1年間で50人、カスタマーサクセス人材の採用に成功したノウハウを聞いてみた
アディッシュ株式会社の経営戦略室 カスタマーサクセス総合支援チーム リーダー兼シニア・コンサルタントの綿貫です。
普段は、”カスタマーサクセスに取り組む企業様へのコンサルティング”や、”当社人材が常駐支援するケースでは、常駐する人材への研修・常駐後フォロー”を担当しております。
昨今カスタマーサクセスやカスタマーサポートの需要が伸びている一方で、経験人材や未経験でも適性のある人材を採用できずに苦戦されている企業様をたくさん見てきました。
今回はそんな中、カスタマーサクセス人材やカスタマーサポート人材を、今年だけで50名以上採用してきた当社採用担当の村山に、採用のノウハウやコツ等を聞いてみました。
アディッシュのサービス
当社はスタートアップから大手企業様まで幅広く支援をしております。
昨今世の中の課題を今までにない形で解決しようと、様々なスタートアップや大手企業の新規事業部門が、多様なサービスを開発・提供しています。
そんな中アディッシュでは急成長するスタートアップの成長や、大手新規事業部門の方々の活動をカスタマーサクセスという点から支援をしております。
特に新しいサービスの場合、有効活用に至るまでの”オンボーディング”が特に重要です。さらに、スタートアップは急激に自社も成長しながら、より早く顧客の課題を解決できる様に、対応していかなければなりません。
アディッシュではこうしたスタートアップに伴走し、カスタマーサクセス領域におけるコンサルティングや、常駐、一部業務の代行などを通して総合支援をしています。
具体的には、カスタマーサクセス/カスタマーサポートの体制構築・KPI設計・業務設計・業務フローの整備等のコンサルティングや、代行、当社人材が常駐しての支援を実施しています。
また、自社プロダクトとして「hitobo」というチャットボットサービスもあります。
そのため、お客様先でハイタッチなどのカスタマーサクセスを常駐で支援するカスタマーサクセス、お客様からの問合せを代行して請け負うカスタマーサポート、自社SaaSプロダクトのカスタマーサクセス、という、大きく3種類の採用が走っております。
村山さんについて
-本日はよろしくお願いします!まずは村山さんのこれまでのキャリアを教えてください-
新卒で士業のコンサルティング会社に入社しました。そこでは税理士紹介サービスのオペレーターとして現場での経験を積み、BPO事業の立ち上げを取締役と行い、新しく税理士事務所で使えるパッケージサービスの開発の上、自分で販売するという経験をしていました。その後は、採用・オンボーディング・内定者研修等、採用周り全般を行いました。
中でも、求職者さんに自社のことを見てもらい、たくさん応募いただける仕組み作りが楽しかったこともあり、採用広報やマーケティングに専念したくて、アディッシュに入社しました。
-なるほど、幅広く経験されてきたんですね。ちなみにその中でご自身のキャリアとして”採用広報”を選択した理由はありますか?-
多くの求職者さんと関わる中で、自分に合う会社に出逢えるのは極少数で、とても運命的なことなんだと感じたことがきっかけです。
当社に応募いただく方も、この方は当社以外の方がより輝けると感じることもあります。これは、企業側が自社の魅力を正しく伝えられていない、さらに必要としている方へ届けられていないことが原因だと感じています。
そのため、そこの課題解決をしたいという想いと、その運命的な確率の中でつながったご縁を大切にできる職種が良いと考えたからです。
アディッシュの採用
-アディッシュの採用として実施していることを教えてください-
お客様先でハイタッチなどのカスタマーサクセスを常駐で支援するカスタマーサクセス、お客様(=当社内ではパートナーとお呼びしています。)からの問合せを代行して請け負うカスタマーサポート、自社SaaSプロダクトのカスタマーサクセス、という、大きく3種類の採用が走っております。
役割は、採用広報やブランディングと、実際の採用に関わる施策の実施です。採用広報では、noteやWantedly記事の企画や作成をしており、月に4~5本は作成しています。実際の採用は、事業部からのオーダーを受けて、それに沿った採用をすることになります。そのため、採用を希望する事業部メンバーとのやり取りや、求人票の作成、人材紹介会社への照会、面接対応、候補者とのやり取り等を行います。
