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SaaSでのアップセルはLTVを高める?成功のポイントや事例を解説

「SaaS事業でのアップセルはLTVを高めるのか」

このようなお悩みをお持ちではありませんか?本記事では、SaaS事業におけるアップセル戦略について解説します。この記事を読めば、成功のポイントや注意点、成功した企業の事例もわかるようになります。LTV(顧客生涯価値)を最大化させたい方は顧客にアップセルを提案してみましょう。

 

LTVの向上にはアップセルが効果的

結論からいうと、SaaS事業で適切な形でのアップセルを実現できれば、LTVを高められます。この章では、成功のポイントに触れる前に、アップセルの定義を明らかにしたうえで混同されやすいクロスセルとの違いを紹介します。

 

アップセルとは?

アップセルとは、顧客が以前購入した商品・サービスよりも、機能性や価格帯の高い上位モデルを提案する手法です。例えば、10万円のスマートフォンユーザーに、カメラ機能やメモリー容量の優れた15万円のスマートフォンを購入してもらうなどです。

また、サブスク型のサービスでは、無料プランから有料プランへ乗り換えてもらうことがアップセルにあたります。

 

アップセル・クロスセルの違い

アップセルとクロスセルの違いは「顧客単価の上げ方」です。

PCを購入しようとしている顧客に、マウスパッドやオーディオも一緒に購入してもらうように、クロスセルとは「顧客が購入しようとしている商品と関連性の高い商品をセット販売する営業手法」を指します。

どちらも顧客単価を上げることを目的としている点で共通していますが、アプローチの仕方が異なります。役割が似ていて混同されやすいので区別しておきましょう。



SaaS事業におけるアップセル戦略の重要性

SaaS事業においてアップセルが重要だと言えるのは、成功すれば次の3つのメリットも実感できるからです。

 

顧客単価を上げられる

アップセルの成功は、顧客単価の最大化につながります。顧客ひとりひとりの支払い金額が向上することで、新規顧客に依存せずとも事業の売上を確保できます。

一般的に、新規顧客の開拓には多くのコストがかかりますが、すでに自社の商品・サービスを理解している既存顧客へのアプローチは、低コストで実行できます。

アップセルは、新規顧客の開拓よりも効率的に売上を確保できるため、多くの企業で取り入れられています。



既存顧客から安定した収益を確保できる

従来は新規顧客を獲得する「数の収益モデル」でした。しかし、近年は市場における競争激化の影響で、既存顧客との関係性の中で売り上げを上げる収益構造が主流になりました。

SaaS事業を始めとするサブスクリプション型ビジネスをしていて、安定した収益を確保したい方はアップセルの実現に向けて行動を起こしましょう。

 

マーケティングの効率化

SaaS事業においてアップセルを実現することで、マーケティングを効率化させられます。これまで企業の営業部門が行ってきた新規顧客の開拓は、宣伝広告に多くのコストがかかります。しかし、アップセルのような既存顧客向けの施策であれば、新規顧客の開拓よりも少ないコストで実行できます。今まで以上の時間や費用をかけることなく、自社の商品やサービスを販売促進していきたい方は、顧客にアップセルを提案してみましょう。

 

SaaS事業でアップセルを成功に導く3つのポイント

SaaS事業でアップセルを成功に導くには、次の3つのポイントを実践する必要があります。

 

ロイヤルティの高い顧客に訴求する

ロイヤルティの高い顧客とは、自社に信頼を寄せていて、愛着を持っている顧客のことです。こうした特徴を持つ顧客は、もともと自社のファンなため企業からの提案にも応えてくれやすいです。

一方、ロイヤルティの低い顧客は、アップセルを提案したとしても応じてくれない可能性が高いでしょう。そのため、SaaS事業でアップセルを提案する際には、ロイヤルティの高い顧客にターゲットを絞ってアプローチするようにしましょう。

 

サービス特性に合う価格設定モデルを適用する

SaaS事業でアップセルを提案する際、価格設定は自社で展開する商品やサービスの特性に合ったものを選ぶことで、戦略が成功に繋がりやすいです。代表的な価格設定モデルは次の4つです。

 

