セールスプロモーションとは?目的別のプロモーション技法やポイントを解説
武田龍哉
2024.11.28
「消費者の購買心理を刺激するには、どのようなプロモーションがよいのだろうか…」「セールスプロモーション技法が知りたい…」とお悩みを抱えていませんか?
そのような方向けに、今回はセールスプロモーションについて解説します。
この記事を読めば「誰に」「どこで」「どのような手法でプロモーションを行うべきか」が理解できるようになります。そのため、セールスプロモーションの基本知識の習得にお役立てください。
セールスプロモーションとは
セールスプロモーション(Sales Promotion)は、売り上げを伸ばすために、消費者の購買心理を刺激して商品を購入してもらうための取り組みです。
セールスプロモーションには、広義と狭義の意味があります。広義の意味は、会社や商品の認知拡大を狙うことです。一方で、狭義の意味はプロモーション活動を指します。
また、セールスプロモーション事業を展開する会社をセールスプロモーション会社といいます。
セールスプロモーションと広告の違い
セールスプロモーションと広告の違いは「意味」です。
セールスプロモーションは、消費者の購買心理を刺激して商品を購入してもらうための取り組みをいいます。つまり、消費者の購買行動を理解してプロモーション戦略を練ることが大切です。一方で、広告は認知拡大や購買促進の手段です。
つまり、セールスプロモーション内に広告が含まれています 。
セールスプロモーションとマーケティングの違い
セールスプロモーションとマーケティングの違いは「目的」です。
マーケティングは中長期的に、顧客と関係を築きながら売上を伸ばしていくための取り組みをいいます。一方でセールスプロモーションは、定められた期間で売上を伸ばしていくための取り組みです。このように目的が異なります。
セールスプロモーションの対象
セールスプロモーションは「顧客」「流通業者」「従業員」を対象に取り組みます。
顧客
購買心理を刺激して商品を購入してもらうために、顧客に向けてセールスプロモーションを行います。
[セールスプロモーション]
- 商品のおいしさを体験してもらうために、試食・試飲会を実施する
- インフルエンサーに新商品を体験してもらい、口コミを広めてもらう
- 商品やサービスにストーリーを盛り込み、心に響くプロモーションを行う
- 自社の商品の強みを明確に伝える
流通業者
自社商品を多く販売してもらうために、流通業者に向けてセールスプロモーションを行います。
[セールスプロモーション]
- 販売目標を達成した業者に報奨金を渡す
- 親睦を深めるイベントを開催して貢献者を表彰する
- 販売数に対して仕入れ割引を適用する
- 新製品の説明会や、製品の使用方法に関するセミナーを開催する
従業員
自社商品を効率的に販売するために、従業員に向けてセールスプロモーションを行います。
[セールスプロモーション]
- 月間、四半期、年間などの目標達成に対してインセンティブを支給する
- 優秀な成績を収めた従業員を表彰する
- 顧客対応のロールプレイングを行う
- チームワークを強化するためのイベントを実施する
- セールスマニュアルを作成する
セールスプロモーションの種類
セールスプロモーションは4種類に大きく分類できます。
イベントプロモーション
イベントプロモーションとは、認知拡大や販売促進を目的として展示会やセミナー、イベントを開催することをいいます。
イベントプロモーションのメリットは、顧客と直接話せることです。イベント参加者はテーマに興味・関心があるため、イベントに参加しています。そのため、イベントを開催して試供品を提供したり相談会を実施したりすれば購買促進が行えます。
しかし、イベントを開催するためには十分な準備が必要です。
インストアプロモーション
インストアプロモーションとは、購買促進を目的として店舗内でプロモーションを行うことをいいます。
商品陳列を工夫したりデモンストレーション販売を行ったりすることで、衝動買いを促せます。店舗でお客様に直接アプローチできるため効果が現れやすいです。
また、低コストで取り組めます。しかし、インストアプロモーションは、どの施策が効果的であったかを正確に把握するのは難しいです。
キャンペーンプロモーション
キャンペーンプロモーションとは、特定期間中の販売を目的として期間限定プロモーションを行うことをいいます。新商品発売、季節イベント、記念日などのタイミングでキャンペーンを実施することで、売り上げを伸ばせます。
しかし、短期的な効果しか見込むことができません。そのため、長期的な効果が見込める施策と同時に取り組むことをおすすめします。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは、販売促進を目的に1人1人の顧客に対してアプローチすることをいいます。見込み度の高い顧客にアプローチすれば、プロモーション費用の無駄遣いを防ぐことができます。
また、顧客1人1人のニーズに合わせた情報提供するため、喜ばれて、良好な関係を築きやすいです。
しかし、顧客情報を収集し管理しなければなりません。頻繁にアプローチすると、顧客から反発される恐れがあるため、反応を見ながらアプローチしましょう。
[目的別]セールスプロモーションの技法
セールスプロモーションは、認知拡大や購買促進など目的により技法が変わります。
認知拡大
認知拡大とは、多くの人に自社商品を知ってもらうことです。認知拡大には、次のような技法が効果的です。
サンプリング
サンプリングとは、試供品を配布して商品を試してもらうことをいいます。
例えば、試食や試飲を開催したり、化粧品の場合は通常より小さなサイズを配布ししたりして試してもらう活動などです。
試供品を使用してもらえば、どれだけ魅力的な商品なのかを理解してもらえて、認知拡大や購買促進に繋げられます。
チラシ
チラシとは、印刷物で商品情報を伝えることをいいます。チラシを作成して、街頭配布したり新聞折込に入れたりすることで認知拡大を図れます。
