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トライアルからの離脱を防げ!CSが仕掛ける“有償化”の戦略

皆様はSaaSツールの無償トライアルを利用したことはありますか? 

SaaS市場においてトライアルは、ユーザーに製品を体験させ、導入を促進する重要な手段です。例えば、Fullstar(クラウドサーカス株式会社)は「プロダクトツアー」を通じて初期導入のハードルを下げ、利用継続率の向上を図っています。PAYPRO GLobal社によると、無償トライアルは、ユーザーとの信頼構築や導入障壁の低減、機能価値の訴求だけではなく、質の高いリードの獲得やマーケティング精度の向上、さらにはユーザーフィードバックを通じた製品改善にもつながると述べています(参考:PayPro Global)。

一方で、無償トライアルから有償版への移行には多くの課題が存在します。特に、ユーザーが製品の価値を十分に理解しないままトライアルを終了したケースでは、有償契約に至らない場合が多く見られます。

では、なぜユーザーは「製品の価値を十分に理解しないまま」トライアルを終了してしまうのでしょうか? 

本記事では、代表的なトライアルでのサービス離脱の理由から、カスタマーサクセス(以下、CS)の存在が無償トライアルからの有償化にどのように影響するかを探ります。

 

代表的なサービス離脱理由

  1. 使い方がわからなかった
  2. 顧客の課題が明確化されておらず、プロダクトの価値を実感できなかった
  3. ステークホルダーへのアプローチや顧客の運用体制やが整備できなかった
  4. トライアル設計に問題があった 

 

課題1:使い方がわからなかった

トライアルからのサービス離脱で最もわかりやすい理由は「使い方がわからない」です。 

 

トライアル期間中にプロダクトの使い方がわからないと、ユーザーはストレスを感じ、結果としてサービス離脱に繋がります。これを防ぐためには、オンボーディングの強化が不可欠です。

例えば、株式会社ライナロジクスは「LYNA 自動配車クラウド」において、オンボーディングを強化することで、トライアルユーザーのサービス離脱を防ぎました。同サービスでは、機能が豊富であるがゆえに、どこから使い始めるべきか分からないケースが生じていました。

 

そこで、トライアルユーザー向けのチュートリアルを作成し、ツール上で展開することで、ユーザーの疑問を自律的に解決する仕組みを構築しました。これにより、問い合わせ窓口を閉じている土日であっても、ユーザーの「使い方がわからない」といった不快な体験を減らすことが可能になっています。(参考: ライナロジクス事例)。

また、キャムマックス(株式会社キャム)では初期設定サポートを提供し、ユーザーがスムーズに利用を開始できる環境を整備しました。その結果、トライアルからの成約リードタイムを90日間短縮することに成功しています(参考: キャム事例)。

 

さらに、イルシル(株式会社イルシル)では、プロダクトの使い方を明確にすることが、ユーザーの定着率向上につながるという見込みが出ています(参考: イルシル事例)。

このように、オンボーディングの強化によるユーザー体験の向上は、無償トライアルからの離脱による有償化機会の損失削減につながると考えられます。

 

課題2:顧客の課題が明確化されておらず、プロダクトの価値を実感できなかった

トライアル開始時に「なぜこのツールを導入するのか」という目的が明確でない場合、ユーザーはトライアル中に十分な価値を感じられずサービスから離脱してしまいます。また、プロダクトの価値を実感できなかった場合も、導入の決定には至りません。

 

このような事態を防ぐためには、事前の目的設定と成功体験の提供が重要になります。

株式会社才流の調査では、事前の目的設定が、無償トライアルからの有償化コンバージョン率に大きく影響することが示されています(参考: 才流の調査)。

 

まずは、トライアル開始前に、営業チームが顧客の課題を整理します。続いて、営業チームからCSチームに聴取内容を明確に引き継ぎます。引き継ぎ内容をもとに、CSからどの機能が有効かを明確に説明することで、利用継続率を向上させることが可能となるのです。

 

また、プロダクトの価値をより明確に伝えることで、ユーザーが短期間で成果を実感できるような仕組み作りを行うことも可能です。具体的には、チュートリアル時にプロダクトで最もインパクトのある機能を紹介する方法があります。

 