定額

定額とは利用量に関係なく、常に一定の料金が課金されるモデルのことです。料金体系がシンプルでわかりやすい一方で、まったく利用しなかった場合にも料金が発生する仕組みになっているせいで顧客のロイヤルティを高めづらい点は難点と言えます。

 

従量制

従量制とは、使用量に応じて課金するモデルのことです。料金は使った分しかかからないのでサービスをあまり使わない顧客にとっては良いですが、売り手にとってはどれだけ収益を上げられるか予測を立てるのが難しいという懸念点があります。

 

機能ベース

機能ベースとは、複数の料金プランの中から自分に合った料金体系を選べるモデルです。自由度が高い半面、どの料金にするか迷ってしまいます。

 

フリーミアム

フリーミアムとは、一部の基本的な機能を無料で使えるようにしたモデルです。

有料プランへの移行を誘導するのが難しいです。

 

カスタマーサクセスを実施する

アップセルを成功させるには、顧客からの信頼や愛着を持ってもらう必要があります。

顧客の満足度を向上させるのに役立つカスタマーサクセスを実施すれば、顧客は企業からのアップセルの提案に応じるようになります。

 

アップセル・クロスセルを提案する際の注意点

アップセル・クロスセルを提案する際には、徹底した顧客視点が求められます。

なぜなら、売り手の都合になってしまうと、愛着を持ってもらうどころか顧客からの信頼を失うことになるからです。最終的には、顧客が離れていきます。

アップセル・クロスセルを提案する時は、顧客に「押し売りされた」と思われないように、顧客のニーズに合った提案を心掛けましょう。そのためには、常に顧客を第一に考える必要があります。

 

アップセル戦略に成功したSaaS企業の事例

アップセル戦略に成功したSaaS企業の事例を紹介します。

 

Dropbox

オンラインストレージのサービスを提供しているDropboxには、無料プランと有料プランがあります。無料プランはフリーミアムモデルを採用しているため2GBまで使えるようになっています。容量が足りなくなると、有料プランへの移行を勧めるメッセージが画面に表示されますが、グレードアップを強制されている感じがまったくありません。また、他のユーザーに紹介して登録してもらえれば容量を増やせるキャンペーンも実施しています。この取り組みをしたことで、認知度を拡大させることに成功しました。

 

Zoom

コロナ禍になってから急速に認知度が上がったZoomは「基本」「プロ」「ビジネス」「エンタープライズ」の4つのプランを展開しています。無料版もミーティング機能を使えますが、40分間という時間制限が設けられているため注意が必要です。しかし、有料版にグレードアップすれば、実質無制限(30時間/1回)でミーティングできるうえに、他のビジネスツールとの連携もできる仕様になっています。

 

Slack

ビジネスチャットツールSlackにも無料プランと有料プランがあります。フリープランでもメッセージのやり取りやビデオ通話ができますが、メッセージの履歴が見られるのは1万件までという制限がされているので注意が必要です。メッセージのアーカイブを無制限でチェックしたい方には有料プランをおすすめします。

 

Spotify

音楽のストリーミング配信サービスSpotifyには、無料と有料2つの会員があります。有料会員は無制限にスキップできますが、無料会員は1時間に6曲までしかスキップできません。そのため、無料会員が6曲スキップするとアップグレードを勧めるメッセージが表示されます。

 

まとめ:LTVを最大化させたい方はアップセルを実現しましょう

今回はSaaS事業におけるアップセルについて解説しました。SaaS事業においてアップセルが実現すればLTVを最大化させられます。アップセルとは「顧客が以前購入した商品・サービスよりも、機能性や価格帯の高い上位モデルを提案する手法のこと」です。

アップセルをSaaS事業で成功に導きたい方は、自社に信頼や愛着を持っていて、企業からの提案に応えてくれる顧客へ積極的に訴求するようにしましょう。また、サービスの特性に合った価格設定モデルやカスタマ―サクセスの実施は顧客の満足度を向上させるため、アップセル戦略が成功しやすいです。今回取り上げた事例のように、アップセル戦略に成功したSaaS企業はどれも「徹底した顧客視点」を心掛けています。LTVを最大化させたい方は、顧客にアップセルを提案してみてはいかがでしょうか。その際、本記事で紹介した成功のポイントを役立ててみてください。


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