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BPaaSに取り組む上場企業一覧 2024年

作成者: 小原良太郎|2024.09.10

BPaaSに取り組む上場企業

近年、ビジネスプロセスをサービスとして提供するBPaaS(Business Process as a Service)は、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させる重要な要素として注目を集めています。特に中小企業においては自社単体でSaaSを有効活用していくことに一定の難易度があり、業務効率化やコスト削減、柔軟な業務運営を実現する手段として、BPaaSの導入が進んでいます。本記事では、2024年におけるBPaaSに取り組む上場企業を一覧にし、それぞれの取り組み内容や特徴について紹介します。

 

kubell

  • 企業名
    kubell
  • 企業のサイト
    kubell公式サイト
  • ビジネスの概要
    Kubell株式会社(旧Chatwork株式会社)は、日本を拠点とするビジネスコミュニケーションプラットフォームを提供する企業です。特に、ビジネスチャットツール「Chatwork」の提供で知られており、企業のコミュニケーションを効率化し、従来のメールや電話に頼らない働き方を促進しています。BPaaSへの注力をすることから2024年7月に社名をChatworkからKubellへ変更し、より広範な働き方改革を目指すことを示しています。
  • BPaaSの取り組み
    Kubell株式会社は、「BPaaS」を中心に事業展開を進めており、特に中小企業向けにノンコア業務(秘書業務、事務作業など)から、専門的な業務(人事労務、士業など)まで対応する幅広いサービスを提供しています。BPaaSの導入によって、中小企業がコア業務に集中できる環境を整え、生産性向上を図ることを目指しています。
    これまでChatworkとして培ってきた圧倒的な顧客基盤と、ビジネスチャットプラットフォームの強みを活かし、非専門的業務に対してはテンプレート化された効率的なサービスを、専門領域にはプロフェッショナルな知見を提供しています。また、サービスを安価で提供することで、中小企業にも導入しやすいモデルを構築しています。

 

Photosynth

  • 企業名
    Photosynth
  • 企業のサイト
    Photosynth公式サイト
  • ビジネスの概要
    Photosynth株式会社は、2014年に設立された日本の企業で、主にIoT関連デバイスの研究開発と提供を行っています。その代表的な製品が「Akerun(アケルン)」というクラウド型の物理アクセス管理システムです。このシステムは、スマートロックを利用してオフィスや施設の入退室管理を効率化するもので、クラウド経由で遠隔から制御できるのが特徴です。Photosynthは、スマートロック技術のパイオニアとして、企業や施設のセキュリティ向上と業務効率化を支援しています。
  • BPaaSの具体的な取り組み内容:
    Photosynth株式会社は、2024年にギグワーカープラットフォームを活用した施設運営BPaaS事業を展開する子会社「Migakun」を設立しました。この新サービスは、施設運営の効率化や人手不足対策を目的とし、スマートロック「Akerun」で培ったノウハウを活かして、清掃や管理、コミュニティ運営などの業務を支援します。これにより、施設の無人化・省人化を促進しています。

トヨクモ

  • 企業名
    トヨクモ
  • 企業のサイト
    トヨクモ公式サイト
  • ビジネスの概要
    トヨクモ株式会社は、2010年に設立され、クラウドベースのソリューションを提供する日本のIT企業です。主な事業として、災害時の「安否確認サービス2」や、サイボウズの「kintone」と連携した業務効率化ツールの提供に注力しています。これらのサービスは、主に企業向けに、情報管理や業務の自動化を支援するものです。
  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    トヨクモ株式会社は、BPaaSの提供に力を入れており、その取り組みの一環として、2023年に子会社「トヨクモクラウドコネクト株式会社」を設立しました。この子会社は、企業や自治体向けにさまざまな業務プロセスを効率化するサービスを提供しています。
    具体的には、SaaSを活用した業務の迅速な導入を実現しており、特に照会業務や返金業務のアウトソーシングに対応しています。例えば、自治体向けには住民の補助金や助成金の申請後のステータス照会システムを提供し、企業向けには顧客対応のスピードを上げるためのサービスを展開しています。これにより、従来のBPOよりもコストを抑え、効率的な業務遂行が可能となっています。
    今後、トヨクモクラウドコネクトはさらに多様な業務分野におけるBPaaSの提供を目指しており、類似業務が存在するなどの業務を見つければ、BPaaS化を検討していきたいと考えています。

 