-面接も実施しているんですね?-
はい。該当ポジションの仕事ができるか否かは、事業部で判断します。しかし特に未経験者の採用の場合はポテンシャルを見極める、さらに自社とのカルチャーフィットを判断する必要があること考えて、人事も1次面接等で入ります。
カスタマーサクセスは、経験人材が市場にあまりいないため、こちらの手法を採っています。
他社と異なる点は、クライアントのカスタマーサクセス/カスタマーサポートの人員として、代行業務を行うメンバーの採用です。クライアントのカラーを出しつつも、アディッシュに入社いただくため、そこの調整をしながら採用活動を行います。特に外資企業は、”カラー”や”カルチャーフィット”を非常に重視する傾向にあります。
採用のノウハウやコツ
-今年は年間50人以上CSメンバーを採用していると伺ったのですが、一番ハードだった経験を教えてください-
45日という短期間で15人の採用をしなくてはいけないことがありました。これは外資決裁システム会社様のCS活動をパートナーとしてサポートするメンバーの採用です。(一般的には代行と呼ばれていますが、当社はパートナーとして一緒に事業を推進していると考えているので、意図的に「代行」という言葉は使わず、「パートナー」という言葉を利用しています。)
最低条件は、TOEIC800点以上、外国籍の方は日本語検定のN1取得が絶対条件というものでした。ただ、CSの経験は問わないということでしたので、”CSとして活躍してくれそうな方”を対象にしていました。
-CSの採用が難しいため、常駐支援して欲しいという相談も多数いただいている中、また、当社以外のベンダーが達成できなかったという中、驚きの数字ですが、どんな形で採用していたのですか?-
まずはどんな方を採用したいのかを、はっきり決めることと市場の動向の見極めをします。例えば「カスタマーサクセス」という、人によって解釈が分かれ、かつ市場に経験者が多くない職種の場合は、「未経験OK」としています。というのも、”経験”の範囲が人によって大きく異なるためです。この後お話しますが、経験による足きりよりも、面接の方が大事だと考えています。
具体的な施策としては、人材紹介会社(10社以上)、Wantedly、ダイレクトリクルーティング、採用の1次面接設定まで実施してくれる業者(RPO)の、主に4つの経路を活用していました。
やはり、まだ市場に”カスタマーサクセス”という職をピンポイントで探している方は少なく、さらに近しい経験を積まれていても、横文字の職種に苦手意識を持っている方もいます。そのため、潜在層に、言葉で直接職種の説明を話していただける人材紹介企業様を活用した施策を中心に展開しました。
工夫した点は、人材紹介会社の方に対して、事業部から直接、業務の内容ややりがい等を話してもらう「エージェント向け説明会」を実施したことです。
これが、今までの求人票の共有だけを行っていた時と比較して、成果が大きく出た要因だったと考えています。顔が見えることで「この人の役に立ちたい」と思ってもらえました。さらに、求人票の記載内容の中で、優先度や必要性の度合を伝えることもできました。
また、「やりがい」等の具体的なエピソードは求人票に記載できないため、直接事業部からエージェントの方へ説明をする機会を設けることで、イメージがきちんと伝わり、とても良かったです。
-コミュニケーションの取り方等はどうされていました?-
コミュニケーションに関してはSlackを使ったリアルタイムでの情報共有も大切にしていました。私が人材紹介会社との連携や、ダイレクトリクルーティング等の、母集団形成を行い、現場に関わるメンバーが1次面接を担当、プロジェクトの責任者であるプロジェクトマネージャー(=以降PM)が最終ジャッジという流れで選考をしていました。
今回は特に短期ということで、面接の所感は、日次や週次でのMTGではなく、Slackでリアルタイムで行う様にしていました。
そのためPMの考えやFBをリアルタイムに、案内の変更や人材紹介会社への共有に反映させられる等、スピーディーに軌道修正を行うことができました。
ちなみに基本的には、この母集団形成から面接までは、分業をしている会社が多いと思いますが、私も分業が良いと思っています。