顧客の課題やユースケースに沿った機能を明示的に示し、使い始めの時期から活用してもらうことでユーザーが成果を実感するまでの時間を短縮することができるのです。あるいは、ユーザーと同じ業界・業種での成功事例や利用シナリオを提示するという手段もあります。顧客事例に基づいてロードマップを提案することで、導入後のイメージを具体化させるだけではなく、ユーザー自身でもトライアルの進捗や習熟度を図ることが可能になります。

トライアルの効果を最大化させ有償契約を締結するだけではなく、トライアル中にCSが適切なサポートを行うためにも、トライアル開始時のゴール設計は重要となります。

 

また、ユースケースや活用事例を提示することで、トライアル中のユーザー行動を支援することができます。これらの活動を行うことで、トライアルからの有償化を促進することができると考えられます。

 

課題3:ステークホルダーへのアプローチや顧客の運用体制が整備できなかった


どれほど優れたプロダクトであっても、顧客側の運用体制が整っていなければ、本格導入には至りません。また、トライアルを実施した担当者が決裁権を持たない場合、契約への移行がスムーズに進まないケースもあります。これらの課題を解決するためには、運用体制構築のサポートと、適切なステークホルダーへのアプローチが必要です。

例えば、株式会社プロセルトラクションではCXチームを設置し、トライアルユーザーごとにキックオフミーティングを実施することで、顧客の運用体制の整備を支援しました。これにより、ユーザーがスムーズにプロダクトを活用できる環境を整え、本導入へとつなげています(参考: プロセルトラクション事例)。

また、トライアル後スムーズにプロダクト導入に進むためには、決裁者の関与が不可欠です。トライアルに決裁者が関与していない場合、導入の最終判断を行う際にプロダクトの価値が正しく伝わらず、有償契約への移行が難しくなる可能性があります。プロセルトラクションでは、トライアルの最初の段階でキックオフミーティングに決裁権を持つ関係者を巻き込むことで、スムーズな契約につなげています(参考: プロセルトラクション事例)。

つまり、プロダクト選定に関わるステークホルダーにトライアルに参加してもらうように働きかけたり、CSチームから導入サポートや活用提案を行ったりすることで、トライアル開始から契約までの導線を整理することができるのです。

 

課題4:トライアル設計に問題があった

企業が提供するトライアル自体が適切に設計されていない場合、ユーザーは十分な価値を体験できず、本来のメリットを理解しないままサービスから離脱してしまうことがあります。

 

例えば、トライアル期間が短すぎると、導入効果を実感する前にトライアル終了してしまい、十分な検討ができない可能性があります。一方で、期間が長すぎると緊急性が薄れ、利用が後回しにされることもあります。

 

また、ユーザーが試すべき機能や評価すべきポイントが明確でないと、プロダクトの真価を正しく判断できないままトライアルが終了してしまうリスクもあります。この課題を解決するためには、トライアル自体の設計を最適化し、ユーザーがプロダクトの価値を最大限に理解できる環境を整えることが重要です。


トライアルの改善要素としては、「実施期間」と「チュートリアル・ガイド」、「評価基準」等があげられます。「実施期間」では、適切な試用期間を設定し、ユーザーが検証を行うのに十分な時間を確保できるようにすることが重要です。

 

続いて、「チュートリアル・ガイド」を改善することで、トライアル時にユーザーが試すべき機能を明確化することができます。また、「評価基準」を提示することで、トライアルユーザーがどのような観点で評価をすればよいのかが明確になり、導入の判断がしやすくなると考えられます。

実際に株式会社OpenPageでは、トライアルの設計を見直し、ユーザーが適切な評価基準でプロダクトを試せるような仕組みを導入しました。トライアル開始時に、導入後のメリットや具体的なユースケースを提示し利用目的を明確にすることで、ユーザーのサービス離脱を抑え、トライアルからの有償化コンバージョン向上につなげています(参考: OpenPage事例)。

 

最後に

SaaSツールにおける無償トライアルは、単にサービスを「無償で試せる」機会ではなく、本導入に向けた顧客体験を最適化する場です。顧客がサービスから離脱する理由を踏まえて適切なCS施策を講じることで、トライアルから有償契約への移行率を向上させることが可能となります。

 

それだけではなく、ユーザーとの信頼関係を契約開始前から構築することで、その後の長期的な利用を促進することにも繋がるかもしれません。


優良顧客を見つけ育てるためにも、皆様も今一度、無償トライアル時のCS施策について考えてみてはいかがでしょうか。


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