しかし、チラシは他の印刷物に埋もれてしまいやすい、捨てられてしまいやすいです。そのため、ターゲットが興味を持つような内容を記載したり割引クーポンを付けたりなど工夫が必要になります。
POP
POPとは商品の特徴をわかりやすく伝えるためのツールです。
商品名、価格、特徴を伝えることで、どのような商品か理解されます。新商品など、消費者に注目して欲しい商品にPOPを付ければ、認知拡大を狙うことが可能です。
情報量が多すぎると、かえって見づらくなってしまうため、シンプルでわかりやすいPOPを作りましょう。
購買促進
購買促進とは消費者の購買意欲を引き出して商品を購入してもらうことです。購買促進には、次のような技法が効果的です。
デモンストレーション
デモンストレーションとは、商品の使い方を見てもらうことをいいます。
例えば、洋服やアクセサリーを試着してもらったり、メイクアップ講座を開催したりするケースが多いです。デモンストレーションは商品の特徴やメリットをわかりやすく伝えられます。
しかし、デモンストレーションを行うために場所&時間の確保が必要です。
クーポン
クーポンとは、特定期間内に商品を購入する際に使用できる割引券です。
商品購入時に定価からクーポン分の金額を割引きます。クーポンは「お得に商品を購入できる」と、消費者の購買意欲を刺激しやすく、新規顧客が獲得しやすいです。短期間で売り上げを伸ばすことができます。
しかし、割引分だけ利益率が低下します。また、消費者が「お得な期間に商品を購入しよう」と考える可能性が出てきます。
値引き
値引きとは、商品価格を一時的に下げることをいいます。
一定時間内に商品価格の値引きをするタイムセールや在庫処分のために商品価格の値引きをするクリアランスセールがあります。値引きは在庫処分などに効果的です。
しかし、ブランドイメージを低下する恐れがあるため、それを理解した上で行うようにしましょう。
リピーター顧客の獲得
リピーター顧客とは、商品を継続的に購入してくれる顧客を指します。リピーター顧客の獲得には、次のような技法が効果的です。
ポイントプログラム
ポイントプログラムは、購入金額に応じてポイントを付与して、プレゼントと交換できるプログラムです。
ポイントを貯めるために、顧客は頻繁に商品を購入するようになります。顧客にプレゼントが欲しいと感じてもらえるポイントプログラムの設計が必要です。
パーソナライズコミュニケーション
パーソナライズコミュニケーションとは、顧客1人1人にアプローチすることをいいます。
例えば、顧客の誕生日にお祝いメッセージとプレゼントを贈ったり、商品購入履歴などからおすすめ商品を案内したりすることでリピート購入を促します。
限定商品・限定サービス
限定商品・限定サービスとは会員だけが購入できる商品・サービスです。限定商品・サービスを購入するために会員になってもらえます。
会員を増やすためには、会員限定イベントを開催したり、新商品の先行販売をしたりしましょう。
セールスプロモーションを成功させるコツ
セールスプロモーションを成功させるコツは4つあります。
目的を明確にする
セールスプロモーションを実施する際に、目的を明確にすることが大切です。なぜなら、セールスプロモーションの目的(認知拡大・購買促進・リピート購入)により、どのような方法が効果的であるか変わるためです。
目的が明確になれば「どのような手法を採用するか」「どのように効果測定するか」を考えられるようになります。そのため、セールスプロモーションの目的を定めましょう。
ターゲットを明確にする
セールスプロモーションで最大の成果を出すためには、ターゲットを明確にすることが大切です。なぜなら、性別や年齢などで興味・関心は異なり訴求方法が異なるためです。
消費者のニーズは多様化してきており、不特定多数にアプローチしても刺さらなくなりました。そのため、自社が理想とする顧客(ペルソナ)の像を描いて、ターゲットを明確に定めた上でアプローチ方法を考えるようにしましょう。
興味・関心を惹く工夫をする
セールスプロモーションで成果を出すためには、消費者の興味・関心を惹く工夫が大切です。
例えば、チラシで商品を特徴を伝えるだけでなく、開発者の想いなどストーリーテリーングなど感情訴求を取り入れることで共感を深め、購買意欲を高められることがあります。
他社のプロモーションに埋もれると成果が出ません。そのため、どのような工夫をすれば、興味・関心を惹けるかを考えましょう。
効果を測定する
セールスプロモーションで成果を出すためには、PDCAサイクルを回して施策の改善をすることが大切です。そのため、プロモーションを実施した後に効果を必ず測定しましょう。
Web・SNS広告運用のデータや店舗のPOSデータを見て分析することが大切です。
セールスプロモーションの成功事例
大手スーパーマーケットは、会員限定のイベントを開催しています。会員限定のイベントでは、プライベート商品の試食ができたり、バックヤードやベーカリーの見学ができたりします。
また、消費者の立場で「このような商品を販売して欲しい」「このように店舗を改善して欲しい」という意見を伝えることも可能です。イベント参加者限定のお土産も用意されていることから注目を浴びているイベントです。
同社はイベントでファンを獲得することに成功しており、店舗や商品改善をして、新規顧客の獲得にも成功しています。
まとめ
セールスプロモーションは、売り上げを伸ばすために、消費者の購買心理を刺激して商品を購入してもらうための取り組みです。
「誰に」「どこで」「どのような手法でプロモーションするか」が重要です。この記事では、セールスプロモーションの取り組み方をご紹介しました。そのため、これを機会に自社でセールスプロモーションに取り組んでみてください。
この記事を書いたライター
武田龍哉
Web制作会社、広告代理店を経験後、アディッシュに入社。 マーケティング担当としてリード獲得やナーチャリングの施策立案、実行を担当した後、インサイドセールスチームへ参画。 インサイドセールスチームでは、主にカスタマーサクセスの関連商材を担当し、商談機会創出とチーム体制構築に携わる。