リテンション営業とは?効果的な3つの手法と注意点を解説
山田理絵
2024.10.15
リテンション営業では、顧客のニーズを深く分析する必要があります。顧客のニーズがわかると、顧客に合わせたアプローチが可能です。
本記事では、リテンション営業の重要性やメリット、成功させるポイントについて解説します。リテンション営業について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
営業におけるリテンションとは
リテンション(retention)は日本語で「保有・維持」と訳され、営業においては、既存顧客との良好な関係を維持するための活動全般を指します。リテンションの考え方はカスタマーサクセスと同様です。顧客へ能動的にアプローチし、関係の構築や商品・サービスの継続利用、LTVの向上を実現することが目的です。
既存顧客との関係維持は新規顧客の獲得よりも費用対効果が高いため、近年、多くの企業がリテンション営業に着手しています。
リテンション営業の重要性とは
近年、リテンション営業の重要度が高まっている理由は、以下があげられます。
- 市場の成熟化に伴い新規顧客獲得の難易度が高まっている
- 既存顧客との関係維持は費用対効果が高い
市場では、さまざまな商品・サービスが提供されており、多くの企業が顧客獲得に奮闘しています。また、日本国内では人口減少が進んでいるため、今後さらに新規顧客の獲得が難航すると懸念されています。こうした背景から、既存顧客との良好な関係構築目的としたリテンション営業が注目されています。
既存顧客は、すでに自社の商品・サービスを認知・購入した経験があるため、新規顧客を獲得するよりも低コストで再購入へ繋げやすいのが特徴です。さらにロイヤルティの高い既存顧客は、上位プランを提案するアップセルや、関連商品を提供するクロスセルが成功しやすいため、事業の収益安定化にも貢献します。以上の理由から、リテンション営業が重要視されています。
リテンション営業のメリット3選
リテンション営業のメリットは、下記の3つです。
- 新規開拓より利益率が高い
- LTVの最大化を実現できる
- 休眠顧客を掘り起こせる
新規開拓より利益率が高い
リテンション営業は、新規開拓よりも利益率が高い傾向があります。既存顧客との関係を深めることで、顧客ロイヤルティを高め、販売コストを低減できます。
LTVの最大化を実現できる
リテンション営業では、顧客のLTV(Life Time Value)を最大化できます。既存顧客との関係を深め、貢献度を高めることで、顧客との関係性を良好に保ちつつ長期的に維持できます。
関係性が構築された顧客は、アップセルやクロスセルなどの提案が通りやすくなるため、LTVの向上につながります。そのほか、購入回数が多い顧客に対し、先行して新商品を案内したり、限定商品を提案したりすることも効果的です。LTVの向上は、商品・サービスの安定した収益確保につながるため、事業を拡大する上で非常に重要な取り組みです。
休眠顧客を掘り起こせる
リテンション営業では、休眠顧客を掘り起こすこともできます。休眠顧客との関係を再構築することで、もう一度商品を購入してもらえます。
例えば、休眠顧客に対して、特別なプロモーションやサービスを提供することで、商品・サービスの再購入につながります。休眠顧客との関係を再構築して、収益につなげましょう。
リテンション営業の3つの手法
ここでは、リテンション営業における、3つの手法を紹介します。
- メールマガジンを配信する
- カスタマーサクセスを充実させる
- リテンション広告を活用する
リテンション営業では、既存顧客一人ひとりに対して能動的にアプローチすることが重要です。顧客が感じる価値を意識し、良好な関係性の構築を目指しましょう。
メールマガジンを配信する
リテンション営業では、メールマガジンを活用しましょう。一般的なメールマガジンでは、既存顧客に対して割引情報や新商品の告知を発信します。しかし、再購入を焦り、商品・サービスを押し売りするようなメールマガジンでは、顧客からの反応は得られません。
メールマガジンを効果的に活用するには、顧客の目線に立ち、セール情報のみならず顧客にとって有益な情報を入れることが大切です。例えば、事業や生活に役立つ情報等を入れましょう。
ターゲットが求める情報を明確にし、開きたくなるようなタイトル・構成を意識すると良いでしょう。また、メールマガジンは、配信先を絞り込むことができるため、手間を抑えつつもピンポイントでアプローチできます。
メールマガジン内のURLからどれほどの流入が生まれたのか、などの効果検証もしやすいため、リテンション営業の基本施策として多くの企業が取り組んでいます。
カスタマーサクセスを充実させる
