り組めます。
目的を明確にする
最初に顧客満足度調査の目的を明確にします。なぜなら、目的を明確にしないと成果が見込めず無駄に終わる恐れがあるためです。
例えば、カスタマーサポートの満足度調査を目的とした場合は、顧客対応品質やFAQを見直すことで成果が見込めるようになります。一方で顧客ニーズの把握を目的とした場合はデータに基づき商品、サービスを改善することで成果が見込めるようになります。
目的により「誰に」「どのような方法」で調査するかも変わるため、最初に明確にしておきましょう。
調査対象者を決める
続いて、調査対象を決めます。全体の傾向を把握したい場合は、幅広いユーザー層に実施するのが適していますが、特定のフェーズや利用状況に絞って深掘りしたい場合は、対象者を限定することで解像度の高い結果が得られます。
例えば、サービス登録後の体験に関する調査を行いたい場合は、登録1か月以内のユーザーを対象とすることで具体的なフィードバックが集まりやすくなります。長期的なロイヤルティを測るのであれば、1年以上継続利用している顧客の声が参考になるでしょう。
調査方法を決める
次に顧客満足度調査方法を決めます。具体的には、次のような調査方法があります。
調査手法 | 概要 | メリット | デメリット |
インターネット調査 | Googleフォームなどを使ったネット調査 |
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インタビュー調査 | 対面・対話式で行う調査 |
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モニタリング調査 | ユーザーの行動を観察する調査 | ターゲット層のリサーチができる |
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顧客満足度調査シートを作成する
次に調査シートを作成します。設問により得られるフィードバックが大きく変わります。そのため、顧客満足度調査の目的とネクストアクションに沿った設問を立てましょう。
商品改善のために使いたいのか、サポート体験の質を測りたいのかによって設問が変わってきます。
また数値で答える定量的な質問と、自由記述で答える定性的な質問をバランスよく組み合わせておくと分析しやすくなります。
アンケートを収集、分析する
顧客満足度調査が終了したら、集計と分析に入ります。ネット調査またはインタビュー調査により分析手法は異なります。
- ネット調査:クロス集計や単純集計で量的に分析
- インタビュー調査:KJ法などを活用し、消費者のインサイトを分析
現在自社の製品やサービスを利用している顧客が、どの点に満足し、どこに不満を抱えているのかを把握することで、どのようなネクストアクションを行うべきかという方向性が定まります。より効果的な施策を立案していきましょう。
調査結果により、どのように改善すべきかは変わりますが、顧客満足度を上げる具体例を知りたい方は下記の記事をご覧ください。
関連記事:『顧客満足度を上げる具体例10選!成功企業の事例とともに解説』
顧客満足度調査シートのテンプレート
項目 | 設問内容 |
属性 | 性別・年齢・職業など |
商品・サービスを知ったきっかけ |
商品やサービスを認知したメディア 【質問例】
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購入を決めた理由 |
商品の購入やサービスの使用を決定づけた理由 【質問例】
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満足度と理由 |
5段階評価を理由とあわせて確認 【質問例】
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今後の意向 |
今後のリピート意向を、理由も含めて確認 【質問例】
|
商品・サービスに対する意見 |
自由記述形式で、商品やサービスに対する率直な意見を確認 |
顧客満足度調査のコツ
顧客満足度調査のコツは3つあります。
顧客満足度調査結果は社内全体で共有する
顧客満足度はカスタマーサポートやマーケティング部門だけが見るべきものではありません。商品をつくる開発部門、顧客と接する営業部門、経営判断を担うマネジメント層に至るまで顧客の声を自分の課題として捉えることが大切です。
そのため、社内全体で顧客満足度調査結果を共有し、現場ごとの気づきや取り組みを話し合う場を設けましょう。顧客の声を共有し合う文化が根付けば、社内全体の意識が社内都合から顧客視点へと自然にシフトしていきます。
顧客満足度調査を定期的に行う
顧客満足度調査は、一度実施すれば終わりというものではありません。継続的に実施することで顧客の声の変化や改善施策の影響を把握することができます。
また、市場や顧客ニーズが変化していく中で、新たな課題や期待が生まれていないかを把握するためにも、定期的な調査は欠かせません。より本質的な満足度を測定するためにも、四半期に1回や半年に1回など、あらかじめスケジュールに組み込んで調査するようにしましょう。
顧客満足度調査ツールを利用する
顧客満足度調査を実施する上で専用ツールを利用すると負担が軽減されます。アンケートの作成や配布、集計、分析まで行うことができます。
また、属性別に顧客満足度を分析したり、推移を把握することも可能です。調査対象者数などにもより、向き不向きはありますが、属人的な作業を減らし、スピード感のある改善をしたい方は専用ツールを活用することをおすすめします。
顧客満足度向上に成功した企業事例
通販会社では、購入後の顧客満足度調査を通じて、サービスの改善ポイントを明確にし、売上の向上につなげました。顧客満足度調査の目的はリピーター離脱の原因を明らかにし、継続利用率を高めることでした。
「商品の品質」「配送のスピード」「梱包の丁寧さ」「カスタマーサポートの対応」ついて0〜10点で満足度を評価してもらい、さらに自由記述で意見を回収しました。その結果、全体のスコアは概ね良好だったものの「配送時の梱包が雑だった」というコメントが一定数見られ不満が目立っていることが判明しました。
この結果をもとに、配送委託先との連携を強化し、梱包マニュアルを見直しました。さらに、改善内容を「お客様の声を受けて改善しました」としてメールマガジンや商品ページで発信。半年後の調査では「配送に関する不満」は約60%減少し、ギフト利用者のリピート率は20%以上向上しました。
まとめ
顧客満足度調査(CS調査)は、商品やサービスを購入した顧客がどれぐらい満足しているかをスコア化するリサーチ手法です。競合他社への流出を防ぎ顧客に商品やサービスを利用し続けてもらうために顧客満足度を調査します。
顧客ニーズの多様化、トレンドの変化、市場縮小で既存顧客を維持するのは必須となりました。顧客満足度が高い商品やサービスをつくり、より良い体験を提供するためにも、これを機会に顧客満足度調査を行ってみてください。
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この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。