いい生活

  • 企業名
    いい生活
  • 企業のサイト
    いい生活公式サイト
  • ビジネスの概要
    株式会社いい生活は、2000年に設立された不動産テック企業で、不動産業界向けにクラウドおよびSaaSソリューションを提供しています。特に、不動産賃貸管理システムや売買業務支援システムなど、デジタル化を通じて不動産業務の効率化を図るサービスを展開しています。これにより、不動産会社が賃貸物件の管理や顧客対応を効率的に行える環境を提供し、業界全体のDXを推進しています。
    同社は「Vertical SaaS」として、特定の業界に特化したソリューションを提供しているのが特徴です。また、業務プロセスの改善や顧客のニーズに合わせたサービスの柔軟な提供も行っており、特に中小不動産会社にとって利便性の高いツールを提供しています
  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    株式会社いい生活は、不動産業界向けにクラウドベースのSaaSとともに、BPaaSを活用して業務プロセスの効率化を推進しています。同社のBPaaSの取り組みでは、主に不動産業務の自動化と効率化を図り、不動産市場全体のDXをサポートしています。
    特に、いい生活は「いい生活Pay」などの決済ソリューションを提供しており、口座振替の取扱い金額が3億円を突破するなど、キャッシュレス化の推進に貢献しています。これにより、賃貸契約の支払いプロセスの効率化やコスト削減が実現されています。また、自治体や教育機関に向けたサービスも展開しており、幅広い業種での活用が期待されています

うるる

  • 企業名
    うるる
  • 企業のサイト
    うるる公式サイト
  • ビジネスの概要
    株式会社うるるは、2001年に設立された日本のIT企業で、主にクラウドソーシングとBPOサービスを提供しています。同社の代表的な事業として、クラウドワーカーを活用したサービスがあり、「シュフティ」などのクラウドソーシングプラットフォームや、入札情報の提供サービス「NJSS」などが含まれます。また、保育園や幼稚園向けの写真販売システム「えんフォト」や、電話代行サービス「fondesk」なども展開しています。
    うるるは、労働力不足の問題を解決することを目指しており、IT技術とクラウドワーカーを活用して、業務効率化や生産性向上をサポートしています。BPO事業においても、企業のバックオフィス業務を支援し、コスト削減や業務品質向上を実現するためのアウトソーシングサービスを提供しています
  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    株式会社うるるは、BPaaSを通じて、多様なビジネスプロセスの効率化を支援しています。特に注目されているのが、2023年に開始した「入札BPO」サービスです。これは、公共事業の入札業務全体をトータルでサポートするもので、入札前のマーケット分析から、入札業務の代行、案件履行に至るまで、幅広いプロセスを一括して請け負います。
    「入札BPO」では、うるるが蓄積した約15年分の入札データとクラウドワーカーの力を活用し、煩雑なアナログ作業を効率化することで、企業の業務負担を軽減します。これにより、入札に参加する企業は、戦略立案から実務作業までのプロセスを効率的に進めることが可能になります。また、ITやAI技術と組み合わせることで、DXの推進にも貢献しています。

 

ROBOT PAYMENT

  • 企業名
    ROBOT PAYMENT
  • 企業のサイト
    ROBOT PAYMENT公式サイト
  • ビジネスの概要
    株式会社Robot Payment(ロボットペイメント)は、2000年に設立された日本の企業で、主にサブスクリプション型決済サービスクラウド型の金融サービスを提供しています。事業は大きく分けて二つの柱があります。
    1. 決済サービス: 主にオンライン決済代行を手掛け、B2B(企業間取引)やB2C(消費者向け取引)のECビジネス向けに、統合された決済ゲートウェイを提供しています。これにより、企業は複数の決済手段を一元管理し、効率的に運用することが可能です()。
    2. 金融クラウドサービス: この分野では、請求書発行や支払い管理、督促業務を自動化するクラウドサービスを提供しています。代表的なサービスに「サブスクペイ」や「請求管理ロボ」などがあり、企業の経理業務を効率化することで、バックオフィス業務の負担を大幅に軽減しています。

 Robot Paymentは、特にサブスクリプションビジネスや電子商取引分野に強みを持ち、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援することで、業績を拡大しています。


  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    株式会社Robot Paymentは、2023年にBPaaS事業を開始し、業務フローの自動化を支援するサービスを提供しています。その一環として、同社は「ロボデブ」という自動化支援サービスを展開しており、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を包括的にサポートしています。
    ロボデブは、決済関連のSaaSサービス(例: サブスクペイ、請求管理ロボ)を中心に、エンジニアリングサポートを提供し、企業の業務プロセスを自動化・効率化します。特に、IT技術を活用して間接業務の自動化やシステム統合によるデータの一元化を図り、企業がコア業務に集中できる環境を提供しています。また、プロジェクトに応じた柔軟な人員配置とコスト削減も特徴です。

 