リテンション営業では、カスタマーサクセスを充実させることも大切です。カスタマーサクセスは、顧客が抱えている問題を解決し、成功に導くサポートのことです。リテンション営業の目的は、既存顧客との関係維持・構築であり、その達成には、顧客が抱える問題を解消し成功へ導くカスタマーサクセスの実現が不可欠です。
顧客に対して能動的にアプローチし、関係維持や顧客のデータ分析を行います。積極的にサポートを行い、カスタマーサクセスを実現できれば、既存顧客と良好な関係性が構築でき、LTVや利益の向上を実現できます。
リテンション広告を活用する
リテンション広告は、休眠顧客に効果的な手法です。休眠顧客に対してもう一度利用してもらうことを目的にしています。
例えば、サイトの側部や下部に表示される広告や動画に流れる広告などが挙げられます。広告を見せることで、メルマガを受け取っていない顧客にも認知させることが可能です。
リテンション営業を成功させる4つのポイント
リテンション営業を成功させるポイントは下記の4つです。
- 成果指標を定める
- 顧客データを分析する
- セグメントに分けて訴求する
- CRM支援ツールを活用する
成果指標を決める
リテンション営業では、あらかじめ成果指標を決めておくことが重要です。成果指標を決めることで、目標が明確になり、達成するための最短ルートを可視化できるためです。
例えば、会社のリテンション率を5%アップさせるという、具体的な成果指標を決めましょう。打ち手としては、新しい商品の開発や、顧客とのコミュニケーションの見直しなども考えられます。明確な成果指標を持ち、その達成に向けた戦略を策定することで、目標達成の成功率が高まります。
顧客データを分析する
リテンション営業を成功させるためには、顧客データを分析することが重要です。
顧客データから、顧客の嗜好やニーズ、購入傾向などを把握することで、ターゲットに合ったサービスや商品を提供することができます。
例えば、顧客データから、年齢層や性別、購入履歴などを分析し、メインターゲットが20代女性であることがわかれば、好みに合わせた新商品の開発が効果的です。顧客データの分析を通じて、ターゲットに合ったサービスや商品を提供しましょう。
セグメントに分けて訴求する
リテンション営業では、顧客をセグメントに分けて訴求するのが効果的です。顧客ごとにニーズや嗜好が異なるため、万人受けを狙った広いアプローチでは再購入に結びつきづらいでしょう。
セグメントに分けて訴求することで、ターゲットに合ったサービスや商品を提供できます。例えば、顧客を年齢層や性別、購入履歴などでセグメントすることで、20代女性には新しいファッションアイテムを、30代男性にはスポーツグッズを販売するなど、ターゲットに合った訴求が可能です。顧客セグメントに応じた訴求を行いましょう。
CRM支援ツールを導入する
CRM支援ツールを導入するのも1つの方法です。CRM支援ツールを使用することで、顧客データを収集・分析し、顧客に対するターゲットメッセージを効率的に配信することができます。CRM支援ツールでは下記の情報を扱えます。
- 顧客の購入履歴
- 検索履歴
- 販売のタイミング
上記の情報を追跡し、顧客に適したタイミングで、特別割引や新しい商品のアップデートなどの配信が可能です。顧客データを効率的に収集・分析するために、CRM支援ツールが重要です。
リテンション営業の2つの注意点
リテンション営業のメリットや成功のポイントを解説しましたが、注意点もしっかり理解しておく必要があります。ここでは、リテンション営業の注意点を2つ紹介します。
- 目的をはっきり決める
- 顧客が求めている施策を行う
目的をはっきり決める
目的をはっきり決めることで、リテンション営業の成功率が格段に向上します。目的を明確にすることで、達成するための道筋を立てることができ、効率的に実行できるためです。明確な目的を持ち、戦略を策定することが重要です。
顧客が求めている施策を行う
リテンション営業を行う際は、顧客が求めている施策を行うことが重要です。顧客が求めている施策を行うことで、満足度を高め、関係性を深めることができます。例えば、顧客アンケートを行って、顧客が望んでいる新しい商品やサービスを開発し、提供することで、顧客の満足度を高められます。顧客のニーズに応じた施策を実施しましょう。
リテンション営業を成功させて顧客と良好な関係を維持しよう!
リテンション営業の重要性やメリット、成功させるポイントについて解説しました。リテンション営業では、既存顧客を開拓することが大切です。顧客のニーズを理解することも重要で、顧客の情報を分析しなければなりません。
情報を分析できる人材や時間が足りない場合は、CRMツールを導入するのも1つの方法です。リテンション営業を成功させて、顧客と良好な関係を作りましょう。
この記事を書いたライター
山田理絵
不動産営業を経験後、アディッシュにて、カスタマーサクセス関連商材のインサイドセールスを担当し、初期接点から課題の顕在化をし機会創出を行う。 趣味はポールダンスと料理。