一緒に働くのは現場だから、現場が最終ジャッジをすべきですが、事業部側が欲しいペルソナに合致しなくても、「こういう人も合うんじゃないか」を出せるのは採用担当者の醍醐味だと思っています。未経験人材の採用では、意外とここが肝になります。
-ありがとうございます!通常の採用の場合で、母集団形成の際に、他に実施されていることはありますか?-
KPI管理と、求人票等の記載内容やペルソナの見直しは常に実施しています。現在KPI管理はこんな形で実施しています。
最終的な目標だけでなく、”逆算して、その日時点において達成すべき数値からの乖離”、うまくいっている施策、問題点、改善試行が、一覧で見える様にしています。(※数字は見やすい様に、一部仮のものを入力しています。)
この管理シートを見ながら、求人票を1週間単位で見直しています。あるプロジェクトは8月から4か月で、7回変えています。
例えばエントリー数が少ない場合、「未経験OK」にする、「記載の条件を緩める」等をしています。緩めるとは例えば「顧客への提案経験がある方歓迎」から、「社外の方との、電話やメール等でのやり取り経験がある方歓迎」へ等です。
繰り返しになりますが、特にカスタマーサクセスの場合は、市場に豊富な経験を持つ方が少ないということがあり、全ての職種で当てはまる内容ではありません。
ただ、少しずつ経験者の方も増えているので、未経験者向け・経験者向けの双方の求人票を作成しています。そうすることで応募数や面接通過率を見て、世の中の動きを敏感に感じ取れる様にしています。
-なるほど、カスタマーサクセス人材はまだまだ市場には多くないんですね。そうすると仰る通り未経験者を採用することになると思いますが、
”CS”として活躍する方を見極める面接のコツを教えてください。-
まずは前提として、このスキルがあるから、入社後活躍するということは無いですね。どちらかというと嗜好や、その人の特性を見ます。
例えばBtoBにおけるカスタマーサクセスの採用においては、具体的には「クライアントワークが好き」か、「素直」か、「やり切る力があるか」が特に必要だと思うので、これをいくつかの質問を通して、見極める様にしています。
まだ市場における職種の価値が定まっていないため、自らその価値を作っていく気概が求められます。さらに加えてクライアントワークで、不条理なことを経験することもあるため、純粋に「好き」と感じられるマインドが必要です。また、自分の経験を一般化したものを、顧客毎に応用していくためには、素直に自分の足りないことを認めて、周囲の協力を取り付けながら業務を行う必要があります。
また、何より顧客の成功まで、困難があっても、めげずにやり切る力が求められます。
-これらはストレートに聞いても、本音を汲み取るのは難しそうですね-
そうですね。そこは工夫をしています。
クライアントワークが好きかについては、過去の経験・仕事のやりがいを語っていただいた後に、今後のキャリアの展望を話してもらい判断しています。CSをやりたいと言っていても本当にそう思っていない時は、どこかで矛盾が出てくることが多いです。
素直さは、まず周りの人(上司・同僚・友達)にどう思われているかを聞きます。さらに聞いた後に、自身はその評価をどう思うかを確認します。ここで周囲の評価を自分の中に落とし込めているのか、至らない所がある場合、改善行動を取っているのかを見ます。
やり切る力に関しては、大小問わず、「自分で何かを課題と感じたこと」があるか、さらに課題に感じたことを解決するまでやり遂げたことがあるかを重視しています。
-ありがとうございます!最後に今後の村山さんのキャリアや、採用チームの今後の展望について教えてください-
妥協せずに、目標期限までに人を採用するということに、引き続きコミットしていきたいです。
また今後は労働市場の変化や、CS人材の変動、企業のCSフェーズの変化等から、採用担当だけでは、うまく採用できなくなると思います。そのため、全社員が採用に関心を持てる様な仕掛けを作っていきたいです。
-ありがとうございます!-
いかがでしたでしょうか?少しでも皆様のお役に立てていましたら幸いです。
ちなみに、他社に常駐しているメンバーを間近で見る立場としては、法人相手(BtoB)のサービスであれば、BtoBの営業経験やビジネス理解力が発揮される等、即戦力に近いスキルは存在すると考えています。
これを記載するととても長くなってしまうので、こちらは別の機会にご紹介できればと思います。(気になる方はお問い合わせください笑)