シャノン

  • 企業名
    シャノン
  • 企業のサイト
    シャノン公式サイト
  • ビジネスの概要
    株式会社シャノンは、マーケティングオートメーションおよびイベント管理に特化したクラウドサービスを提供する企業です。2000年に設立され、2017年に東証グロース市場に上場しました。主力製品には、BtoBマーケティング活動を支援する「シャノンマーケティングプラットフォーム」があり、見込み客の管理や顧客との関係構築、セミナー・イベントの効率的な運営を行える統合型ソリューションを提供しています。また、リアルおよびバーチャルイベントの運営を支援する「シャノンイベントプラットフォーム」も展開しています。
    同社は、サブスクリプションモデルでの収益を基盤としており、特にマーケティング関連の自動化とデータ管理を一元化するソリューションに力を入れています
  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    株式会社シャノンは、2024年に「マーケティング運用代行パッケージ」という新たなBPaaSサービスを発表しました。このサービスは、生成AIを活用して、企業のマーケティング業務全体をサポートすることを目的としています。従来のマーケティング関連のBPOではコストが高額になりがちでしたが、この新サービスではパッケージ化とAIの活用により、コストを大幅に削減し、より多くの企業が手軽に利用できる仕組みを提供しています。
    この「マーケティング運用代行パッケージ」では、リードの獲得からインサイドセールスの実施まで、マーケティングプロセス全体の支援が行われます。特に、中小企業などが抱えるマーケティングリソースの不足を補うことができるのが特徴です。


Anymind

  • 企業名
    Anymind
  • 企業のサイト
    Anymind公式サイト
  • ビジネスの概要
    AnyMind Groupは、2016年にシンガポールと東京を拠点に設立されたテクノロジー企業です。主に2つの事業領域を展開しています。
    1. ブランドコマース(Brand Commerce): この領域では、企業に対してeコマース、マーケティング、物流を含む統合的なソリューションを提供しています。AnyMindは、製品の製造から消費者へのエンゲージメントまで、ビジネスのオンライン展開や越境ECをサポートします。

    2. パートナーグロース(Partner Growth): メディア運営者、モバイルアプリ開発者、インフルエンサーなどを対象に、収益化や成長支援を行っています。AnyMindは、デジタルコンテンツの収益化やタレントマネジメントを支援し、クリエイターやパブリッシャーが企業ブランドと連携して成長できるようにサポートしています。

  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    AnyMind Groupは、BPaaSを活用し、企業の業務プロセス全体を効率化し、特にクロスボーダーコマースに特化したソリューションを提供しています。2024年には、アジア太平洋地域の企業が国際的な市場に展開するための「クロスボーダーコマース向けBPaaSソリューション」を発表しました。このサービスは、AnyMindが持つeコマース、マーケティング、物流、カスタマーサポートの技術プラットフォームを活用し、現地のパートナーやクリエイターと連携して企業のグローバル展開を支援します。
    具体的なBPaaSモデルには、ディストリビューターモデル(デジタルコマース運営やマーケティングの全てをAnyMindが担う)や委託モデル(オンラインストアの管理、輸入、倉庫管理を含む)があり、企業のニーズに応じて柔軟に対応しています。また、AnyMindの主要な製品には、eコマースデータを統合管理する「AnyX」や、物流の「AnyLogi」、カスタマーサービスの「AnyChat」、インフルエンサーマーケティングの「AnyTag」が含まれています。
    これにより、企業は地域の規制や文化的なニーズに合わせたサービスを受けつつ、迅速かつ効率的に国際展開を進めることが可能です。

アディッシュ

  • 企業名
    アディッシュ
  • 企業のサイト
    アディッシュ公式サイト
  • ビジネスの概要
    アディッシュ株式会社は、主にカスタマーサクセスおよびカスタマーリレーションを提供する企業で、企業の成長を支援するために、サポート業務の最適化を行っています。特に、インターネット上のコミュニティやSNSで発生する問題を解決するモニタリングや、いじめ対策などを強化しており、顧客企業とそのユーザーとの健全な関係を築くことを目的としています。
    アディッシュは、「Delight in Every Connection」というミッションのもと、人々がインターネットを安全かつ快適に利用できる環境を作り上げることに注力しています。また、スタートアップ企業向けに、顧客の成功体験を最大化するためのカスタマーサクセス支援を行い、Fintech、MaaS、メタバースといった成長分野でも存在感を発揮しています。
    ビジネスモデルとしては、ストック型サービスを展開しており、安定した収益基盤を確保しながら、アップセルやクロスセルを通じた成長を目指しています。特にスタートアップ企業との連携に注力し、彼らの成長に伴うニーズに対応することを重視しています。
  • BPaaSの具体的な取り組み内容
    アディッシュ株式会社は、2024年に「BPaaS」の提供を開始しました。カスタマーサクセス業務に特化し、企業のカスタマーサクセス業務やプロセス全体の効率化を支援するものです。
    また合わせてSaaS企業向けに、そのSaaSに紐づく業務プロセスのBPOやプロフェッショナルサービスを提供することで、SaaS企業がBPaaSとして提供できるサービスを開始しています。
    https://cs-studio.adish.co.jp/service/bpaas

    具体的には、クラウドサーカスやユニリタ、パートナープロップといった企業と提携し、SaaS企業が自身のサービスをBPaaSとして提供できるよう支援しています。これにより、SaaSの導入企業が直面するリソース不足や導入効果の最大化といった課題を解決し、より多くの企業がSaaSを効果的に活用できるようにしています。

 

以上、2024年におけるBPaaSに取り組む上場企業一覧でした。今後も多くの企業がBPaaSに取り組んでいくと考えられ、更新をしていく予定です。